業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さが見られました。先行きにつきましては、各種政策の効果により経済活動の正常化が期待されますが、感染再拡大やウクライナ情勢による経済への影響など不透明な状況が続いております。

当社グループが所属する情報サービス産業におきましては、新型コロナウイルス対策を契機とした企業の働き方改革への取り組みを背景に社会のデジタル化が加速しており、競争上の優位性を確立するDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の需要が増加しております。

このような状況におきまして当社グループは、ソリューション事業において、顔認証ソリューション群の受注が引き続き堅調に推移しました。また、エンターテインメント事業においては、感染防止対策を徹底したうえで有観客公演を実施し、主力となるコンテンツ映像配信サービスの一層の強化を図りました。

2021年9月1日付けで連結子会社ネクストキャディックス株式会社の全株式を譲渡し、関係会社株式売却益を計上しました。同社を連結の範囲から除外したことから、同社の譲渡日以降の業績は連結財務諸表に含まれておりません。また、のれんの減損を行い、減損損失を特別損失として計上いたしました。

これらの結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,918百万円(前年同期比7.5%減)、営業利益52百万円(前年同期比186.2%増)、経常利益92百万円(前年同期比101.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益686百万円(前年同期比28.2倍)となりました。

また、当連結会計年度末の資産合計は2,097百万円で、前連結会計年度末に比べ557百万円増加しました。負債合計は555百万円で、前連結会計年度末に比べ129百万円減少しました。純資産合計は1,542百万円で、前連結会計年度末に比べ686百万円増加しました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による、当連結会計年度の損益への影響はありません。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a. ソリューション事業

弊社独自の顔認証ソリューション群、ディープラーニング及びAI(人工知能)を中心としたスマートビジネス事業においては、コロナ禍におけるセキュリティ対策、DX化推進に伴うIT需要の高まりを背景に、顔認証による入退室管理ソリューションが非接触で安心かつ高精度・高速であることをご評価いただき、大手通信企業様など多数のお客様からの受注に繋がりました。また、厚生労働省が主導し2021年10月20日から本格運用が開始された「顔認証付きカードリーダー(マイナンバーカード対応)」の案件を受注するなど、様々な分野で開発実績を築いております。

防災システムにおいては、近年多発している大規模災害に対し的確かつ迅速に対応するため、公共情報コモンズ(自治体の防災情報を一括配信する全国共通基盤)との情報連携を進めてきました。また、災害時における地域医療体制を構築する上で重要な情報をEMIS(広域災害救急医療情報システム)やSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)と連携し、迅速に立ち上げ可能なシステムの構築に取り組みました。

2021年9月1日付けで連結子会社ネクストキャディックス株式会社の全株式を譲渡したため、同社の譲渡日以降の業績は含まれておりません。

これらの結果、当連結会計年度のソリューション事業の売上高は2,634百万円(前年同期比11.1%減)、セグメント利益は100百万円(前年同期比55.2%増)となりました。

 

b. エンターテインメント事業

連結子会社の株式会社OSK日本歌劇団は、2022年1月に創立100周年を迎えました。記念公演として大阪松竹座・新橋演舞場にて「レビュー春のおどり」公演を開催しました。

また、2020年8月の開場から1年8ヶ月を経過したOSK Revue Cafè in Brooklyn Parlorは、感染防止策を徹底したうえで有観客公演とコンテンツ映像配信を同時上演し、特にコンテンツ配信事業については昨年度より売上を伸ばし、安定した収益を確保しております。

これらの結果、当連結会計年度のエンターテインメント事業の売上高は284百万円(前年同期比47.3%増)、セグメント損失は47百万円(前年同期は46百万円の損失)となりました。

なお、本セグメントにおいて新型コロナウイルス感染症に係る補助金等37百万円(前年同期は10百万円)を助成金収入として営業外収益に計上しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,075百万円となり、前連結会計年度末より870百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは314百万円の収入となりました(前年同期は72百万円の収入)。これは、税金等調整前当期純利益905百万円に、減価償却費57百万円、減損損失28百万円、関係会社株式売却益841百万円、売上債権の減少額161百万円、仕入債務の減少額60百万円、その他の流動負債の増加額73百万円等を加減した結果によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは741百万円の収入となりました(前年同期は106百万円の支出)。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入864百万円、投資有価証券の取得による支出111百万円、定期預金の払戻による収入110百万円、有形固定資産の取得による支出55百万円、無形固定資産の取得による支出35百万円等によります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは184百万円の支出となりました(前年同期は48百万円の収入)。これは、短期借入金の減少額150百万円、長期借入金の返済による支出34百万円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

