業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)においては、新型コロナウイルスの感染拡大による人流制限継続や海外における地政学リスクの顕在化などにより、株式市場、為替市場等金融市場のみならず、各種業界において変動の大きい状況となりました。

 このような経済環境の中、当社は着実に売上・利益を伸ばし、創業以来の19期連続増収増益を達成いたしました。特に当連結会計年度は、自社DXの推進と自社DXで培ったノウハウ・知見を外部展開する他社DXに向けた体制構築に注力し、この実態を適切に表すようDX不動産事業とDX推進事業の2事業にセグメントの整理、変更をいたしました。DX不動産事業では、不動産投資会員のニーズに合った商品の提供を拡大し、加えて、自社DXの推進により高い生産性を実現してまいりました。一方、DX推進事業では、アヴァント株式会社の子会社化やDXYZ株式会社のFreeiDサービス拡大、バーナーズ株式会社のクラウドインテグレーションサービス開始など、推進体制の構築に注力してまいりました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は35,186,178千円と前連結会計年度と比べ7,662,332千円(27.8%)の増収、営業利益は2,208,715千円と前連結会計年度と比べ115,648千円(5.5%)の増益、経常利益は1,918,612千円と前連結会計年度と比べ127,836千円(7.1%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,217,053千円と前連結会計年度と比べ46,961千円(4.0%)の増益となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメント及び事業セグメントの名称を変更しており、当連結会計年度の比較分析は、変更後の区分に基づいております。

 

(DX不動産事業)

 DX不動産事業は、デジタルマーケティングによる集客やSFAによるマーケティング・オートメーション、AIを活用した不動産買取査定のシステムによる自動化など、業務コアをDXし、他社よりも優れた生産性を実現する不動産事業となっており、不動産投資型クラウドファンディング事業「Rimple」などが含まれております。

 当連結会計年度においても引き続きデジタルマーケティングによる会員集客に注力し、不動産投資会員数は15万人を超える状況となっております。この会員のニーズにこたえる形で商品提供も拡大した結果、当連結会計年度における商品別の提供数は下記の通りとなっております。

 ・新築マンションブランド「クレイシア」シリーズ等:549戸

 ・中古マンション:395戸

 ・新築コンパクトマンションブランド「ヴァースクレイシア」シリーズ等:93戸

 ・都市型アパートブランド「ソルナクレイシア」シリーズ:8棟

 また、ストック収入のベースとなる管理戸数も着実に拡大し、下記の通りとなっております。

 ・賃貸管理戸数:3,683戸

 ・建物管理戸数:4,286戸

 これにより、ストック収入も着実に増加しております。

 これらの結果、売上高は34,462,012千円(前連結会計年度比25.2%増)、営業利益は3,600,307千円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。

 

(DX推進事業)

 DX推進事業は、DX領域をビジネスとして成長していく、いわば他社DX事業となっており、顔認証プラットフォームサービス(FreeiD)を展開するDXYZ株式会社やDX関連システムの受託開発を展開するアヴァント株式会社、クラウドインテグレーションサービスを展開するバーナーズ株式会社などが含まれます。

 当連結会計年度においては、翌連結会計年度の事業加速に向けた体制構築に注力し、2021年7月にアヴァント株式会社を子会社化し、2021年11月にバーナーズ株式会社を設立いたしました。設立間もないバーナーズ株式会社では順調に受注件数が増えており、サービス拡大1期目となったDXYZ株式会社のFreeiD(顔認証プラットフォームサービス)は国内最大級のesportsパークでの商用運用が開始されるなど、事業加速に向けた兆しが見える状況となっております。

 これらの結果、売上高は833,594千円、営業利益は△9,759千円となりました。

 

 

 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売戸数

(戸)

 

金額

(千円)

 

前年同期比

(%)

前年同期比

(%)

DX不動産事業

1,037

125.1

34,462,012

125.2

DX推進事業

833,594

3933.9

セグメント間取引消去

△109,428

合計

1,037

125.1

35,186,178

127.8

(注)1.DX不動産事業において都市型アパート8棟を販売しておりますが、上記「販売戸数(戸)」には含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ジーテン・ジャパン・ツー特定目的会社

5,439,113

15.5

 

