課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものです。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、食品企業としての責任を強く自覚し、私たちの使命、目指す姿、行動する上で持つべき価値観、そして行動原則を明文化した「不二製油グループ憲法」を2015年10月に制定しております。本憲法は、グループ社員全員の価値観の共有化を図るとともにグループガバナンスの基本であり、判断・行動の優先基準付けの拠り所となるものです。当社グループは、「不二製油グループ憲法」のミッション(使命)「私たち不二製油グループは、食の素材の可能性を追求し、食の歓びと健康に貢献します。」を実現することを会社運営の基本方針としており、本憲法に示されている理念、行動原則を実践することで、すべてのステークホルダーに対して貢献できるものと考えております。

 

「不二製油グループ憲法」

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(2)目標とする経営指標

 当社グループは、株主資本の収益性、資本効率の向上がステークホルダーの利益に合致するものと考え、「ROE(株主資本利益率)」を重要な指標として位置付けております。また、新たに「ROIC(投下資本利益率)」指標の導入を行い、資本効率、資本コストを意識した事業ポートフォリオマネジメントを推進してまいります。当社グループの、新中期経営計画「Reborn 2024」における経営目標は以下の通りです。

 

中期経営計画「Reborn 2024」における経営目標

①財務KPI

 

目標(2024年度)

連結営業利益

235億円

ROE(株主資本利益率)

8%

ROIC(投下資本利益率)(注1)

5%

株主還元 配当性向

30%-40%

(注1)ROIC=税引後営業利益÷(運転資本+固定資産)

当社グループでは各事業で把握・管理可能な項目とすべく、分母となる投下資本を運転資本と固定資産として置き換えて使用しております。

 

②非財務KPI

 

目標(2024年度)

CO2排出量の削減(Scope1+2)

総量23%(注1)

サステナブル調達(パーム油)

パーム油TTP比率(注2)85%

(注1)基準年: 2016年度(全連結子会社)

(注2)パーム油TTP: パーム油の農園までのトレーサビリティ(Traceability to Plantation)

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により社会構造が大きく変化し、ニューノーマル(新しい日常)を目の当たりにしています。ワクチン接種が進み、世界経済は堅調な需要とともに回復の兆しを見せましたが、物流の混乱、欧米や東南アジアの一部地域における人手不足に伴う供給不足から商品価格の急上昇を引き起こしました。また新型コロナウイルス変異株が断続的に世界各国にまん延し影響を及ぼす中で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景として更なる燃料・エネルギー等の高騰に直面し、世界的なインフレーションが加速しています。世界経済は、先行き不透明な情勢が続くものと予想されます。

 

 このような激変する市場環境下において、当社グループでは、「植物性素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します」を2030年の新ビジョンとして掲げ、当ビジョンに至るまでの9年度を3年毎のフェーズ1~3として区切り、それぞれを変革期間と捉えました。2022年度から2024年度までの3年間をフェーズ1として、新しい価値を生みだす企業グループへと生まれ変わる為の経営基盤を強化する期間と定め、新中期経営計画「Reborn 2024」を策定いたしました。

 

1.中期経営計画「Reborn 2024」の基本方針

 新中期経営計画「Reborn 2024」において、中計基本方針を「事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)」、「グローバル経営管理の強化」、「サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)」として、成長戦略を推進します。

 

(1)事業基盤の強化(収益力復元と新しい価値創造)

 「事業基盤の強化」といたしましては、「基礎収益力の復元」、「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替え」、「成長・戦略分野への経営資源の集中」、「挑戦領域への展開」を進めてまいります。「基礎収益力の復元」は、販売価格政策や原価管理をローリング方式のモニタリングで管理するなど運営・管理体制の両面から事業軸を強化します。また、販売価格政策の実行力強化と生産性指標の導入によりグループの生産性を向上し、コストダウンを進めることで、基礎収益力の復元を図ります。「既存領域における高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替え」は、コモディティ製品から差別化された付加価値の高い製品展開を行うことで、競争優位性を築きます。「成長・戦略分野への経営資源の集中」においては、米州の業務用チョコレート事業や植物性油脂事業を成長分野として優先的に経営資源を再配分することで、グループの収益拡大及び安定成長を図ります。「挑戦領域への展開」は、当社グループの技術と各事業製品の組み合わせを行い、新たな市場アプローチにより、消費者視点での時代に合った植物性素材を提供してまいります。また、市場・顧客開拓を行うことにより新しい価値を創造し、コモディティ製品から高付加価値製品へのポートフォリオの入れ替えを図ります。

 

(2)グローバル経営管理の強化

 「グローバル経営管理の強化」につきましては、事業収益の向上策として、事業別ROIC管理の導入に加え、事業軸の強化を進めることで、エリアの課題を横断的に対応できるスピード感を有した高資本効率の経営体制及び、事業ポートフォリオへの転換を図ります。また、研究技術開発においては、戦略目標との一体運営体制を推進し、グローバルで求められる社会課題への対応、製品開発のスピードの向上を図ります。これらの体制をより有効なものとするために、経営管理の高度化とDXを推進いたします。

 

(3)サステナビリティの深化(経営戦略と一体化したサステナビリティ戦略)

 当社グループのサステナビリティへの取り組みを深化させることで、事業活動を通して社会課題の解決に貢献してまいります。気候変動の課題対応におけるCO2排出量の削減など、社会課題への取り組みとコストダウンの両立をグループ全体で行ってまいります。主原料におけるサステナブル調達を進め、経営戦略と一体化させることで、当社製品の差別化を図ります。

 また、事業継続力を高める源泉は人材です。当社グループの人材が多様な視点をもって目標に向かい活躍すること、公正な機会提供と適切に評価されることが経営基盤として重要であり、当社グループの成長につながるものとして考えるため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を深め、価値創出を担う人材育成、人材獲得を進めてまいります。

 

2.財務戦略について

 成長によるキャッシュ・フローの創出と資本効率の向上及び財務ガバナンスの強化を通じて、グローバルで強固な財務体質への改革を図ります。

 経営効率向上のために、キャッシュ・フローを重視し、優先的な経営資源の配分を行い、事業別ROIC導入による事業評価、グループ投資基準による投資の厳選を進め、グループ全体の事業ポートフォリオ構成の最適化を図ります。ROIC評価の導入で、従来より進めているバリューチェーン分析による在庫の圧縮等、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善をさらに推進してまいります。

 グローバル資金管理によるグループ資金の可視化・流動性の確保、資産のスリム化による総資産回転率の向上を図ります。財務レバレッジにおいても資本コストを意識し最適化を図ります。

 株主還元については、配当性向30%~40%の方針とし、安定的かつ継続的な配当を実施してまいります。

 当社グループは新たに制定した2030年の新ビジョンに向け、当中期経営計画「Reborn 2024」を達成することで、企業価値向上を図り、全てのステークホルダーから信頼される企業グループとなることを目指してまいります。

 

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