業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2020年11月1日から2021年10月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により、企業や個人の経済活動は停滞いたしました。また、原油や商品価格が上昇するなど、先行き不透明な状況が続いております。

外食業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた各自治体からの営業自粛要請や酒類提供の中止等の制約により厳しい状況が続きました。

このような状況のもと、当社グループはお客様と従業員の安全を第一に考え、様々な感染症対策を講じてまいりました。2011年に導入した会話による飛沫などの菌やウイルスからお寿司とお皿を守る、当社特許取得済みの抗菌寿司カバー『鮮度くん』を含め、入店から退店までお客様が従業員と接することなく飲食できるセルフ会計やセルフレジを備えた「スマートくら寿司」への積極的な投資を行い、2021年10月には国内ほぼ全店に導入を完了いたしました。

また、漁業の持続的な発展に資するため、日本で初めて飼料製造から養殖、製品加工までの生産プロセスを管理し、第三者機関から有機水産物認証を受けた「オーガニックはまち」の養殖を開始いたしました。安心・安全な食の提供のため創業以来全食材から『四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)』を排除した商品を開発・提供しておりますが、養殖におきましても安心・安全な食材の安定調達のため、積極的な取り組みを行ってまいります。

店舗開発につきましては、日本30店舗、米国7店舗、台湾11店舗に新規出店し、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下ではありましたが、収束後を見据え、都市部を中心に積極的な出店を継続し、当社グループ全体で48店舗の新規出店を行いました。これにより、当連結会計年度末の店舗数は、全て直営で567店舗(「無添蔵」4店舗、くら天然魚市場1店舗、米国32店舗、台湾40店舗を含む)となりました。設備投資としては、新規出店に伴う造作設備等に100億23百万円、既存店舗の設備等に19億31百万円、その他5億17百万円、合計124億72百万円となりました。前連結会計年度の94億3百万円を大きく上回りました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高となる1,475億92百万円となりました。経常利益は31億74百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は19億1百万円となりました。

 

なお、第2四半期連結会計期間より従来の飲食事業の単一セグメントから「日本」「北米」「アジア」の3区分のセグメントに変更しております。前連結会計年度のセグメント情報は、当該報告セグメントの区分に基づき変更したものを記載しております。

 

セグメント業績は次の通りであります。

① 日本

3度にわたる緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により、2021年9月には約9割の店舗において時短営業の実施や酒類提供の中止等大きく営業制限を受けました。

このような状況のもと、「贅沢かに」「超とろづくし」など主に定番商品を中心としたフェアを毎月実施いたしました。また、フェアに合わせて「ビッくらポン!」で「鬼滅の刃」など人気アニメのグッズが当たるキャンペーンを実施いたしました。

この結果、「スマートくら寿司」などの感染症対策への高い評価もあり、当連結会計年度の既存店売上高がコロナ前の2019年10月期比で100.4%とコロナ前の水準を回復いたしました。緊急事態宣言が解除された10月以降は営業制限の緩和に伴い売上は回復基調にあります。

以上の結果売上高は1,315億62百万円(前年同期比6.8%増)、経常利益44億51百万円となり当該連結会計期間の日本における売上高は過去最高を更新いたしました。

② 北米

米国子会社(KSU)におきましては、2021年6月以降、全米のレストランの座席制限規制が撤廃され、16店舗を展開するカリフォルニア州における50%の座席制限も撤廃されました。コロナにより閉店した飲食店も多く、通常営業再開後は既存店売上高も特にカリフォルニア州やテキサス州においてコロナ前を上回るなど順調な回復となっております。

この結果売上高69億51百万円(前年同期比42.5%増)、経常損失10億79百万円となりました。

 

