業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が長期間にわたって発出されるなど、厳しい状況が継続いたしました。2021年9月末に緊急事態宣言が解除され経済活動が正常化に向かう中、経済を取り巻く環境は徐々に回復しつつありますが、原材料価格の上昇や電子部品の供給不足など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 国内においては各種政策の効果や海外経済の改善もあり、一部に景気が持ち直す動きがみられるものの、経済、物価、金融情勢への影響を注視する必要があります。

 当社グループの関連する建設業界におきましては、建設資材価格の上昇や慢性的な人員不足の問題が継続する中、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、厳しい経営環境が続いております。

 このような状況のもと当社グループは、需要先のニーズを的確に捉えた技術提案型営業を推進することで、公共事業を中心とした政府建設投資の需要に確実に応えるべく、商品の拡販と建設工事の受注に努めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は、259億57百万円(前年同期比6.6%減)で、その内訳は、商品売上高が98億77百万円(前年同期比4.0%減)、完成工事高は160億79百万円(前年同期比8.1%減)となりました。

 セグメント別の売上高は以下のとおりであります。

〔ファスナー事業〕

 付加価値の高い金属系あと施工アンカーをはじめとする建設資材販売は前年と同水準で推移いたしましたが、土木耐震工事の進捗遅れなどの影響により、完成工事高が減少いたしました。その結果、売上高は82億23百万円(前年同期比9.3%減)となりました。

〔土木資材事業〕

 西日本地区において大型案件の終了や工事着工の遅れなどの影響でトンネル掘削用資材の販売数量が減少しましたが、北海道地区や中部地区において当社の独自技術を活用したトンネル掘削補助工法の資材販売が増加したことなどにより、売上高は69億31百万円(前年同期比7.6%増)となりました。

〔建設事業〕

 当社の得意とするトンネル補修・補強工事や橋梁補修工事で大型物件を2件受注したほか、環境対策工事において大型元請物件が2件竣工いたしました。北陸自動車道の設備工事に付随した「フェイルセーフシステム(取付物落下防止対策商品)」の販売も寄与いたしましたが、大型工事物件が一巡したことなどにより、売上高は108億2百万円(前年同期比12.1%減)となりました。

 財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は262億8百万円と前連結会計年度末に比べ、3億46百万円減少しました。これは主として有価証券が5億円減少したためであります。負債は70億46百万円と前連結会計年度末に比べ14億円減少しました。これは主として、電子記録債務の減少によるものであります。なお、純資産は191億62百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.9ポイント増加しております。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6億56百万円減少し、37億26百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動における資金は、税金等調整前当期純利益25億87百万円(前年同期比23.7%減)を計上し、売上債権も10億46百万円減少しましたが、仕入債務が12億33百万円減少したことなどにより、10億44百万円の収入(前年同期比78.8%増)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動における資金は、投資有価証券の取得による支出などにより、10億20百万円の支出(前年同期は4億65百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動における資金は配当金の支払などにより、6億93百万円の支出(前年同期は6億12百万円の支出)となりました。

 

③受注工事高、完成工事高、繰越工事高、施工高、手持工事高、商品仕入及び販売の状況

イ.受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

項目

工事別

期首繰越

工事高

(千円)

期中受注

工事高

(千円)

(千円)

期中完成

工事高

(千円)

期末繰越

工事高

手持工事高

(千円)

期末繰越

工事高

うち施工高

(千円)

期末繰越

工事高

うち施工

比率(%)

期中施工高

(千円)

前連結会計年度

(自2020年4月1日

至2021年3月31日)

