業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況 

当連結会計年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中、変異株の流行もあり、前年度に引き続き先行き不透明な状況で推移しました。医薬品業界では、社会保障費財源確保の問題を背景とする薬剤費抑制政策が継続的に推し進められる中、2021年4月には薬価の中間年改定が行われました。また企業間競争も加速しており、引き続き厳しい事業環境にあります。

このような状況下、当連結会計年度における当社グループは、事業環境の変化にも対応し持続的に成長し続けるために、利益重視と将来への投資の継続を基本方針とし、「新薬等への注力」「次世代の柱構築のための継続的な投資」「選択と集中による、リソースの戦略的再配分」に重点的に取り組んでまいりました。医薬品関連事業では、循環器、産婦人科、精神科、消化器の重点領域等へリソースを集中し、主力製品を中心とした学術情報提供活動を積極的に展開いたしました。また、ヘルスケア事業は、敏感肌用スキンケアのパイオニアとして事業活動を行い、マーケティングの強化に努め市場開拓を図ってまいりました。

当連結会計年度の売上高は、110,179百万円で前期比7.0%の増収となりました。

利益面につきましては、研究開発費の増加を主な要因として販売費及び一般管理費が増加しましたが、医薬品関連事業の売上高増加に伴い売上総利益が増加したことにより、営業利益は14,392百万円で前期比19.9%の増益、経常利益は14,799百万円で前期比20.7%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は10,569百万円で前期比23.1%の増益となりました。

各事業部門の業績は次のとおりであります。

 

1.医薬品関連事業

医薬品関連事業の売上高は104,447百万円で前期比7.4%の増収となりました。薬価改定の影響を受けたものの、新薬の抗うつ剤「レクサプロ」、潰瘍性大腸炎治療剤「リアルダ」、慢性便秘症治療剤「グーフィス」「モビコール」、及び月経困難症治療剤「ディナゲスト」の売上高が伸長しました。また、2020年5月に販売を開始した痛風・高尿酸血症治療剤「ユリス」も寄与しました。一方、長期収載品の高脂血症・閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」、及び持続性Ca拮抗降圧剤「アテレック」の売上高は、前期を下回りました。後発品事業の売上高は前期を上回りました。ロイヤリティ収入も前期に比べて増加しました。

 

2.ヘルスケア事業

ヘルスケア事業の売上高は5,732百万円で前期比0.4%の増収となりました。「コラージュフルフルシリーズ」の抗真菌成分配合シャンプー・リンス・石鹸、同シリーズの育毛剤、及び基礎化粧品「コラージュリペアシリーズ」の売上高が伸長しました。

 

<新型コロナウイルス感染症への取り組み及び業績への影響について>

新型コロナウイルス感染症に対しては、従業員及び事業関係者への感染防止、製品の安定供給体制の維持を中心に取り組んでまいりました。

当社は、社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、当社グループにおける感染防止と事業継続の両面で方針等を決定しております。従業員に対しては、在宅勤務や時差出勤を推奨し、感染防止の徹底を図っております。また、新型コロナウイルス感染症の患者様の対応にあたる医療関係者の皆様を支援する目的で、昨年度に引き続き寄付を実施いたしました。

MR(医薬情報担当者)の活動においては、各医療機関の状況を個別に把握しつつ、デジタルマーケティングを積極的に活用した情報提供を行っております。

研究・開発については、症例登録の遅延や治験実施施設の追加等が生じているプロジェクトが一部ありますが、概ね計画通りに進んでおります。

医薬品製造については、原薬及び製剤製造のサプライチェーンにおいて、新型コロナウイルス感染症に起因する重大な事象は発生しておりません。製品を安定的に供給できる体制を維持すべく、取り組んでおります。

事業活動において、一部、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られるものの、当連結会計年度の売上高及び利益に対する影響は軽微でした。

 

② 財政状態の状況
(資産)

当連結会計年度末における流動資産は121,448百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,654百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が減少したものの、有価証券や売掛金(前連結会計年度は、受取手形及び売掛金)が増加したことによるものです。固定資産は41,691百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,306百万円減少しました。これは主に、建設仮勘定が増加したものの、投資有価証券が減少したことによるものです。

この結果、総資産は、163,139百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,347百万円増加しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は29,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,146百万円増加しました。これは主に、未払法人税等が減少したものの、支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。固定負債は4,636百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,469百万円減少しました。これは主に、固定負債のその他に含まれる長期未払金が減少したことによるものです。

この結果、負債合計は、34,493百万円となり、前連結会計年度末に比べ323百万円減少しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は128,646百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,671百万円増加しました。これは主に、配当金の支払いによる利益剰余金の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加があったことによるものです。

この結果、自己資本比率は78.9%と前期比0.4ポイント増加しました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ472百万円減少し、当連結会計年度末には40,515百万円となりました。

主な内容は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は7,459百万円(前期は9,198百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払3,616百万円があったものの、税金等調整前当期純利益が14,591百万円であったことに加え、減価償却費2,689百万円の発生によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は2,007百万円(前期は880百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(純額)5,600百万円があったものの、有価証券の取得による支出(純額)4,500百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出2,988百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は5,956百万円(前期は5,112百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払3,445百万円、自己株式の取得による支出2,511百万円があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

 a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品関連

72,872

5.1

ヘルスケア

5,894

0.8

合計

78,767

4.8

 

(注) 金額は正味販売価格によっております。

 

 b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品関連

20,777

12.3

合計

20,777

12.3

 

(注) 金額は実際仕入額によっております。

 

 c.受注状況

当社グループは主として見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

 d.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品関連

104,447

7.4

ヘルスケア

5,732

0.4

合計

110,179

7.0

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱メディセオ

20,322

19.7

22,783

20.7

㈱スズケン

17,586

17.1

18,602

16.9

アルフレッサ㈱

16,976

16.5

17,390

15.8

東邦薬品㈱

10,299

10.0

10,559

9.6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、その時点で最も合理的と考えられる基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。

なお、業績への影響につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について 

中核とする医薬事業は医薬品関連法規等の規制を受けており、医療制度改革、後発品の使用促進及び薬価改定等の医療費適正化策の動向、及び主力品の市場における競争状況が経営成績に継続的に影響を及ぼす要因として認識しております。また、経営成績に大きな影響を与える要因となる可能性があるリスクについては、「2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

当連結会計年度は、こうした諸要因のインパクトも計画に織り込み、事業に取り組みました。その結果、医薬品関連事業は、新薬の売上高が伸長、後発品使用促進策の影響を主な要因として長期収載品の売上高が低下、後発品の売上高がやや伸長しました。またヘルスケア事業も主要製品が伸長したことにより、(1)① 経営成績の状況に記載のとおりの経営成績となったと認識しております。

また、当連結会計年度を含む中期経営計画(「21-23中期経営計画」)においては、「新薬等への注力」「次世代の柱構築のための継続的な投資」「選択と集中による、リソースの戦略的再配分」に重点的に取り組むことを掲げておりました。当連結会計年度については、「レクサプロ」「リアルダ」「グーフィス」「モビコール」「ユリス」等の新薬への注力、開発パイプライン品目の進展及び拡充のための取り組み、及び将来に向けた研究開発等への継続投資を行いました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、運転資金、研究開発や企業提携等への資金及び設備資金であり、これらの必要資金は、主に利益の計上により生み出される自己資金により賄っております。また、当社グループでは、安定した資金調達手段を確保し、機動的に資金調達を行うため特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。

 

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