業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当社グループは、当社と連結子会社4社で構成されております。当社グループは「RE-INFRA COMPANY」をコーポレートアイデンティティとし、社会の様々な「RE」を統合した唯一無二のインフラを構築していくという考えのもと、祖業である価格比較メディア(aucfan.com)の運営から、BtoBの卸プラットフォーム(NETSEA)、滞留在庫・返品・型落ち品などの流動化支援サービス(ReValue(※1))など、「RE」に関わるサービスにて事業拡大してまいりました。

近年における国内のBtoB卸売市場は300兆円(※2)規模と推定されており、海外においてもBtoB卸売分野でのユニコーン企業が誕生するなど、新たな潮流を観測しています。

また、SDGs(※3)に始まり、世界中で廃棄ロス問題が大きくクローズアップされており、国内でも年間約22兆円(※4)規模に達すると試算しております。さらにはEC化率の増加に伴い、返品市場も今後拡大すると考えられております。

これに対して、オークファングループは卸売市場におけるSMB(中小企業・個人事業主)を中心としたデジタルトランスフォーメーション(DX)化の遅れに注目し、本事業年度は廃棄ロスの削減を課題とした取り組みを進めてまいりました。

具体的には、創業来培った700億件を超える売買データとAI技術により商品の時価を可視化、価格と販路を最適化する在庫価値ソリューション、SMB(中小企業・個人事業主)を中心とした小売・流通業向けに流通を支援する商品流通プラットフォームを用いて、在庫流動化支援ソリューションを展開してまいりました。卸売市場では今後DX化が必要不可欠であることを再認するとともに、廃棄ロス市場ではリバースロジスティクス(返品物流)分野におけるリーディングカンパニーとなる絶好の機会と捉え、事業を推進しております。

 

当連結会計年度では、商品流通プラットフォーム事業の中核であるNETSEA、NETSEオークションがコロナ特需後もGMV(流通額)の高成長が続き、今後も成長が継続されることを考え、事業の選択と集中並びに注力事業への先行投資を実施いたしました。

 

「在庫価値ソリューション事業」は、データを基にAI技術を活用し在庫の価値を可視化することにより、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化等を推進するソリューションを提供しております。主なサービスとしては当社が保有する流通相場データを活用した『aucfan.com(オークファンドットコム)』となり、主たる収益源は有料課金収入となります。その他、EC販売支援サービス『タテンポガイド』の提供、2021年2月には、専門知識がなくても直感的に操作できるRPAツール『オークファンロボ』の提供を新たに開始しております。なお、小売業の経営課題を解決する在庫管理AIソリューション『zaicoban(ざいこばん)』は、ターゲットとする大手企業への導入にリードタイムを要し売上見込が遅延していることを受け、当社グループの強みであるSMB(中小企業・個人事業主)向けに活用する戦略に変更し、サービスを終了しております。これらの結果、売上高1,820,269千円(前年同期比5.8%減)、営業利益342,864千円(前年同期比6.8%減)となりました。

 

「商品流通プラットフォーム事業」は、企業の在庫・滞留商品等の流通を支援しており、複数のマーケットプレイスの運営や流通を加速させる人材育成スクールの運営等を実施しております。主なサービスとしては、BtoB卸モール『NETSEA(ネッシー)』、滞留在庫・返品・型落ち品などの流動化支援を行う『NETSEAオークション(旧 リバリューBtoBモール)』、副業・複業として物販ビジネスを行なう事業主を対象とするスクール形式の副業支援サービス『good sellers(グッドセラーズ)』がございます。主たる収益源は、NETSEAでは流通手数料収入及び有料課金収入、NETSEAオークションでは商品販売収入となります。なお、当期より顧客ターゲットを当社グループの強みであるSMB(中小企業・個人事業主)向けに変更したことに伴い、寄付型ショッピングサイト「otameshi(オタメシ)」はサービス運営を終了いたしました。

『NETSEA(ネッシー)』及び『NETSEAオークション(旧 リバリューBtoBモール)』を中心として、流通量・利用者の増加が好調に推移しており、さらなる流通額最大化を狙った営業・開発体制の強化及びプロモーションを実施いたしました。また、法人向け卸販売において、債権未回収等の一時的な費用が発生いたしました。

これらの結果、売上高4,998,768千円(前年同期比3.7%増)、営業損失258,825千円(前年同期は324,252千円の営業利益)となりました。

 

