研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1) 研究開発への取り組み

当社は、体外診断用医薬品において化学発光法や核酸増幅法などの技術が普及し、検査薬市場が飽和傾向にあるなか、診断と治療の一体化による迅速かつ的確な患者診療が行われる医療体制の確立並びに患者サービスの効率化を実現するため、商品価値の向上につながるPOCT検査薬の技術革新、新製品開発及び性能改善などの研究開発を行っております。また、次世代の新規技術の創出を目的とし、免疫精密測定分野及び微生物遺伝子検出分野における新規検査薬の技術開発活動も行っております。

 

 

(2) 研究開発体制

研究開発については、開発企画部が開発計画を統括し、開発部にて研究開発活動及び生産移管を実施しております。

開発企画部では、テーマ探索、新製品開発及び改良改善におけるテーマ企画、開発品の製品像となる顧客ニーズと差別化を重点とした設計開発仕様の設定並びに完成した開発品の外部評価を基本とした妥当性確認の実施など、インプット及びアウトプットの両面を司っており、本社と関東に分割して2021年度は6名体制で対応しております。

開発部は、29名体制で、呼吸器と消化器を主とした感染症診断薬及び測定装置の開発を行っており、本社の免疫試薬開発グループ16名とPCRを中心とした久留米の遺伝子研究所の遺伝子試薬開発グループ13名から構成され、新製品の早期開発及び改善改良を行っております。また、POCTシステムに求められる機器の開発並びに操作性を向上させるためのデバイスや付属品の開発・製造につきましても、積極的に外部へアウトソーシングすることで、スピーディーかつ低コストの開発を実現しております。なお、全ての検査薬、医療機器の開発において、ISO13485に基づく設計開発組織による製品開発並びに製品の量産化活動を行っております。

 

(3) 主な研究開発活動とその成果

当事業年度における主な研究開発活動とその成果は、以下のとおりであります。

免疫試薬開発チームは、2020年より富士フイルム株式会社と共同開発を着手しておりました新型コロナウイルス抗原の高感度POCT検査試薬「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」を開発し、販売を開始いたしました。イムノクロマト法POCT検査薬については、機器を用いることで、自動判定による客観性の向上やプリントアウトによる効率的かつ正確な検査結果の記録が可能となる、クイックチェイサーシリーズ専用のデンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を開発のうえ販売を開始いたしました。これに合わせ、業界トップの項目群となるクイックチェイサーシリーズ製品を「スマート QC リーダー」適応試薬としてリニューアル化いたしました。このほか、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検出するキットについて、「スマート QC リーダー」に適応する「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu」、目視判定用の「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu A,B」をそれぞれ開発し、販売を開始いたしました。冬期に新型コロナウイルスの流行と同時感染が危惧されるインフルエンザウイルスを、同時かつより迅速に鑑別可能なキットとして期待されております。

遺伝子試薬開発チームは、POCT遺伝子検出技術の研究開発に取り組み、1つのカートリッジと小型の専用装置により、遺伝子の抽出・増幅・検出を1ステップで行うことができる独自の技術で特許を出願し、遺伝子POCT検査システムの開発を推進しております。2018年10月に、業界では先発となるPOCT遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」を発売いたしました。2020年新たに発生し、全世界で急激に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症については、遺伝子POCT検査キットの開発にチーム全員体制にて集中して取り組み、わずか1時間で検査結果が分かる画期的な製品として同年8月に公的保険適用を受け、研究用試薬として販売を開始いたしました。当事業年度においては、2021年4月に体外診断用医薬品としての製造販売の承認を取得、品質も向上した新型コロナウイルス遺伝子検出試薬「スマートジーン SARS-CoV-2」を研究用試薬からの切り替え品として発売しました。本装置及びこれらのキットの評価・改善を継続するとともに、新たな検査項目として、呼吸器感染症項目、消化器感染症項目、泌尿器感染症・婦人科感染症項目及び薬剤耐性菌項目を選定し、検査キットの実現化に向け、研究開発に取り組んでおります。

 

(4) 研究開発活動の総額

当社の研究開発体制は開発企画部及び開発部が担当し、全従業員の19.1%に相当する33名のスタッフが各グループに分かれて行っており、当事業年度における研究開発費の総額は592百万円であります。

 

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