業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」に記載のとおりであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及を受け、経済活動の正常化が期待されたものの、新たな変異株の出現による感染拡大に伴い、再び経済活動が制限されたこと等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 介護サービス業界におきましては、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し、需要はさらに高まっております。

 その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界におきましても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務となっており、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっております。それらを改善するために、業界では、介護事業に従事することが社会において魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められております。

 このような状況のもと当社グループにおきましては、収益面では、既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めました。また、有料老人ホーム1施設及びケアプランセンター2施設を新規開設しており、積極的な施設展開を図ってまいりました。費用面では、介護職員に係る人件費の増加により売上原価が増加し、事業規模の拡大に伴う営業活動により販売費及び一般管理費が増加しました。また、2020年3月以降は新型コロナウイルス感染症の流行によりデイサービス事業で、ご利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生いたしましたが、徐々に利用再開者が増え、回復傾向にあります。

 この結果、当連結会計年度の売上高は15,749百万円(前連結会計年度比0.9%増)となり、営業利益は193百万円(同76.1%減)、経常損失は51百万円(前連結会計年度は経常利益674百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は319百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益387百万円)となりました。

 セグメント別の状況は次のとおりであります。

(デイサービス事業)

 当セグメントにおきましては、新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年3月以降はご利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生いたしましたが、既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努め、下半期から徐々に利用再開者が増え、回復傾向にありますが、売上高は3,535百万円(前連結会計年度比1.8%減)、セグメント利益は256百万円(同23.9%減)となりました。

 

(施設サービス事業)

 当セグメントにおきましては、有料老人ホーム1施設を新規開設し、入居者を新たに獲得しましたが、既存の有料老人ホームの入居率が低下し、入居募集広告費や手数料が増加いたしました。その結果、売上高は11,035百万円(同1.0%増)、セグメント利益は1,079百万円(同29.1%減)となりました。

 

(在宅サービス事業)

 当セグメントにおきましては、ケアプランセンター2施設を新規開設しており、積極的な施設展開を図ってまいりました。また利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力してまいりました。その結果、売上高は1,081百万円(同10.5%増)、セグメント損失は59百万円(前連結会計年度はセグメント損失69百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて906百万円増加して20,465百万円となりました。これは主として、建物及び構築物が600百万円、土地が169百万円、建設仮勘定が250百万円増加し、リース資産が220百万円減少したことによるものであります。負債につきましては、前連結会計年度末に比べて1,355百万円増加して19,303百万円となりました。これは主として、短期借入金が408百万円、長期借入金が783百万円増加し、未払法人税等が148百万円、長期リース債務が178百万円減少したことによるものであります。また、純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて449百万円減少して1,161百万円となりました。これは主として、利益剰余金が388百万円減少したことによるものであります。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて28百万円減少して796百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は513百万円(前連結会計年度比54.9%減)となりました。その主な内訳は、収入要因として減価償却費730百万円、減損損失286百万円、支出要因としては税金等調整前当期純損失338百万円、法人税等の支払額222百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は1,470百万円(同28.8%減)となりました。その主な内訳は、支出要因として有形固定資産の取得による支出1,448百万円、預り保証金の返還による支出95百万円、収入要因としては預り保証金の受け入れによる収入113百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は928百万円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。その主な内訳は、支出要因として短期借入金の返済による支出4,165百万円、施設建設に係る長期借入金の返済による支出749百万円、リース債務の返済による支出202百万円、収入要因として短期借入れによる収入4,574百万円、施設建設に係る長期借入れによる収入1,600百万円であります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当社グループは生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

②受注実績

 当社グループは受注を行っていないため、該当事項はありません。

 

③販売実績

 当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、当社グループは一般顧客を対象とした介護サービス事業ですので、特定の販売先等はありません。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

   (自 2021年4月1日

    至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

デイサービス事業(百万円)

3,535

△1.8%

施設サービス事業(百万円)

11,035

1.0%

在宅サービス事業(百万円)

1,081

10.5%

 報告セグメント計(百万円)

15,652

0.9%

その他事業(百万円)

96

△5.0%

合計(百万円)

15,749

0.9%

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 有料老人ホーム事業において、新規に1施設を開設しております。

3 在宅サービス事業において、新規にケアプランセンター2施設を開設しております。

 

2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績の分析

a 当連結会計年度につきましては、有料老人ホームを1施設、ケアプランセンターを2施設開設しましたが、有料老人ホームの稼働率が低下したことから、売上高は15,749百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。

b 売上原価につきましては、人件費の増加、光熱費の高騰、紹介手数料や広告宣伝費が増加いたしました。その結果、14,198百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。

c 販売費及び一般管理費につきましては、人件費の増加、広告宣伝費や減価償却費が増加いたしました。その結果、1,356百万円(同7.4%増)となりました。

d 営業利益につきましては、売上原価や販売費及び一般管理費の増加により、営業利益193百万円(同76.1%減)となりました。

e 営業外収益につきましては、96百万円(同52.6%減)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症対策の補助金、受取賃貸料によるものであります。

