事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 

 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)市場リスク

 鉄構セグメントにおける鋼橋事業及び土木セグメントにおけるPC橋事業(以下「橋梁事業」)は、その相当部分が国、地方自治体、高速道路会社からの発注であり、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化する可能性があります。今後の発注量については、一時的には回復すると予測していますが、中長期的な発注量は不透明な状況であります。

 また、橋梁事業においては、市場が新設から保全・補修へとシフトしていることで、工場製作を中心とした事業から現場を中心とした事業へと変わりつつあり、この変化に適切に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

 次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントにおける建築事業は、民間設備投資による発注であるため、景気動向に左右される傾向にあります。

 当社グループでは、今後ともそれぞれの事業における受注活動を強化しリスクの低減を図ってまいりますが、受注が低迷した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)収益変動リスク

 当社グループは、工事契約における履行義務について、工事の進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しています。工事契約に係る売上高は、工事収益総額及び進捗度に基づき算定され、進捗度の測定は発生原価に基づくインプット法(発生原価が工事原価総額に占める割合)によっています。工事原価総額は過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、特に橋梁事業等工期が長期に亘る工事においては、工事期間中に鋼材等の原材料や輸送費、労務費の上昇リスクが内在しています。当初の契約締結後に想定を超えて増加したコストについては発注者と協議を行い、追加の契約を獲得する努力をいたしますが、それらを請負金額に反映することが困難となった場合には、採算性が悪化するリスクがあります。

 またロボット等の製造において、半導体不足の影響やサプライチェーンの混乱による調達制約など、部品調達の長期化及び高騰により生産計画を見直す状況になった場合、売上高の減少、コストの増加等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、これら採算性の悪化リスクを回避・軽減するため、早期調達及び多様な調達先の確保を図るとともに発注者との交渉を早期に進めるなどの対策を実施しています。

 

(3)事故によるリスク

 当社グループのコア事業である橋梁事業や鉄骨事業、建設事業においては、工場製作及び現場施工が大半を占めています。また、当社グループでは航空関連事業を行っていますが、これら事業におきましては安全管理・対策には万全を期していますが、万が一事故が発生した場合には、事故による直接的な損害と補償費用が発生するだけでなく、指名停止等の処分や工事成績評点への影響などで、今後の受注活動にも影響が生じるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループにおいては、事故防止のための各種安全教育や事故防止策を徹底するなどの対策を継続的に実施しています。

 

(4)品質不具合による瑕疵等のリスク

 当社グループで製作している製品及び現場施工の品質につきまして、細心の注意を払い品質管理を行っていますが、万が一重大な瑕疵が発生した場合には、その損害賠償だけでなく、顧客の信頼が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)工事遅延リスク

 工事の遂行にあたっては、鋼材や購入品が当初予定した時期に納品されない場合に工程が遅れ、工期が伸びる可能性があります。また実際の現場の状況が想定と異なった場合や下部工工事の遅れなどが生じた場合、発注者と協議のうえ架設工法を見直すことがあります。これらの変更については発注者と設計変更契約の協議を行いますが、架設工法変更に伴う原価の発生時期と設計変更契約の締結時期にずれが生じた場合、原価が先行することで一時的に収益が悪化するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法令等に関わるリスク

 当社グループの事業は、建設業法や労働安全衛生法等の各種法的規制を受けます。監査部門による内部監査や法務部門による講習会実施、安全品質環境本部長又は事業部長による全現場パトロールの実施により法令遵守の徹底に努めていますが、万が一法令違反が発生した場合には、指名停止、営業停止等の処分により業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 当社グループでは、新たな取引先については契約前に取引先の信用調査を実施し、リスクの軽減を図っていますが、発注者・協力業者などの取引先に信用不安が発生した場合には、貸し倒れの発生や引当金の計上、工程の遅延などにより業績が悪化する可能性があります。

 

(8)為替の変動リスク

 当社グループの持分法適用会社は海外での事業を行っているため、外貨建の債権債務が発生します。このため大幅な為替変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)担い手不足によるリスク

