事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業展開上、リスク要因となり得る主な事項を記載しています。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については積極的に開示することとしています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努力する方針ではありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に係るリスク

① インターネット関連市場の動向について

当社グループは、インターネット上における情報プラットフォーム「SPEEDA」、「NewsPicks」、「INITIAL」及び「FORCAS」の運営を主な事業基盤としており、インターネット及び関連サービス等の更なる発展が、当社グループが今後成長を図る上で重要であると考えています。2020年の国内における個人のインターネット利用率は83.4%(出所:総務省「情報通信白書令和3年度版」2021年8月公表)に達しており、スマートフォン及びタブレット端末や高速通信手段の普及が急速に進むなど、インターネットの利用は世間一般に浸透したと評価できる状況です。しかしながら、インターネット利用に関する新たな規制やその他予期せぬ要因により、インターネット利用環境が急激な変化に見舞われ、インターネット利用が阻害された場合、当社グループの事業展開に支障が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

② インターネット広告市場について

インターネット広告市場は拡大傾向にあり、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。

しかしながら、広告市場は企業の景気動向に敏感であるため、今後急激な景気の変化等によってインターネット広告の需要に影響が及ぶ可能性があります。また、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競争状態が継続していくと考えられることから、今後これらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 資本負債構成の適正化について

当社は、当社及び当社グループ会社の成長をより強固なものとするため、事業成長資金の確保と同時に、財務体質強化の一貫として資本負債構成の適正化を目指しています。

当社グループの売上成長や収益拡大のための投資原資には、去る2020年7月に実施した海外公募増資の資金を定められた使途にしたがって用いるほか、順調に成長しており共に安定的に高い収益を生んでいる「SPEEDA」、「NewsPicks」の収益から生まれる手元資金、フリーキャッシュフロー等を充てる予定ですが、返済時点における当社の事業環境、財務状況に鑑みて、別途の手段による資金調達を実施する可能性があり、その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ Apple及びGoogleの動向について

当社グループのサービスである「NewsPicks」において提供するスマートフォン向けアプリは、プラットフォーム運営事業者であるApple及びGoogleにアプリを提供することが現段階における事業展開の重要な前提条件です。「NewsPicks」は、プラットフォーム運営事業者を通さないWEB課金型の事業モデルについて拡大を進めている最中ですが、これらプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による経済的影響について

2020年に感染拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)は、2022年に入っても国内および海外主要各国において終息に向かっておりません。拡大が更に長期化した場合は、深刻な経済的影響が生じ、広告市場の縮小や個人消費の長期的な冷え込みに繋がることが予想されます。当社では、各種イベント開催をオンライン開催に切り替える、経済メディアとして新型コロナウイルスに関するコンテンツを充実させるなど、積極的な対応を行っていますが、世界経済の動向によっては当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) SaaS事業に係るリスクについて

① 競合優位性について

当社グループは、ワンストップで世界の企業・業界情報を把握できるサービス、付加価値の高い分析・リサーチ業務を専門のコンサルタントに依頼することができるサービスを提供することによって、情報サービス産業において独自のポジションを確立し、競争優位性を有した事業展開を図っています。しかしながら、他社により当社サービスの特徴が模倣された場合、同種の機能で価格優位性に優れたサービスが登場した場合には、当社グループの競合優位性が薄れ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 解約リスクについて

「SPEEDA」の利用規約上、サービスの契約期間は基本的に1年間となっており、その後、顧客の意思に従って契約の更新又は解約がなされます。当社としては、出来る限り「SPEEDA」の利用契約が継続されるよう、契約締結後、充実したカスタマーサポートの提供、営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握及び当該ニーズを反映するための機能改善開発に取り組んでおり、2020年9月には24時間以内に専門家のコメントを得られる「FLASH Opinion」機能を、2021年10月には「学術論文動向検索」機能を実装するなど、サービスに新たな価値を付加し続けています。かかる取り組みに加え、「SPEEDA」を利用している顧客数は1,900社以上にのぼり、且つ、顧客属性は分散していることから、解約数が急激に増加するリスクは低いと考えていますが、万が一解約数が急激に増加した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ データサプライヤーとの取引関係について

