業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)に記載のとおりであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績等の状況

 当社グループは、中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)において、「①ビジネスモデルの変革」
「②グローバルビジネスの拡大」「③DXへの対応」を成長戦略の柱として掲げ業務推進を行いました。

 当連結会計年度におきましては成長戦略推進のための活動を進めつつ、新型コロナウイルスの影響により営業活動が引き続き制限される中、既存顧客を中心に高付加価値ビジネスの獲得に注力致しました。

 その結果、以下のような経営成績及び財政状態となりました。

 

1)経営成績

当連結会計年度の経営成績は、以下のとおり前連結会計年度比増収増益となりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

売上高

40,203

2.1

売上総利益

9,937

4.6

営業利益

5,440

8.2

経常利益

6,463

22.7

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,577

16.4

 

(環境認識)

 当連結会計年度は新型コロナウイルスへの対策が進捗したものの、社会・経済活動が制限される状況が継続しました。それに伴い半導体を始めとする部品供給や物流が停滞する等経済活動を下押しする状況が続く中、年度終盤にはロシアのウクライナ侵攻も始まり先行きの不透明感が増すこととなりました。

 

(対応方針・施策と実績)

 営業活動が制限され新規顧客や新規案件の開拓を進めにくい状況下、高付加価値ビジネスへのシフトを念頭に置きながら、特に既存顧客からの受注に注力致しました。

 その結果、当連結会計年度は前連結会計年度比増収増益となりました。

 売上高は40,203百万円(前連結会計年度比2.1%増)、売上総利益は高収益ビジネスへのシフト等により利益率が24.1%から24.7%へと向上し9,937百万円(同4.6%増)となりました。

 営業利益は売上総利益増益に加え販売管理費の抑制により5,440百万円(同8.2%増)、経常利益は為替差益の増加と持分法投資損失の減少により6,463百万円(同22.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,577百万円(同16.4%増)となりました。

 

 

(セグメント別)

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

セグメントの名称

売上高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

営業利益

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

21,673

4.7

4,135

16.8

運用・構築事業

5,664

3.0

1,650

3.2

販売事業

12,865

△2.4

1,095

△16.3

セグメント調整

△1,441

合計

40,203

2.1

5,440

8.2

(注)1.売上高はセグメント間の取引を相殺消去しております。

2.各セグメントの営業利益には全社費用を含んでおりません。

 

当連結会計年度では、前連結会計年度比で開発事業と運用・構築事業が増収増益であり、販売事業が減収減益となったものの全体で増収増益となりました。

 開発事業では、前連結会計年度は新型コロナ感染拡大の影響が顧客の主要な業種のひとつである製造業に対する業務において顕著に表れたこともあり減収減益となりましたが、当連結会計年度は回復し増収増益となりました。

 運用・構築事業では、前連結会計年度に引き続き堅調であり、顧客の主要な業種である製造業、金融業、及び大学等に対する業務が伸長し増収増益となりました。

 販売事業では、新型コロナウイルスの影響もあり国内では大学等向け、海外では製造業向けのビジネスが前連結会計年度に比べ減少したことにより当該事業全体で減収減益となりました。

 

2)財政状態

 上記経営成績の結果、当連結会計年度末の財政状態は下記のとおりとなりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度末

(2022年3月31日)

前連結会計年度末比(%)

総資産

40,175

5.9

純資産

25,362

12.8

自己資本比率

62.9%

3.8

 

(総資産)

 総資産は前連結会計年度末比2,230百万円増加しました。

 現金及び預金の増加963百万円、投資有価証券の増加1,394百万円がその主な要因です。

 

(純資産)

 純資産は前連結会計年度末比2,873百万円増加しました。

 親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が前連結会計年度末比2,098百万円増加したこと、及びその他有価証券評価差額金の増加848百万円がその主な要因です。

 

(自己資本比率)

 上記の結果として、自己資本比率は62.9%と前連結会計年度末比3.8%向上しました。

 

②中期経営計画に対する取組み結果

1)経営目標値

中期経営計画最終年度である当連結会計年度の経営目標値に対し、売上高・売上総利益・営業利益は未達であったものの、売上総利益率・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益・一株当たり当期純利益は上回る結果となりました。

