課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「不動産の賃貸料から生成されるマリオンのサービスを以て、年金・医療・介護・環境のサプリメントとなし、皆様に夢のある快適な老後と幸せをお届けすること」を経営理念に掲げております。

この経営理念を具体化するため、リスクの適切な制御のもと、居住用を中心とした賃貸不動産による安定的な事業基盤を確保するとともに、不動産賃貸事業の基盤に基づく経営理念を具現化する不動産証券化商品を生成し、かかる住に関連したサービスを通じて社会に貢献することにより当社の企業価値を高め、ステークホルダー各位の期待に応えてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

不動産市況等のリスクを適切に制御しつつ、不動産賃貸事業及び不動産証券化商品の組成・販売による安定成長を目指していくことを基本方針に、財務指標としては売上高経常利益率の水準と推移を、業務指標としては入居率の推移を重視しております。

 

(3)経営環境

2022年の基準地価は住宅地や商業地など全用途の全国平均が2年ぶりに上昇に転じました。一方、新型コロナウイルス感染の継続と拡大は、人の移動の制限等による経済活動の落ち込み、消費の減少、インバウンド客の減少等によりホテルや商業施設に影響を及ぼし、テレワークの浸透や働き方の変化によるオフィスビルの空室率増加や仕事スペースを確保するための住環境を見直すなどの変化も起きてきています。

一方、海外の金融緩和マネーの流入や建設工事費の高止まりにより不動産売買価格が高値圏で推移していることから、賃貸不動産の投資利回りは首都圏を中心に低下が著しく、賃貸不動産の仕入れにあたっては、収益性と不動産市況リスクの見極めが一層重要になる局面にあるものと考えられます。

新型コロナウイルス感染症拡大の本格的な終息まで、不動産業界への影響につきましては注視していく必要があると認識しております。

 

当社が許可を有する不特法関連では、国土交通省が2016年3月に取り纏めた「不動産投資市場の成長戦略~2020年に向けた成長目標と具体的取組」の中で、不特法の事業については、投資家保護とのバランスを斟酌しつつ、既存の枠組みについて必要な検討を行い、事業の充実を図る必要があるとされ、2017年6月2日に公布された改正不特法において、一連の取引を電磁的に完結するクラウドファンディング対応に係る改正が盛り込まれ、2017年12月1日に施行、2019年4月15日に関連施行規則の改正が実施されております。

かかる中、当社は、施行規則改正日同日付にて、電磁取引を含む改正不特法に基づく金融庁長官・国土交通大臣許可を取得し、改正不特法に基づくクラウドファンディング業務運営の体制を整備致しました。

 

(4)中長期的な経営戦略

当社といたしましては、これらの状況を踏まえまして、以下のとおり考えております。

ⅰ)不動産賃貸サービス

当社事業の基盤を構成する不動産賃貸サービスについては、相対的に入居率変動リスクが少なく、底堅い需要が期待される居住者向け賃貸不動産、中でも単身者向けを中心に事業を展開致します。

当事業年度末現在、当社の賃貸業務の比較優位性のひとつである地方公共団体等は首都圏における当社賃貸顧客の28.8%を占め、安定的な賃貸顧客基盤の維持拡大など、既存所有賃貸不動産の入居率の維持・安定・改善施策の着実な実施につとめることにより、ストック収益の安定的な確保を図ってまいります。

 

投資利回りの低下、不動産市況リスクの増大を踏まえて、新規賃貸不動産仕入れについては慎重検討を基本としつつ、利回りの低下は特に首都圏において顕著であることから、首都圏以外の政令指定都市における仕入れ機会を引き続き追求し、賃貸業務基盤の拡充と、新規不動産証券化案件の組成につなげてまいります。

ⅱ)不動産証券化サービス

不特法に基づく当社の不動産証券化商品は、当事業年度末現在当社総負債の36.8%、当事業年度売上高に占める対象賃貸不動産の賃貸売上比率が16.9%を構成するなど、当社事業において重要な位置付けにあるほか、不動産業界向けの金融機関の融資姿勢の後退時など金融環境が難しい状況下にあっても、投資家の皆様からの直接の資金調達に基づく賃貸不動産の仕入れを可能とし、当社賃貸不動産ポートフォリオ構築において大きな役割を果たしてまいりました。

 

不動産売買価格が高騰する中、賃貸不動産購入に対する金融機関の融資姿勢の厳格化が懸念されるなか、証券化商品についての投資家の皆様との関係の維持発展に努めるとともに、新たに取得した電磁的取引に関する改正不特法許可に基づく不動産クラウドファンディング型証券化商品の展開を進めることにより、当該分野における当社の優位性を維持強化してまいります。

 

ⅲ)不動産売買

当社は、賃貸・証券化業務のライフサイクルの一環として、含み益の実現益への転換による投資収益の確定の手段として賃貸不動産の売却を行います。また、長期所有および新規不動産証券化の対象賃貸不動産の仕入れ、既存ポートフォリオの入れ替え等の目的で、賃貸不動産の購入を実施致します。

 

不動産市況の状況を踏まえ、所有賃貸不動産の売却については、所有賃貸不動産にかかる含み益の実現益への転換に向けての取り組みの一環として引き続き時宜を捉えた対応を行う一方、賃貸不動産の購入については、当面の方針としては、案件の選別、利回りの検討等において慎重な対応を基本としつつ、仕入れ好適時期の到来に向けての時宜を得た対応を可能とする体制の整備を進める方針であります。

 

(5)会社の対処すべき課題

このような経営環境の下、株主をはじめ、賃貸顧客、投資家の皆様などの利害関係者各位の期待に応え、当社が持続的な成長を実現し株主価値を高めるために優先的に対処すべき課題として、以下を認識しております。

