業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延の長期化により経済活動の抑制が継続される中、新型コロナウイルスワクチン接種が本格化し、景気への回復基調の兆しが見られておりました。しかしながら、新たな変異株による感染者の急拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵攻と対ロシア経済制裁、米国の利上げ、急激な円安により、資源価格の高騰なども相まって、先行きは未だ不透明な状況となっております。

当社グループの主要な事業領域についてみると、国内外の金融・不動産市場におきましては、新型コロナウイルスの影響が軽微、かつ、金融緩和政策による低金利により相対的に安定した利回りを得られる不動産投資へのニーズは高く、引き続き投資需要は底堅い状況が続いております。一方で、国内のホテル・レジャー市場は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴い、感染の動向を十分注意する必要がある状況となっております。

このような経済状況のもと、当期の当社グループは、業務提携による新たな収益源の確保、新規賃貸用不動産の取得及び国内及び海外企業への投資の検討、オペレーション事業の各拠点における収益向上のためのコスト削減、コストアップ抑制等を積極的に進め、更なる収益力の向上と安定化をはかってまいりました。

以上の結果、当期の当社グループの業績は、当社が保有する収益用不動産物件の一部を売却し、更には、国内及び海外事業に対する投資収益が大きく貢献し、売上高は前年同期に対して66.3%増加し2,720百万円となりました。各段階利益については、営業利益335百万円(前年同期比52.4%増)、経常利益218百万円(前年同期比64.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益70百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失44百万円)と大幅な黒字へと転換することができました。

報告セグメントごとの業績及び直近の状況は、次の通りであります。

 

(マーチャント・バンキング事業)

当社グループは、当事業部門におきまして、主に国内外の企業及び不動産向けの投資事業を営んでおります。

当期は、当事業部門の収益の柱であります賃貸用不動産から得られる賃貸収入は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けることなく、安定的に推移いたしました。また、国内及び海外企業からの投資収益、更には、収益用不動産を一部売却した結果、前年同期と比較して、売上高2,110百万円(前年同期比111.3%増)、セグメント利益594百万円(前年同期比18.9%増)の増収増益となりました。

(オペレーション事業)

当社グループは、当社、株式会社ホテルシステム二十一(連結子会社)及び株式会社ケンテン(連結子会社)において、宿泊施設、ボウリング場、インターネットカフェ店舗及び服飾雑貨店の運営、並びに給食業務の受託を行っております。

当期は、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けつつも、新型コロナウイルスワクチン接種の開始により各事業所全般の業績が持ち直した結果、前年同期に対し、売上高は640百万円(前年同期比1.5%減)、セグメント損失は61百万円(前年同期はセグメント損失105百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて530百万円増加し、当連結会計年度末には1,050百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは981百万円の収入(前年同期比76.6%増)となりました。収支の主な内訳は、棚卸資産の減少520百万円、減価償却費201百万円、営業投資有価証券の減少321百万円、税金等調整前当期純利益98百万円の計上などであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは733百万円の支出(前年同期比1,919.5%増)となりました。

収支の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出338百万円、出資金の払込による支出200百万円、投資有価証券の取得による支出129百万円の計上などであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは280百万円の収入(前連結会計年度は268百万円の支出)となりました。

収支の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,300百万円、長期借入れによる収入983百万円、株式の発行による収入655百万円の計上などであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

特記事項はありません。

 

(b) 受注実績

特記事項はありません。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

マーチャント・バンキング事業(千円)

2,080,078

110.9

オペレーション事業(千円)

640,099

△1.5

合計

2,720,178

66.3

 

  (注) 1 事業区分の方法等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表

       注記事項(セグメント情報等)」に記載しております。

  2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の

    とおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国立大学法人愛媛大学
医学部

306,642

18.75

311,828

11.46

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

(a) 財政状態の分析

(資産の部)

総資産は10,847百万円となり、前連結会計年度末に比べ329百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加533百万円、投資有価証券の増加88百万円、有形固定資産の減少390百万円によるものであります。

(負債の部)

流動負債は925百万円となり、前連結会計年度末に比べ439百万円増加いたしました。これは主に一年以内返済予定の長期借入金の増加446百万円、その他流動負債の減少9百万円によるものであります。

固定負債は5,794百万円となり、前連結会計年度末に比べ763百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少763百万円によるものであります。

(純資産の部)

純資産は4,127百万円となり、前連結会計年度末に比べ653百万円増加いたしました。これは主に資本金の増加341百万円、資本準備金の増加341百万円であります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。         (単位:百万円)

指標

2022年3月期

(計画)

2022年3月期

(実績)

増減額(B-A)

増減率

売上高

2,650

2,720

70

2.6%

営業利益

450

335

△115

△25.5%

経常利益

350

218

△131

△37.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

230

70

△159

△69.2%

 

売上高については、70百万円増(2.6%増)となりました。主な理由に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けることなく、安定的に推移しました国内及び海外企業投資収入収益858百万円、不動産投資収入629百万円の貢献等によるものでありす。一方で、暗号資産交換所Angoo Fintechからの運営撤退及びそれに伴い発生したのれんの減損等の理由で減損損失50百万円、貸倒引当金繰入額40百万円を特別損失として計上した結果、各段階利益においては、営業利益115百万円減(25.5%減)、経常利益131百万円減(37.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益159百万円減(69.2%減)と、それぞれが計画から下方に変動いたしました。

 

(b) 経営成績の分析

当社グループは、積極的な賃貸用不動産の取得及び将来性の高い企業分野への投資を中心に行うことにより、安定的な収益基盤の構築に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、新たな収益不動産物件も購入した一方で、当社が保有していた販売用不動産を629百万円で売却したことにより賃貸不動産等の残高は8,871百万円と、前連結会計年度末に対し、390百万円減少いたしました。

しかしながら、当連結会計年度におきましては、安定的な収益を確保できる賃貸用不動産に加え、国内及び海外企業投資収入収益858百万円、不動産投資収入629百万円の貢献により、営業利益335百万円、経常利益218百万円、親会社株主に帰属する当期純利益70百万円と全てにおいて黒字化を構築することができました。

当社グループは、賃貸用不動産取得を基軸に、積極的に事業拡大に取り組んでまいります。事業拡大にあたり、当社グループは、投資会社でありますので、エクイティあるいはデッドによる資金調達が前提となります。

連結会計年度におきましては、新株予約権が行使されたことにより、資本金及び資本準備金がそれぞれ341百万円増加した結果、自己資本比率38.0%と前連結会計年度の32.8%に対し増加しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益70百万円を計上した結果、当連結会計年度におけるROA0.7%、ROE1.9%、と前連結会計年度の△0.4%、△1.3%に対し、それぞれ増加しました。

なお、セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、賃貸用不動産の取得資金等であります。それらの財源については、主に金融機関からの借入金となっております。運転資金については、原則、自己資金を充当するほか、第三者割当による株式発行等による調達もしております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は、6,477百万円、現金及び現金同等物の残高は1,050百万円となっております。

今後も更なる成長資金を調達し、財務の健全性を維持するため、新株予約権行使又は新株発行等、エクイティによる資金調達が肝要と認識しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末現在で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(投資有価証券の評価)

当社グループは、資本業務提携により保有する時価のない投資有価証券については、原価法を採用しその評価は1株当たり純資産額と取得価額とを比較して、1株当たり純資産額が著しく低下した場合に減損処理の要否を検討しております。このため将来において投資先の業績動向が著しく低下した場合、投資有価証券の減損処理が必要となる可能性があります。

 

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