業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症への規制緩和が進み、国内景気は緩やかに持ち直しましたが、世界的な景気回復を背景に材料価格の上昇が続く中、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格の高騰と短期間での円安進行により多くの物価が上昇し、企業活動に様々な影響を与えることになりました。

 当社に関連の深い住宅業界については、新設住宅着工戸数は年間を通して前年同月比を上回り、累計ではコロナ禍前の水準に迫るまでになりました。

 こうした状況において、当社では当事業年度を初年度とする第3次中期経営計画を立ち上げ、「既存事業の再構築と事業間連携の強化」、「新市場の創造と東南アジアでのビジネス基盤確立」、「未来社会に貢献するヒト創りと商品サービスの開発」、「ヒトとデジタル技術をつないだビジネス革新」、「ES(従業員満足)ファーストのガバナンス体制構築」を5つの重点戦略として設定し、将来を見据えた収益性の高い事業構造への転換を進めております。

 当期間においては、顧客の経営環境に応じた多様なニーズに対応できるよう、既存事業である足場施工サービス、仮設資材販売の営業面での連携を強化し、新たな事業である足場部材のレンタルについては、首都圏のレンタル専用ヤード開設、レンタル資材の提供・整備の効率化を目論んだ専門部署の設置を進めました。また、新市場の創造のため、既存顧客にも提供できるデジタル商材の企画・開発と販売促進に注力いたしました。その一環として、2021年9月に建設現場のデジタル化推進と土木業界での販路開拓のため、主に建設業向けにパッケージソフトウェアの開発・販売を行う株式会社システムイン国際を株式取得により子会社化いたしました。その他、社会課題の解決と企業価値の向上を目指し、建設現場の安全のため、顧客や同業他社に向けた足場施工に関する教育事業を展開し、感染症対策用品を取り扱うECサイトの開設などを進めました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は9,700百万円(前年同期比12.1%増)、営業損失16百万円(前年同期は営業損失131百万円)、経常利益79百万円(前年同期比55.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円(前年同期比44.3%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

 

(施工サービス事業)

 施工サービス事業につきましては、事業を取り巻く環境として、主要な取引先である大手ハウスメーカー各社の受注は堅調に推移いたしましたが、建設業における現場での作業従事者や技能職に対する有効求人倍率は依然として高く、人手不足の状況が続きました。

 このような状況の中、当事業においては、顧客からの施工依頼は前期に比べ増加したものの、技能職の新卒と中途の採用は想定以上に厳しく、コロナ禍による入国制限によって、特定技能外国人及び外国人技能実習生の受け入れも大幅に減少したことから、施工力の増強が進まず、当初予定していた受注量を確保するには至りませんでした。また、施工スタッフの待遇向上を目的に、従来から進めている請負契約者の社員化推進や、賃金引き上げなどを行ったことから、人件費を中心に固定費は増加いたしました。その分、顧客への受注単価増額の交渉を続けたものの、コストが先行することとなりました。

 以上の結果、売上高は6,830百万円(前年同期比2.1%増)、売上総利益は2,059百万円(同4.1%増)となりました。

 

(製商品販売事業)

 製商品販売事業につきましては、事業を取り巻く環境として、建設業全体で住宅を中心とした民間工事が堅調に推移し、工事会社においては足場資材に対する需要が高くなりました。

 このような状況の中、当事業においては、主力製品である「ビケ足場®」への引き合いが増え、これまで継続してきた販路開拓のための営業活動が実を結び、他社足場からの置き換えも進んだことも相俟って、受注は好調に推移いたしました。また、前期はコロナ禍により買い控えされていた主要な取引先においても、決算期の購入が進みました。なお、2021年以降の鋼材価格の高騰を受け、一部製品で値上げを実施いたしましたが、当期間における受注への影響は限定的なものになりました。

 以上の結果、売上高は1,638百万円(前年同期比62.8%増)、売上総利益は502百万円(同86.4%増)となりました。

(海外事業)

