業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

<資産>

当連結会計年度末における流動資産は151,706百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,237百万円増加いたしました。これは主に流動資産のその他が1,320百万円減少した一方で、売上債権が11,580百万円、現金及び預金が4,758百万円、棚卸資産が10,364百万円増加したことによるものであります。固定資産は88,682百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,787百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が6,340百万円、無形固定資産が1,720百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、240,388百万円となり、前連結会計年度末に比べ33,025百万円増加いたしました。

 

<負債>

当連結会計年度末における流動負債は66,327百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,802百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が8,447百万円、支払手形及び買掛金が7,982百万円増加したことによるものであります。固定負債は11,326百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,992百万円増加いたしました。

この結果、負債合計は、77,654百万円となり、前連結会計年度末に比べ20,795百万円増加いたしました。

 

<純資産>

当連結会計年度末における純資産合計は162,734百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,229百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益13,117百万円及び剰余金の配当7,054百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は60.4%(前連結会計年度末は65.0%)となりました。

 

<売上高>

当連結会計年度の売上高は214,514百万円となり、前連結会計年度と比べ22.8%増加いたしました。

 

<売上総利益>

経営資源の効率的な活用に一層の努力を続けるとともに、グループ一丸となって業務改革を推進し、生産効率の向上に努めました。この結果、売上総利益は54,084百万円となり、前連結会計年度と比べ9.2%増加いたしました。

 

<販売費及び一般管理費、営業利益>

販売費及び一般管理費は、売り上げ増加に伴う物流費の増加、新規連結会社により増加したことなどにより、2,194百万円増加し、33,736百万円となりました。この結果、営業利益は20,348百万円となり、前連結会計年度と比べ13.1%増加いたしました。

 

<営業外収益、営業外費用、経常利益>

営業外収益は151百万円増加の2,175百万円、営業外費用は894百万円減少の682百万円となりました。この結果、経常利益は21,840百万円となり、前連結会計年度と比べ18.5%増加いたしました。

 

<税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益>

税金等調整前当期純利益は21,616百万円となり、前連結会計年度と比べ19.0%増加いたしました。

また、法人税、住民税及び事業税が439百万円増加の6,906百万円となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は13,117百万円となり、前連結会計年度と比べ21.9%増加いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ、3,812百万円増加し、44,997百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるネットキャッシュ・フローは、11,685百万円の資金増加(前連結会計年度は19,713百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が21,616百万円(同18,159百万円)、減価償却費が6,487百万円(同5,773百万円)となったこと、仕入債務の7,193百万円の増加(同1,813百万円の減少)等の増加要因があった一方で、売上債権の9,391百万円の増加(同3,857百万円の減少)、法人税等の支払額7,160百万円(同6,577百万円)等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるネットキャッシュ・フローは、8,342百万円の資金減少(同9,756百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,695百万円(同5,560百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,945百万円(同294百万円)等の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるネットキャッシュ・フローは、1,114百万円の資金減少(同9,179百万円の資金減少)となりました。これは主に、短期借入金7,536百万円の増加(同141百万円の減少)があった一方で、配当金の支払7,056百万円(同6,921百万円)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,099百万円(同1,253百万円)等の減少要因があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

化成品

107,049

144.34

建装建材

61,675

118.12

合計

168,724

133.51

(注) 金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

b.受注実績

  当社グループは主として見込み生産を行っているため、記載すべき事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

化成品

122,323

135.24

建装建材

92,191

109.51

合計

214,514

122.84

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループにおける経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、中期経営計画の中で、ROE、海外+機能材料売上高、AS商品売上高、経常利益、売上高を取り上げ、目標を設定しております。

当連結会計年度の実績及び中期経営計画は以下のとおりであります。

 

項目

前中期計画

 

1年目

2年目

3年目

2021年3月期
実績

 

2022年3月期

実績

2023年3月期

計画

2024年3月期

策提時計画

ROE

8.1%

 

9.4%

9%以上

10%を目途

海外+機能材料

売上高 ※1

812億円

 

1,147億円

1,250億円

1,150億円

AS商品売上高 ※2

155億円

 

169億円

180億円

210億円

経常利益

184億円

 

218億円

220億円

240億円

売上高

1,746億円

 

2,145億円

2,250億円

2,400億円

※1 連結消去前単純合算売上高

※2 AICA Solution 商品の略。様々な社会課題を解決する商品

 

当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、ワクチン接種の普及もあり新型コロナウイルス・デルタ株による感染者数が減少に転じ、景気の後退から持ち直しの動きが見られました。また、アジア・オセアニア地域の経済につきましては、一部の国と地域で持ち直しの動きが見られました。しかしながら、オミクロン株の感染再拡大、原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の緊迫化などにより、国内外ともに先行きは不透明な状況で推移しております。