 

①賃貸不動産仕入れ力の持続的強化と査定力の一段の強化

不動産賃貸事業基盤の持続的拡大を実現するとともに、安定的かつ継続的に不動産証券化サービスを提供していくためには、優良不動産の仕入れを安定的に実現していくことが課題であります。

現下の市場環境においては、優良賃貸不動産の価格は高止まりの状況にあり、投資利回りが低下していることから、賃貸不動産の仕入れについてはリスク分析に基づく選別を強化するとともに、首都圏ならびに政令指定都市における優良不動産の情報収集力、価値査定力の継続的強化を図っていく方針です。

 

②所有賃貸不動産の収益力・競争力の維持向上

安定的な収益基盤を確保するためには、保有不動産を競争力のあるものに維持し向上させていくことが課題であります。そのため、計画的な修繕の実施や賃貸顧客のニーズが高い設備の導入等の取り組みにより、保有不動産の収益力・競争力の維持向上につとめてまいります。

 

③資金調達基盤の維持拡大

金融機関及び不特法に基づく匿名組合出資調達基盤の維持・拡大・選択肢の多様化が課題であります。そのため、金融市場の動向を注視し、資金調達環境の変化の捕捉につとめるとともに、金融機関、証券化商品のお客様との関係の維持向上を図っております。

 

④不動産証券化商品対象物件の品質の維持向上

不動産証券化サービスの提供においては、安定的な賃貸収益基盤に基づく優良運用商品を投資家の皆様に継続的に提供することが求められ、不動産証券化商品対象賃貸不動産の高い品質を維持することが課題であります。このため、計画的な修繕や所有賃貸不動産の入れ替えを行う等、保有不動産のきめ細かな管理と品質の継続的な維持向上を図ってまいります。

⑤内部統制とコーポレート・ガバナンスの強化

経営の透明性を確保し、持続的な成長を実現するためには、適正な内部統制環境の整備と、コーポレート・ガバナンスの不断の強化が継続的な課題であります。

そのため、組織体制の整備、内部管理体制の継続的な強化を図るとともに、2015年に監査等委員会設置会社に移行し、全役員10名のうち、2名の社外取締役監査等委員、3名の社外取締役を配し、社外取締役による牽制のもとでの事業運営を行っております。

また、当社は、宅地建物取引業法、不特法をはじめとする各種法規制等のもとで事業を行っております。そのため、コンプライアンスを重視した企業経営を推進し、高い倫理観と社会的良識を持った事業運営を進めてまいります。

 

⑥人財の育成と確保

適正なコーポレート・ガバナンス体制のもとで組織的な事業運営を行い、当社の成長を実現するためには、各種施策を組織のもとで適切に遂行できる人財(注)の育成と確保が課題であります。そのため、人事基本方針の策定をはじめとした人財戦略を経営戦略の重要課題と位置づけ、人財の育成と確保に向けた施策を実施してまいります。

(注)当社では従業員を会社の財産と捉えて「人財」という表現を用いています。

 

⑦商品力及びサービス内容の継続的強化と拡充

不特法の改正(2017年6月2日に「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律(平成29年法律第46号)」公布、2017年12月1日施行、2019年4月15日関連施行規則実施)に伴い、クラウドファンディングの進展への対応を可能とするため、従来書面での締結が要件とされていた不動産証券化商品の契約についても、電磁的方法が認められることとなりました。

当社は、改正不特法施行規則実施当日に、改正不特法に基づく金融庁長官・国土交通大臣許可を取得し、同許可に基づく新規不動産証券化商品i-Bondのサービス提供を開始いたしました。

不動産分野におけるクラウドファンディングの一段の進展を展望し、商品力及びサービス内容の継続的強化と拡充に向けた諸施策を講じてまいります。

 

⑧情報開示体制の強化

当社の不動産証券化商品について、お客様が有用な運用商品と認識して出資を実行・継続するためには、不動産証券化対象の各賃貸不動産の運用状況についての適切な情報開示を行い、当社及び当社商品に対する信頼を醸成・維持・向上することが課題となります。

当社は、インターネットでの申し込みが可能なサラリーマンボンド及びインターネットでの申し込みから契約

締結までを完結することが可能な不動産証券化商品i-Bondについては、ウェブページ上で、不動産証券化商品対

象賃貸不動産毎の入居・収入状況等を月次で開示しており、お客様が各人の投資資産の状況を検索できる機能を提供しております。不特法改正を受けたクラウドファンディングの一段の進展も踏まえて、システム対応の一段の強化等の施策を実施し、適切な開示と利便性の向上に努めてまいります。

 

⑨ESG(注1)・SDGs(注2)経営の推進

当社が所有する賃貸不動産は、多くの入居者様や利用者様が日々を安全に安心して過ごされる場所であり、多くの投資家の皆様や管理会社の皆様にもご協力、ご支援をいただいています。また、所有賃貸不動産が所在する地域社会や環境への影響を考えますと、所有賃貸不動産を通じて様々なステークホルダーの皆様と関係性があり、当社の不動産賃貸サービス、不動産証券化サービス、不動産売買における環境や社会に与える影響は大きく、その責任は重要な課題であります。

当社は、従来、社内委員会として位置付けていましたISO委員会をサステナビリティ委員会とし、当社と社会の更なる持続的発展を目指し、ESG経営を経営計画の中核に据え、社会が直面する様々な危機に対して当社が解決できる領域を広げ、社会にとってなくてはならない存在になるためにサステナビリティに関する取り組みの検討を行ってまいります。

(注1) 企業が長期的に成長するための経営視点として環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉

(注2) 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国連目標、持続可能な開発目標の意味で、「Sustainable Development Goals」の英語の頭文字を合わせた言葉

 

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