当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における国内景気は、2022年1~3月期のオミクロン株の流行に伴うまん延防止等重点措置の発
出から解除へと活動制約の緩和を受け、緩やかに持ち直しています。3月21日からのまん延防止等重点措置解除を
受け、国内旅行の回復や3月から観光を除く外国人の新規受け入れを再開するなど、水際対策を段階的に緩和する
入国制限の緩和を受け今後インバウンド需要が回復に転じると想定されます。
住宅市場においては、リゾート開発やホテル建設が再開しはじめ、新設住宅着工戸数も2021年度85.9万戸(前年比
+5.8%)、2022年度87.3万戸(前年比+1.6%)、2023年度89.5万戸(前年比+2.5%)と緩やかな持ち直しが続く
と思われます。
一方で、中国上海における新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンにより、日本への製品の遅延問題
の長期化やロシアのウクライナ侵攻が泥沼化し、資源のさらなる高騰が、コスト増となり企業収益は下振れする可
能性もあります。
中長期的視点では、2021年度から2025年度までの15兆円規模の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対
策」、大阪・関西万博や統合型リゾート(IR)、リニア新幹線と駅前開発など大型のプロジェクト投資が追い風
となる見通しです。
以上のような経営環境の変化の中、新設住宅着工戸数などの市場動向や外部要因に左右されにくい安定的な事業
を持続的に拡大させるため、「3つのトランスフォーメーション(変革)を実現する」をグループの全体的な経営
目標として、以下中長期戦略を進めていきます。
1)製品・市場のポートフォリオの変革
グループの事業ポートフォリオについて、コア事業を見極めた強化と整理、収益力の向上、グループシナジーの発揮、新規事業の展開などの観点で見直し、製品ごと市場ごと「誰に何を提供するか」を明確にして、経営資源を集中させて事業の最適化を進めます。
2)業務プロセスの変革
地域戦略に基づいた営業所の拡張移転や再編、東西の物流センターや倉庫の物流業務に本社管理業務も加え、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用してシステム化・省力化・効率化を進め、生産性向上を進めます。
3)組織・人材の変革
社員各階層の知識・スキルの向上を目指した人材開発に加え、モチベーション向上の取組みを行い、業務を遂行するために必要な組織能力や体制構築、人材育成を促進していきます。
この結果、連結売上高は31,525百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は270百万円(前年同期は80百万円の損失)、経常利益は329百万円(前年同期比887.9%増)、法人税等考慮後の親会社株主に帰属する当期純利益は180百万円(前年同期は107百万円の損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は78百万円減少し、営業利益は66百万円、経常利益は8百万円増加しております。
セグメントの業績を示すと以下のとおりです。
[管工機材]
当セグメントの売上高は31,334百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は343百万円(前年同期は46百万円の損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は83百万円減少し、営業利益は65百万円、経常利益は7百万円増加しております。
[施工関連]
当セグメントの売上高は191百万円(前年同期比32.2%減)、営業損失は72百万円(前年同期は33百万円の損失)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は4百万円増加し、営業利益は0百万円、経常利益は0百万円増加しております。
管工機材の商品区分別状況は以下のとおりです。
当商品群は、ビルやマンションの排水・汚水・雨水配管・通気配管に使用される商品が中心となります。
子会社ダイドレ㈱の商品は関西地区の案件受注等により増加しましたが、鋳鉄製排水用集合管・耐火二層管は昨年同期ほどのマンション受注が出来なかったことに加え、中低層のマンションの鋳鉄製集合管とその立管が樹脂製集合管と耐火塩ビに仕様が変わってきていることが要因で減少しました。
以上のことにより、当商品群の 売上高は5,804百万円 ( 前年同期比0.6%減 )となりました。
(給湯・給水関連商品)
当商品群は、戸建住宅・集合住宅・工場・ビル・病院・学校等の新築及び改修工事の給湯・給水・ガス・空調冷媒配管に使用される商品が中心となります。
架橋ポリエチレン管及び継手類、ガス管類、ステン類の値上げによる仮需要、関係商材の物件の受注、競合商社から当社への在庫切替えにより、当商品群の売上高は7,831百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
(化成商品)
当商品群は、戸建住宅・集合住宅・テナントビル等の汚水・排水・雨水配管・上下水配管等に使用される塩化ビニル樹脂のパイプ・継手、マス類及びポリエチレン(PE)管・継手が中心となります。
鉄系の配管資材から、軽量・耐薬品性・施工が簡単な塩ビや、強靭で耐衝撃に強く・耐震性・耐久性・可とう性のあるポリエチレン等の樹脂製品に需要が移行している商品群なため、前期同様に継続して販売強化商品としています。
塩ビ製品及びマス類は競合他社から当社への在庫切替え、農水案件や公共下水案件の受注により増加しました。また配水用ポリエチレン管は競馬場の案件、工場案件、給水本管案件等の受注により増加し、以上のことにより、当商品群の売上高は9,378百万円(前年同期比12.3%増)となりました。
(その他)
当商品群は、上記以外の管材類・プレハブ加工管・副資材や住宅設備機器類が中心となります。住宅設備機器類は配管資材類に比べ販売単価が高く、不定期なスポット案件や厳しい競合環境により受注に波がありますが、新設住宅着工戸数が下降しつつある中、リフォーム(リノベーション)案件は堅調に推移しており、前期同様に継続して販売強化商品としています。
住宅設備機器類は、半導体供給難による一部メーカーの欠品に対応すべく早期の在庫戦略や積極受注により増加しました。また、プレハブ加工管・フレア加工機械・受水槽などの案件受注やコロナ禍による非接触ニーズにより自動水栓化商品などが増加しました。