当社は、「SPEEDA」に格納している財務データ、統計データ等について、複数のデータサプライヤーとそれぞれ契約を締結し、有償提供を受けています。当社は、継続的により良質なデータサプライヤーの開拓に努めると共に、既存データサプライヤーとの良好な関係の維持に努めていますが、データサプライヤーとの契約が当社に極端に不利な条件に変更された場合、又は契約更新が拒絶された場合、あるいは契約が解除された場合には、従来どおり「SPEEDA」に当該データ等を格納することや収益の確保が困難になる、又は収益性を悪化させることとなり、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、企業に関する財務データ、統計データ等について、当該データサプライヤーとの契約締結や、データ格納のタイミングが当初の想定と相違した場合、又は特定の時期に集中するような事態が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、このようなリスクを軽減するためにも、自社グループによるデータ組成も進めています。

 

(3) NewsPicks事業に係るリスクについて

① 競合について

「NewsPicks」は、ソーシャル経済メディアとしてユーザーの獲得・維持に努めていますが、今後、高い資本力や知名度を有する企業等の参入により、競争の激化とユーザーの流出やユーザー獲得コストの増加等が生じ、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。そのような場合には、当社グループが今後競争優位性を発揮し、企業価値の維持向上が図れるか否かは不確実であり、競合他社の状況により当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② サイト運営の健全性等について

「NewsPicks」では、ユーザー自身がインターネット上のニュース記事、ブログ記事、雑誌記事等を投稿できる他、記事に対して、ユーザー自身がコメントを投稿できる仕組みとなっています。したがって、健全性に欠けるコメントや他のユーザーを誹謗中傷するようなコメントがユーザーによって投稿される可能性があります。

当社グループでは、サイト運営に関して利用規約を策定し、サイト上に明示することによってサービスの適切な利用を促すよう努めています。また、同一ユーザーによるコメントの投稿は、システム上、一つの記事に対して一つのコメントに限られる仕様とすることにより、特定のユーザー同士による複数回に渡るコメントの応酬が行われない仕組みとしています。さらにユーザーによる投稿内容が、利用規約で禁止している他のユーザーに対する脅迫、嫌がらせ等に該当する行為、公序良俗に反する内容等、不適切と判断される場合には、運営会社がコメント又は投稿された記事の削除を行うことによって、健全なサイト運営を維持しています。また、専任のコミュニティーチームを設け、ユーザーコミュニティーとの良好な関係の構築にも努めています。

このような体制を構築しているにもかかわらず、不適切な投稿に対して当社グループが十分な対応ができない場合には、当社がサイト運営者として信頼を失う可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ ユーザーの継続率・有料課金転換率について

当社グループの事業にとって獲得したユーザーの継続率は重要な要素であり、当社は継続率向上に取り組むチームを組成しユーザーの利便性の向上や取り扱う情報やサービスの拡充をすることで、継続率の維持及び向上を図っており、その結果としてユーザーの継続率向上の傾向が確認できています。しかしながら何らかの施策の見誤りやトラブル等で、継続率が想定を大きく下回る事態が続いた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、無料ユーザーから有料課金ユーザーへと転換を促す各種施策を講じていますが、有料課金ユーザーの獲得が想定を大きく下回る事態が続いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 海外展開におけるリスクについて

当社グループは、海外でも事業展開を行っており、現在4か国に法人拠点を有しています。海外での事業遂行に関しては、とりわけ以下の追加的なリスクを伴います。

・ 多数かつ広範な国・地域での事業を管理することの困難さ

・ 労働関連法制の変更により就労ビザの取得が困難になるリスク

・ 個人情報やデータの取り扱いに関する法規制の制定・変更に伴い提供サービスへの影響が生じるリスク

・ 海外における資本規制・外国為替規制を含む法令・規制リスク

・ 海外における政策・ビジネス文化等の違いに由来するカルチャーギャップ

・ 外国為替相場の変動

・ 政治情勢に関する事業運営の不確実性

・ テロ行為、戦争、自然災害や感染症その他の社会不安要因

上記のいずれかの事由により、業務に支障を来し、これにより当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当社はこれらのリスクに備えるため、海外展開をしている諸国において弁護士や労務専門家等に都度相談できる体制及び関係の構築に努めています。

