業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度における経済の状況は、新型コロナウイルス感染症拡大による企業の経済活動、個人の消費活動の縮小により、企業収益や雇用環境は大幅に悪化しました。度重なる緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用に伴い、経済活動が抑制されるなど、不安定な状況が続いた一方で、その後の感染再拡大により、ワクチン接種が進み、行動制限が徐々に緩和される等、景気回復への期待感は高まりつつあります。

そのような状況のなか、当社グループの属するプラント解体業界においては、社会インフラに対しての解体工事の提供を主としておりますが、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、様々な産業において産業構造の見直しやリストラクチャリングの動向は続いており、余剰設備の解体需要は減退することなく推移しております。しかしながら、労務費の上昇、資材価格の高騰の流れは止まっておらず、楽観を許さない状況が続いております。

当社においては、特定の工事現場において新型コロナウイルス感染症の感染が発見されるケースはあるものの、工事中断や大幅な工期遅延はなく、また、工事に携わる人員の感染対策・感染時の早期封じ込めを最大限に実施したうえで工事を施工しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による営業活動への影響は一定程度あると認識しており、着工前の工事につきましては、受注・計画から着工に至るまでの段階で、業務に支障が生じ工事着工が後ろ倒しになるケースが発生しております。

このような状況のもと、当連結会計年度の業績につきましては、スクラップ相場の高騰や工事進行基準対象工事の順調な推移、新たにベステラグループに加わった株式会社矢澤との事業シナジーにより、売上高は5,966,882千円(前連結会計年度比62.0%増)となりました。また、利益面におきましても、スクラップ相場の高騰による利益の押し上げや販売費及び一般管理費の抑制に努めた結果、営業利益は607,908千円(同388.3%増)となりました。なお、リバーホールディングス株式会社の持分法適用関連会社化に伴う持分法投資損益を201,312千円計上した一方、リバーホールディングス株式会社が株式会社タケエイと共同株式移転を行い、新たに設立されたTREホールディングス株式会社の子会社となったことに伴い、リバーホールディングス株式会社の企業結合における交換利益を1,275,449千円計上した結果、経常利益は840,423千円(同294.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,467,993千円(同929.7%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

プラント解体事業

プラント解体事業は、大型現場のスクラップ相場の高騰による売上高の拡大や工事進行基準対象工事の施工が順調に推移した結果、完成工事高は5,736,886千円(同68.0%増)となりました。

その他

その他は、主に人材サービス事業で構成されております。人材サービス事業については、当社グループ内において事業の再編中であり、営業商圏の見直しや人的リソースの効率化等を図っておりますが、再編による効果が得られるまで一定の時間を要すると想定しております。これらの結果、兼業事業売上高は229,996千円(同14.3%減)となりました。

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ755,109千円増加し、2,122,236千円となりました。その内訳は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は537,849千円(前年同期は108,653千円の使用)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益2,115,873千円の計上、仕入債務の増加256,246千円、売上債権の増加506,478千円および株式交換差益1,275,449千円、持分法による投資損益201,312千円の計上による減少があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は32,785千円(同101,058千円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出37,916千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は250,046千円(同638,160千円の獲得)となりました。これは主に株式の発行による収入549,851千円、長期借入金の返済による支出250,259千円、配当金の支払額132,283千円があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a 受注実績

項目

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

前期繰越工事高

2,545,412

143.1

当期受注工事高

4,785,596

△2.6

当期完成工事高

5,736,886

68.0

次期繰越工事高

1,594,122

△37.4

 

(注) 1 受注工事高には有価物売却予想額を含んでおります。

2 前連結会計年度以前に受注したもので、契約の変更による請負金額の増減および有価物の売却価格の変動等による増減があったものについては、その増減額は当期受注工事高に含んでおります。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b 販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プラント解体事業

5,736,886

68.0

その他

229,996

△14.3

合計

5,966,882

62.0

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 その他の金額は人材サービス等の売上高であり、「連結損益計算書」上は兼業事業売上高で表示しております。

3 最近2連結会計年度における販売実績の主な相手先別の内訳は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年2月1日

至 2021年1月31日)

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井化学株式会社

206,007

5.6

745,904

12.5

JFEプラントエンジ株式会社

966,754

26.3

689,599

11.6

 

4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a 経営成績等
(a) 財政状態

(流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は4,561,517千円となり、前連結会計年度末に比べ1,613,355千円の増加となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等が820,290千円、現金及び預金が755,109千円増加したこと等が要因であります。

