業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績、キャッシュ・フロー並びに販売及び仕入の実績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なり、売上高を総額表示から純額表示に変更しております。そのため、以下の経営成績に関する説明においては、増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

 

 当事業年度におけるわが国経済は、当初新型コロナウイルス感染者数の減少とともに、行動制限措置も全面解除となり、緩やかな景気回復が期待されましたが、オミクロン株による感染再拡大、年明け以降におけるロシアのウクライナ侵攻、急激な円安による物価上昇懸念の拡大等により、消費マインドが減退し先行き不透明な厳しい経営環境が続きました。

 

 このような状況下、当社は、今後の中長期的な成長へ向けて、外部環境の変化に対応する投資戦略を中心とした3ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。アプリと社内システムの連携を図るDX投資、外訪型・在宅型のセールスセンター構築へ向けた人材投資、プライベートブランド(PB)商品の開発パイプライン構築、オンラインとオフラインを融合させたOMO型店舗の出店、事業の成長とサステナビリティの融合を目指した社会貢献への取組み等を推進しております。

 

 店舗展開といたしましては、11月に札幌苗穂店(北海道)、鳥取北店(鳥取県)及び日吉津店(鳥取県)、4月に四條畷店(大阪府)の4店舗を出店いたしました。また、既存店舗の活性化として、10月に名取店の増床改装、天童店の移転リニューアル、4月に釧路店の移転リニューアル、八幡東店の改装を実施いたしました。これにより、当事業年度末の店舗数は86店舗となっております。

 

 営業施策につきましては、販売価格の見直しによる利益率の改善を図るとともに、スマートフォンアプリの開発・導入、新規登録キャンペーンやクーポンによる販促企画等の実施、PB商品のH&D皮革商材の強化、新作ジュエリーやアパレル商材の導入等を図りました。また、中期経営計画に基づいて、外訪型フィールドサービス(外商)を実験エリアで開始するとともに、事業活動とサステナビリティの融合として、海洋プラスチックを再生したサングラスの開発・販売に取り組みました。

 

 従業員のモチベーションアップにつながる施策につきましては、ほぼ全ての正社員・準社員を対象として譲渡制限付株式を付与いたしました。

 

 なお、上記のほか、雇用調整助成金 10,272千円を特別利益に計上いたしました。また、特別損失として、店舗の改装に伴う固定資産廃棄損 8,397千円、減損損失 24,781千円を計上いたしました。

 

 以上の結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 当事業年度末における資産合計は9,258,813千円(前事業年度末比8.6%減)となりました。

 当事業年度末における負債合計は7,043,971千円(前事業年度末比11.4%減)となりました。

 当事業年度末における純資産合計は2,214,842千円(前事業年度末比1.8%増)となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 イ.財政状態の分析」をご参照ください。

 

 

(経営成績)

 当事業年度の売上高は13,608,915千円(前事業年度は18,311,710千円(総額表示))となりました。

 当事業年度の営業利益は190,012千円(前事業年度は営業損失71,858千円)となりました。

 当事業年度の経常利益は191,384千円(前事業年度は経常損失78,727千円)となりました。

 当事業年度の当期純利益は89,866千円(前事業年度は当期純損失124,446千円)となりました。

 詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ロ.経営成績の分析」をご参照ください。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ558,829千円減少し、1,663,607千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は897,235千円(前事業年度は360,297千円の支出)となりました。これは、主として仕入債務の減少78,315千円、利息の支払24,814千円、法人税等の支払額19,665千円があった一方で、棚卸資産の減少231,170千円、減価償却費205,833千円、税引前当期純利益168,477千円、未払消費税等の増加160,387千円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は92,928千円(前事業年度は112,790千円の支出)となりました。これは、主として敷金及び保証金の差入による支出25,619千円、システム投資等に伴う無形固定資産の取得による支出25,076千円、有形固定資産取得による支出22,535千円、定期預金の預入による支出12,004千円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は1,363,136千円(前事業年度は426,809千円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入1,100,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出2,091,224千円、長期未払金の返済による支出241,077千円、短期借入金の減少49,700千円、自己株式の取得による支出45,450千円があったこと等によるものです。

 

③販売及び仕入の実績

 当社の事業内容は、インポートブランドを中心とした宝飾品、時計及びバッグ・小物等の販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため、商品の品目別に販売及び仕入の実績を記載しております。

イ. 販売実績

a. 品目別販売実績

 当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

・宝飾品は、高額品を中心とした強化を図り、売上高 2,543,292千円(純額表示)となりました。

・時計は、時計市場が縮小している中で、高額時計に重点を置いた販促企画を強化したことで、売上高 3,349,434千円(純額表示)となりました。

・バッグ・小物は、重点販売ブランドの展開強化やPB商品の販促キャンペーン等に取組みました。海外ブランドの財布小物の落ち込みがありましたが、一部のファッションブランドの販売が堅調となり、売上高 7,716,188千円(純額表示)となりました。

<商品部門別売上高>

 

当事業年度

前事業年度

 

売上高(純額表示)

売上高(総額表示)

売上高(総額表示)

宝   飾   品(千円)

2,543,292

3,731,255

3,747,326

時        計(千円)

3,349,434

4,461,350

5,003,642

バッグ・小物(千円)

7,716,188

9,221,240

9,560,741

合    計(千円)

13,608,915

17,413,846

18,311,710

 

 

b. 地域別売上高

 当事業年度の地域別売上高は次のとおりであります。

 地域

 当事業年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

 売上高(千円)

