業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度より、2022年5月に設立した株式会社ワン・サイエンスを連結の範囲に含めております。このため、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますので、前期との比較分析は行っておりません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和し、持ち直しの動きが継続しております。経済社会活動においても正常化が進み、景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締めに伴う影響やそれに伴う急激な円安進行、原燃料価格の高騰、半導体不足、ウクライナ情勢の長期化による影響が懸念されており、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケア領域において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。また新型コロナウイルスの新たな変異株出現により、PCR検査・抗原検査等の新型コロナウイルス関連商品の需要もより一層高まっております。今後も新型コロナウイルスによるPCR検査の需要が見込まれることから商品の販売だけでなく受託検査機関を設けるべく当社100%子会社である株式会社ワン・サイエンスを2022年5月に設立いたしました。

地球環境領域においては、日本国内において、2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。再生可能エネルギーの積極的活用を図るため規制の緩和や普及促進を見込んだ制度変更、また、エネルギー基本計画において再生可能エネルギーの主力電源化の検討が開始されていることにより、当社再生可能エネルギー分野の社会的需要は今後も高まるものと考えられます。

トリチウム除去事業においては、東京電力ホールディングス株式会社からトリチウム除去技術に関する公募の二次評価結果の連絡が2022年3月中旬に届き、「評価基準を満たすと判断しました。」との内容でした。二次評価後のプロセスとなるフィージビリティスタディ(実行可能性調査)をスタートさせております。

当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高3,431,612千円、営業損失264,873千円、経常損失316,506千円、親会社株主に帰属する当期純損失341,513千円となりました。

 

セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

ヘルスケアソリューション事業

ヘルスケアソリューション事業の当連結会計年度業績は、売上高2,765,412千円、セグメント利益162,331千円となりました。

当セグメントの業況といたしましては、メディカルサプライ事業においては、医療用グローブ、PCR検出試薬、抗原検査キット等の受注活動により、予算を大きく上回る売上計上をしており、業績に大きく寄与しています。メディカルシステム事業における『PACS』(医療用画像管理システム)及び『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)は、当連結会計年度の予算には未達ではありますが、一定の売上計上は出来ました。

メディカルシステム事業の新たな製品として、医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewer・医用文書スキャンシステムが加わりました。統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙などの医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。来期以降も医療ITの進化と共に新しいサービスを提供してまいります。

 

 

地球環境ソリューション事業

地球環境ソリューション事業の当連結会計年度業績は、売上高666,199千円、セグメント損失79,276千円となりました。

当セグメントの業況といたしましては、エネルギー事業として、販売目的の太陽光発電の東北2案件の売却を第2四半期累計期間に計上しております。また、売電収入目的で太陽光発電所を取得しており、継続して安定した収益を確保出来る状況でありますが、販売費及び一般管理費を吸収するほどの利益を確保する事は出来ませんでした。

GEOソリューション事業については、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『Pix4Dmapper』は堅調に推移し、商材の拡販や代理店販売も好調であり、利益も確保出来ている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像処理による大型設備の保守メンテナンスや、AIを活用したソリューションサービス事業に関しては多種多様な業界からあらゆる要望がきており、成長の見込めるマーケットになります。

2021年12月より新設したESG事業は、EVマーケットの中から派生した再生バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業内容となり、当連結会計年度では10カ月間ですが、毎月堅調に売上計上の積み上げが出来ました。事業活動は順調に開始出来ていることから、来期以降も堅調に寄与していくものと期待されます。

トリチウム除去分野では、トリチウム分離技術実装プレパイロット装置の製作を創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。東京電力ホールディングス株式会社より依頼されている二次評価の次のステップとなるフィージビリティスタディで求められる「提案社の技術能力および処理能力達成可能性」「廃棄物等」「運用性」「法令適合性等」「その他」の検討項目を明確にした実証試験に関する提案を行うことと、その更に次のステップとなる「福島第一原子力発電所構外における小規模実証試験」での使用を目的としています。また福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの分離と再利用を目指しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、630,402千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果使用した資金は、318,284千円となりました。これは、税金等調整前当期純損失の計上335,814千円、売上債権の増加233,515千円、棚卸資産の増加131,994千円、仕入債務の増加223,672千円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は、984,280千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出789,275千円、投資有価証券の取得による支出27,010千円、保証金の差入による支出198,154千円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果獲得した資金は、297,713千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出27,375千円、株式の発行による収入306,500千円等があったことによるものです。

 

 

(3) 仕入、受注及び販売の状況

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

(千円)

2,376,017

地球環境ソリューション事業

(千円)

579,659

合計

(千円)

2,955,676

 

(注) 1  金額は実際仕入額によっております。

2  当社はシステム インテグレータであり、生産設備を保有していないため、生産実績等の記載は行っておりません。

3 セグメント間取引については、相殺消去しております。

4 当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

2,867,162

356,579

地球環境ソリューション事業

967,712

603,539

合計

3,834,874

960,119

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

ヘルスケアソリューション事業

(千円)

2,765,412

地球環境ソリューション事業

(千円)

666,199

合計

(千円)

3,431,612

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

トータル・プランニング

368,740

10.75

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

・経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。

 

・経営指標の分析

経営指標の分析について、当社グループでは売上高と営業利益、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としております。当連結会計年度業績は、売上高3,431,612千円、営業損失264,873千円、自己資本利益率(ROE)△13.1%となりました。

売上高については、既存の事業の売上に加え、医療用グローブ、PCR検査試薬、抗原検査キット等のメディカルサプライ事業の受注活動強化により、大幅に売上を獲得することができました。それに伴って売上総利益も大きく獲得できております。一方で販売費及び一般管理費においては、営業コストの増加、販売管理コストの増加等により営業利益を確保することは出来ず営業損失を計上することとなりました。

 

・財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、1,779,980千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が630,402千円、売掛金が432,296千円であります。

固定資産は、1,442,540千円となりました。主な内訳は、機械及び装置704,053千円、土地288,000千円、差入保証金が202,106千円、その他関係会社有価証券が117,343千円、貸倒引当金が△97,126千円であります。

この結果、当連結会計年度における総資産は、3,222,520千円となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、554,221千円となりました。主な内訳は、流動負債の買掛金が291,753千円、その他が176,499千円であります。

固定負債は、35,183千円となりました。主な内訳は、長期借入金が29,315千円であります。

この結果、当連結会計年度末における負債合計は、589,405千円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、2,633,115千円となりました。主な内訳は、資本金が2,777,882千円、資本剰余金が1,390,548千円であります。

 

 

・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2020年9月

2021年9月

2022年9月

自己資本比率(%)

83.8

89.7

81.0

時価ベースの自己資本比率(%)

171.3

308.0

253.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

98.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

43.6

 

(注)1 各指標の算出は以下の算式を使用しております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

2 2022年9月期の指標につきましては、連結ベースの財務数値により、2020年9月期及び2021年9月期につきましては、それぞれ単体ベースの財務数値により算出しております。

 3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)で計算しております。

 4 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

5 有利子負債は、(連結)貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 6 利払いについては、(連結)キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

7 2021年9月期および2022年9月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

・セグメント別の状況

セグメント別の状況については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」の項目をご参照ください。

 

・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループにおける資金需要の主なものは、仕入代金、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備取得資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。

また、手元流動性資金(現預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。

今後の重要な支出の計画につきましては、地球環境ソリューション事業においては新規案件の取得に加え、研究や開発、人材の確保にかかる費用、投資が想定されており、これらの必要資金についても、自己資金で賄いきれない部分については、長期安定的な方法により調達を行い、事業化を推進することが望ましいものと考えております。

 

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