環境工事

112,627

2,765,700

2,878,327

1,977,746

900,580

22,084

2.5

1,986,346

リニューアル工事

3,750,790

5,505,903

9,256,693

5,219,281

4,037,412

26,149

0.6

5,227,439

トンネル及びその他の設備関連工事

1,452,851

4,515,089

5,967,941

3,601,624

2,366,317

23,333

1.0

3,619,379

耐震関連工事

2,902,274

6,166,780

9,069,055

6,236,665

2,832,390

37,901

1.3

6,247,871

その他の工事

157,348

409,290

566,639

469,383

97,255

6,445

6.6

472,358

8,375,892

19,362,764

27,738,657

17,504,701

10,233,955

115,914

1.1

17,553,396

当連結会計年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

環境工事

900,580

1,588,038

2,488,618

1,262,880

1,225,738

1,240,795

リニューアル工事

4,037,412

3,391,471

7,428,883

5,272,743

2,156,140

5,246,593

トンネル及びその他の設備関連工事

2,366,317

3,183,364

5,549,681

3,319,081

2,230,599

3,295,748

耐震関連工事

2,832,390

5,571,870

8,404,260

5,904,937

2,499,323

5,867,035

その他の工事

97,255

259,234

356,490

320,258

36,232

313,812

10,233,955

13,993,979

24,227,935

16,079,900

8,148,034

15,963,986

(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更新により請負金額に変更があるものにつきましては、期中受注工事高にその増減額を含んでおります。従って、期中完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2.期末繰越工事高うち施工高は未成工事支出金により手持工事高の工事進捗部分を推定したものであります。

3.期中施工高は、(期中完成工事高+当期末繰越工事高うち施工高-前期末繰越工事高うち施工高)に一致します。

 

ロ.受注工事高及び完成工事高について

 当社グループは、建設市場の状況を反映して工事の受注工事高及び完成工事高が平均化しておらず、最近3年間についてみても上半期は次のように季節的に変動しております。

期別

受注工事高

完成工事高

1年通期(A)

(千円)

上半期(B)

(千円)

(B)/(A)

(%)

1年通期(C)

(千円)

上半期(D)

(千円)

(D)/(C)

(%)

第56期

14,433,752

8,565,486

59.3

17,063,838

6,927,002

40.6

第57期

19,362,764

10,349,029

53.4

17,504,701

6,943,672

39.7

第58期

13,993,979

6,604,293

47.2

16,079,900

7,555,897

47.0

 

ハ.完成工事高

期別

区分

官公庁

民間

合計

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

環境工事(千円)

1,953,676

24,070

1,977,746

リニューアル工事(千円)

4,937,954

281,326

5,219,281

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

3,463,092

138,532

3,601,624

耐震関連工事(千円)

4,054,948

2,181,716

6,236,665

その他の工事(千円)

223,828

245,555

469,383

合計(千円)

14,633,500

2,871,200

17,504,701

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

環境工事(千円)

1,186,148

76,732

1,262,880

リニューアル工事(千円)

5,146,086

126,656

5,272,743

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

3,177,547

141,533

3,319,081

耐震関連工事(千円)

3,623,563

2,281,373

5,904,937

その他の工事(千円)

85,544

234,713

320,258

合計(千円)

13,218,890

2,861,009

16,079,900

(注)1.当社グループが総合建設会社等民間企業を通じて受注した官公庁発注工事につきましては、官公庁欄に計上しております。

2.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。

前連結会計年度の完成工事のうち請負工事1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

 名古屋第二環状自動車道名古屋西JCT~飛島JCT間遮音壁工事

中日本高速道路株式会社

 東北自動車道十和田管内高速道路リニューアル工事

東日本高速道路株式会社

 北陸道敦賀IC~今庄IC間トンネル背面空洞注入工事

中日本高速道路株式会社

 平成30年度山陽道岡山高速道路事務所管内橋梁はく落対策工事

西日本高速道路株式会社

 福知山高速道路事務所管内南部地区橋梁補修工事

西日本高速道路株式会社

 安房峠道路安房トンネル補修工事(平成29年度)

中日本高速道路株式会社

 本牧)第2六層耐震補強工事(2期工事)

日産自動車株式会社

 際内トンネル共通金物取付工事

国土交通省

 令和元年度山陽自動車道周南高速道路事務所管内橋梁はく落対策工事

西日本高速道路株式会社

 新東名島田金谷IC~浜松いなさJCT間トンネル照明設備工事

中日本高速道路株式会社

 中国道北房IC~大佐スマートIC間土木更新工事

西日本高速道路株式会社

 仙台堀川護岸耐震補強工事(その6)