 

 

(5) 組織について

① グループ経営における人材の確保について

当社グループでの人材採用・育成にあたっては、各業務分野における専門能力に加え、組織マネジメントの観点から、企業理念・行動指針を理解し実践していく能力を極めて重視しています。また、今後も海外での展開を活発に進めていくことから、グローバル人材の確保が必要となっています。さらに、育成・評価制度の充実により、社員の能力向上とモチベーション向上を重要施策として掲げています。

また、当社グループは、文化的・地理的に多様な背景を有する多数の従業員を有し、かかる人材の管理に関する課題に対処しています。当社グループが有能な人材を確保できない、又は人材を十分に活用できない等の理由により、これらの課題に適切に対処できない場合、当社グループの事業の成長が阻害され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社では「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスと「The 7 Values」で表現される行動原則をグループ全体へ浸透させるためのカルチャーブックの作成、パーパスとThe 7 Valuesに沿った採用基準の明確化や評価制度の設計などの取り組みを行っています。また、多様かつ優秀な人材確保のため、ストック・オプションや従業員持株会を用いたインセンティブ制度の導入、研修制度の充実、ダイレクトリクルーティング・リファーラル採用の強化、採用ポテンシャルプールの創出などの施策を行っており、リーダー層向けの株式報酬制度の導入を進めています。さらに、従業員のモチベーションを定量的且つ継続的に観測するための社内施策を各組織において立案・実行しています。

② 内部管理体制について

当社グループでは、コンプライアンス及びコーポレート・ガバナンスの徹底が企業価値を長期的、継続的に向上させていくために非常に重要であることを理解し、その浸透を図るために様々な制度設計、ポリシーの制定、施策の実施等をおこなっています。また、業務の適正化及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しています。しかしながら、事業の急速な拡大等により、各事業及び連結ベースでの予算管理・資金管理・業務プロセス等内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ システム障害について

当社グループの事業はインターネットを利用しているため、自然災害、事故、不正アクセスなどによって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能などのシステム障害が発生する可能性があります。当社グループでは、システム障害の発生防止のために、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じています。しかしながら、これらの対策を講じているにも拘らず、障害が発生した場合には、当社グループに直接的損害が生じるほか、当社グループのサーバーの作動不能や欠陥等に起因するサービスの停止等については、当社グループのシステム自体への信頼性の低下を招きかねず、当社グループの事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

④ 社内システムの非効率性について

当社グループでは、事業の拡大・管理の効率化等の観点から、社内システムの新規導入・増強などを随時行っています。事業部制が進むにつれ、社内システムに関する相互の連携が必ずしも十分に行われず、個別最適化が進み、効率化が阻害され、当社グループの成長が鈍化する可能性があります。これらのリスクに対応するため、当社では全社的見地からの社内システム導入及び情報セキュリティ対策をモニタリングするため、専門チームをコーポレート部門に設け、各事業や子会社の開発部門と連携するなどして、個別最適化と全社最適化のバランスを図っています。

 

 

(6) 法的規制について

① 情報の管理について

当社グループでは、提供サービスである「SPEEDA」、「NewsPicks」、「INITIAL」及び「FORCAS」並びにこれらに関連するサービスを通じて、多種多様かつ大量の企業情報及び個人情報を取り扱っています。万が一これらの情報が流出・悪用された場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS))を取得しています。ISO/IEC 27001は、個人情報のみならず、企業が保有する機密情報も保護対象としており、全社で個人情報及び機密情報の取扱い並びにインサイダー取引の未然防止に関わる社内規程の整備、定期的な従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報・機密情報取扱状況の内部監査等を実施しており、リモート勤務が主となった昨今においても、これまでと変わらず個人情報・機密情報管理の強化に努めています。加えて、情報漏えいに関する保険加入により、万が一の場合の損害額を減少させるよう努めています。

また、インターネットの普及により個人情報の利活用が増大したことに伴い、個人情報保護の意識が世界的に高まっており、これを反映した個人情報取扱事業者に対する各国の法規制が、当社が提供するサービスに影響する可能性があります。

