事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼすおそれのあるリスクとして、当連結会計年度末現在において当社が認識しているものを以下に記載しております。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、予見できない又は重要とみなされていないリスクの影響を受けるおそれがあります。

 当社グループではこうしたリスクに備えるため、グループ全社にわたりリスクマネジメント活動を遂行しております。具体的には、リスク項目の抽出とその評価、統制手法及び運用手法の構築並びに統制活動の実施、これらの自己評価及び内部監査部門におけるモニタリングという活動を通じて、リスクマネジメントが有効かつ効果的に機能するようにしております。

 

① 経済・財政状況について

 国内外の経済状況の変化に伴い、住宅を始めとする不動産投資意欲の減退や民間設備投資の縮小・延期等が行われた場合、又は国・地方自治体による公共事業に対する施策・予算措置の執行状況などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 売上の特定地域への集中について

 当社グループは、その売上の大半が東海地方に集中しております。したがって、当該地域の景況や大規模な自然災害の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 

③ 関連当事者取引について

 「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」に記載のとおり、当社は名古屋鉄道株式会社から継続的に建設工事を受注しており、売上高全体に占める割合も10%前後となっております。したがって、同社の設備投資額の変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業種に特有な事情(完成工事未収入金)について

 当社グループの主要な事業である建設事業においては、工事金の回収が目的物引渡しから一定期間の後となることがあります。したがって、工事完成後目的物引渡時点において、多額の完成工事未収入金が発生した場合、その回収状況によっては当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、こうした業界特有のリスクに備えるべく、経理部門が中心となり厳格な事前与信審査及び目的物引渡前においても顧客の動向をチェックするなど与信管理については厳格な体制を敷くとともに、資金負担を緩和すべく営業部門とともに工事代金回収条件の良化を図っております。

 

⑤ 人材の確保及び育成について

 中長期的には、人口減少と高齢化進展に伴う建設産業の担い手不足が深刻化することが予想され、求める人材の確保・育成が充分にできない場合や、より良い職場環境の実現が遅れることなどにより役職員が大量に社外に流出した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、中途採用や新卒採用による人材の確保、および人事制度の充実等による人材の育成に積極的に取り組み、多様な中核人材を登用できる環境を中長期的に整備するとともに、性別や国籍、人種に関係なく、一人ひとりの個性や能力を最大限に発揮し、やりがいや成長を実感できる職場環境を実現してまいります。また、当社グループだけでなく協力業者の人材の確保及び育成にも注力し、建設産業の担い手確保に努めてまいります。

 

⑥ 原材料価格・労務費の高騰などについて

 当社グループの主要な事業である建設事業においては、原価の約8割を材料費及び労務・外注費が占めておりますが、各プロジェクト受注時点から着工までに時間を要することもあり、その間に偶然不測の事故や戦争、暴動、騒乱、テロ等の災害又は経済情勢の変動などにより原材料価格や労務費の著しい高騰、資機材の調達難などが発生した場合には、受注時点で予測された利益の確保が困難になることがあり、業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループではこのような事態に備えるため、主要な原材料の調達についてはプロジェクト毎に行っており、また、着工時には原材料・労務の手配はほぼ完了することとしております。

⑦ 不動産開発事業について
 当社グループは不動産開発事業を展開しておりますが、事業期間が長期間にわたる場合があることから、事業環境に著しい変化が生じた場合には、著しい時価の変動などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、こうした変化が生じることに備え適宜必要に応じて開発計画を見直すなど対処しております。

 

⑧ 瑕疵担保責任について

 当社グループが営む建設業及び不動産業においては、万一重大な瑕疵が発生した場合には、金額が多額に上ることも想定され当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、こうした場合に備え品質管理部門などを設け万全を期し管理を徹底するとともに、引渡し後の対応にあたる品質保全部門(アフターサービス部門)も設置し対応しております。

 

⑨ 資金調達環境について

 当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等の金融機関からの借入です。

 これにより、事業活動に要する費用、設備投資及び研究開発等の長期的な資金、負債の元本及び利子の返済などを実施しております。

 従って、国内外の経済状況や金融状況の変化によっては、当社グループの資金の源泉に影響を及ぼすおそれがあり、また、借入金利の上昇により当社グループの経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、事業活動による短期及び中長期の資金需要を把握するとともに、経済状況及び金融状況の変化に照らした最適な資金調達手法を検討し資金を確保してまいります。

 

⑩ 投資有価証券等の価格下落

 当社グループは、取引先との事業上の関係等を維持または促進するため、株式等の市場性のある有価証券を保有しております。このような市場性のある有価証券は市場性の下落リスクにさらされており、市場価格の下落により保有する有価証券の評価損が発生するおそれがあります。

 当社グループでは、投資有価証券については取締役会での検証を経て保有の合理性があると判断された場合に限り保有することとしており、リスクの低減を図っております。

 

⑪ 退職給付に係る負債及び年金資産

 当社グループは、確定給付型の制度として、退職一時金制度及び企業年金基金制度を採用しております。これにより数理計算によって算出される退職給付債務及び退職給付費用などが発生するとともに、外部に拠出している企業年金の運用成績による年金資産の変動の影響も受けます。

