業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。

Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。

(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

①  当期の経営成績(Non-GAAPベース)

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きがみられています。日本経済についても、ワクチン接種の促進をはじめとする各種政策等の効果により、持ち直していくことが期待されていますが、先行きについては、感染の動向、供給面での制約等による下振れリスクに留意する必要があります。新型コロナウイルス感染症の流行により、生活様式の変化が強いられる中、人との接触機会を減らしながら、商品を購入、サービスを享受することができるインターネットサービスや、オンライン金融サービス、情報通信サービス等を提供するIT企業に期待される社会的役割は一層増していると当社は考えています。

このような環境下、当社グループは、メンバーシップ、データ及びブランドを結集したビジネス、AI等を積極的に活用したサービスの開発・展開を引き続き進めることで、感染症の影響による事業リスクの分散を図りつつ、国内外70以上の多様なサービスにより構成される楽天エコシステムの拡大に努めています。

インターネットサービスにおいては、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』における共通の送料無料(込み)ライン導入に代表される顧客利便性向上の施策等の奏功により、コロナ禍の「巣ごもり消費」等を背景に増加した顧客の定着が国内EC取扱高の伸長に貢献し、当連結会計年度における国内EC流通総額は5兆円を超えました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤の拡大が続き、クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス等において増収増益を達成し、『楽天カード』の当連結会計年度におけるショッピング取扱高は14兆円を超えました。また、モバイルにおいては、計画の前倒しによる自社基地局の整備に注力することでネットワーク品質の向上に努めたほか、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間終了後も顧客獲得が順調に進捗しました。

この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は1,681,757百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりましたが、モバイルにおける自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、Non-GAAP営業損失は224,999百万円(前連結会計年度は102,667百万円の損失)となりました。

 

(Non-GAAPベース)

     (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

売上収益

1,455,538

1,681,757

226,219

15.5

Non-GAAP営業損失(△)

△102,667

△224,999

△122,332

 

 

②  Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

当連結会計年度において、Non-GAAP営業利益にて控除される無形資産の償却費は9,321百万円、株式報酬費用は10,059百万円となりました。なお、前連結会計年度に計上された非経常的な項目には、OverDrive Holdings, Inc.の全株式を譲渡したことに伴い発生した売却益40,926百万円、映画事業に係る投資の損失3,277百万円及び一部の米国事業の閉鎖に伴う固定資産の減損等が含まれています。また、当連結会計年度に計上された非経常的な項目には、Altiostar Networks, Inc.の完全子会社化に伴う段階取得に係る差益59,496百万円及び楽天ポイントの規約等の見直しによるポイント引当金の増加に伴う費用8,789百万円等が含まれています。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

Non-GAAP営業損失(△)

△102,667

△224,999

△122,332

無形資産償却費

△9,502

△9,321

181

株式報酬費用

△10,612

△10,059

553

非経常的な項目

28,932

49,653

20,721

IFRS営業損失(△)

△93,849

△194,726

△100,877

 

 

③  当期の経営成績(IFRSベース)

当連結会計年度における売上収益は1,681,757百万円(前連結会計年度比15.5%増)、IFRS営業損失は194,726百万円(前連結会計年度は93,849百万円の損失)、当期損失(親会社の所有者帰属)は133,828百万円(前連結会計年度は114,199百万円の損失)となりました。

 

(IFRSベース)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

売上収益

1,455,538

1,681,757

226,219

15.5

IFRS営業損失(△)

△93,849

△194,726

△100,877

当期損失(△)
(親会社の所有者帰属)

△114,199

△133,828

△19,629

 

 

 

④  セグメントの概況

各セグメントにおける業績は次のとおりです。IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。

当社グループは、第2四半期連結会計期間より、北米地域における楽天エコシステムの拡大等を目的として、事業管理体制の見直しを行いました。これに伴い、北米地域でデジタルコンテンツサイト等の運営を行う一部の事業及び子会社並びにメッセージングサービスの提供等を行う一部の事業及び子会社をセグメント間で移管しています。主な変更として、従来モバイルセグメントに含まれていたRakuten Kobo Inc.やViber Media S.a.r.l.等をインターネットサービスセグメントに移管し、前連結会計年度のセグメント情報を修正再表示しています。

 

(インターネットサービス)