  営業外費用につきましては、342百万円(同1.0%増)となりました。これは主に、銀行借入及びリース取引に伴う支払利息によるものであります。

f 特別損失につきましては、286百万円(前連結会計年度比35.8%増)となりました。これは、建物及び構築物、リース資産(賃貸借処理含む)等の減損損失によるものであります。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(デイサービス事業)

 当セグメントにおきましては、既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、ご利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生しました。その結果、売上高は3,535百万円(前連結会計年度比1.8%減)、セグメント利益は256百万円(同23.9%減)となりました。

(施設サービス事業)

 当セグメントにおきましては、新規施設(埼玉県所沢市)及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めました。その結果、売上高は11,035百万円(同1.0%増)、セグメント利益は1,079百万円(同29.1%減)となりました。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行により、軽微な影響が見受けられます。

(在宅サービス事業)

 当セグメントにおきましては、千葉県柏市、福岡県福岡市に各1施設新規開設いたしました。また、利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力してまいりました。その結果、売上高は1,081百万円(前年同四半期比10.5%増)、セグメント損失は59百万円(前年同四半期はセグメント損失69百万円)となりました。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行により、軽微な影響が見受けられます。

 当社グループは、わが国の介護保険を取り巻く環境を踏まえ、継続的な売上成長と、スケールメリットを追求することが必要と認識しております。これらを実現するためには、収益性、投資効率等の観点から、売上高伸長率、売上高経常利益率並びにROE(自己資本利益率)を主要な経営指標として位置づけとしております。当連結会計年度における売上高伸長率は0.9%(前連結会計年度は3.2%)であり、売上高経常利益率は△0.3%(前連結会計年度は4.3%)であり、ROE(自己資本利益率)は△23.1%(前連結会計年度は26.9%)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

②財政状態の分析

a 流動資産

 当連結会計年度における流動資産は、3,637百万円(前連結会計年度比0.3%減)となり、前連結会計年度に比べ9百万円減少しました。この主な要因は、現金及び預金が28百万円減少したことによるものであります。

b 固定資産

 当連結会計年度における固定資産は、16,828百万円(同5.8%増)となり、前連結会計年度に比べ915百万円増加しました。この主な要因は、有料老人ホーム及びデイサービス施設の建物及び構築物が600百万円増加、建設仮勘定が250百万円増加したことによるものであります。

c 流動負債

 当連結会計年度における流動負債は、7,026百万円(同6.0%増)となり、前連結会計年度に比べ396百万円増加しました。この主な要因は、短期借入金が408百万円、リース債務が4百万円増加したことによるものであります。

d 固定負債

 当連結会計年度における固定負債は、12,277百万円(同8.5%増)となり、前連結会計年度に比べ959百万円増加しました。この主な要因は、長期借入金が783百万円、退職給付に係る負債が56百万円増加したことによるものであります。

e 純資産

 当連結会計年度における純資産は、1,161百万円(同27.9%減)となり、前連結会計年度に比べ449百万円減少しました。この主な要因は、利益剰余金が388百万円減少し、自己株式が59百万円増加したことによるものであります。

 これらの結果、当連結会計年度における総資産は20,465百万円(同4.6%増)となり、前連結会計年度に比べ906百万円増加しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、第2 事業の状況の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 当社グループの業容拡大についてはデイサービスセンターと有料老人ホームの新規開設に負う部分が大きく、今後も事業拡大のため積極的に事業所開設を行う考えでありますが、開設に係る用地取得資金、建設資金及び建物の賃借契約にかかる敷金・建設協力金等につきましては、獲得した営業活動によるキャッシュ・フローや銀行借入を含めた収支のバランスを勘案しながら最善の資金調達手段を検討していく考えであります。なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の流行により、資金調達等に対する影響は見受けられません。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、以下に掲げる会計方針は連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えておりますので、特に記述いたします。

・固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、原則として、事業所を単位としてグルーピングを行い、減損処理の要否を検討しております。減損損失の認識に当たり使用する割引前将来キャッシュ・フローの算定に当たっては、利用者数や従業員数の増減など、様々な仮定をおいて見積りを行っております。

 また、当連結会計年度末の見積りに当たっては、新型コロナウイルス感染症の影響を加味して見積りを行っております。具体的には、内閣官房から発出されている同感染症に関する情報や政府・自治体の取り組みなどを参考にした上で、利用者数が徐々に回復するものの、新型コロナウイルス感染症の収束により感染拡大前の水準まで回復するには、翌連結会計年度末までの期間を要するものと仮定して見積りを行っております。ただし、これらの見積りには不確実性があり、新型コロナウイルス感染症の状況が変化した場合には損失額が増減する可能性があります。

 なお、当連結会計年度においては、減損損失を286百万円計上しております。

 

 

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