東京都江東治水事務所

 新東名新静岡IC~島田金谷IC間トンネル照明改修工事

中日本高速道路株式会社

 上越新幹線燕三条新潟間堤高架橋耐震補強

東日本旅客鉄道株式会社

 本牧)第2六層耐震補強工事(1期工事)

日産自動車株式会社

 高速電気軌道第4号線長田停留場耐震補強(イ)工事

大阪市高速電気軌道株式会社

 腹帯川井地区トンネル照明設備工事

国土交通省

 

当連結会計年度の完成工事のうち請負工事1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

 東名高速道路静岡管内遮音壁補修工事(2020年度)

中日本高速道路株式会社

 福知山高速道路事務所管内南部地区橋梁補修工事

西日本高速道路株式会社

 東北自動車道十和田管内高速道路リニューアル工事

東日本高速道路株式会社

 中国自動車道(特定更新等)仏坂トンネル他2TN覆工補強工事

西日本高速道路株式会社

 安房峠道路安房トンネル補修工事(平成29年度)

中日本高速道路株式会社

 令和元年度山陽自動車道周南高速道路事務所管内橋梁はく落対策工事

西日本高速道路株式会社

 本牧)第2六層耐震補強工事(1期工事)

日産自動車株式会社

 印東加圧ポンプ場1・2号調整池耐震補強工事

印旛郡市広域市町村圏事務組合

 新東名高速道路伊勢原大山IC~秦野IC間照明設備工事

中日本高速道路株式会社

 小仏トンネル他1シェルター非常用設備更新工事

中日本高速道路株式会社

 

ニ.手持工事高

(2022年3月31日現在)

 

区分

官公庁

民間

合計

環境工事(千円)

1,217,793

7,945

1,225,738

リニューアル工事(千円)

2,107,047

49,092

2,156,140

トンネル及びその他の設備関連工事(千円)

2,198,863

31,736

2,230,599

耐震関連工事(千円)

1,534,564

964,759

2,499,323

その他の工事(千円)

4,499

31,732

36,232

合計(千円)

7,062,768

1,085,265

8,148,034

(注)1.当社グループが総合建設会社等民間企業を通じて受注した官公庁発注工事につきましては、官公庁欄に計上しております。

 

2.手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

手持工事(2022年3月31日現在)のうち請負金額1億円以上の主な工事

工事名

発注社名

完成予定年月

首都圏中央連絡自動車道久喜遮音壁(外回り)工事

東日本高速道路株式会社

2023年6月

北陸自動車道山王トンネル照明設備更新工事

東日本高速道路株式会社

2025年4月

一般国道122号蓮田岩槻バイパス並木工区道路改良工事

さいたま市

2024年3月

高松自動車道国分寺高架橋他5橋耐震補強工事

西日本高速道路株式会社

2024年7月

令和3年度中国自動車道三次高速道路事務所管内構造物補修工事

西日本高速道路株式会社

2022年12月

福知山高速道路事務所管内南部地区橋梁補修工事

西日本高速道路株式会社

2022年7月

姫路高速道路事務所管内トンネル覆工補修工事(令和3年度)

西日本高速道路株式会社

2023年6月

中国自動車道(特定更新等)仏坂トンネル他2TN覆工補強工事

西日本高速道路株式会社

2023年1月

関越自動車道山本山トンネル照明設備更新工事

東日本高速道路株式会社

2023年3月

北陸自動車道敦賀トンネル補強工事のうち背面空洞注入工事

中日本高速道路株式会社

2023年9月

 

ホ.商品仕入実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

ファスナー(千円)

1,806,174

1,730,596

土木資材(千円)

3,409,607

3,871,670

建設(千円)

2,087,635

1,641,368

合計(千円)