主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進、共通の送料無料(込み)ラインの導入促進に加え、楽天エコシステムのオープン化戦略等に注力しました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』や医療品・日用品等の通信販売等を行う『Rakuten 24』等においては、こうした施策の結果、コロナ禍における「巣ごもり消費」の拡大に伴うオンラインショッピング需要の高まりを背景に増加した顧客の定着が進み、取扱高はコロナ禍における業績の押し上げの影響を受けた前連結会計年度と比較しても伸長しました。インターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においては、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う「Go To トラベル事業」の一時停止の継続の影響を受け、取扱高が減少したものの、当連結会計年度における国内EC流通総額は5兆円を超えました。海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、継続的なコスト効率化の施策や人々の消費行動の回復に伴い、コロナ禍で影響を受けた事業の業績が改善しました。なお、投資事業におけるフィンテック関連企業への株式投資の評価益を27,827百万円計上しています。また、当社における物流事業に関して有する権利義務については、一部を除いて、日本郵便株式会社との合弁会社であるJP楽天ロジスティクス株式会社への承継が完了しており、同社は、第3四半期連結会計期間より、当社の持分法適用関連会社となりました。これに伴い、第2四半期連結会計期間までインターネットサービスセグメントで計上されていた物流事業の損益の一部が、第3四半期連結会計期間より持分法による投資損益として計上されています。

この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は1,003,382百万円(前連結会計年度比14.7%増)、セグメント利益は107,548百万円(前連結会計年度比166.2%増)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

セグメントに係る
売上収益

874,806

1,003,382

128,576

14.7

セグメント損益

40,396

107,548

67,152

166.2

 

 

(フィンテック)

クレジットカード関連サービスにおいては、2枚目『楽天カード』のマーケティングが奏功し、2021年12月には、同カード発行枚数が2,500万枚を突破する等、顧客基盤の拡大が継続しています。同サービスにおいては、宿泊・飲食サービス等の消費動向に依然厳しさがみられるものの、オンラインショッピングを中心に取扱高が伸長し、当連結会計年度におけるショッピング取扱高は14兆円を超えました。銀行サービスにおいては、新規口座数の増加が続いており、2022年1月には、預金口座数が1,200万口座を突破し、役務取引等収益等の増加が売上収益及び利益の増加に貢献しました。同様に、証券サービスにおいても、新規口座開設の加速が続き、2021年12月に証券総合口座数が700万口座を突破しました。また、国内外株式売買代金の伸長に伴う手数料収入等の増加により、売上収益及び利益が増加しました。

この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は619,048百万円(前連結会計年度比7.4%増)、セグメント利益は89,120百万円(前連結会計年度比9.6%増)となりました。

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

セグメントに係る
売上収益

576,195

619,048

42,853

7.4

セグメント損益

81,291

89,120

7,829

9.6

 

 

(モバイル)

モバイルにおいては、計画の前倒しによる自社基地局の整備に注力することでネットワーク品質の向上に努めたほか、通信料金を1年間無料とするキャンペーン期間終了後も、新規顧客獲得が順調に進捗しました。同キャンペーン期間の終了に伴い、通信料金の支払を開始したユーザーが増えたほか、端末販売の増加も売上収益の増加に貢献しました。他方で、減価償却費等のネットワーク関連費用も増加しました。

この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は227,511百万円(前連結会計年度比31.9%増)となりましたが、自社基地局設置等の先行投資が継続中のため、セグメント損失は421,172百万円(前連結会計年度は227,258百万円の損失)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2020年1月1日

2020年12月31日)

(自2021年1月1日

2021年12月31日)

セグメントに係る
売上収益

172,451

227,511

55,060

31.9

セグメント損益

△227,258

△421,172

△193,914

 

 

⑤  生産、受注及び販売の状況

(生産実績)

当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしていません。

 

(受注実績)

当社グループは、受注生産を行っていませんので、受注実績に関する記載はしていません。

 

(販売実績)

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

インターネットサービス

1,003,382

14.7

フィンテック

619,048

7.4

モバイル

227,511

31.9

内部取引等

△168,184

合 計

1,681,757

15.5

 

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

(2) 経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 経営成績の分析

(売上収益)

当連結会計年度における売上収益は1,681,757百万円となり、前連結会計年度の1,455,538百万円から226,219百万円(15.5%)増加しました。これは、インターネットサービスにおける、『楽天市場』に代表される国内既存事業の成長が売上収益に貢献したこと、フィンテックにおける、『楽天カード』の会員基盤拡大に伴う手数料収入等の増加、銀行サービスの顧客基盤拡大に伴う役務取引等収益等の増加、証券サービスの国内外株式売買代金の伸長に伴う、手数料収入等の増加が売上収益に貢献したこと等によるものです。

 

(営業費用)

