業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、以下の経営成績に関する説明の売上高については、前期比(%)を記載せずに説明しております。これによる売上高の減少額は18億10百万円でした。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済停滞に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、先行きが非常に不透明な状況が続きました。食品業界におきましては、長引く外食需要の低迷など依然として厳しい経営環境が続きました。

このような状況のなか、当社グループは「新中期経営計画<挑戦>challenge2022」(2021年3月期~2022年3月期)のもと、基本方針である「成長投資の推進」「事業ポートフォリオの検討」「財務健全性の強化」「コーポレートガバナンスの強化」に沿った諸施策により、経営資源の選択と集中による構造改革を進めて収益基盤の改善を図るとともに、安定的な利益確保に向けた構造強化を図り、持続的な事業発展を目指してまいりました。

当連結会計年度の当社グループの売上高は、肉類および養魚用飼料の販売数量が減少したことにより、403億89百万円(前期は443億66百万円)となりました。損益面におきましては、水産物相場が堅調に推移したことや採算性を重視した取引に努めたことにより営業利益は7億28百万円(前期比18.3%増加)、経常利益は9億16百万円(前期比8.0%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した特別利益(固定資産売却益)の反動により前期比45.2%減少の7億7百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの変更等を行っており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の報告セグメントに基づいております。

 

機能・食品事業

魚肉ねり製品におきましては、中国向け輸出の落ち込みや国内販売の低調な推移により、販売数量が減少いたしました。

機能性食品におきましては、機能性食品素材の国内向け販売が落ち込んだことにより、販売数量が減少いたしました。

ハム・ソーセージ等食肉加工品におきましては、長引く外食需要の低迷により、販売数量が減少いたしました。

肉類におきましては、豚肉の量販店への販売が低調に推移したことにより、販売数量が減少いたしました。

調理食品におきましては、前期の巣ごもり需要の反動により、販売数量が減少いたしました。

なお、収益認識に関する会計基準等を適用したことによる売上高の減少額は、10億52百万円でした。

これらにより、売上高は216億8百万円(前期は244億42百万円)となり、前期を下回る結果となりました。損益面におきましては、肉類の利益率改善があったものの魚肉ねり製品の販売数量が減少したことによりセグメント利益(営業利益)は3億51百万円(前期比2.7%減少)となりました。

 

飼料事業

養魚用飼料におきましては、養殖魚の在池量が減少したことにより、販売数量が減少いたしました。

水産物におきましては、取り扱い量が減少いたしました。

畜産用飼料におきましては、原材料価格高騰に対応した価格改定により、販売単価が上昇いたしました。

なお、収益認識に関する会計基準等を適用したことによる売上高の減少額は、7億57百万円でした。

これらにより、売上高は169億36百万円(前期は176億22百万円)となり、前期を下回る結果となりました。損益面におきましては、水産物相場が堅調に推移したことによりセグメント利益(営業利益)は11億50百万円(前期比26.4%増加)となりました。

 

 

その他の事業

その他の事業におきましては、売上高は18億44百万円(前期は23億1百万円)、セグメント利益(営業利益)は1億38百万円(前期比47.3%減少)となりました。

 

当連結会計年度末における資産合計は264億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億69百万円減少しました。流動資産の減少(前期末比2億48百万円減少)は、主に仕掛品が4億35百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が6億65百万円減少したことなどによるものであり、固定資産の減少(前期末比19億21百万円減少)は、主に有形固定資産が16億79百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における負債合計は167億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億97百万円減少しました。流動負債の減少(前期末比11億29百万円減少)は、主に短期借入金が7億6百万円、未払法人税等が3億21百万円減少したことなどによるものであり、固定負債の減少(前期末比5億68百万円減少)は、主に長期借入金が2億18百万円、繰延税金負債が1億54百万円減少したことなどによるものです。

 

当連結会計年度末における純資産合計は97億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を7億7百万円計上したものの、非支配株主持分が9億11百万円減少したことなどによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローは増加したものの、財務活動によるキャッシュ・フローは減少し、前連結会計年度末に比べ33百万円減少の19億42百万円(前期末比1.7%減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は6億83百万円(前期は32億80百万円の増加)となりました。これは主に法人税等の支払額が6億47百万円、棚卸資産の増加額が5億68百万円あったものの、税金等調整前当期純利益10億64百万円、減価償却費8億60百万円の計上や、売上債権の減少額が4億31百万円あったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の増加は18百万円(前期は47百万円の増加)となりました。これは主に定期預金の預入による支出が7億65百万円、有形固定資産の取得による支出が3億92百万円あったものの、定期預金の払戻による収入が11億65百万円あったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は7億37百万円(前期は29億4百万円の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入が7億99百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が8億15百万円、リース債務の返済による支出が3億66百万円あったことなどによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能・食品事業

15,646,799

△3.3

飼料事業

18,270,203

△1.6

合計

33,917,003

△2.4

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能・食品事業

6,149,823

△14.8

飼料事業

2,459,682

+17.1

その他の事業

903,007

△16.9

合計

9,512,513

△8.6

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

機能・食品事業

21,608,913

飼料事業

16,936,184

その他の事業

1,844,063

合計

40,389,160

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

マルハニチロ株式会社

6,406,485

14.4

5,844,303

14.5

 