「インキュベーション事業」は、事業投資及び投資先企業の支援を通じて、当社が中長期にわたり競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的とした事業セグメントであります。主たる収益源は、営業投資有価証券の売却益、投資先企業へのコンサルティング収益となります。なお、当セグメントでは将来成長の基盤となる新規事業の開発等も実施しております。営業投資有価証券の売却及び投資先企業へのコンサルティング等を実施した結果売上高1,708,458千円(前年同期比34.5%増)、営業利益874,969千円(前年同期比73.7%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は8,344,795千円(前年同期比6.0%増)、営業利益は583,433千円(前年同期比28.9%減)、経常利益は595,095千円(前年同期比26.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は151,423千円(前年同期比64.7%減)となりました。当連結会計年度の自己資本当期純利益率に関しましては2.2%(前年同期比5.4ポイント減)となりました。

 

※1 2021年8月より、サービスの一部である「ReValueBtoBオークション」を「NETSEAオークション」に名称変更

※2 経済産業省 2021年7月30日発表 電子商取引に関する市場調査より推察

※3 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。2015年に国連で採択された2030年までに達成すべき目標

※4 平成28年度法人企業統計(財務省)などを基に当社試算

 

 

② 財政状態の状況

資産の部

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、7,638,182千円(前連結会計年度末は12,169,900千円)となりました。主な要因といたしましては、現金及び預金が391,879千円増加した一方で、受取手形及び売掛金が820,331千円減少、投資先株式の時価評価等により営業投資有価証券が4,298,410千円減少した結果であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、849,102千円(前連結会計年度末は1,213,044千円)となりました。主な要因といたしましては、ソフトウエアが189,816千円減少、のれんが89,256千円減少、繰延税金資産が24,278千円減少した結果であります。

 

負債の部

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、2,241,972千円(前連結会計年度末は2,877,441千円)となりました。主な要因といたしましては、未払金が126,607千円増加した一方で、未払法人税等が368,893千円減少、買掛金が315,797千円減少、短期借入金が133,332千円減少した結果であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、787,270千円(前連結会計年度末は2,389,861千円)となりました。主な要因といたしましては、投資先株式の時価評価により繰延税金負債が1,280,797千円減少、長期借入金が319,976千円減少した結果であります。

 

純資産の部

当連結会計年度末における純資産は、5,458,041千円(前連結会計年度末は8,115,641千円)となりました。主な要因といたしましては、利益剰余金が151,423千円増加した一方で、投資先株式の時価評価によりその他有価証券評価差額金が2,766,127千円減少した結果であります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より391,879千円増加し、3,096,874千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益333,282千円、減価償却費232,139千円、減損損失275,657千円、売上債権の減少額827,693千円、営業投資有価証券の減少額276,795千円、貸倒引当金の増加額272,698千円などの計上に対し、仕入債務の減少額312,086千円、法人税等の支払額599,726千円などにより、営業活動の結果獲得した資金は1,175,715千円(前年同期は824,009千円の獲得)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

貸付金の回収による収入11,125千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入5,902千円などの計上に対し、無形固定資産の取得による支出265,922千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20,435千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出19,969千円などにより、投資活動の結果使用した資金は276,757千円(前年同期は287,410千円の使用)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

短期借入金の返済による支出133,332千円、長期借入金の返済による支出327,786千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出43,200千円などにより、財務活動の結果使用した資金は506,284千円(前年同期は813,361千円の獲得)となりました。

 

なお、当社グループの運転資金及び設備投資資金は自己資金並びに借入金等により充当しております。当連結会計年度末の有利子負債残高は1,704,406千円となり、前連結会計年度末に比べ472,197千円減少しており、自己資本比率は64.2%と依然として高い水準を維持しております。

資金の流動性に関しましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,096,874千円と十分な流動性を確保しております。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループの主たる事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社グループでは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度のセグメント別の販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年10月1日

至  2021年9月30日)

前年同期比(%)

在庫価値ソリューション(千円)

1,699,839

95.0

商品流通プラットフォーム(千円)

4,942,411

102.6

インキュベーション(千円)

1,702,543

134.1

合計(千円)

8,344,795

106.0

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

当連結会計年度

(自 2020年10月1日

至 2021年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社SBI証券 (注)2.3

1,231,246

15.6

野村證券株式会社 (注)2.3

986,400

11.8

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

3.営業投資有価証券の売却による売上金額を記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析

当連結会計年度における売上高は8,344,795千円(前年同期比6.0%増)、営業利益は583,433千円(前年同期比28.9%減)、経常利益は595,095千円(前年同期比26.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は151,423千円(前年同期比64.7%減)となりました。

なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性について

当社グループにおける運転資金需要の主なものは、仕入費用、販売費及び一般管理費の営業費用による営業資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入による資金調達となります。

 

③ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの事業に関連するEC市場規模については、消費者向け(BtoC-EC)及び企業間(狭義BtoB-EC)市場規模においても好調な拡大が今後も継続的に見込まれるものと思われます。

近年における国内のBtoB卸売市場は300兆円(※1)規模と推定されており、海外においてもBtoB卸売分野でのユニコーン企業が誕生するなど、新たな潮流を観測しています。

また、SDGs(※2)に始まり、世界中で廃棄ロス問題が大きくクローズアップされており、国内でも年間約22兆円(※3)規模に達すると試算しております。さらにはEC化率の増加に伴い、返品市場も今後拡大すると考えられております。

2021年9月期においては、商品流通プラットフォーム事業の中核であるNETSEA・NETSEAオークションにて、コロナ特需後もGMV(流通額)が前期比136%(※4)と高成長を続けており、この成長を一層加速させるため、当社グループの強みであるSMB(中小企業/個人事業主)をターゲットとした「NETSEA」、「NETSEAオークション」「aucfan」を注力事業とし、大企業向け・個人向けのサービスからは撤退いたしました。

2022年9月期もさらなる積極投資を継続し、BtoB卸売市場、リバースロジスティクス分野にて圧倒的な地位を確立するべく、事業を推進してまいります。

 

当社グループの成長モデルとして、商品流通プラットフォーム事業ではGMV(流通額)及び売上総利益、在庫価値ソリューション事業ではARR(課金額)及び売上総利益を重要指標として定め、各々を伸ばしてまいります。

今後もサプライヤー成長コンサルティング、海外バイヤーとの連携による新市場の開拓、物流関連業務の提供、グループ間シナジーの強化及び在庫流動化ソリューションサービスの提供により、更なる成長を図ります。また、創業来オークファンが蓄積し続けてきた膨大な商品実売データも活用し、企業のもつ滞留在庫・余剰在庫の価値を可視化し、より積極的に市場再流通を促すことで、当社グループ経由の流通額の拡大を図ってまいります。

商品流通プラットフォームにおきましては各サービスにおける流通高の増加をKPIとしており、掲載商品数の増加(サプライヤーの開拓)を図るべく各種プロモーション強化施策を展開することにより、更なる成長を図ります。

在庫価値ソリューション領域におけるメディア『aucfan.com』においてはUV(ユニーク・ビジター)及び会員数がKPIであります。今後も引き続きプロモーション強化施策、SEO対策、ECサイト各社とのアライアンス強化などによるユーザー(オークファンプロPlus会員数含む)の拡大、運営ノウハウの提供により更なる成長を図ります。

各種商品関連データ蓄積においては、取得件数と対応マーケットプレイス数がKPIであります。今後も引き続きクローリング/スクレイピング技術、データマイニング技術、機械学習などを活かした分析ツールの提供により、更なる成長を図ります。

インキュベーション領域では投資利回り及び情報収集がKPIであります。今後もベンチャー企業を中心とした投資を進めるとともに、当社グループを取り巻く市場環境の最新テクノロジー等の情報を収集してまいります。

 

④ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは「RE-INFRA COMPANY」をコーポレートアイデンティティとし、社会の様々な「RE」を統合した唯一無二のインフラを構築していくという考えのもと、事業を推進しております。「RE」とは、すでにあるものを捉え直し、より良く組み替え、再構成するという意味を含んでおり、当社グループは「RE」に関する様々な機能を繋げ統合することで、モノとそれに関わるヒトの価値を、再配分・最適配分し、廃棄ロスという深刻な社会問題を解決することにより、当社グループのサービス利用者及び顧客の満足度向上を図り、企業価値・株主価値の向上を目指しております。

 

※1 経済産業省 2021年7月30日発表 電子商取引に関する市場調査より推察

※2 Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。2015年に国連で採択された2030年までに達成すべき目標

※3 平成28年度法人企業統計(財務省)などを基に当社試算

※4 NETSEA・NETSEAオークションにおける流通額。感染症対策グッズ流通を除く実力値にて計算

 

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