国内建設市場においては、住宅着工は、持家や貸家および一戸建ての着工が増加し、前年を上回りました。非住宅関連においても、事務所、店舗、工場、倉庫などの着工面積が増加し、コロナ禍前の水準まで回復しました。

このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「Change & Grow 2400」の方針に基づき、非建設分野向け事業および海外事業の強化、社会課題の解決に貢献する商品群の拡充、利益基盤および経営基盤の強化などを推進いたしました。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高214,514百万円(前年同期比22.8%増)、営業利益20,348百万円(同13.1%増)、経常利益21,840百万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13,117百万円(同21.9%増)となりました。

また、1株当たり当期純利益は200.90円(同36.11円増)、ROEは9.4%(同1.3ポイント増)、海外売上比率は49.2%(同6.5ポイント増)となりました。

なお、財政状態につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。なお、セグメント間の内部売上は除いております。

 

(化成品セグメント)

接着剤系商品は、国内においては、産業用フェノール樹脂などが好調で売上が前年を上回りました。海外においては、中国、タイ、インドネシア、ベトナムを中心に販売量が伸長し、第2四半期連結会計期間より連結業績に組み入れたアイカアドテック社も寄与し、売上を伸ばすことができました。

建設樹脂系商品は、橋梁・土木用の補修・補強材の売上が前年を下回りましたが、外装・内装仕上塗材「ジョリパット」と工場・倉庫向けの塗り床材が好調に推移し、売上を伸ばすことができました。

非建設分野への取り組みとして注力している機能材料事業につきましては、国内においては、電子機器関連用途のUV樹脂、工業用の有機微粒子などが好調で、売上を伸ばすことができました。海外においては、テキスタイル用途やスポーツシューズ用途のウレタン樹脂などが伸長し、第3四半期連結会計期間にコベストロレジン社から譲り受けた大園工場も寄与し、売上を伸ばすことができました。

このような結果、売上高は122,323百万円(前年同期比35.2%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は7,376百万円(前年同期比3.8%増)となりました。

 

(建装建材セグメント)

メラミン化粧板は、国内においては、店舗や事務所などの需要を獲得し、抗ウイルスメラミン化粧板「アイカウイルテクト」など特長のある商品が好調で、売上が前年を上回りました。また、海外においては、中国、インド、タイ、ベトナム、インドネシアを中心に売上を伸ばすことができました。

ボード・フィルム類は、汎用的なポリエステル化粧合板や、粘着剤付化粧フィルム「オルティノ」などが好調で、売上が前年を上回りました。

メラミン不燃化粧板「セラール」は、住宅のキッチンパネル用途、店舗などの需要を獲得するとともに、抗ウイルスメラミン不燃化粧板「セラールウイルテクト」の採用が拡大し、売上が前年を上回りました。

不燃建材は、非住宅向けの不燃ボード「マーレス不燃」などが低調で、売上が前年を下回りました。

カウンター・ポストフォーム商品は、キッチン・洗面カウンター需要を獲得した高級人造石「フィオレストーン」や住宅・公共施設用途のポストフォームカウンターが好調で、売上が前年を上回りました。

建具・インテリア建材は、住宅向け洗面化粧台「スマートサニタリー」が好調で売上を伸ばしましたが、不採算事業の見直しにより、売上が前年を下回りました。

このような結果、売上高は92,191百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益(配賦不能営業費用控除前)は16,379百万円(前年同期比19.1%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度末の借入金残高は17,059百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる成長資金及び有利子負債の返済に対し、当面充分な流動性を確保しております。また、2022年4月において2027年満期ユーロ円建て転換社債型新株予約権付社債を発行しております。

当社グループは新中期経営計画「Change & Grow 2400」の方針に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、研究開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、配当については連結配当性向50%を目処に、安定的な株主還元を行う方針としております。

なお、当社グループのこれらの資金需要につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローによって賄っております。また、事業活動を円滑に行うための資金調達に際しては、事前に充分な検討を加え、低コストで安定的な資金の確保を重視しており、今後において資金需要が発生する場合に備えております。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

・のれん及び無形資産(顧客関連資産等)の減損

 減損の兆候を判断するにあたっては、損益実績及び将来利益計画を用いております。

 のれんの減損の兆候がある場合、減損損失を認識するかどうかの判定は、資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行っております。

 事業環境の悪化により収益性が当初の想定を下回る場合や保有資産の市場価額等が下落する場合には、回収可能価額が低下し損失が発生する可能性があります。

 

 

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