当連結会計年度における営業費用は1,966,419百万円となり、前連結会計年度の1,579,630百万円から386,789百万円(24.5%)増加しました。これは、売上収益の更なる成長を目指した販促活動に伴う費用が増加したこと、モバイルにおける基地局建設に関わる費用が増加したこと等によるものです。

 

(その他の収益)

当連結会計年度におけるその他の収益は108,037百万円となり、前連結会計年度の54,483百万円から53,554百万円(98.3%)増加しました。これは、Altiostar Networks, Inc.の完全子会社化に伴う段階取得に係る差益を59,496百万円計上したこと等によるものです。

 

(その他の費用)

当連結会計年度におけるその他の費用は18,101百万円となり、前連結会計年度の24,240百万円から6,139百万円(25.3%)減少しました。これは、前連結会計年度に映画事業に係る投資の損失を3,277百万円計上したこと等によるものです。

 

(営業損失)

当連結会計年度における営業損失は194,726百万円となりました(前連結会計年度は、93,849百万円の損失)。これは、インターネットサービスやフィンテックにおいて、事業が堅調に推移し、売上収益は増加したものの、さらなる事業成長を実現するために、販促活動やモバイルにおける基地局建設に関わる費用を計上し、営業費用が増加したこと等によるものです。

 

(持分法による投資損益)

当連結会計年度における持分法による投資利益は1,834百万円となりました(前連結会計年度は、37,710百万円の損失)。これは、前連結会計年度にLyft, Inc.に対する株式投資について、会計上の取り扱い変更に伴う損失を25,017百万円計上したこと等によるものです。

 

(税引前当期損失)

当連結会計年度は212,630百万円の税引前当期損失となりました(前連結会計年度は、151,016百万円の損失)。これは、営業損失で説明した要因等により利益が減少したことによるものです。

 

(法人所得税費用)

当連結会計年度における法人所得税費用は76,804百万円のマイナスとなりました(前連結会計年度は35,178百万円のマイナス)。これは主に、当連結会計年度において税引前当期損失を計上したことによるものです。

 

(当期損失)

以上の結果、当期損失は135,826百万円となりました(前連結会計年度は、115,838百万円の損失)。

 

(親会社の所有者に帰属する当期損失)

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は133,828百万円となりました(前連結会計年度は、114,199百万円の損失)。

 

② 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は16,831,221百万円となり、前連結会計年度末の資産合計12,524,438百万円と比べ、4,306,783百万円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物1,388,995百万円増加、銀行事業の貸付金1,092,282百万円増加、証券事業の金融資産415,315百万円増加、カード事業の貸付金355,435百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は15,713,931百万円となり、前連結会計年度末の負債合計11,895,424百万円と比べ、3,818,507百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が2,132,208百万円増加、社債及び借入金が915,455百万円増加、証券事業の金融負債445,769百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

当連結会計年度末の資本合計は1,117,290百万円となり、前連結会計年度末の資本合計629,014百万円と比べ、488,276百万円増加しました。これは主に、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期損失を133,828百万円計上したこと等により利益剰余金が147,778百万円減少となった一方で、第三者割当による新株の発行及び自己株式の処分等により資本金が83,750百万円増加、資本剰余金が84,126百万円増加、自己株式が84,941百万円減少、米ドル及びユーロ建永久劣後特約付社債の発行により、その他の資本性金融商品が317,316百万円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ1,388,995百万円増加し、4,410,301百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、582,707百万円の資金流入(前連結会計年度は1,041,391百万円の資金流入)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が1,092,238百万円、証券事業の金融資産の増加による資金流出が414,794百万円、カード事業の貸付金の増加による資金流出が354,240百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が2,130,634百万円、証券事業の金融負債の増加による資金流入が445,190百万円となったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、611,830百万円の資金流出(前連結会計年度は303,347百万円の資金流出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による資金流出が286,859百万円、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が192,569百万円(有価証券の取得による資金流出が736,644百万円、売却及び償還による資金流入が544,075百万円)、無形資産の取得による資金流出が123,782百万円となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,402,265百万円の資金流入(前連結会計年度は808,108百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が207,401百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が729,142百万円、社債の発行による資金流入が355,321百万円、その他の資本性金融商品の発行による資金流入が315,708百万円、株式の発行による資金流入が159,047百万円となったことによるものです。

 

 

④ 収益の認識及び表示方法

収益の認識及び表示方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 28. 売上収益 (1)収益の分解」をご参照ください。

 

⑤ 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しています。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは当社グループとしても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループが繰延税金資産を減額する可能性もあります。

 