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、31,982,320千円となり、前連結会計年度末に比べ4,020,799千円増加しております。これは主に自社開発物件の順調な引渡しにより販売用不動産が前連結会計年度末に比べ2,548,635千円減少した一方、自社開発物件の用地仕入及び物件開発の進行に伴い仕掛販売用不動産が前連結会計年度末に比べ3,353,543千円、物件開発のための資金及び機動的な物件獲得のための資金を調達、確保し、加えて販売による回収資金を確実に積み上げたことにより現金及び預金が2,716,040千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、23,761,883千円となり、前連結会計年度末に比べ2,950,755千円増加しております。これは主に物件の工事代金支払により買掛金が前連結会計年度末に比べ1,171,990千円減少した一方、開発用地や中古収益不動産の取得にかかる資金調達により1年内返済予定を含む長期借入金が前連結会計年度末に比べ2,452,615千円、短期借入金が513,892千円、クラウドファンディング出資金等の預り金が436,915千円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、8,220,436千円となり、前連結会計年度末に比べ1,070,043千円増加しております。これは主に期末配当を実施したことにより利益剰余金が189,199千円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益1,217,053千円を計上したことにより利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は7,898,014千円と前連結会計年度末と比べ2,716,040千円(52.4%)の増加となりました。

 

 営業活動によるキャッシュ・フローは、積極的な物件取得・開発による資金支出や仕入債務の支払による資金支出、法人税等の支払等があったものの、販売による資金回収やクラウドファンディングによる資金確保等がこの支払額を上回り、当連結会計年度は127,485千円の収入となり、前連結会計年度と比べ収入は109,177千円の減少となりました。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは主に投資有価証券の取得による支出があったものの、当連結会計年度より新たに連結したアヴァント株式会社の株式取得による収入がこの増加幅を上回り、前連結会計年度が支出であったのに対し当連結会計年度は28,187千円の収入となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出があるものの、それを上回る用地仕入及び物件開発、機動的な資金の確保の為の長期借入れによる収入及び社債の発行による収入があったことにより、当連結会計年度は2,560,367千円の収入となり、前連結会計年度と比べ収入は1,737,153千円の増加となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するために重要となる当社グループの会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としており、経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの資産の多くを占める販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価が当社グループの連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項となりますが、この評価は、対象不動産ごとの賃料の実勢、長期金利の動向、路線価の変動及び個別発生事象等に依っており、必要に応じて鑑定レポートを取るなど、より客観的に評価できるよう努めておりますが、これらの要素が予期せぬ変動をした場合には、連結会計年度末時点の評価と異なる結果となる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、新型コロナウイルスや海外の地政学リスクの顕在化、米国の利上げなど、様々な要因により予測が難しい、先行き不透明な状況となったものの、期初からあらゆる事象を保守的に捉えリスク感応度を高くして事業活動を行ってきたことや2018年という早期からのDX推進により生産性が向上したこと、“登頂ダイエット”という事業方針のもと主にDXによってコスト・工数の適切な削減を図ってきたことなどの効果が現れ、前連結会計年度から28%の増収となり、創業以来の19期連続増収増益を達成する結果となりました。当連結会計年度においては、中期ビジョンの一つである『進化・変革とサステナビリティの両立』というビジョンのもと、DX推進体制、特に自社DXによる知見・ノウハウを外部展開しビジネス化していく他社DX領域に注力できる体制の構築に注力し、アヴァント株式会社の子会社化やバーナーズ株式会社の設立など、着実に施策を実行し、2022年度以降のこの領域での成長に向けた土台が出来たものと認識しており、これを適切にステークホルダーの皆様に伝えるためにセグメントの変更もいたしました。

 今後は、DX不動産事業においては、不動産市況の動向や金融機関の融資姿勢、長期金利の動向、建築費の動向等に注視しつつ、当社グループの収益の柱として、引き続き“登頂ダイエット”という方針のもと成長させていく方針であり、DX推進事業においては、国内のDXマーケットの拡大という機会を的確に捉え、当社グループの成長の柱として、他社DX領域にて収益の拡大を図っていく方針であります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、バランスシートのダイエットという方針のもと、キャッシュポジションと自己資本比率、DERを注視指標としており、中古物件の買取再販や他社開発物件の仕入などにおいて在庫・資金水準のコントロールを図ってまいりました。また、内部留保による資本の増強やクラウドファンディングによる資金の確保などにより自己資本と有利子負債のバランスのコントロールを図るなど、あらゆる方面から財務体質の強化と資金の流動性確保に努めてまいりました。不確実性が増している昨今においては、資金の流動性が重要であると考えているため、比較的高い資金水準を維持しているものの、過度に有利子負債が増大しないよう有利子負債による資金調達を適切にコントロールする財務戦略をとっております。今後につきましても、扱う物件数が増加していることや物件の竣工に偏重があることなどから、資金の流動性をより確保することが必要であるため、適切な資金計画のもと、いつでも販売可能な中古物件の確保と、その物件から得られるストック収益の確保、金融機関からの機動的な運転資金の調達に向けた取引金融機関数の増加や主要取引銀行とのコミットメントラインの維持・新設などを行うことを考えております。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、上記と同様の内容となるため、記載を省略しております。

 

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