業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で各国における行動制限に緩和の動きが見られ、世界経済は持ち直しの兆候も見えつつありましたが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、世界経済及び金融市場の先行きに対する不安が広がり、わが国経済にも今後、深刻な影響が及ぶ恐れが高まっています。

そのような中、当社グループは新中期経営計画『VISION25/30』をスタートし、その1次年度が終了致しました。グループ連結業績は3事業において増収増益となり、連結営業利益は上場以来、過去最高を更新し、売上高営業利益率は10.5%(新中期経営計画目標値:10.0%)と高水準で着地致しました。半導体資材事業においては、第3四半期連結会計期間以降、巣ごもり特需や世界的サプライチェーンの混乱に伴う過剰在庫の反動により、テレビ出荷台数が大きく落ち込み、グループ連結売上高は期首計画値に対し、若干未達となりましたが、衛生検査器材事業及びPIM事業共に売上高は創業以来過去最高を更新しました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,086百万円(前期比8.1%増)、営業利益324百万円(前期比99.9%増)、経常利益348百万円(前期比84.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は169百万円(前期比125.8%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメント別の経営成績は次の通りであります。

なお、当第4四半期連結会計期間より事業セグメントの記載順序を変更しております。

また、第3四半期連結会計期間より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを追加しており、当連結会計年度の比較・分析は追加後の区分に基づいております。

 

半導体資材事業

当事業においては、第3四半期連結会計期間に入り、北米での巣ごもり需要の落ち着きとコンテナ不足、材料不足などのサプライチェーンの混乱に伴う、先行き不安から来ていた過剰在庫の調整局面等、テレビ需要の世界的な落ち込みが続き、通期販売数量は前期比10.0%減となりました。売上高においては8K対応スペーサーテープ等の高付加価値製品の比率拡大、円安・韓国ウォン/台湾ドル高により、前期比0.9%増となりました。当第4四半期連結会計期間に入り、テレビ市場においては、やや持ち直しの兆しはありますが先行き不透明な状況は当面続くと考えております。

また、主原料であるPETフィルムにおいても世界的な情勢不安から今後、高騰することが確実となっており、新中期経営計画『VISION25/30』達成に向けた、リカバリー策を早急に講じて参ります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,246百万円(前期比0.9%増)、営業利益129百万円(前期比83.8%増)となりました。

 

 

衛生検査器材事業

当事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、新たな生活様式における食生活の変化、即ち内食需要の急増により、大きく伸長したと考察しております。併せて、東京、大阪に次ぐ第3の営業拠点を福岡にも開設し、従来のテレマーケティングだけではカバーしきれないきめ細かな営業活動も奏効致しました。培地製品の売上高は前期比で111.9%、シャーレ製品においては株式会社HIROTSUバイオサイエンス向けがん検査用シャーレ(N-NOSE)の需要増も相まって、年間販売数量は過去最高の8,200万枚、前期比107.5%となりました。

原価面においては、現在も高騰の一途であるシャーレの主原料であるPS(ポリスチレン)材は第3四半期連結会計期間以降に影響が生じておりますが、シャーレの成形サイクル向上、IoTの進化や自動化による合理化など更なる原価低減活動の効果により、当連結会計年度における当事業の売上総利益及び売上総利益率(52.3%)は創業以来過去最高となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,678百万円(前期比9.2%増)、営業利益146百万円(前期比131.3%増)となりました。

 

PIM(パウダー・インジェクション・モールディング)事業

当事業においては、初の自動車用ターボ部品の量産開始や超精密かつ難形状・難素材の高機能部品の受注獲得に向け、要素技術開発及び工法開発を中心に高度なモノづくり力による量産化技術確立に向け、敢えて、前期までの2年間は営業活動を抑制しておりました。当連結会計年度に入り、2021年12月より、自動車用ターボ部品5品番の量産を開始致しました。また、世界に先んじて回復してきた中国経済の影響により、直動型ベアリングやセラミックス製CMOSセンサー等の高機能部品が伸長し、売上高及び営業利益共に創業以来過去最高となりました。