(単位:百万円)

 

2019年3月期

実績

2020年3月期

実績

2021年3月期

実績

2022年3月期

目標

2022年3月期

実績

売上高

40,793

43,642

39,386

46,000

40,203

売上総利益

9,086

9,588

9,503

10,600

9,937

売上総利益率

22.3%

22.0%

24.1%

23.0%

24.7%

販売費及び一般管理費

5,007

4,639

4,477

5,000

4,497

営業利益

4,078

4,948

5,026

5,600

5,440

経常利益

4,469

4,951

5,268

5,700

6,463

親会社株主に帰属する

当期純利益

2,023

△612

3,073

3,400

3,577

1株当たり当期純利益(円)

164.14

△49.68

249.12

275.60

289.96

 

2)成長戦略

(ビジネスモデルの変革・DXへの対応)

 当社グループの株式会社SRAにおいて、クラウド技術者の育成、製品・サービスの創出を目的とする「DXチャレンジ」の取組みを全社で行いました。

 その結果、クラウド関連技術の認定資格者が大幅に増加しアマゾン ウェブ サービス(AWS)の認定資格の取得数が100を超える企業として「AWS 100 APN Certification Distinction」に認定されたほか、製品・サービスの創出に向けた取組みが加速・進展しており、今後のビジネス拡大の基盤が強化されました。

 また、クラウド関連のビジネスを強化・拡大する目的で2021年4月にアドバンストクラウドエンジニアリング事業部(“ACE”)を新設いたしました。ACEでは自らクラウド関連ビジネスの拡大を図ることに加え、株式会社SRA内各事業部やグループ各社へのサポートをすることによるシナジー効果創出の役割も担っております。

 更に、クラウド型基幹システムの導入コンサルティングサービスに関しましては、2022年4月にOracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(Oracle Cloud ERP)の自社への導入を行うとともに、「Oracle Cloud ERP導入支援サービス」を開始いたしました。当社グループの今後のクラウドインフラビジネスやコンサルティングビジネスの柱のひとつとすることを目指しております。

 同じく2022年4月には株式会社SRAの組織であった先端技術研究所(“KTL”)を当社の組織として再編いたしました。技術力のシンボルであるKTLを当社グループの統括会社である株式会社SRAホールディングスに移行し、グループ全体の技術やビジネスの連携を一層強化することを企図したものです。

 

(グローバルビジネスの拡大・DXへの対応)

 当社グループでは「成長性の高い東南アジアを中心とした海外市場への展開」を課題の柱のひとつとして掲げております。

 株式会社SRAでは、2020年6月にNAL HOLDINGS JOINT STOCK COMPANY(本社:ベトナム ハノイ市、代表取締役社長:Pham Manh Lan)(NAL)と業務提携契約を締結いたしましたが、更なる関係強化を図るべく2022年3月にNAL株式の36%取得を含む資本・業務提携契約に新たに調印いたしました。

 

3)株主還元方針

 当連結会計年度におきましては、売上総利益・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高水準であり、「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度に比べ10円増配し1株当たりの年間配当を130円といたしました。

 

4)その他の取組み

(人材:活力あふれる組織づくり)

 当社グループでは「DX時代にも優位性をもって対応できる人材を育成し、その人材を活かしたグループ経営を推進する」との方針を掲げ活動を行いました。

 株式会社SRAでは「DXチャレンジ」の一環として事業部単位で目標を設定することで新規技術を扱える技術者の育成を推進することを企図し、クラウド関連の認定資格の取得を強力に推奨・支援することにより技術者層の充実を図りました。

 その結果、AWSの認定資格の取得数が100を超える企業として「AWS 100 APN Certification Distinction」に認定される等注力分野での業務拡大に向けた取組みが形になって表れてきております。

 

(ESGへの取組み)

 当社グループは創業以来、「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念を掲げており、ITでユーザーの満足度を最大化することを通して社会への貢献を果たすべく努力を続けております。

 具体的には、創業以来広く社会に対してオープンソース・ソフトウエアの普及に努めているほか、自社IP製品(P-CON)によるペーパーレス推進提案を通じお客様のESG対応サポートの実施、及び社会インフラの安全性向上に資する技術に関する電力会社との共同開発等を行っております。