日本で2020年6月に成立し公布された「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」は、2022年4月1日に施行されることになっています。同改正は、当社が提供するサービスの内容や情報取得の方法等に影響を及ぼす可能性があるため、今後決定される政令、規則、ガイドライン等の内容を踏まえ、適切に対応していきます。また、EU一般データ保護規則(GDPR)や米国カリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act of 2018)、中国の個人情報保護法制等の海外の法規制が当社に適用される可能性についても、随時外部専門家に確認をしながら必要な検討及び取組みを進めています。

② 知的財産権について

当社グループが事業活動を行うに当たり、第三者が保有する商標権、著作権、特許権等の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払い、定期的な社内研修の実施や知的財産権専門の弁護士に随時相談する体制の構築などの対策を行っていますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求、ロイヤリティの支払い要求等が発生する可能性があり、実際に当該事象が発生した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ インターネットにおける法的規制について

現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「著作権法」、「商標法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」等が関係します。以上のように、近年インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきていますが、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の制定又は既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社グループの事業運営が制約を受け、事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、新法令や法令の解釈変更に対して、積極的に情報を得る体制の強化及び顧問弁護士等の専門家との協力体制の構築を行っています。

④ 請負業務について

請負契約の下で行われる業務委託においては、労働関係法令に則った適切な対応が求められます。当社グループでは、請負業務に関する外注管理規程を制定し全社的な問題意識の共有化・定着化を図り、適正な業務委託の徹底に努めています。このような取組みにもかかわらず、請負業務の趣旨から逸脱して業務が遂行され、偽装請負等の問題などが発生した場合には、当社グループの信用を失い、事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 訴訟について

当社グループでは、コンプライアンス規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させること、法令遵守や社会倫理に関する研修を行うことで、法令違反などの発生リスクの低減に努めています。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(7) その他

① 配当政策について

当社は、更なる財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題の一つとして位置づけています。そのため、現時点においては、必要かつ十分な内部留保を確保した上で、事業の効率化を図りながら、事業拡大のための投資を積極的に行っていくことにより企業価値を増大させていくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。他方で、長期的には、配当により株主への利益還元を行うことも重要な経営課題であると認識しており、将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していきたいと考えていますが、現時点において配当実施の可能性及び、その実施時期につきましては未定です。

② 新規事業及びM&Aを伴う業容拡大について

当社グループは、パーパスである「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」ために、非連続な成長を目指していくことを経営方針としています。今後も新規事業開発に加えて、M&A(企業や事業の合併及び買収)を含む積極的な業容拡大を進めていきますが、これらの新規事業開発や業容拡大等がもたらす影響について、当社グループが予め想定しなかった結果が生じ、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、これら新規事業開発や業容拡大等は、その性質上、多額の買収対価や投資資金を必要とする場合があります。そのため、株式交換やエクイティファイナンスにより新株を発行する場合や、金融機関からの借入や社債の発行等により資金調達する場合があります。多数の新株発行や多額の借入又は社債の発行により、株式希薄化や負債比率増加に伴う財務安定性の棄損を招くリスクがあり、かかる場合においては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、業容が拡大してゆく中で、事業の取捨選択方針を誤り、限られた経営資源が分散し、成長事業に十分な資源の投下ができないリスクや、多角化により管理コストが増大するリスク、PMI(M&A後の統合プロセス)が計画通りに進捗しないリスクを招く可能性があります。このようなリスクに対応するため、M&Aを含む新規事業への進出においては、決められた期間において達成すべき業績指標(KPI)を設け、取締役会において各事業をモニタリングしています。

③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、役員、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しており、一部の役員、従業員に対して新株予約権を付与しています。また、ストック・オプション制度に加え、2022年12月期より、報酬の一部を現金ではなく株式又は新株予約権で付与する株式報酬制度を導入します。これらの新株予約権が行使された場合、又は、今後新たに希薄化の可能性を伴う株式報酬制度の導入が行われた場合は、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、2021年12月末現在、新株予約権による潜在株式数は4,100,928株であり、発行済株式総数36,750,126株の11.2%に相当しています。

 

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