業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の概要

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出・解除が2022年3月22日の全面解除まで繰り返される中で、消費マインドが回復基調に転じるには至りませんでした。一方で、ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギー価格が高騰し、また急速な円安進展に伴い、食料品をはじめとする多くの物価が上昇に転ずるなど、先行き不透明な状況が続きました。

外食業界におきましても、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置による時短営業及びアルコール提供禁止要請への協力が長期間にわたり継続したことが売上回復の大きな障害となりました。また、ウィズ・コロナ下での外食の自粛傾向が続く中、人との接触機会の少ないテイクアウトやデリバリーサービス、オンラインショップ等、販売形態の変化により業態の垣根を越えた競争がこれまで以上に激化しました。一方で、原材料価格・物流費が高騰し、人手不足により人件費が増加する等、経営環境は依然として厳しい状況が続きました。

このような状況において、当社は、店内でのフィジカルディスタンスの確保等、お客様及び従業員の安心・安全を最優先にした「感染しない、させない営業」を徹底しました。並行して、ウィズ・コロナ時代の収益モデルへの対応として、テイクアウトメニューの拡充を積極的に図りました。さらに、2021年10月には「45th ANNIVERSARY創業祭」として、サンリオの人気キャラクター『ポムポムプリン』とのコラボレーション企画を展開するなど、コロナ下での来店動機の高揚に努めました。

また、輸入食材や副食材等、様々な費用が上昇する中で、商品の品質を下げることなく「良質な外食体験」を実現し銚子丸ブランドの価値を維持向上するために、2021年12月に皿価格の一部改定を実施しました。

店舗開発につきましては、2021年8月に「すし銚子丸テイクアウト専門店落合店」(東京都新宿区)、2021年12月にテイクアウト専門店として商業施設内第1号店「すし銚子丸テイクアウト専門店ペリエ海浜幕張店」(千葉市美浜区)、2022年4月に「すし銚子丸コトエ流山おおたかの森店」(千葉県流山市)の3店舗を新規に出店しました。一方で、売上低迷のため2022年1月に「すし銚子丸テイクアウト専門店千歳烏山店」(東京都世田谷区)を閉店し、機動的なスクラップ&ビルドによるテイクアウト専門店業態の収益基盤の改善を図りました。

また、2021年9月に、「すし銚子丸東葛西店」(東京都江戸川区)を土地収用のため閉店しました。一方で、店舗設備の老朽化により大規模改装が必要となった「すし銚子丸春日部店」(埼玉県春日部市)を2022年2月に閉店し、効果的な設備投資、及び機械化・省力化による収益性の向上を目的として、2022年4月に近隣の好立地へ「すし銚子丸春日部ふじ通り店」(埼玉県春日部市)をオープンしました。この結果、当事業年度末の店舗数は92店舗となっております。

業績につきましては、2021年10月の緊急事態宣言等の全面解除以降に一度は回復基調となったものの、2022年1月に再度まん延防止等重点措置が発出され協力を余儀なくされたため、第3及び第4四半期会計期間の業績は予想を若干下回りました。これらの結果、当事業年度の売上高は170億33百万円(前期比4.3%減)となりました。

利益面につきましては、当事業年度を通じて全社的にコスト管理の徹底と投資の厳選に努めました。一方で、上場企業として世界の平和と人道支援の観点から、窮状にあったウクライナ難民の緊急支援のため、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に20百万円を寄付した結果、営業利益は2億27百万円(同62.3%減)となりました。

経常利益につきましては、受取協力金(新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う各自治体からの協力金)14億30百万円を営業外収益として計上したこと等により、16億78百万円(同94.1%増)と大幅な増益となりました。なお、採算が悪化した店舗に係る減損損失29百万円を計上したこと等により、当期純利益は10億57百万円(同178.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ22億23百万円減少し、63億80百万円(25.8%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、13億89百万円(前期比31.7%増)となりました。これは、税引前当期純利益16億40百万円、減価償却費2億83百万円による資金の獲得、未払消費税等の減少額1億90百万円、及び法人税等の支払額3億3百万円による資金の使用等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、6億41百万円(前期比405.0%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6億5百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、29億71百万円(前事業年度は28億38百万円の獲得)となりました。これは主にコロナ感染拡大リスクに対応するための借入金30億円の資金の返済によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は一般顧客(最終消費者)へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

