業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社は、2021年4月1日付の三井製糖㈱と大日本明治製糖㈱の経営統合により、商号を「DM三井製糖ホールディングス株式会社」に変更し、新たな企業理念「姿かたちを変えながら一生に寄り添い、幸せの時を広げる。」のもと、持株会社体制並びに監査等委員会設置会社に移行いたしました。また、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図るべく、取締役の指名及び報酬に関する透明性及び公正性をより向上させるため、取締役会の諮問機関であるガバナンス委員会を設置いたしました。

なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、かつ2021年4月1日付で大日本明治製糖㈱と経営統合したことも踏まえ、以下の当期の経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 

当連結会計年度のわが国経済は、世界的に長引く新型コロナウイルス感染症の影響下にあり、全国規模での緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返されることによって、企業活動及び個人消費は引き続き低い水準で推移いたしました。その後、ワクチン接種の普及等により、9月末には国内の各種制限が一旦解除され、景気持ち直しの動きが見られたものの、新たな変異株の発生に伴う感染再拡大、原油価格の上昇や円安、原材料価格の高騰及び地政学的リスクの増大などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況下、当社グループでも全国的な経済活動縮小の影響を大きく受ける中で、販売状況に呼応した生産の最適化や各種経費の節減を行うと共に、各社間の連携を推進し、引き続き既存事業の基盤強化と成長領域の事業拡大に取り組んでまいりました。

 

砂糖事業

海外粗糖相場につきましては、1ポンド当たり14セント後半でスタートし、8月に入ると、ブラジルの天候不順によるサトウキビの減産懸念や、原油価格などの国際商品市況全般の上昇により、約4年半ぶりとなる20セント台に達しました。12月以降は、北半球の潤沢な産糖量を受けて一時軟化したものの、ウクライナ情勢を巡り、原油をはじめとする国際商品市場に投機資金が流入した結果、相場は再び上昇し、19セント半ばで期末を迎えました。

精製上白糖大袋の国内市中相場につきましては、192円~193円で始まりましたが、前期から続く海外粗糖相場の高騰及び高止まりや円安、コロナ禍における世界的な海上輸送コスト増などを受けた期中の出荷価格の引き上げが反映された結果、204円~205円にて期末を迎えました。なお、これら各種コストの増加を吸収するため、当社の出荷価格を7月と12月にそれぞれ6円引き上げております。

国内の精製糖販売面では、土産物や外食向け需要は、各自治体からの外出自粛要請が幾度となく発出された影響を受け、低調に推移いたしました。一方で、いわゆる巣ごもり消費の高まりによる受注が活発化する中、家庭用の片手で使えるハンディタイプ製品の販売を開始し、その詰め替え用製品も取り揃えるなど、人々のライフスタイルの変化を捉えると同時に、環境に配慮した対応も進めてまいりました。安定操業に努めた生産面においても、燃料価格の高騰による影響を大きく受けましたが、引き続きコストダウンに努めてまいりました。

また、シンガポールでも、行動制限緩和による販売量の持ち直しがあったものの、総体的には、粗糖相場の上昇と高止まりによる原料コストの大幅アップ等を出荷価格の引き上げなどでは吸収しきれず、損益面で大きな負担となりました。

 以上の結果、砂糖事業は、売上高123,430百万円(前連結会計年度は87,450百万円)、営業利益2,441百万円(前連結会計年度は1,689百万円)となりました。

 

期中の砂糖市況

 海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)

  始値 14.71セント 高値 20.69セント 安値 14.68セント 終値 19.49セント

 国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋1㎏当たり)

  始値 192円~193円 終値 204円~205円

 

ライフ・エナジー事業 ※2021年4月1日付でフードサイエンス事業から名称変更

ライフ・エナジー事業につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けながらも、パラチノースは清涼飲料向けで販売量が回復し、海外向け需要も伸長いたしました。パラチニットはキャンディ用途での新規採用品が定番化するなどし、さとうきび抽出物も食品及び飼料用の各用途での販売が好調でありましたが、全体として円安や海上輸送費高騰などの影響を受けました。

また、食品色素、食品添加物や工業用抗菌剤などの販売の増加も売上に貢献しましたが、コスト面では、介護・栄養分野における経腸栄養剤の営業活動強化を目的とした販売間接費が増加いたしました。

 以上の結果、ライフ・エナジー事業は、売上高21,839百万円(前連結会計年度は19,475百万円)、営業利益153百万円(前連結会計年度は1,045百万円)となりました。

 

不動産事業

 不動産事業につきましては、販売管理費の減少等により、売上高2,610百万円(前連結会計年度は1,961百万円)、営業利益1,034百万円(前連結会計年度は897百万円)となりました。なお、岡山工場跡地の再開発計画は順調に進捗しております。

 

以上の結果、経営統合による新規連結もあり、当連結会計年度の売上高は147,880百万円(前連結会計年度は108,887百万円)、営業利益は3,630百万円(前連結会計年度は3,631百万円)となりました。