 海外事業につきましては、事業を取り巻く環境として、在外子会社のあるシンガポールでは、新型コロナウイルス感染防止のための段階的な行動規制が継続する中、製造業、建設業を中心に景気の回復が続きました。

 このような状況の中、当事業においては、新たに開拓した顧客からの各種工事や人材派遣の依頼が大きく増えました。しかし、厳しい入国制限が続いたことから、事業の基盤である国外労働者の採用が計画通りに進まなかったため、コストの高い外注業者の利用を増やしたものの十分な労働力を確保するには至らず、多くの受注機会を逸失することになりました。なお、国の規制により現場労働者の感染防止のための経費が予想外に増加しましたが、顧客に対して発注単価の値上げ交渉を行うほか、固定費削減を進め、収益改善に努めました。また、コロナ禍後を見据え、生産性向上を目的に、足場資材ヤードを従来より拡張した敷地に移転する準備を進めました。

 以上の結果、売上高は1,162百万円(前年同期比31.1%増)、売上総利益は235百万円(同57.2%増)となりました。

 

(その他)

 その他につきましては、業務受託料および保険代理店収入等で構成されており、売上高は68百万円(前年同期比1.2%減)、売上総利益は51百万円(同0.1%減)となりました。

 

b.資産、負債及び純資産の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は5,783百万円となり、前連結会計年度末に比べ629百万円増加いたしました。これは主に電子記録債権が124百万円増加、商品及び製品が73百万円増加、仕掛品が67百万円増加、原材料及び貯蔵品が129百万円増加、賃貸用仮設材が111百万円増加、その他に含まれる未収入金が132百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は4,433百万円となり、前連結会計年度末に比べ413百万円減少いたしました。これは主に建物及び構築物(純額)が44百万円増加、投資有価証券が574百万円減少、関係会社株式が87百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は10,216百万円となり、前連結会計年度末に比べ215百万円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,682百万円となり、前連結会計年度末に比べ550百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が84百万円増加、電子記録債務が78百万円増加、短期借入金が277百万円増加、未払法人税等が52百万円増加、その他に含まれる未払消費税等が60百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は967百万円となり、前連結会計年度末に比べ188百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が178百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、3,650百万円となり、前連結会計年度末に比べ362百万円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は6,566百万円となり、前連結会計年度末に比べ147百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が107百万円減少、その他有価証券評価差額金が53百万円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は63.9%(前連結会計年度末は66.4%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,393百万円と期首より94百万円減少となりました。

 各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果減少した資金は36百万円(前年同期は14百万円の支出)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益が165百万円、減価償却費227百万円、仕入債務の増加額155百万円に対し、売上債権の増加額219百万円、棚卸資産の増加額270百万円、賃貸用仮設材の増加額102百万円等があったことを反映したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果増加した資金は175百万円(前年同期は114百万円の支出)となりました。その主な要因は、投資有価証券の売却による収入455百万円に対し、有形固定資産の取得による支出161百万円、無形固定資産の取得による支出18百万円、子会社株式の取得による支出87百万円等があったことを反映したものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果減少した資金は258百万円(前年同期は468百万円の支出)となりました。その要因は、短期借入金の増加額246百万円に対し、長期借入金の返済による支出409百万円、配当金の支払134百万円等があったことを反映したものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.施工能力

 施工用資産であるビケ部材の当社の保有高は次のとおりであります。

セグメントの名称

品目別

当連結会計年度

(自 2021年4月21日

至 2022年4月20日)

前年同期比(%)

施工サービス事業

施工能力㎡数(千平方メートル)

1,301

101.4

(注)当社の施工用資産は極めて多種多様にわたり、かつ同種の品目であっても仕様、構造、形式は一様ではありません。このため、保有する主要部材で施工可能な広さを建物の架㎡数で表示しております。
ここに、主要部材とは、支柱・踏板・布材・ブラケット・ジャッキベースのことであります。

b.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品目別

当連結会計年度

(自 2021年4月21日

   至 2022年4月20日)