(固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は4,458,689千円となり、前連結会計年度末に比べ1,376,088千円の増加となりました。これは主に当社の関係会社であったリバーホールディングス株式会社が株式会社タケエイと共同株式移転を行い、新たに設立されたTREホールディングス株式会社の子会社となったことに伴い株式交換が行われ、投資有価証券が3,697,770千円増加し、関係会社株式が2,527,765千円減少したこと等が要因であります。
 (流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は2,181,632千円となり、前連結会計年度末に比べ1,087,494千円の増加となりました。これは主に工事未払金等が641,294千円、未払金等のその他が217,645千円、未払法人税等が203,795千円増加したこと等が要因であります。
(固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は2,483,888千円となり、前連結会計年度末に比べ142,583千円の増加となりました。これは主に繰延税金負債が278,883千円増加した一方、長期借入金が150,705千円減少したこと等が要因であります。
(純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は4,354,685千円となり、前連結会計年度末に比べ1,759,366千円の増加となりました。これは主に利益剰余金が1,335,593千円、資本金が278,952千円、資本剰余金が278,952千円増加した一方、その他有価証券評価差額金が150,565千円減少したこと等が要因であります。

 

(b) 経営成績

(売上高)

売上高は、主にプラント解体事業において、大型現場のスクラップ相場の高騰による売上高の拡大、工事進行基準対象工事の順調な施工、化学メーカーを中心として新規顧客の開拓など積極的な営業を行い「中期経営計画2025」で掲げる元請工事の受注拡大に取り組んだこと、新たにベステラグループに加わった株式会社矢澤との事業シナジーなどの要因により、5,966,882千円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、工事監督員の増員、コロナ禍における従業員の奮闘に報いる特別賞与の支給などにより、4,609,681千円となりました。

販売費及び一般管理費は、工事監督員以外の設計・サポート業務の人員や、本社間接部門の人件費の増加、研究開発費の増加などにより、749,292千円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税264,064千円、法人税等調整額384,080千円の計上などにより、1,467,993千円となりました。

 

 

(c) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b 経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える主な要因として、当社グループを取り巻く事業環境があります。

当社グループの事業が関係するプラント解体分野については、高度経済成長期に建造された設備が、物理的な老朽化に加え、経済的陳腐化等の理由により解体、更新時期をむかえるものと推測されます。また、グローバルな産業競争力強化のため、企業の再編、海外移転等リストラクチャリングが増加するものと推測されます。

このような状況のもと、当社グループは、効率的な設備への見直しが進む電力業界を筆頭に、旺盛なプラント解体需要の取り込みに注力する一方、今後業界の再編が進むことが予想される静脈産業を中心とした高度循環型社会構築に向け、M&A等の提携強化を検討しております。また、M&A等の戦略的事業投資に加え、新たな工法に関する研究開発、採用活動および安心して働ける仕組みづくり、効率的な業務管理を実現するシステム導入等の成長投資を積極的に行う方針であります。

当社は、プラント解体分野のリーディングカンパニーとして、持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目標に掲げ、社会的サステナビリティへの貢献と利益ある成長の両立に努めてまいります。

 

c 資本の財源および資金の流動性

(a) 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、当社の強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としており、手元流動性の低下や財務柔軟性の低下のリスクに備えるため自己資本の拡充を進め、事業成長のための財務基盤の強化を推進しております。

 

(b) 経営資源の配分に関する考え方

当社グループは、主たる事業であるプラント解体事業について、当社より協力会社に対する支払サイトは約35日であるのに対し、当社客先の入金サイトは約105日となっており、約70日の差があるため、適正な手許現預金の水準については、売上高の約2か月分を安定的な経営に必要な手許現預金水準とし、それを超える分については、M&A投資資金等の事業戦略に配分する方針としております。

なお、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞について、当社グループに及ぼす影響については、限定的であると認識しており、特別な措置を講じる予定はありません。

 

(c) 資金需要の主な内容

当社グループの事業活動における資金需要については、今後の事業戦略として、企業価値の向上に資するM&A投資に活用する予定ですが、こうしたM&A投資を進めるとともに、今後のさらなる事業成長を目的としたシステム投資や最先端技術である3D技術等を活用した「3D解体」の解体技術開発並びに、3D事業価値の追求のためのロボット開発、また、直接受注(元請受注)増加のためのマーケティング費用等に活用する予定であります。