(注) 総販売実績に対する割合が10%以上のものについて記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、持続的な事業発展を目指して「新中期経営計画<挑戦> challenge2022」(2021年3月期~2022年3月期)の諸施策により、経営資源の選択と集中による構造改革を進めて収益基盤の改善と、安定的な利益確保に向けた構造強化に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高403億89百万円、営業利益7億28百万円、経常利益9億16百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7億7百万円となりました。

売上高は量販店への豚肉の販売が低調に推移したことや、養殖魚の在池量が減少したことにより養魚用飼料の販売数量が減少したことから39億77百万円の減収(「収益認識に関する会計基準」等の適用による減少額18億10百万円を含みます)となりました。

営業利益は、水産物相場が堅調に推移したことや採算性重視の取引に努めたことにより1億12百万円の増益となりました。

経常利益は、営業利益の増加により67百万円の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に固定資産売却益を計上した反動から5億83百万円の減益となりました。

当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産合計264億92百万円、負債合計167億24百万円、純資産合計97億68百万円となりました。

資産は、連結子会社の異動により有形固定資産が減少したことや、受取手形及び売掛金が減少したことにより、前連結会計年度末より21億69百万円の減少となりました。

負債は、短期借入金や未払法人税が減少したことにより、前連結会計年度末より16億97百万円の減少となりました。

純資産は、連結子会社の異動により非支配株主持分が減少したことにより、前連結会計年度末より4億71百万円の減少となりました。

これらにより、「新中期経営計画<挑戦> challenge2022」において財務健全性の数値目標に掲げた自己資本比率は36.9%、ネットD/Eレシオ(ネット有利子負債÷自己資本)は0.87倍となり、いずれも目標を達成いたしました。

当社グループは、本年4月に「中期経営計画<挑戦> PhaseⅡ <<challenge2024>>」(2023年3月期~2024年3月期)を策定しスタートさせました。新型コロナウイルス感染症の拡大による外食需要の低迷や原材料価格の高騰に加え、深刻化するウクライナ情勢や急激な円安進行などにより先行きの不透明感が強まり、当社グループを取り巻く経営環境は厳しいものとなることが予想されますが、前計画から引き継いだ事業戦略をベースに、ESGの視点とDX推進による変革への取り組みを加え、財務健全性を高めながら安定的な利益確保と持続的な事業発展を目指してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。特に、当社グループが取り扱う製・商品や原材料の多くは農・畜産物や水産物であるため、相場による価格変動が業績に影響を与える可能性があると認識しており、為替予約による為替リスクのヘッジや原材料の調達範囲の拡大等により、リスク要因を分散・低減するよう努めております。また、豚ウイルス性疾病などにより当社グループで運営する農場の肥育豚の大量処分などを余儀なくされる場合には業績に大きな影響を及ぼす可能性があるため、野生動物侵入防止対策や飼養衛生管理に関する教育の徹底など万全な防疫管理を期しております。

 

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。

 

機能・食品事業

新型コロナウイルス感染症拡大の影響から海外輸出が減少しており、国内においても外食需要の落ち込みが長引く一方、前期の巣ごもり需要の反動から家庭用食品の販売も低調に推移いたしました。採算性重視の取り組みにより肉類では利益率が改善したものの、魚肉ねり製品の販売数量が減少したことにより、営業利益は2.7%減少の3億51百万円となりました。なお、当連結会計年度より「水産・機能食品事業部」と「畜産食品事業部」を統合して「機能・食品事業部」とする組織変更を行い、管理・企画開発業務の効率化によるコスト削減、人材・資産の有効活用、意思決定の迅速化を図ってまいりました。また、下関工場、都城工場、林兼フーズ株式会社の3工場の生産体制再編による効率化を推し進めています。今後も引き続き、事業の効率化と収益力の強化に取り組んでまいります。

 

飼料事業

畜産用飼料の販売数量は増加、養魚用飼料は輸出が増加したものの、国内においては養殖魚の在池量が減少したことにより販売数量が減少しました。水産物相場が堅調に推移したことによる利益率の改善等により、営業利益は26.4%増加の11億50百万円となりました。今後はアメリカやヨーロッパへの養魚用飼料の輸出拡大を図るとともに、難治性魚病の治療法開発や栄養性疾病の対策を確立して飼料の販売拡大に繋げるなど、収益力の強化に努めてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フロー)は、前連結会計年度末に比べ26億24百万円減少の7億2百万円となりました。棚卸資産の増加、有形固定資産の売却による収入の減少などによります。

当社グループは、自己資本比率とネットD/Eレシオ(ネット有利子負債÷自己資本)を財務健全性を測る指標としており、年々改善傾向にはあるものの、未だ有利子負債の比率が高く磐石な体質には達していないと認識していることから、継続的に安定した利益を確保するとともに、棚卸資産の圧縮を進めつつ財務健全性の向上を図ってまいります。

フリー・キャッシュ・フローにつきましては、中長期的な企業価値の向上に資する設備投資への備え、業績に応じた適切な利益配分に基づく株主還元、財務健全性を向上させるべく有利子負債の圧縮に活用してまいります。

財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金は自己資金または金融機関からの借入れにより調達することとし、安定的な資金調達により十分な流動性を確保することを方針としております。また、短期流動性を確保するため、資金余剰状態にあるグループ会社から当社が資金を借入れ、資金需要が発生しているグループ会社へ貸出しを行うグループ資金貸借を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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