当社は一般顧客(最終消費者)へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年5月16日

至 2022年5月15日)

前年同期比(%)

寿司事業(千円)

17,033,375

95.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

当事業年度末における資産は17億19百万円減少し、109億77百万円(前期比13.5%減)となりました。主な要因は次のとおりであります。

流動資産は21億35百万円減少し、79億64百万円(同21.1%減)となりました。主な内訳は、現金及び預金の減少22億23百万円であります。

固定資産は4億15百万円増加し、30億13百万円(同16.0%増)となりました。これは主に、建物(純額)の増加2億12百万円、工具、器具及び備品(純額)の増加1億73百万円及び建設仮勘定の増加32百万円によるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債は26億97百万円減少し、30億94百万円(同46.6%減)となりました。主な要因は次のとおりであります。

流動負債は27億4百万円減少し、26億24百万円(同50.8%減)となりました。主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金の減少30億円、未払金の減少1億41百万円及び未払法人税等の増加2億71百万円によるものであります。

固定負債は7百万円増加し、4億70百万円(同1.5%増)となりました。これは主に、資産除去債務の増加11百万円によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は9億77百万円増加し、78億83百万円(同14.2%増)となりました。主な内訳は、繰越利益剰余金の増加9億69百万円であります。

 

b.経営成績の分析について

当事業年度は4店舗の新規出店と3店舗の閉店を行い、これにより期末時点の店舗数は92店舗となりました。

売上高につきましては、前事業年度と比較して7億61百万円減の170億33百万円(前期比4.3%減)となりました。これは営業地域である1都3県において、2022年1月に再度まん延防止等重点措置が発出され、営業時間短縮等の協力要請への対応を余儀なくされたことによるものであります。特に、対象区域所在店舗での断続的なアルコール提供禁止と提供方法の制限は、直接的なアルコール類の売上を大きく減少させるだけでなく、アルコールを目的とするお客様を含む家族等での来店意欲を低下させ、来店客数の減少要因となりました。

売上原価は前事業年度と比較して1億50百万円減の70億67百万円(前期比2.1%減)で、原価率は41.5%と前事業年度(40.6%)比0.9%増となりました。これは、輸入食材の高騰や食用油・業務用小麦粉等の副食材の価格が上昇した結果であります。

販売費及び一般管理費は前事業年度と比較して2億35百万円減の97億38百万円(前期比2.4%減)となりました。これは給料及び手当が前期比1億54百万円、販売促進費が2億56百万円減少したことが主な要因であります。

以上により営業利益は前事業年度と比較して3億75百万円減の2億27百万円(前期比62.3%減)、売上高営業利益率は1.3%(前事業年度は3.4%)となりました。

経常利益は前事業年度と比較して8億13百万円増の16億78百万円(前期比94.1%増)、売上高経常利益率は9.9%(前事業年度は4.9%)となりました。

当期純利益につきましては、不採算店舗の減損損失29百万円(前期比2億9百万円減)を計上した結果、前事業年度と比較して6億78百万円増の10億57百万円の利益(前期比178.9%増)、売上高当期純利益率は6.2%(前事業年度は2.1%)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況について

当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 [経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当事業年度は新規出店及び店舗改装の設備資金は、原則として自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており借入金による資金調達は行っておりません。運転資金としては納税資金を金融機関からの借入金で調達をしております。当事業年度末のリース債務を含む有利子負債残高は1億24百万円(前事業年度末残高は30億14百万円)となっております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。また、この財務諸表の作成に当たりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない金額について、仮定の適切性、情報の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現時点でいまだ収束時期は不透明であるものの、業績は前年並みに推移するものと仮定し、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性に関する会計上の見積りを行っております。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

① 固定資産の減損損失

 当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、

営業店舗を基本単位とした資産のグルーピングを行っております。営業活動から生じる損益が継続してマイナス

になっている資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上し

ております。

 減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の

変化により、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があっ

た場合、当社の翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

② 繰延税金資産の回収可能性

 当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計

上しております。繰延税金資産の回収可能性は決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しており

ますが、消費の動向や事業環境の変動等により、利益計画及び課税所得の見直しが必要となった場合、当社の翌

事業年度以降の財務諸表において繰延税金資産の金額に重要な影響が及ぶ可能性があります。

 

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