前年同期比(%)

製商品販売事業

ビケ部材等(千円)

1,383,633

131.3

一般仮設(千円)

318,839

119.8

 合計(千円)

1,702,472

129.0

(注)金額は販売価格によります。

 

c.外注の実績

 当社は、製商品販売事業における製品の製造及び部品加工の大部分を外注に依存しております。その依存度は、外注費が総製造費用に対し当連結会計年度で36.6%を占めております。

 なお、主な外注先は、株式会社山本興業、株式会社興和工業所、株式会社シズカ等であります。

d.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品目別

当連結会計年度

(自 2021年4月21日

   至 2022年4月20日)

前年同期比(%)

製商品販売事業

ビケ部材等(千円)

230,884

98.9

一般仮設(千円)

145,635

225.0

 合計(千円)

376,519

126.2

 (注)金額は仕入価格によります。

 

e.受注実績

 当連結会計年度の受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

セグメント

の名称

品目別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

製商品

販売事業

製品

ビケ部材等

1,229,350

208.8

105,729

409.4

一般仮設

261,878

91.4

7,338

50.4

商品

ビケ部材等

129,178

188.1

6,866

266.9

一般仮設

100,565

190.8

7,405

415.3

 合計

1,720,972

172.7

127,340

284.7

 (注)1.数量については、種類が多岐にわたり表示が困難であるため記載を省略しております。

2.受注高は出荷額をベースに記載しております。

 

f.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

セグメント

の名称

品目別

当連結会計年度

(自 2021年4月21日

    至 2022年4月20日)

前年同期比(%)

施工サービス事業(千円)

6,830,044

102.1

製商品

販売事業

製品

ビケ部材等(千円)

1,149,445

191.7

一般仮設(千円)

269,092

96.3

計(千円)

1,418,537

161.3

商品

ビケ部材等(千円)

136,641

200.2

一般仮設(千円)

83,186

141.4

計(千円)

219,827

173.0

合計(千円)

1,638,365

162.8

海外事業(千円)

1,162,799

131.1

報告セグメント計(千円)

9,631,210

112.2

その他(千円)

68,998

98.8

合計(千円)

9,700,209

112.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(のれんの減損処理)

 のれんについては、投資効果が及ぶ期間にわたり、均等償却しております。のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う必要があります。

 

(固定資産の減損処理)

 固定資産については、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額までの下落額を減損損失として計上しております。事業計画や市場環境の変化により、見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(関係会社株式の評価)

 関係会社株式については、純資産価額にもとづく実質価額が著しく下落している場合、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、評価損を計上することにしております。業績悪化により純資産価額が減少し、事業計画に基づく回復可能性が認められないとされる場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業への影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析

 当社グループは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載の通り、「売上高経常利益率」を重要な経営指標として捉えています。

 当連結会計年度においては、0.0%を目標として事業を進めましたが、結果として0.8%となりました。

 

③ 財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.資産、負債及び純資産の状況」をご参照ください。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

a.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、指標のトレンドを示しますと下記のとおりであります。

 

2021年4月期

2022年4月期

自己資本比率(%)

66.4

63.9

時価ベースの自己資本比率(%)

42.3

37.9

債務償還年数(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

2.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

3.債務償還年数(年)は、2021年4月期、2022年4月期ともに、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

4.インタレスト・カバレッジ・レシオは、2021年4月期、2022年4月期ともに、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

b.契約債務

2022年4月20日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

区分

当期首残高

(千円)

当期末残高

(千円)

平均利率

(%)

返済期限

短期借入金

258,022

535,411

0.8

1年以内に返済予定の長期借入金

158,416

139,996

0.2

1年以内に返済予定のリース債務

45,107

43,640

1.2

長期借入金(1年以内に返済予定のものを除く。)