7,303,416

7,243,635

(注) 金額は、仕入価格で表示しております。

 

ヘ.売上実績

セグメントの名称

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

比率

(%)

金額(千円)

比率

(%)

ファスナー

商品売上高

2,881,337

 

 

2,675,780

 

 

完成工事高

6,189,970

9,071,307

32.6

5,547,476

8,223,257

31.7

土木資材

商品売上高

6,319,245

 

 

6,605,735

 

 

完成工事高

122,000

6,441,245

23.2

325,828

6,931,563

26.7

建設

商品売上高

1,093,160

 

 

596,203

 

 

完成工事高

11,192,731

12,285,891

44.2

10,206,595

10,802,799

41.6

合計

商品売上高

10,293,743

 

 

9,877,719

 

 

完成工事高

17,504,701

27,798,445

100.0

16,079,900

25,957,620

100.0

(注)1.販売数量につきましては、販売品目が多岐にわたり表示が困難なため、記載を省略しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.当連結会計年度の経営成績について

① 売上高、受注工事高の状況

 当連結会計年度の売上高は、土木資材事業における商品売上高の増加があったものの、ファスナー事業及び建設事業における完成工事高の減少があったことなどにより、259億57百万円(前年同期比6.6%減)で、その内訳は、商品売上高が98億77百万円(前年同期比4.0%減)、完成工事高は160億79百万円(前年同期比8.1%減)となりました。また、当連結会計年度の受注工事高は139億93百万円(前年同期比27.7%減)となり、当連結会計年度末の手持工事高は81億48百万円(前年同期比20.4%減)となりました。

② 営業利益、経常利益の状況

 収益面につきましては、売上高の減少や、人件費をはじめとした販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益24億89百万円(前年同期比24.5%減)、経常利益25億99百万円(前年同期比23.4%減)となりました。

③ 親会社株主に帰属する当期純利益の状況

 法人税、住民税及び事業税を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は18億40百万円(前年同期比20.2%減)となりました。

ロ.当連結会計年度の財政状態について

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3億46百万円減少した結果、262億8百万円(前連結会計年度比1.3%減)となりました。

① 資産の部

 流動資産は、169億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億46百万円(前連結会計年度比5.3%減)の減少となりました。これは主に、前連結会計年度末においては、完成工事未収入金について完工物件の増加や工事が進捗したことによる増加があったものの、当連結会計年度末においては例年の水準となったことによるものであります。固定資産は、92億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億99百万円(前連結会計年度比6.9%増)の増加となりました。これは主に、経営戦略の重点課題である「働き方改革」を推進していくための新しい基幹システムの導入に係るソフトウエアの増加及び投資有価証券の増加によるものであります。

② 負債の部

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べて14億円減少した結果、70億46百万円(前連結会計年度比16.6%減)となりました。

 流動負債は、66億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億31百万円(前連結会計年度比15.6%減)の減少となりました。これは主に、支払手形及び電子記録債務の減少によるものであります。固定負債は、3億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億69百万円(前連結会計年度比31.7%減)の減少となりました。これは主に、投資有価証券の時価評価に伴う繰延税金負債の減少によるものであります。

③ 純資産の部

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ10億53百万円(前連結会計年度比5.8%増)増加し、191億62百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。

ハ.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

〔ファスナー事業〕

 ファスナー事業の売上高は82億23百万円(前年同期比9.3%減)となりました。商品販売につきましては、付加価値の高い「あと施工アンカー」等の販売は前期と同水準で推移しておりましたが、金属系の「あと施工アンカー」や鋲螺関係の売上高が減少したことなどにより、商品売上高は26億75百万円(前年同期比7.1%減)となりました。また、工事につきましては、工事の受注高の減少や土木耐震工事において工事の進捗の遅れなどがあったことなどより完成工事高は55億47百万円(前年同期比10.4%減)となりました。利益面につきましては適正な原価管理に努めましたが、売上高の減少があったことなどにより経常利益は13億13百万円(前年同期比15.3%減)となりました。

 