現時点での量産部品は自動車用ターボ部品の5品番を含め、計32品番まで拡大しております。また、新規に3件の試作案件を受注致しました。今後は当社グループ独自のPIM技術とこの2年間で培った高度なモノづくり力を融合させ、新中期経営計画『VISION25/30』達成に向け、本格的な拡販活動に邁進して参ります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は149百万円(前期比78.6%増)、営業利益45百万円(前期比59.5%増)となりました。

 

その他の事業

不動産賃貸業

当社は約29,285坪の敷地に5,827坪の平屋の工場と3棟のテント倉庫(562坪)を保有しております。この2年間の生産変革活動の中で、全事業部全製品の1個当たりの生産タクトの低減を中心とした生産性の向上と省スペース化の為の間締めに加え、品質改革の推進により、滞留しないモノづくりによる生産リードタイムの低減を全員参加の全社活動として推進して参りました。その結果、1,500坪の余剰スペースを創出することが可能となり、2021年12月より、1,000坪の空きスペースを完全に別スペースに仕切り、不動産賃貸業としてスタートしました。来期は当事業で34百万円の収入を見込んでおり、高騰するシャーレ等の原材料費のリカバリー策として進めて参ります。東海・近畿の中間点として名神高速道路からのアクセス1分のロケーションと広大な敷地での需要は非常に高く、先ず1年契約で大手物流・FAシステムメーカーに単独で賃貸致します。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は11百万円、営業利益3百万円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ201百万円増加し、973百万円となりました。

また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動による資金の収入は創業以来過去最高の800百万円(前期は457百万の収入)となりました。

税金等調整前当期純利益255百万円、法人税等の支払額25百万円により差引229百万円の増加、減価償却費276百万円の増加、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増減により74百万円の増加等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動による資金の支出は421百万円(前期は407百万円の支出)となりました。

設備投資による有形固定資産445百万円の支出増加等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動による資金の支出は179百万円(前期は196百万円の収入)となりました。

長期借入れによる収入による増加750百万円のほか、長期借入金の返済による減少901百万円等によるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

723,577

105.9

衛生検査器材事業

669,789

115.7

PIM事業

31,126

221.6

合計

1,424,493

111.6

 

(注) 1. 金額は、製造原価によっております。

2. 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照願います。

 

(b) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

衛生検査器材事業

190,396

104.8

PIM事業

12,146

139.1

合計

202,542

106.4

 

(注)  金額は、仕入価格によっております。

 

(c) 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(千円)

前期比(%)

受注残高
(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

1,246,840

99.5

81,310

80.3

 

(注) 1. 金額は、販売価格によっております。

2. 衛生検査器材事業及びPIM事業は受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

 

(d) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

1,246,840

100.9

衛生検査器材事業

1,678,772

109.2

PIM事業

149,093

178.6

その他の事業

11,468

合計

3,086,173

108.1

 

(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高
(千円)

割合
(%)

販売高
(千円)

割合
(%)

STEMCO CO., LTD.

356,953

12.50

332,342

10.77

SERVEONE CO.,LTD.

353,163

12.37

266,039

8.62

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析

 (流動資産の部)

当連結会計年度末の流動資産は、1,920百万円(前期は1,804百万円)、115百万円の増加(前期比6.4%増)となりました。これは、「現金及び預金」が201百万円、「商品及び製品」が90百万円増加する一方、「売掛金」が84百万円、「原材料及び貯蔵品」が27百万円、「流動資産その他」(未収入金)が64百万円減少したこと等によるものです。

 

(固定資産の部)

当連結会計年度末の固定資産は、3,871百万円(前期は3,939百万円)、68百万円の減少(前期比1.7%減)となりました。これは、「繰延税金資産」が42百万円、「投資その他の資産」(保険積立金)が17百万円減少したこと等によるものです。