⑥ 公正価値で測定する金融資産

公正価値で測定する金融資産については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 40. 金融商品の公正価値」をご参照ください。

 

(3) 資産の財源及び資金の流動性

① 財務運営の基本方針

当社は、グループの持続的成長の実現を可能とするための資金ニーズに対し、安定的かつ多様な資金調達手段の確保を行うこと、また、金融事業に従事する子会社の財務健全性を堅持するため、十分な流動性の確保を図ることを財務運営の基本方針としています。

経営の独立性が求められるフィンテックセグメントに属する子会社及び外部金融機関からのリース調達をしている楽天モバイル株式会社を除く子会社においては、原則として銀行等の外部金融機関からの資金調達を行わず、グループ内のキャッシュ・マネジメント・サービスの活用により、当社が資金調達、グループ資金効率の向上、流動性の確保等を行っています。

また、成長が続くインターネットサービスセグメントにおける増加運転資金等については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金や、コマーシャル・ペーパー等の短期借入金を充当することを基本方針としています。また、投資フェーズにあるモバイルセグメントでの設備投資資金への資金充当については、下記「③ 今後の資金調達のニーズ及び資金調達の見通し」をご参照ください。

なお、投資等の新規に資金投下を要する案件等については、社外取締役及び外部有識者を含むメンバーで構成される投融資委員会において、案件の取り進めの可否を事前審議しており、その審議結果については、取締役会に報告することに加え、一定額以上の案件につき当社の取締役会の承認決議を要件とすることとしています。更に、投資後のモニタリングを継続的に実施し、必要に応じて機動的にポートフォリオの見直しを実施しています。これらを通じて、グループ全体でのリスク管理及び最適な経営資源の配分を実現することを目標としています。

以上を踏まえた上で、具体的な資金調達手法及び資金調達のタイミングに関しては、グループ全体の事業計画に基づくキャッシュ・フロー、手元流動性の状況等を踏まえて判断しています。

資金調達に関するリスクは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
 

② 現状

当社グループは、総額3,402,912百万円の社債及び借入金を有しており、前連結会計年度比915,455百万円増となりました。このうち、短期の社債及び借入金は前連結会計年度比111,583百万円増の1,061,845百万円で、内訳は、短期借入金(主として銀行借入金)747,845百万円、コマーシャル・ペーパー314,000百万円となっています。

また、当社は急速に業容が拡大している中、運転資金等の資金需要の増加に備えて、2022年1月にコマーシャル・ペーパーの発行限度額を従来の150,000百万円から200,000百万円に、複数の金融機関との間で締結している借入コミットメントライン契約の総額を従来の120,000百万円から150,000百万円にそれぞれ増額しました。

なお、当連結会計年度末時点の当社の長期及び短期の信用格付けは、日本格付研究所(JCR)でA/J-1、格付投資情報センター(R&I)でA-/a-1、S&Pグローバル・レーティングでBB+(長期)となっています。

 

 

③ 今後の資金調達のニーズ及び資金調達の見通し

当社連結子会社の楽天モバイル株式会社は、総務大臣より、2018年4月に「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局開設計画」、2019年4月に「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局開設計画」の認定をそれぞれ受け、当該計画に則り、2020年4月に4Gサービスを本格的に開始し、同年9月には5Gサービスを開始しました。当該認定された計画における設備投資額は、2026年までに最大800,000百万円程度の見通しとしていましたが、このうちの4Gに係る最大600,000百万円程度の設備投資額については、特定基地局の高密度化による通信品質の向上、今後見込まれる利用者の増加等に対応するため、最大840,000百万円程度まで増加する見通しです。これらを含むモバイル事業における必要資金額については、当社から楽天モバイル株式会社への投融資、楽天モバイル株式会社における、リース、流動化ファイナンス等を活用して調達する予定です。当該投融資については、当社が2018年12月に発行した利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)により調達した182,000百万円(そのうち、75,000百万円については2021年7月に買入消却を実施)、2020年11月に発行した利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)により調達した120,000百万円、2021年3月に実行した第三者割当による新株式の発行及び自己株式の処分により調達した242,347百万円及び同年4月に発行した米ドル及びユーロ建て永久劣後特約付社債により調達したそれぞれ1,750百万米ドル、1,000百万ユーロ等を充当しています。なお、2022年度の設備投資額は約300,000百万円を予定しています。

また、今後、5Gサービス等における設備投資の前倒し等により、当社から楽天モバイル株式会社への更なる出資等が求められる可能性もあります。その場合においては、上記の「① 財務運営の基本方針」も踏まえ、最適な資金調達手段を検討していきます。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

 

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