 前年同期比(%)

北海道地区

756,562

東北地区

1,712,694

関東地区

3,641,381

中部地区

2,205,197

関西地区

1,501,027

中国・四国地区

1,288,543

九州・沖縄地区

2,294,537

EC事業

208,970

合計

13,608,915

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、前事業年度比は記載しておりません。

 

ロ.仕入実績

 当事業年度の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 品目

 当事業年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

 仕入高(千円)

 前年同期比(%)

宝飾品

1,258,039

時計

2,093,067

バッグ・小物

5,487,424

合計

8,838,531

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。この結果、前事業年度と収益の会計処理が異なり、売上高を総額表示から純額表示に変更しております。そのため、以下の経営成績に関する説明においては、増減額及び前期比(%)を記載せずに説明しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

a. 流動資産

 当事業年度末における流動資産の残高は7,304,106千円となり、前事業年度末と比較して892,401千円減少しております。これは主として、現金及び預金が558,829千円減少、商品が226,071千円減少したことが要因であります。

 

b. 固定資産

 当事業年度末における固定資産の残高は1,954,707千円となり、前事業年度末と比較して20,429千円増加しております。これは主として、工具、器具及び備品が15,085千円減少、繰延税金資産が19,399千円減少したものの、敷金及び保証金が25,514千円増加、長期預金が12,003千円増加したことが要因であります。

c. 流動負債

 当事業年度末における流動負債の残高は3,454,198千円となり、前事業年度末と比較して52,281千円減少しております。これは主として、未払法人税等が53,688千円増加、未払消費税等が142,207千円増加したものの、買掛金が51,910千円減少、短期借入金が49,700千円減少、1年内返済予定の長期借入金が130,743千円減少、未払金が31,368千円減少したことが要因であります。

d. 固定負債

 当事業年度末における固定負債の残高は3,589,772千円となり、前事業年度末と比較して859,790千円減少しております。これは主として、長期借入金が860,481千円減少したことが要因であります。

e. 純資産

 当事業年度末における純資産の残高は2,214,842千円となり、前事業年度末と比較して40,098千円増加しております。これは主として、新株予約権が13,255千円減少したものの、利益剰余金が54,220千円増加したことが要因であります。

 

ロ.経営成績の分析

a. 売上高

 売上高は13,608,915千円(総額表示17,413,846千円、前事業年度売上高は18,311,710千円)となりました。

 当事業年度は4店舗の新規出店により、年度末の店舗数は86店舗となりました。前事業年度のようなコロナ禍による土日の店舗休業等の大きな影響は受けなかったものの、物価上昇懸念の拡大及びオミクロン株による感染再拡大等により消費意欲の回復が弱い中で、スマートフォンアプリの導入や利益率の高い宝飾品の販売強化を推進いたしました。

b. 売上総利益

 売上総利益は、前事業年度より377,587千円増加し、4,544,312千円となりました。販売価格の見直しにより利益率の改善を図るとともに、宝飾品の販売を強化したことで、総額売上高ベースの売上総利益率は前事業年度から3.3ポイント向上し26.0%となりました。

c. 営業利益

 営業利益は 190,012千円(前事業年度は営業損失 71,858千円)となりました。売上総利益率の向上が寄与したことで、新規出店4店舗の初期費用や中期経営計画に基づくアプリの導入・人材開発推進に伴う費用の発生等を吸収することができました。

d. 経常利益

 経常利益は 191,384千円(前事業年度は経常損失 78,727千円)となりました。営業利益の改善に加えて営業外収益として休業要請に伴う助成金収入を22,840千円計上いたしました。

e. 特別損益

 特別利益は、前事業年度より8,347千円増加し、10,272千円となりました。従業員の雇用調整助成金10,272千円を計上いたしました。

 特別損失は、前事業年度より5,205千円減少し、33,179千円となりました。店舗の改装に伴う固定資産廃棄損8,397千円、減損損失24,781千円を計上いたしました。

f. 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

 法人税、住民税及び事業税59,082千円、法人税等調整額19,528千円となり、合計額は前事業年度より69,352千円増加し、78,610千円となりました。

g. 当期純利益

 当期純利益は 89,866千円となりましたが、前事業年度の当期純損失124,446千円に対し214,312千円改善いたしました。

 

ハ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容

 新型コロナウイルス感染症の影響については、感染力の強い変異株等の急拡大もあり、なお先行き不透明な状況が続くものと予想されます。また、ロシア・ウクライナ情勢の影響、諸物価の高騰及び為替の急激な変動など、依然厳しい経営環境が続くものと予想されます。

 引き続き宝飾品の強化等による利益率の改善を図るとともに、デジタル・IT関連投資として、アプリ・ビーコン・CRM の連携システム(ABCシステム)の導入等により、提案力・販売力の強化を図ってまいります。また、人材教育についても、資格取得や社内研修の体系を全面的に見直し、販売員の育成強化に努めてまいります。また、EC及びライブ販売等の非接触型販売の拡大も引き続き強化してまいります。

 店舗展開については、外部環境の変化を踏まえつつも、未出店エリアを中心に新規出店を継続するとともに、オンラインとオフラインを融合したOMO型店舗の実験店舗を開発し、上記の営業政策とあわせて収益力の向上を図ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また投資を目的とした資金需要は、新規出店と既存店改装に関わる設備投資及び今後強化を図る計画であるデジタル・IT投資であります。

 当社は事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入により対応し、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入等を基本としております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。詳細については、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 また、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

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