〔土木資材事業〕

 土木資材事業の売上高は、69億31百万円(前年同期比7.6%増)となりました。商品販売につきましては、西日本地区において大型案件の終了や工事着工の遅れなどの影響でトンネル掘削用資材の販売数量が減少しましたが、北海道地区や中部地区において当社の独自技術を活用したトンネル掘削補助工法の資材販売が増加したことなどにより、商品売上高は66億5百万円(前年同期比4.5%増)となりました。また、ロックボルトの販売で得たノウハウを活かし、ロックボルトを使用したトンネル補修工事を行っております。それらの工事につきましては、工事受注高の増加により、完成工事高は3億25百万円(前年同期比167.1%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加はあったものの、鋼材等の原材料価格の高水準での推移、物流における人件費の高騰による運搬発送費等の上昇などの影響もあり、経常利益は1億17百万円(前年同期比51.8%減)となりました。

〔建設事業〕

 建設事業の売上高は108億2百万円(前年同期比12.1%減)となりました。商品販売につきましては、前期に引き続き安全対策への需要が継続しており、「フェイルセーフシステム(取付物落下防止対策商品)」の販売がありましたが、商品売上高は5億96百万円(前年同期比45.5%減)となりました。環境対策工事においては大型元請物件が竣工し、前期末の手持工事は順調に進捗いたしました。当社の得意とするトンネル補修・補強工事や橋梁補修工事で大型物件の受注はありましたが、受注工事高の減少があったことなどにより、完成工事高は102億6百万円(前年同期比8.8%減)となりました。利益面につきましては、売上高の減少や人件費や原材料等のコストの増加などにより、経常利益は11億68百万円(前年同期比27.0%減)となりました。

ニ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成状況について

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は9.9%(前年同期比3.7ポイント減少)となり、配当性向は28.0%(前年同期比2.5ポイント増加)となり、目標未達成となりました。当該目標を達成できるよう企業努力を行ってまいります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容について

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは10億44百万円の収入(前年同期比78.8%増)であり、投資活動によるキャッシュ・フローは10億20百万円の支出(前年同期は4億65百万円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローは6億93百万円の支出(前年同期は6億12百万円の支出)であります。フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、23百万円(前年同期比80.1%減)であります。また、当社グループは、複数年にわたる工事も受注していることから、単年でのキャッシュ・フローに加え、3年間累計のキャッシュ・フローも指標として考えております。3年間累計のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローは25億79百万円の収入であり、投資活動によるキャッシュ・フローは13億83百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは19億76百万円の支出であります。また、3年間累計のフリー・キャッシュ・フローは11億96百万円であります。

ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報について

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、持続的成長に向けた投資の継続と株主還元のためのフリー・キャッシュ・フローを創出することを基本としております。その創出されたフリー・キャッシュ・フローを財源として、成長投資や株主還元を行ってまいります。成長投資として、既存事業での投資と新規事業創出のための研究開発投資を行い、将来の成長を見据えた人材の確保・育成・活用のための投資を行ってまいります。また、株主還元として、盤石な財務体質を維持しつつ、安定的かつ継続的に配当を行ってまいります。

 当社グループの運転資金需要のうち主のものは、未成工事支出金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、有形固定資産及び無形固定資産の取得等によるものであります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債である借入金の残高は4億90百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は37億26百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債の数値、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っております。なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、当社の事業計画の進捗状況等の情報に基づき検討し、当社収益への影響は限定的であると仮定して当連結会計年度(2022年3月期)の見積りを行っております。

 工事契約に該当するものについては、一定の期間にわたり充足される履行義務と判断しております。履行義務の充足に係る進捗率の見積りにあたっては、工事原価総額に対する実際発生原価の割合を合理的に見積る必要があります。工事契約に係る収益の計上の基礎となる工事原価総額は、契約ごとの実行予算を使用して見積りを行っておりますが、工事契約等の実行予算の策定にあたっては、工事等の完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性を伴うため、当社グループの業績を変動させる可能性があります。

 

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