なお、今後の具体的な資金の使途については、以下を予定しております。

 高度循環型社会構築に向けた、以下の重点分野を中心としたM&A投資資金

①脱炭素化に向けた設備の廃止措置に向けた分野

②風力発電設備の解体に関連する分野

③3D事業価値追求のためのデジタル関連分野

④解体施工技術の高度化を目的とした専門工事分野

 

 

(d) 資金調達

 当社グループは、電力、製鉄、石油精製、石油化学などの大規模なプラント設備の解体工事を主たる事業とし、持続可能社会の実現(SDGs)に向けた高度循環型社会構築に向けて当社独自のESG経営を推進しております。当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、当社グループが保有する電子記録債権を資金化するコストおよび金融機関からの短期借入金の調達コストを比較衡量し、内部資金の活用もしくは金融機関からの借入による資金調達を行う方針となっております。

また、2021年1月期において「中期経営計画2025」の達成に向けて、成長資金の確保と財務基盤の強化のため、ハヤテインベストメント株式会社と協力し、企業が機関投資家から直接に資金提供を受ける「真の直接金融」を実施し、2022年1月期においても資金調達を継続して行っております。この資金により、M&A・成長投資を加速し、一層の事業拡大、収益の向上及び財務体質の強化を図ることが可能となり、結果として当社の中長期的な収益向上及び企業価値向上に寄与するものと考えております。

当社グループの資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関において合計40億円の当座借越枠を設定しており、当社グループの資金の流動性の補完にも対応が可能となっております。

 

d 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画(2022年1月期)の目標数値と2022年1月期の実績および2023年1月期の計画

 

2022年1月

計画

2022年1月

実績

2023年1月期

計画

売上高(千円)

5,600,000

5,966,882

6,700,000

営業利益(千円)

450,000

607,908

620,000

営業利益率(%)

8.0

10.2

9.3

1株当たり

当期純利益金額

43.76

174.54

54.40

 

2022年1月期は、企業価値の向上を目指すにあたり、売上高、営業利益、1株当たり当期純利益金額を重要な経営指標として事業活動を行ってまいりました。「中期経営計画2025」の初年度となる2022年1月期の計画は連結業績において売上高5,600,000千円以上、営業利益450,000千円以上、1株当たり当期純利益金額43.76円以上の目標を掲げておりましたが、2022年1月期の実績においては、売上高は5,966,882千円、営業利益607,908千円、1株当たり当期純利益金額174.54円と計画を大幅に上回る結果となりました。

これは主に、プラント解体事業において、化学メーカーを中心として新規顧客の開拓など積極的な営業を行い、「中期経営計画2025」で掲げる元請工事の受注拡大に取り組んだこと、新たにベステラグループに加わった株式会社矢澤との事業シナジーにより収益基盤が拡大したこと、進行基準適用工事の工事進捗が順調に推移したこと、スクラップ相場が高水準で推移し当社の特定の工事において売上高・売上総利益の上昇の後押しとなったことなどの要因により、売上高および営業利益にて大幅な増益となりました。また、リバーホールディングス株式会社の持分法適用関連会社化に伴う持分法投資損益を201,312千円計上したこと、リバーホールディングス株式会社が株式会社タケエイと共同株式移転を行い、新たに設立されたTREホールディングス株式会社の子会社となったことに伴い、リバーホールディングス株式会社の企業結合における交換利益を1,275,449千円計上したことなどにより経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益においても大幅な増益となりました。これらの結果により、営業利益率、1株あたり当期純利益(EPS)についても、大幅な達成となっております。

なお、「中期経営計画2025」の2年目となる2023年1月期において、数値目標については、売上高6,700,000千円以上、営業利益620,000千円以上、1株当たり当期純利益金額54.40円としております。

 

 

 

e 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

(工事進行基準による収益認識)

当社グループは、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準を適用して収益認識しております。工事進行基準の適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額および当連結会計年度末における工事進捗度を合理的に見積る必要があります。工事進行基準による収益認識の基礎となる工事原価総額は、工事契約毎の実行予算を使用して見積りを行っておりますが、当該実行予算の策定にあたっては、工事完成までに必要な作業内容および工数の見積りに不確実性を伴うため、将来の経済状況の変動等により見直しが必要となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響につきましては、現時点では収束時期が見通せない状況にあり、先行き不透明な時期が継続するものと予想されますが、当社グループに与える影響は、現時点では軽微であると判断し、繰延税金資産の回収可能性やのれんの減損の判断等の会計上の見積りを行っております。

 

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