 また、当社グループ内での取組みでは、働き方改革の一環としてテレワークや雇用延長への対応を始め、子育て支援制度の改善、多様な働き方に向けた制度の整備を行うなど、勤務環境向上のための施策を進めております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,826百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは△460百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,495百万円でした。

 その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ1,048百万円増加し9,902百万円となりました。

 当社グループはベースの事業活動から得られる営業キャッシュ・フローをもとに、中期経営計画で掲げた「ビジネスモデルの変革」及び「株主還元の更なる充実」の実現に向け、将来の成長のための投資と株主への還元を行っております。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 税金等調整前当期純利益は5,755百万円であり、退職給付に係る負債の増減額△987百万円や為替差損益△827百万円等を勘案、法人税等支払額△2,582百万円であったこと等を反映し、営業活動によるキャッシュ・フローは2,826百万円となりました。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度ではソフトウエアの開発に伴う無形固定資産取得△227百万円、投資有価証券取得△334百万円・同売却158百万円や事業投融資の一環としての貸付けによる支出△178百万円等を行いました。

 その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△460百万円となりました。

 

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 株主還元として「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度期末配当として1株当たり年80円、当連結会計年度中間配当として1株当たり年40円の配当と前連結会計年度比で年10円の増配とし、1,480百万円の配当を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,495百万円となりました。

 

②資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、グループ内の資金を一元的に管理しグループ会社間の資金融通を機動的に行うことにより、効率的な資金運営を行っております。

 また、株式会社SRAにおいては、取引金融機関6社との間で総額5,800百万円のコミットメントライン契約を締結しており、グループベースで資金調達が必要となった場合に機動的に行えるよう備えております。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は9,902百万円、コミットメントラインの未使用枠金額は5,800百万円であることから、十分な流動性を確保しております。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

連結財務諸表の作成で用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

当社グループは、繰越欠損金や税務上と会計上の取り扱いの違いにより生じる一時差異について、税効果会計を適用し繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、その前提となる条件や見積りに変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の繰延税金資産の計上金額に重要な影響を与える可能性があります。

b.退職給付会計

当社グループの従業員に係る退職給付債務及び退職給付費用は、割引率、利息費用、退職率などの数理計算上で設定される前提条件の見積りに基づき算出されております。これらの見積りが変動した場合、将来の退職給付債務及び退職給付費用の計上金額に重要な影響を与える可能性があります。

c. 貸付金・投資有価証券

短期貸付金及び長期貸付金については、貸付先の経営成績・財政状態等に注視して回収可能性を判断しており、貸付先の財政状態の悪化等により貸付金の回収可能性が著しく低下した場合は貸倒引当金を計上しております。

投資有価証券の評価については、市場価格又は合理的に算定された価額のあるものを除き原価法を採用しております。投資先の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合は、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除いて投資有価証券の減損処理を行っております。

上述の見積り及び仮定において、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見積りに用いた仮定が変化し、貸付先又は投資先の経営成績及び財政状態がさらに悪化した場合、翌連結会計年度以降の短期貸付金・長期貸付金及び投資有価証券の計上金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの現時点での会計上の見積りに与える重要な影響はないものと考えております。しかしながら、今後の影響には不確定要素が多く、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績等に影響を与える可能性があります。
 

(4)生産、仕入、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

21,974

7.3

運用・構築事業(百万円)

5,660

2.9

合計(百万円)

27,634

6.4

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

 

 

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

販売事業(百万円)

7,169

6.0

合計(百万円)

7,169

6.0

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

③受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

22,690

9.7

5,758

51.4

運用・構築事業

5,686

5.1

2,661

14.3

販売事業

13,073

6.1

4,193

24.5

合計

41,450

7.9

12,612

32.8

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については相殺処理しております。

④販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

21,673

4.7

運用・構築事業(百万円)

5,664

3.0

販売事業(百万円)

12,865

△2.4

合計(百万円)

40,203

2.1

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本アイ・ビー・エム㈱

4,206

10.7

2,217

5.5

 

 

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