936,518

758,349

0.2

2023~2029年

リース債務(1年以内に返済予定のものを除く。)

21,597

21,469

2.7

2023~2028年

その他有利子負債

 1年以内に返済予定の割賦未払金

 割賦未払金(1年以内に返済予定のものを除く。)

 

15,311

9,515

 

 

 

合計

1,444,488

1,498,867

(注)1.「平均利率」については、期末借入金残高に対する加重平均利率を記載しております。

2.長期借入金及びリース債務の連結決算日後5年間の返済予定額は以下のとおりであります。

 

 

1年以内

(千円)

1年超2年以内

(千円)

2年超3年以内

(千円)

3年超4年以内

(千円)

4年超5年以内

(千円)

長期借入金

139,996

139,996

139,996

139,996

129,996

リース債務

43,640

12,011

2,615

1,709

1,790

 

c.財務政策

当社は、運転資金及び設備投資資金については、内部資金を充てるほか、銀行等の金融機関からの借入金や社債発行により資金調達することとしております。

 2022年4月20日現在の契約債務の状況は「b.契約債務」に記載のとおりであります。

⑤ 経営成績の分析

 前連結会計年度は、コロナ禍での行動規制が、顧客の営業活動自粛と現場工事の停止・延期に繋がり、先行きの不透明さから主要な取引先においては、足場部材の購入を控える動きが見られ、当社の受注環境は厳しい状況が続きました。当連結会計年度については、感染症対策への規制緩和が進み、新設住宅着工戸数も持ち直したことから、受注は堅調に推移いたしました。経営成績については、以下の通り、売上高は2019年4月に取得した在外子会社が貢献し、2000年の株式上場以降では過去最高となりました。しかし、営業損益については、前連結会計年度より改善したものの赤字となり、経常損益は黒字になったものの、前連結会計年度はコロナ禍における助成金収入が大きかったため減益、親会社株主に帰属する当期純損益は、特別利益として投資有価証券売却益を計上したことから増益となりました。特に当連結会計年度においては、国内外とも現場で従事するスタッフの確保が厳しく、外国籍の新規採用者が入国できない状況が続く中、建設需要が民間の工事中心に復調に転じたため、国内では技能職の所得水準を引き上げるなど、より魅力的な雇用条件への見直しを図り、在外子会社においては、人財不足を補うためにコストの高い外注業者の利用を増やしたことなどから、それぞれ受注単価への転嫁に先立ってコストが増加することとなりました。

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 セグメント別状況について、足場の施工サービス事業では、大手ハウスメーカーからの注文住宅向けの受注が多くなり、中層大型建築物向けの受注は、ほぼ前年度並みになりました。顧客からの施工依頼数は大きく回復しましたが、施工スタッフの採用環境は依然として厳しい状態であったため、施工力増強には至らず、結果として想定していた受注量の確保ができませんでした。このような中にあって、新たな足場施工の向け先として、土木とプラント向けの営業を推進し、その施工に協力してもらえる協力企業を増やすなど、人手不足に対応する取り組みに成果が出始めました。

 足場部材を販売する製商品販売事業では、住宅を中心とした民間向け工事が堅調で、足場資材への需要も高くなったことから、主力製品である「ビケ足場®」の引き合いが増えました。また、これまで販路開拓に取り組んでいた効果が表れ、他社足場からの置き換えが進み、主要顧客においても決算期購入が増えたため、受注は好調に推移いたしました。

 海外事業について、在外子会社のあるシンガポールでは、政府による感染防止のための行動規制が続きましたが、ほぼ全ての現場工事が停止した前事業年度に比べると大幅に規制が緩和され、事業である現場への人材派遣と各種工事とも人財の稼働率は回復し、受注も大きく増えました。しかし、年間を通じて入国制限が続き、さらなる受注を獲得するために必要となる外国人現場スタッフの採用が困難であったため、受注量は当初計画には届きませんでした。

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