業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限と緩和が繰り返される中、持ち直しの動きが見られましたが、足元では原材料価格の高騰やロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが関連する国内建設業界は、民間建設工事の一部の現場において、工事の中断や遅延、着工の延期など、厳しい状況でのスタートとなりましたが、首都圏の改修工事を中心に回復基調が見られました。海外におきましては、販売子会社が所在するフィリピンでは、政府による外出・移動制限措置により事業活動が制限され、また、製造子会社が所在するベトナムにおいても一時フィリピン同様の制限措置が設けられるなど、厳しい状況が続きました。

このような環境の中で、当社グループは2021年5月31日に発表しました中期経営計画において、「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョンを掲げ、「Iqシステム」を中心としたハードとソフトを融合したサービスの開発、維持補修・再インフラ向け製品の強化、仮設部門以外の事業育成、海外事業基盤の再整備、この4施策に取り組んでまいりました。

 

a.財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、59,081百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,626百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の増加804百万円、受取手形及び売掛金の減少840百万円、原材料及び貯蔵品の増加614百万円、賃貸資産(純額)の減少1,032百万円、建物及び構築物(純額)の増加1,511百万円等によるものであります。

負債合計は、39,744百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,058百万円増加いたしました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加1,271百万円、短期借入金の減少866百万円、社債(1年内償還予定の社債を含む)の増加1,129百万円等によるものであります。

純資産合計は、19,337百万円となり、前連結会計年度末と比べ568百万円増加いたしました。この主な要因は、利益剰余金の増加313百万円、為替換算調整勘定の増加203百万円等によるものであります。

 

b.経営成績の状況

当連結会計年度の経営成績は、売上高39,800百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益1,682百万円(前年同期比6.0%増)、経常利益1,954百万円(前年同期比24.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益965百万円(前年同期比12.6%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(販売事業)

仮設部門においては、「Iqシステム」に対する関心は依然として高く、新規及び継続案件ともに引合いは堅調に推移いたしました。ベトナムの外出・移動制限措置により、一時生産量の低下はありましたが、出荷は順調に推移いたしました。

仮設部門以外においては、農業用高機能ガラスハウス建設工事等により、アグリ関連売上が増加いたしました。

これらの結果、売上高13,629百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益1,633百万円(前年同期比16.3%増)となりました。

(レンタル事業)

民間建設工事においては、工事の中断や遅延、着工の延期など、厳しい状況が継続する中、首都圏の維持改修工事を中心に「Iqシステム」の貸出量が高く推移いたしました。一方、建築、土木分野では見込まれていた大型現場の遅延、着工の延期などにより、仮設機材の貸出量が減少いたしました。利益面におきましても、仮設機材の貸出量の減少に伴い、減価償却費等の固定原価割合が増加したことによりセグメント利益率が低下いたしました。

これらの結果、売上高23,283百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益1,221百万円(前年同期比31.9%減)となりました。

 

(海外事業)

販売子会社であるDIMENSION-ALL INC.(フィリピン)においては、マニラ首都圏の外出・移動制限措置により事業活動制限が継続され、厳しい状況ではありましたが、販管費の削減に努め、収益改善を進めました。また、製造子会社であるホリーベトナム(ベトナム)においては、政府による一時外出・移動制限により事業活動が制限され、日本国内向け製品の生産量が一時低下もありましたが、原材料・部品の調達に大きな影響はなく順調に推移し、売上が増加いたしました。

これらの結果、売上高6,410百万円(前年同期比20.9%増)、営業利益277百万円(前年同期は営業損失99百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ804百万円増加し、8,516百万円(前年同期比10.4%増)となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、4,294百万円の収入(前連結会計年度は5,035百万円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益1,666百万円、減価償却費4,784百万円、仕入債務の増加額1,204百万円等に対して、棚卸資産の増加額2,966百万円等があったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,979百万円の支出(前連結会計年度は1,382百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,955百万円等があったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、588百万円の支出(前連結会計年度は2,873百万円の支出)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入6,610百万円、社債の発行による収入1,957百万円等があったものの、短期借入金の純減少額910百万円、長期借入金の返済による支出6,333百万円、社債の償還による支出871百万円等があったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

(%)

販売事業(百万円)

5,332

103.7

レンタル事業(百万円)

海外事業(百万円)

4,178

115.7

合計(百万円)

9,511

108.6

(注)金額は、製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループは、製造する製品のほとんどが見込生産であり、レンタルや販売する製品についても、顧客企業と締結している契約に規定されているのは、料金算定の基礎となる単価及び概算の見積金額であり、受注金額の算定に必要なレンタル期間や滅失機材の数量等については、工事の進捗状況や使用状態により変動いたします。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

(%)

販売事業(百万円)

13,193

112.5

レンタル事業(百万円)

23,265

97.4

海外事業(百万円)

3,341

104.8

合計(百万円)

39,800

102.5

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、2022年3月期を初年度とした中期経営計画において「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」とのビジョンを掲げ、その実現に向けて取り組んでおります。

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限と緩和が繰り返される中、持ち直しの動きが見られましたが、本格的な回復には至らず、また、原材料価格の高騰などにより、厳しい事業環境となりました。そのような環境下において、2021年10月29日に発表いたしました通期業績の修正予想には届きませんでしたが、前連結会計年度と比較し、増収増益となりました。

