業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。

①経営成績等

(財政状態)

当社は「医薬品事業」のみを報告セグメントとしており、当連結会計年度の連結業績は以下の通りです。

当連結会計年度末の総資産は3,028億5千8百万円となり、前連結会計年度末と比べて29億9千7百万円増加しました。これは主に、有価証券の償還による現金及び預金の増加、売上増加に伴い製品及び商品が減少したことによるものです。

当連結会計年度末の負債合計は479億7千2百万円となり、前連結会計年度末と比べて19億2千万円増加しました。これは主に、未払法人税等の増加によるものです。

当連結会計年度末の純資産合計は2,548億8千5百万円となり、前連結会計年度末と比べて10億7千6百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加、自己株式の取得による自己株式の増加及び為替の変動に伴う為替換算調整勘定の増加によるものです。

(経営成績)

売上高は、1,201億9千3百万円(前年同期比5.0%増)となりました。

国内市場において、医療用医薬品事業は、今年度に初めて実施された薬価の中間年改定や、継続的な後発品使用促進策による影響を引き続き受けましたが、経皮吸収型ドパミン作動性パーキンソン病治療剤「ハルロピテープ」の売上が伸長したことや、デジタルマーケティングを効果的に活用したことに加え、2020年4月の全国を対象とした緊急事態宣言下における受診抑制の反動もあり、前年同期比4.5%の増収となりました。なお、経皮吸収型持続性がん疼痛治療剤「ジクトルテープ」は2021年3月に製造販売承認を取得し、同年5月に販売を開始しました。また、経皮吸収型 持続性疼痛治療剤「フェントステープ」は2021年8月に小児がん疼痛患者への適応拡大に関する承認事項一部変更承認を取得しました。一般用医薬品事業は、厳しい販売競争に加え、昨年に限定商品を発売したことの反動等を受け「サロンパス」の売上が減少しましたが、昨年と比べて鼻炎市場が回復傾向にある影響によって「アレグラFX」が売上を伸ばしたこと等により、前年同期比5.1%の増収となりました。今後も引き続き、店頭・デジタルマーケティングの双方を活用した効果的な販促活動を行っていきます。また、2021年9月には機能性表示食品「Hisamitsu歩かんと」を当社の通信販売サイト「HisamitsuいきいきOnline」限定で発売し、さらに2021年10月には当社の貼り薬で使用している“伸縮性不織布”を採用した「貼り薬の不織布で作ったマスク」を発売しました。特にひもがない「貼るタイプ」のマスクは当社が培ってきた貼付剤技術を活用した、耳のかぶれや痛みなど、耳へのストレスがかからない商品です。このように当社は医薬品の枠を超えて、お客様のQOL向上に貢献できる様々な商品をお届けしてまいります。

一方、海外市場において、医療用医薬品事業は、米国で後発品の影響を受けたものの、その他の地域では売上を伸ばし、前年同期比0.3%の増収となりました。一般用医薬品事業は、一部地域において新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受けたものの、米国及びアジアを中心としたその他の地域で売上を伸ばし、前年同期比8.2%の増収となりました。

営業利益は、93億3千7百万円(前年同期比12.5%減)となりました。主な要因は売上構成の変化及び薬価改定の影響による売上原価率の増加に加え、世界的な物流網の混乱の影響による物流費の増加や販促活動の増加に伴う販売促進費の増加により販売費及び一般管理費が増加したことによるものです。

経常利益は、126億3千8百万円(前年同期比6.8%増)となりました。主な要因は為替差損が為替差益に転じたことによるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は、96億5千8百万円(前年同期比4.4%増)となりました。経常利益の増加に加えて、投資有価証券売却益を計上したことによるものです。

 

 

 

〔地域別売上高〕

(単位:百万円)

 

2021年2月

2022年2月

増減額

増減率

売上高

114,510

120,193

+5,683

+5.0%

医療用医薬品

日本

52,181

54,546

+2,365

+4.5%

海外

13,885

13,923

+37

+0.3%

 米国

10,169

9,586

△583

△5.7%

 その他地域

3,715

4,336

+621

+16.7%

一般用医薬品

その他

日本

20,239

21,280

+1,041

+5.1%

海外

25,454

27,541

+2,086

+8.2%

 米国

12,087

12,519

+432

+3.6%

 その他地域

13,367

15,021

+1,654

+12.4%

その他事業

日本

2,749

2,901

+152

+5.5%

 

 

[医薬品事業]

当連結会計年度の国内の医療用医薬品事業につきましては、今年度に初めて実施された薬価の中間年改定や継続的な医療費抑制策の推進による影響もあり、先行きが不透明な環境下で推移しました。