③ アジア

台湾子会社(KSA)におきましては、2021年5月にコロナ感染症が拡大し、5月21日に全台湾を対象に4段階ある警戒レベルの上から2番目の「警戒レベル第3級」が発令され、7月末までの約2か月半、飲食店における店内飲食が禁止されました。その後売上は急速に回復し、売上高は90億77百万円(前年同期比16.4%増)と過去最高を更新いたしました。経常損益は店内飲食禁止の影響により1億36百万円の損失となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが47億38百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが94億77百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが24億58百万円の収入となりました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)残高は、187億48百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は47億38百万円(前年同期比47.0%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が29億23百万円であったことに加えて、減価償却費が62億69百万円、申請済の助成金収入52億33百万円の内、助成金の受取額が33億22百万円あった一方で、未払消費税等の減少額が17億76百万円あったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は94億77百万円(前年同期比13.7%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が81億16百万円、貸付けによる支出が3億25百万円、差入保証金の差入による支出が7億49百万円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は24億58百万円(前年同期は11億64百万円の支出)となりました。これは連結子会社の増資による収入が52億57百万円あった一方で、リース債務の返済による支出が28億49百万円、配当金の支払が7億92百万円あったこと等によるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。

 

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前年同期比(%)

魚介類(百万円)

40,182

13.5

穀類・麺類(百万円)

4,683

4.5

調味料(百万円)

4,614

17.9

野菜・果物類(百万円)

2,778

7.2

酒類・飲料(百万円)

1,714

△19.8

その他(百万円)

7,964

8.9

合計(百万円)

61,936

10.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③受注実績

当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。

 

④販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

事業部門別

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前年同期比(%)

回転すし(百万円)

147,592

8.7

合計(百万円)

147,592

8.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

①経営成績

(売上高)

国内におきましては、新型コロナウイルス感染症による営業制限の影響を受けたものの、抗菌寿司カバー「鮮度くん」や「スマートくら寿司」の感染症対策への取り組みが高い評価を得たこともあり、当連結会計年度の既存店売上高が2019年10月期比100.4%とコロナ前の水準まで回復いたしました。当社グループ全体におきましては、米国及び台湾が営業規制の影響を受けたものの、順調に回復し、当連結会計年度の売上高は1,475億92百万円(前年同期比8.7%増)となりました。

 

(営業利益)

お客様及び従業員の安全を確保するため、新型コロナウイルス感染症対策や「スマートくら寿司」への投資を積極的に行ったことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う売上高の大幅な振幅による人件費率の上昇等により、営業損失は26億78百万円(前年同期は営業利益3億50百万円)となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ51億58百万円増加し、61億63百万円となりました。これは主に営業時間短縮に伴う助成金収入を52億33百万円計上したこと等によるものです。

この結果、経常利益は31億74百万円(同179.5%増)となりました。

 

(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損失は、前連結会計年度に比べ5億25百万円減少し、2億51百万円となりました。これは主に減損損失1億30百万円及び固定資産除却損1億20百万円を計上したことによるものです。また、親会社株主に帰属する当期純利益は19億1百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2億62百万円)となりました。

 

②財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産額は989億89百万円となり、前連結会計年度末と比較して138億86百万円増加となりました。これは主に連結子会社における使用権資産の増加等により有形固定資産が114億50百万円増加したことに加え、流動資産のその他が33億86百万円増加したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

負債につきましては、前連結会計年度末と比較して67億98百万円増加し、443億32百万円となりました。これは主に連結子会社における固定負債のリース債務が57億93百万円増加したことに加え、未払法人税等が11億12百万円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

純資産につきましては、連結子会社の増資に伴い、資本剰余金が24億39百万円、非支配株主持分が28億25百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して70億88百万円増加し、546億57百万円となりました。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資金調達及び流動性)

取引銀行1行と貸出コミットメントライン契約(総額15億円)を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

加えて、リスク管理の一環として、大規模な天災等の不測の事態に備え、流動性を確保するためのバックアップラインとして総額20億円の長期コミットメントライン契約を取引銀行2行との間で締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

また、当連結会計年度におきましては、連結子会社の増資により、52億円の資金調達を行っております。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成しております。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画において2024年10月期の連結経常利益率5%以上の達成を目標としております。

なお、当連結会計年度における連結経常利益率は2.2%であり、前連結会計年度と比較して、1.3%増加いたしました。連結経常利益率は前連結会計年度から改善したものの、まん延防止等重点措置の適用による長期間にわたる時短営業の実施等に加え、米国における座席制限及び台湾における店内飲食禁止の影響により、2024年10月期の目標利益率には届かない結果となりました。引き続き、コロナ禍における厳しい経営環境を乗り越え、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

 

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