この結果、総資産は、5,791百万円(前期は5,743百万円)、47百万円の増加(前期比0.8%増)となりました。

 

(流動負債の部)

当連結会計年度末の流動負債は、1,498百万円(前期は1,551百万円)、53百万円の減少(前期比3.4%減)となりました。これは、「電子記録債務」が40百万円増加する一方、「1年内返済予定の長期借入金」が85百万円、「営業外電子記録債務」が27百万円減少したこと等によるものです。

 

(固定負債の部)

当連結会計年度末の固定負債は、2,390百万円(前期は2,471百万円)、80百万円の減少(前期比3.3%減)となりました。これは、「長期借入金」が65百万円、「リース債務」が25百万円減少したこと等によるものです。

この結果、負債合計は、3,888百万円(前期は4,022百万円)、134百万円の減少(前期比3.3%減)となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、1,902百万円(前期は1,720百万円)、181百万円の増加(前期比10.5%増)となりました。これは、「利益剰余金」が 147百万円、「為替換算調整勘定」は円安・韓国ウォン/台湾ドル高の影響により14百万円増加したこと等によるものです。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度のグループ連結売上高は、3,086百万円(前期は2,855百万円)、230百万円の増収(前期比8.1%増)となりました。

当連結会計年度における売上高の概況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(売上原価)

売上原価は、1,509百万円(前期は1,530百万円)、21百万円の減少(前期比1.4%減)となりました。

また売上原価の比率は、48.9%(前期は53.6%)となりました。

売上総利益は1,577百万円(前期は1,325百万円)、251百万円の増益(前期比19.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、1,252百万円(前期は1,163百万円)、89百万円の増加(前期比7.7%増)となりました。これは、給料及び手当298百万円、荷造運賃発送費204百万円が主な要因であります。

 

(営業利益)

営業利益は、324百万円(前期は162百万円)、161百万円の増益(前期比99.9%増)となりました。

 

(営業外損益)

営業外損益は、24百万円の収益(前期は27百万円)、2百万円の減少(前期比9.1%減)となりました。これは、営業外収益として為替差益7百万円、助成金42百万円、営業外費用として支払利息17百万円、減価償却費12百万円の計上が主な要因であります。

 

(経常利益)

上記の結果、経常利益は348百万円(前期は189百万円)、159百万円の増益(前期比84.3%増)となりました。 

 

(特別損益)

特別損益は、93百万円の損失(前期は77百万円)、16百万円の減少(前期比21.3%減)となりました。これは、特別利益として保険金収入43百万円、特別損失として固定資産除却損82百万円及び減損損失62百万円の計上が主な要因であります。 

 

(法人税等)

法人税等は、42百万円(前期は29百万円)、12百万円の増加(前期比44.2%増)となりました。

 

(法人税等調整額)

法人税等調整額は、43百万円(前期は7百万円)、35百万円の増加(前期比469.8%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、169百万円(前期は75百万円)、94百万円の増益(前期比125.8%増)となりました。

当連結会計年度における利益の概況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当連結会計年度は、フリーキャッシュ・フロー(営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計)は、378百万円増加(前期は49百万円の増加)、前期比329百万円の増加となりました。当社グループは、フリーキャッシュ・フローを戦略的投資または負債返済に充当可能な資金の純額、或いは、資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えております。

 

(資本の財源及び資金の流動性に関する情報)

当社グループの主な資金需要は、事業活動に要する運転資金、生産及び主としてPIM事業による研究開発に要する設備投資等であり、自己資金、或いは金融機関からの短期・長期借入金等により必要資金を調達しております。当社グループは、金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、長期借入金を中心に必要資金を調達しています。

資金の流動性につきましては、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じた外部資金の調達を柔軟に行うことにより維持して参ります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。当社は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表」の「追加情報」に記載しております。

 

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