事業セグメント別では、販売事業におきまして、「Iqシステム」の新規及び従来足場からの更新需要は引き続き強いものがありました。更新の際に引き受けた従来足場等の中古仮設機材の販売もあり、仮設機材及び中古販売は前年を上回る結果となりました。また、太陽光発電パネル架台の販売は、脱炭素社会に向けた企業の取り組みが進み、引き合いとなっていた案件が実績として現れてまいりました。アグリ事業は、前連結会計年度の農業用グリーンハウスの大型建設工事を受注してから目立った大型案件もなく、また、新型コロナウイルス感染症拡大防止施策により海外からの就労者を確保できず、グリーンハウスの新築や増床計画を見送るケースがございました。

レンタル事業におきまして、次世代足場「Iqシステム」の賃貸資産稼働率は、第3四半期会計期間におきまして過去最高を記録し、新型コロナウイルス感染症拡大以前のトレンドを取り戻しつつあります。一方、前連結会計年度の後半から稼働率が停滞しておりました土木関連機材は、当第3四半期会計期間からの回復を見込んでおりましたが、着工の遅延や延期により稼働率の伸長が見られませんでした。当第4四半期会計期間から徐々に出荷は開始されましたが、稼働率を押し上げるまでには至りませんでした。

海外事業につきまして、フィリピンの現地子会社においては、首都圏の外出・移動制限措置等により引き続き営業活動が制限され、売上高に大きな変化は見られませんでしたが、販管費を抑制したことで収益は改善されました。ベトナムの現地子会社は「Iqシステム」を中心に日本国内向けの製品を製造していることから、日本国内の需要が追い風となり好調に推移いたしました。また、韓国子会社も韓国国内の経済環境が回復し始め、収益は大きく改善いたしました。

新型コロナウイルス感染症の再拡大の不安が続く中で、世界各国でワクチン接種などの抑制施策や経済活動の回復もあり、持ち直しの動きもみられますが、ロシア・ウクライナ情勢によって生じる地政学的リスクの懸念等によってエネルギー価格や穀物価格の高騰等の影響による物価上昇など、経済成長への不安要素が強く、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社事業は、経済環境の激しい変化によって、業績が著しく変動することがあり、将来に向けての継続的な企業成長並びに安定収益の確保、今後起こりうる様々な外部環境変化への柔軟性を保持し、将来を見据えた先行投資を継続する体制・体質づくりを推進していくことが課題と認識し、中期経営計画の実現に取り組んでおります。

中期経営計画の基本戦略「Iqシステムを中心としたハードとソフトを融合したサービスの開発」は、当社収益の源泉である開発・製造、販売、レンタル、設計・施工、管理・物流の各種機能を有した事業基盤(プラットフォーム)を顧客へ解放し、収益を生むプラットフォーム事業の確立が最大のテーマとなります。

プラットフォーム事業のIqシェアリングは、顧客が購入したIqシステムを当社のプラットフォームを使って、利用する工事現場へ出荷や返納後の整備を行うサービスで、顧客は、Iqシステムの保管場所、整備体制や物流網を構築する必要はありません。Iqシェアリングの他、サービスを提供するプラットフォームは、DX、IT等を活用した生産性の向上を図り、顧客の満足度を高めてまいります。

国内の建設業界では、国土強靭化計画等を背景とする社会インフラの維持修繕工事を中心に底堅さが見られますが、急激な円安進行により、民間の設備投資は、エネルギー価格や建設資材の価格高騰等の影響もあり、建設コストの上昇や着工の遅れ等、特に2023年3月期の上半期において需要動向を慎重に見極めていく必要があります。一方、同第3四半期以降において、レンタル事業では着工が期待されることから、製品供給体制を整える建築及び土木工事の着実な受注活動を進めてまいります。販売事業においては、当連結会計年度を上回る需要を見込む当社主力製品であるIqシステムの増産体制を整え、需要期を逃さない安定的な製品供給に努めてまいります。

 

海外事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の抑制施策が緩和され、着実に回復しつつあるものの、エネルギー価格、鋼材価格の高騰等、引き続き難しい経営環境が続くものとみております。これまでの経済活動抑制による影響が根強く、設備投資需要の強い回復は期待できない状況ではありますが、堅調な需要が期待される型枠材、支保工材の受注案件を着実に積み上げるための体制づくりを進めてまいります。製造部門においては、材料価格の高騰による影響は無視できないものの、日本国内でのIqシステムの需要が堅調に推移すると予想していることから、安定供給体制の整備に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要は、掲げている「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョン達成のための設備投資と、日々の生産及び営業活動に必要な運転資金です。これらの資金需要の当社グループの調達方針は、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」を基本方針としております。

安定的・継続的な資金調達を目的に、国内においては、参加金融機関10行とのシンジケートローンによる資金調達をメインとしております。海外の必要資金については、ドル建て親子ローンを実行する一方で、参加金融機関3行とのグローバル・クレジット・ファシリティー契約に基づく、各海外子会社の自国通貨での調達を行なう事で、調達コスト及び為替変動リスクの低減に努めております。また、当社グループの有利子負債総額の半分程度を、金利スワップ等により固定化する事で金利上昇リスクの低減にも努めております。

金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な資金の安定的・継続的な調達は、今後も可能であると考えております。

今後も、「安定的・継続的な資金調達」と「財務体質の健全性の維持・強化」という二つの方針の両立を目指すべく、間接金融または直接金融の多様な調達手段の中から、当社にとって有利な手段を適宜選択し、資金調達を行ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りに関しましては、当社グループにおける過去の実績率等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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