このような状況の中、当社は、経皮吸収型貼付剤を中心として、デジタルマーケティングを効果的に活用しながら、医療関係者への適正かつ、きめ細やかな学術情報活動、すなわち有効性・安全性に関する情報の提供・収集活動を展開するとともに、ケトプロフェン含有の経皮鎮痛消炎剤「モーラス テープ」及び「モーラス パップXR」、経皮吸収型エストラジオール製剤「エストラーナ テープ」、鎮痛効果の高いフェンタニルクエン酸塩含有の経皮吸収型持続性疼痛治療剤「フェントス テープ」、オキシブチニン塩酸塩含有の経皮吸収型過活動膀胱治療剤「ネオキシ テープ」、エメダスチンフマル酸塩含有の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤「アレサガ テープ」などの適正使用促進活動に努めました。

2021年5月には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含有する経皮吸収型製剤として、本邦初のがん疼痛治療剤となる経皮吸収型持続性がん疼痛治療剤「ジクトル テープ」の販売を開始しました。さらに、2021年8月に腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群及び腱鞘炎への効能追加に関する承認事項一部変更承認申請を行いました。

次に、国内の一般用医薬品事業につきましては、経皮鎮痛消炎剤などの販売に加えて、新商品を投入し、店頭・デジタルマーケティングの双方を活用して新規顧客創造活動に努めました。

2021年8月には、当社従来品に比べサイズを縮小し、シップ剤をティッシュの様に1枚ずつ取り出すことができる利便性の高い新パッケージを採用した「のびのび サロンシップ フィット 10枚入」、同年9月には、機能性表示食品の「Hisamitsu 歩かんと 」、同年10月には、当社の貼り薬で使用している伸縮性不織布を採用した「貼り薬の不織布で作ったマスク」を新発売しました。同年10月には、健康食品を中心に通信販売を行っていた「Hisamitsu いきいきOnline 」にて、医薬品の取扱いを開始しました。

また、2022年1月には鎮痛消炎プラスター剤「ら・サロンパス 」をリニューアル発売しました。今回のリニューアルではESG推進の一環として、従来のパッケージサイズを縮小し、紙の使用量を低減するとともに、薬袋の開封口を広げて使いやすくしております。

海外の一般用医薬品事業につきましては、販売促進活動に努め、米国のOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤市場においてサロンパス ブランドが販売額シェア1位(2021年1月から12月累計販売金額)を獲得しています(Information Resources,Inc.)。

また、ユーロモニター社より、「Salonpas 」がOTC医薬品(一般用医薬品)市場の鎮痛消炎貼付剤カテゴリーにおいて、5年連続で販売シェア世界No1ブランドの認定を受け、また、同カテゴリーにおいて「久光製薬」が4年連続で販売シェア世界No1企業の認定を受け、2021年5月18日に認定証を授与されました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して51億6百万円減少し、862億4千7百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは191億9千9百万円の収入(前連結会計年度は52億8千9百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(129億5千6百万円)、減価償却費(43億2千1百万円)、売上債権の減少額(21億9千1百万円)、たな卸資産の減少額(30億7千3百万円)、仕入債務の減少額(21億9千6百万円)などによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは130億6千万円の支出(前連結会計年度は78億1千5百万円の収入)となりました。これは主に、定期預金の増加額(110億7百万円)、有形固定資産の取得による支出(36億1千万円)、有価証券の減少額(14億9千8百万円)などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは151億8千9百万円の支出(前連結会計年度は71億8千7百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(80億4千3百万円)、配当金の支払額(68億3千9百万円)などによるものです。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

自己資本比率(%)

82.3

83.5

80.9

84.1

83.5

時価ベースの

自己資本比率(%)

218.4

153.7

128.4

181.0

96.4

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率(%)

0.07

0.12

0.06

0.30

0.13

インタレスト・カバ

レッジ・レシオ(倍)

935.7

800.5

1,387.1

531.8

936.7

 

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

101,710

0.2

合計

101,710

0.2

 

(注) 1 金額は販売価格により算定したものです。

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

(受注実績)

当社グループは受注生産は行わず、全て一般市場の動向等を勘案し、見込生産を行っています。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

117,291

4.9

その他

2,901

5.5

合計

120,193

5.0

 

 

(注) 1 主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱メディパルホールディングス

15,928

13.9

15,331

12.8

アルフレッサホールディングス㈱

14,535

12.7

13,823

11.5

 

2 上記金額には消費税等は含まれていません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。

 

②資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、円滑な事業活動に必要となる流動性の確保と財務の健全性及び安全性の確保を資金調達の基本方針としており、市場環境等を考慮した上で、有効かつ機動的な資金調達を実施していきます。資金需要としては、製品製造費用、商品仕入、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資が中心となりますが、資金の源泉については、内部資金を充当しています。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2021年9月17日発表の「第7期中期経営方針」において、ROE(自己資本利益率)8%以上を2025年度の目標としています。

当連結会計年度における、ROE(自己資本利益率)は3.8%(前年同期比0.1ポイント増)となりました。

目標達成に向けた主な取組課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。

この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いています。会計上の見積り及び該当見積りに用いられた仮定が特に重要な影響を及ぼすと考えられる、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りは、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき合理的に判断し実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。

 

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