以上のことにより、当商品群の 売上高は8,320百万円 ( 前年同期比6.8%増 )となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて359百万円増加し、15,580百万円となりました。流動資産は418百万円増加し、流動資産合計で11,583百万円となりました。この主な要因は、国内取引においては、原材料の高騰による値上げを見越した在庫の積み上げの実施、国外からの輸入は、中国における北京オリンピックなどの供給力低下・欠品対策として早期発注・在庫増という政策的な方針により、商品及び製品が101百万円増加、原材料及び貯蔵品が63百万円増加しました。これに加えて現金及び預金が130百万円増加、受取手形及び売掛金が72百万円増加したこと等によるものです。固定資産は59百万円減少し、固定資産合計で3,996百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券が51百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて172百万円増加し、11,212百万円となりました。流動負債は300百万円増加し、8,992百万円となりました。この主な要因は、業績の回復による課税所得の増加により未払法人税等が150百万円増加、電子記録債務が143百万円増加したこと等によるものです。固定負債は127百万円減少し、2,220百万円となりました。この主な要因は、事業整理のための経済補償金の支払等により事業整理損失引当金が65百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて186百万円増加し、4,368百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が184百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ130百万円増加し、1,232百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は166百万円(前年同期比125百万円減少)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益333百万円、割引手形の増加額316百万円等の資金増加要因に対し、売上債権の増加額403百万円、未払消費税等の減少額227百万円等の資金減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は12百万円(前年同期比111百万円増加)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却による収入39百万円等の増加要因に対して、有形固定資産の取得による支出29百万円等の資金減少要因があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は42百万円(前年同期比204百万円増加)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入700百万円等の資金増加要因に対し、長期借入金の返済による支出721百万円等の資金減少要因があったことによるものです。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格等によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。
② 当連結会計年度の経営成績等に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて 359百万円増加し、15,580百万円となりました。
流動資産は418百万円増加し、流動資産合計で11,583百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が130百万円増加、商品及び製品が101百万円増加、受取手形及び売掛金が72百万円増加、原材料及び貯蔵品が63百万円増加したこと等によるものです。固定資産は59百万円減少し、固定資産合計で3,996百万円となりました。この主な要因は、投資有価証券が51百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて 172百万円増加し、11,212百万円となりました。
流動負債は300百万円増加し、8,992百万円となりました。この主な要因は、未払法人税等が150百万円増加、電子記録債務が143百万円増加したこと等によるものです。固定負債は127百万円減少し、2,220百万円となりました。この主な要因は、事業整理損失引当金が65百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて186百万円増加し、4,368百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が184百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の27.5%から0.5%増加し、当連結会計年度末では28.0%となりました。
b.経営成績の分析
(売上高、売上総利益)
当連結会計年度の売上高は、31,525百万円(前年同期比1,895百万円増加)となりました。
売上高の増加理由は、コロナ禍で在宅勤務が増えたことで、通勤距離や通勤時間よりも住環境の充実という、住まいへの考え方が変わってきたことなどにより、2021年度の住宅着工戸数が増加したことによるものです。
拡販商材である住宅設備機器においては、半導体不足による製品の欠品の懸念から政策的に取り扱いメーカーを拡大増販して対応し、成果を出しました。
それに加え、素材高騰の要因による競合先の値上げ攻勢を、戦略的な仮需対応で当社が奪取しました。また、業界全般として、素材が金属から樹脂へ変わりつつあることにより、ポリエチレン管等樹脂製品を販売したことも、政策的に成功となりました。
売上総利益は、
5,565百万円
(
前年同期比530百万円増加
)となりました。各製品の値上げ攻勢の中、販売先への価格転嫁がうまく進んだことに加え、関連子会社においても、ようやく価格改正が浸透してきたことで、売上総利益率は17.7%(前年同期比0.7%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,294百万円(前年同期比179百万円増加)となりました。
将来を見据えた人材確保、人材育成、働き方改革を継続していること及び業績に連動する賞与が増加したことにより人件費は増加しましたが、売上総利益の増加がそれを上回りました。
それらの結果、当連結会計年度の営業利益は、270百万円(前年同期比350百万円増加)となりました。
当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増加により、329百万円(前年同期比296百万円増加)となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、180百万円(前年同期比288百万円増加)となりました。経常利益に特別損益を加えた結果、税金等調整前当期純利益が333百万円(前年同期比395百万円増加)となり、税効果会計適用後の法人税等を152百万円計上したことによるものです。
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、③キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての借入金を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの資金需要の主なものは、商品の購入、製品製造のための材料・部品の購入、全国に拠点展開する事業所の家賃や人件費をはじめとする一般管理費、新規出店や拡張移転等による設備投資等があります。
当社グループの事業活動の維持に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関等からの借入により資金調達を行っております。
新規出店や拡張移転による設備投資は固定費の増加に繋がることから、売上拡大とのバランスを勘案しながら計画的な実施を行っております。グループ全体の借入金の削減を図りながら、必要な運転資金及び設備投資資金を調達することを考えております 。
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