 

営業外損益においては、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーを560百万円計上いたしました。なお、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱とNovartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」という。)との間で仲裁手続きが進行中であることを受け、ノバルティス社が契約の有効性に関し疑義を提起している部分につきましては、引き続き収益としては認識しておりません。

 持分法投資損益においては、5月よりスプーン印の精製糖製造を開始するなど、中国関連会社の事業が順調に伸長している一方で、タイ国関連会社の原料コスト上昇に伴う原価率の悪化を受け、経常利益は3,479百万円(前連結会計年度は3,788百万円)となりました。また、連結子会社である北海道糖業㈱において、2023年3月をもって、同社の本別製糖所の生産を終了する方針を決定したことで固定資産の減損損失を計上しましたが、経営統合による負ののれん発生益や当社所有ビルの売却益などもあり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,657百万円(前連結会計年度は2,764百万円)となりました。

 

(2)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社グループでは適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。

 

(3)経営上の目標指標に関する分析

当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)7%以上を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。当連結会計年度のROEは3.9%となりました。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。当連結会計年度のEBITDAは10,396百万円となりました。

 配当金額につきましては、引き続き株主の皆様に対する利益の還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、将来の成長に向けた事業展開と、経営基盤強化のための内部留保の充実にも配慮しつつ、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としております。その上で、年間配当金額は、連結配当性向が100%を超えない限り、最低配当金額として1株当たり60円の配当を実施することとし、都度の経営環境を総合的に勘案し、現金配当と機動的な資本政策を組み合わせた総還元性向50%を目処とした株主還元を行ってまいりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動で6,356百万円増加、投資活動と財務活動で6,914百万円増加したことにより、前連結会計年度末に対して13,386百万円増加し、31,077百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は6,356百万円(前連結会計年度は資金の増加11,124百万円)となりました。
 これは主に税金等調整前当期純利益5,661百万円、減価償却費5,799百万円、仕入債務の増加5,059百万円等による資金の増加があった一方で、棚卸資産の増加4,710百万円、法人税等の支払4,075百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は344百万円(前連結会計年度は資金の減少4,020百万円)となりました。
  これは主に有形固定資産の売却による収入6,128百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入4,972百万円等による資金の増加があった一方で、工場設備等に係る有形固定資産の取得による支出10,273百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は6,570百万円(前連結会計年度は資金の減少4,787百万円)となりました。

 これは主に社債の発行による収入10,000百万円等による資金の増加があった一方で、配当金の支払1,612百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は30,032百万円となっております。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

砂糖事業(百万円)

106,955

158.5

ライフ・エナジー事業(百万円)

9,386

104.2

合計(百万円)

116,341

152.1

  (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2)仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

砂糖事業(百万円)

22,326

139.2

ライフ・エナジー事業(百万円)

4,807

109.8

合計(百万円)

27,133

132.9

   (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

(3)受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社以下同じ)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

砂糖事業(百万円)

123,430

141.1

ライフ・エナジー事業(百万円)

21,839

112.1

不動産事業(百万円)

2,610

133.1

合計(百万円)

147,880

135.8

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三井物産㈱

47,295

43.4

47,704

32.3

 

 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な判断に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。

(2)財政状態

  当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比42,786百万円増加し189,497万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①流動資産
  流動資産は、前連結会計年度末比28,005百万円増加し88,935百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加13,679百万円、商品及び製品の増加4,862百万円、原材料及び貯蔵品の増加4,288百万円等があったことによるものであります。
②固定資産
  固定資産は、前連結会計年度末比14,780百万円増加し100,561百万円となりました。これは主として、建設仮勘定の増加3,737百万円、投資有価証券の増加5,376百万円等があったことによるものであります。
③負債
  負債は、前連結会計年度末比24,539百万円増加し79,570百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金の増加7,362百万円、社債の増加10,000百万円等があったことによるものであります。
④純資産
  純資産は、前連結会計年度末比18,246百万円増加し109,926百万円となりました。これは主として、新株発行による資本剰余金の増加8,311百万円、自己株式の処分による自己株式の減少4,489百万円等があったことによるものであります。

(3)経営成績

  当連結会計年度における経営成績の概要につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、経営成績に影響を及ぼしております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」に記載しております。


①売上高
  売上高は、前連結会計年度比38,993百万円増加し147,880百万円となりました。これは主として、2021年4月1日付で大日本明治製糖株式会社と経営統合したことによるものであります。
②営業利益
  営業利益は、前連結会計年度比1百万円減少し3,630百万円となりました。これは主として、砂糖事業において原料費の上昇に伴う原価の悪化等があったことによるものであります。
③経常利益
  経常利益は、前連結会計年度比308百万円減少し3,479百万円となりました。これは主として、受取ロイヤリティーの減少等によるものであります。

④親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度は負ののれん発生益を主因として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比409百万円増加し5,661百万円となりました。
  法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比892百万円増加し3,657百万円となりました。

 

  (4)キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(4)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

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