 こうしたことなどにより、前提とした見積り条件と実績とが大きく乖離するような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループは実績に基づいた検証を行い毎期見積りを見直すとともに、年金資産の運用についても外部委託機関と協議のうえ適切な見直しを実施しております。

 

⑫ 建設事業における重大事故

 当社グループの営む建設業においては、重大な工事事故や労働災害が発生するおそれがあり、社会的信用の失墜、企業イメージの毀損などにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、安全環境部門が定期的に安全教育・安全パトロールなどを実施し、工事事故、労働災害を撲滅する取り組みを行い、安全管理・施工管理を徹底しております。

⑬ 訴訟等の可能性について

 本書提出日現在、当社グループが関係する重大な訴訟の事実はありません。

 しかしながら、当社グループが売却した物件における瑕疵の発生、当社グループが行う開発工事にかかる近隣トラブル、当社グループが請け負った工事に対する顧客からのクレーム、入退去時のテナント等とのトラブル等を起因とする訴訟その他の請求が今後発生することがあり、これらの訴訟等の内容及び結果によっては当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは、こうした訴訟等に対応すべく法務部を設置し、関係弁護士を交えながら訴訟解決を目指して取り組んでおります。

 

⑭ 会計上の重要な虚偽表示のリスク

 当社グループの主要な事業である建設事業においては、原則的に工事の進捗度に応じて収益を計上しており、工事収益総額、工事原価総額及び進捗状況などの見積り誤りによっては収益計上に重要な虚偽表示が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 また、もう一方の当社グループの主要な事業である不動産事業においても、販売用不動産の評価基準として「原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)」を採用しており、この評価の結果収益計上に重要な虚偽表示が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループではこうした会計上の虚偽表示のリスクに備えるため、工事部門及び不動産部門で開催される会議等に経理部担当役員が参加するなど適時適切な情報収集に努め、適正な見積りを実施する体制を整えております。

 

⑮ 経営者の重要な判断を伴う会計上の見積りについて

 近時の会計処理においては、「訴訟損失引当金」、「工事損失引当金」、「固定資産の減損」、「繰延税金資産の回収可能性」、「退職給付債務の見積り」等々、不確実性が相当程度に高いと識別される見積り要素が多く含まれており、これら見積りの結果収益計上に大きな変動が発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループではこうした会計上の見積りの適正性を担保するため、必要に応じて外部の専門家(弁護士、不動産鑑定士、税理士等)から意見を徴収し会計処理をしております。

 

⑯ 法的規制について

 当社グループの属する建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法、環境保全関係の諸法令等により各種法的規制を受けております。当社グループは、特定建設業者として「建設業法」に基づく許可を受け、また宅地建物取引業者として「宅地建物取引業法」に基づく免許を受けております。

 そのため、上記法律の改廃、新たな法的規制の制定、適用基準の変更などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、こうした法令の改正に適時適切に対応するため、各部署が担当する法令を明示したうえで、その改正等があった場合には定められた関係各部署・各社へその内容を周知する体制を整えております。

 

⑰ システムトラブルについて

 当社グループで利用するITシステムなどにトラブルが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループでは情報システム部門が中心となり、情報のセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでおります。

 

⑱ 個人情報の管理について

 当社グループは、各事業において、見込顧客情報及び取引顧客情報等、当社グループ事業を通して取得した個人情報を保有しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。万が一、外部漏洩等の事態が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 これらの個人情報については、情報管理マニュアルを定めて適切な管理を実施するとともに、情報管理責任者を定めて適切な統制も実施しております。加えて、定期的に社内システムにより情報管理教育を全役職員に対して実施しております。

⑲ 偶然不測の事故・自然災害について

 火災、破裂爆発、落雷、風、ひょう雪災、水災、地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火及び津波並びに電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故並びに戦争、暴動、騒乱、テロや感染症の災害により、当社グループの行う事業が停滞するおそれがあり、また保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受けるおそれがあります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社グループの事業が影響を受けるおそれがあります。

 

⑳ 長期的な気候変動リスク

 近年の気候変動が原因と考えられる異常気象や自然災害の頻発化・激甚化は、私たちにとって身近に迫った脅威となっており、こうした長期的な気候変動のもたらすものが当社グループの業績に影響を及ぼすおそれがあります。

 当社グループは、こうした気候変動への対応を重要な経営課題のひとつと捉え、温室効果ガス排出量削減などの気候変動に対する取組みを推進してまいります。(取組みの詳細につきましては、下記URLよりご参照ください。https://www.yahagi.co.jp/csr/ )

 

新型コロナウイルス感染症の影響

(業績について)

 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は不透明な状況であり、建設業界におきましても住宅投資、民間設備投資への影響が見通せない状況となっており、引き続き今後の動向を注視していく必要があります。

 なお、現時点では、当社グループの事業運営に直接的な影響を及ぼす具体的な事象は生じておりません。

(資金の状況について)

 当連結会計年度末の連結貸借対照表における現金預金残高は220億円となっており、必要な資金量を確保しております。今後につきましても、適時適切な資金調達により安定的な資金運営を行ってまいります。

 

 

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