 当社グループの主要セグメントが属しています建設業界におきましては、建設業従事者の数が減少すると予測されています。加えて2019年4月に施行された改正労働基準法により、建設業では2024年4月から時間外労働の上限が規定され、これを見据えた「働き方改革」が、業界各社の緊喫の課題となっています。

 今後、人材の確保・育成をより一層強化していくとともに、現場作業の効率化を推進してまいりますが、担い手不足が解消できなかった場合に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害等大規模災害によるリスク

 当社グループは鉄構セグメント及び土木セグメントにおいて全国5か所に工場を保有しています。従いましてそれらが所在する地域におきまして大規模災害等で操業に支障が出た場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、橋梁事業や建築事業に関しては屋外での作業が中心となりますので、季節や天候などの自然条件の影響を受ける可能性があります。

 

(11)固定資産の減損に関わるリスク

 当社グループは鉄構セグメント及び土木セグメントの事業に係る固定資産として全国5か所に工場を保有しています。今後経営環境や収益状況が悪化した場合には減損損失を計上する必要性が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)有利子負債への依存と金利変動によるリスク

 当社の橋梁事業や鉄骨事業につきましては、その事業形態から運転資金の立て替えが発生します。特に近年の橋梁事業では案件の大型化や長期化が進んでいることからその傾向が強まっています。

 当社グループにおける運転資金は金融機関からの長期及び短期借入金により調達しており、2022年3月末時点での借入金は合計184億円となっています。当社グループでは取引銀行15行との当座貸越契約の弾力的な運用と年度計画に沿った長期借入金の調達で対応しており、平素より当社グループの業績や見込等を適時適切に説明し、円滑な調達に努めています。

 その一方で常に相当額の借入金残高が存在しますので、将来において金利水準が大幅に上昇した場合には業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)情報セキュリティに関わるリスク

 当社グループにおきましては、業務の効率化のためICT化、ネットワーク化を進めておりますが、その社内システムに対し外部からのサイバー攻撃や従業員の不正等により保管しているデータが消失・損壊した場合や個人情報、機密情報が漏洩した場合、その復旧費用や損害賠償だけではなく、事業遂行に大きな影響や社会的な信用が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは当該リスクへの対応策として、「情報セキュリティポリシー」を制定し、情報管理体制を確立するとともに、リスクの変化に応じた技術的な対策及び教育・啓発等の人的マネジメント対策を継続的に実施することで、個人情報、機密情報の漏洩防止に努めてまいります。

 

(14)COVID-19等感染症によるリスク

 COVID-19のような大規模な感染症が発生した場合、その感染対応や感染予防のために工期の遅延等が発生し、結果として売上高の減少、コストの増加等、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの企業活動におけるリスク対応策として、テレワークや時差出勤等の制度化や各種感染予防策の徹底などを推進しています。

 

(15)不適切な財務報告リスク

 当社グループは、財務報告の適正性を確保するために内部統制体制を整備していますが、従業員の不正や誤謬等により財務報告が適正に行われなかった場合には、ステークホルダーからの信用が失墜し、結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは当該リスクへの対応策として、会計処理がマニュアルに則って適正に行われているかのモニタリング、正確な財務報告に関する啓発教育を継続的に行い、内部統制の実効性確保に努めています。

 

(16)気候変動問題に係るリスク

 昨今、世界では気候変動をはじめとする環境課題が深刻化しています。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発するなど大きな影響をもたらし、今や気候変動は企業にとって看過できない状況となっています。

 当社グループは、その製造過程で多くの温室効果ガスを発生させる鋼材を主たる材料とする鉄鋼事業や航空関連事業を営んでいます。これら事業において、温室効果ガスを発生させていることから、今後将来に向け発生量を実質ゼロに向けて圧縮することが求められており、これに適切に対応できない場合には事業遂行に制約が出る可能性があります。

 当社グループでは、2021年にサステナビリティ推進室を設置し、この課題解決を含めサステナビリティ経営への取り組みに着手しています。

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