(自 2020年4月1日

(自 2021年4月1日

至 2021年3月31日)

至 2022年3月31日)

金額(千円)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比
(%)

ソリューション事業

2,944,511

2,635,747

△308,764

△10.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.エンターテインメント事業における生産はありません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

(自 2020年4月1日

(自 2021年4月1日

至 2021年3月31日)

至 2022年3月31日)

受注高

受注残高

受注高

受注残高

受注高

受注残高

(千円)

(千円)

(千円)

(千円)

(千円)

(千円)

ソリューション事業

3,037,749

1,603,165

2,264,756

1,233,386

△772,992

△369,778

 

(注) エンターテインメント事業は受注生産を行っておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

(自 2020年4月1日

(自 2021年4月1日

至 2021年3月31日)

至 2022年3月31日)

金額(千円)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比
(%)

ソリューション事業

2,962,966

2,634,535

△328,430

△11.1

エンターテインメント事業

193,171

284,455

91,284

47.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度については、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

りらいあコミュニケーションズ株式会社

294,903

10.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

a.経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、次のとおりであります。

当連結会計年度の売上高は前年同期比237百万円減(7.5%減)となりました。これは、ソリューション事業において顔認証ソリューションの受注が引き続き堅調に推移したこと、また、エンターテインメント事業において感染防止対策を徹底したうえで有観客公演とコンテンツ映像配信を同時上演したことにより売上が増加した一方で、2021年9月1日付けで連結子会社ネクストキャディックス株式会社の全株式を譲渡し、連結の範囲から除外した影響によります。

営業利益は前年同期比34百万円増(186.2%増)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う営業活動の縮小及びネクストキャディックス株式会社の連結除外により販売費及び一般管理費が抑制されたことによります。

経常利益は前年同期比46百万円増(101.6%増)となりました。これは、営業利益増加のほか、新型コロナウイルス感染症に係る各種助成金収入41百万円(前年同期比11百万円増)を営業外収益として計上したことによります。

親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比662百万円増(28.2倍)となりました。これは、経常利益増加のほか、ネクストキャディックス株式会社の株式譲渡時に発生した関係会社株式売却益841百万円を特別利益に計上した一方で、株式会社OSK日本歌劇団の株式取得時に発生したのれんの減損損失28百万円を特別損失に計上し、さらに、課税所得の増加により法人税、住民税及び事業税が188百万円増加したことによります。

 

2021年3月

(実績)

2022年3月

(実績)

比較増減

 

金額(百万円)

金額(百万円)

金額

(百万円)

前期比

(%)

売上高

3,156

2,918

△237

△7.5

営業利益

18

52

34

186.2

経常利益

45

92

46

101.6

親会社株主に帰属する

当期純利益

24

686

662

 

 

b. 財政状態の分析
(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,619百万円で、前連結会計年度に比べ569百万円増加しております。これは主として、受取手形、売掛金及び電子記録債権が218百万円減少した一方、現金及び預金が670百万円、有価証券が100百万円、契約資産が19百万円それぞれ増加したことによります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は478百万円で、前連結会計年度末に比べ12百万円減少しております。これは主として、投資有価証券が111百万円、長期貸付金が15百万円、機械及び装置が12百万円それぞれ増加した一方、ソフトウェアが119百万円、のれんが36百万円、繰延税金資産が15百万円それぞれ減少したことによります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は495百万円で、前連結会計年度に比べ98百万円減少しております。これは主として、未払法人税等が195百万円増加した一方、短期借入金が150百万円、流動負債その他が77百万円、買掛金が71百万円それぞれ減少したことによります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は59百万円で、前連結会計年度に比べ31百万円減少しております。これは主として長期借入金が30百万円減少したことによります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,542百万円で、前連結会計年度末に比べて686百万円増加しております。これは、利益剰余金が686百万円増加したことによります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動によるキャッシュ・フローでは314百万円のキャッシュを獲得しました(前連結会計年度は72百万円の獲得)。これは営業利益の計上及び新型コロナウイルス感染症に係る各種助成金の受給などであり、税金等調整前当期純利益905百万円に、減価償却費57百万円、減損損失28百万円、関係会社株式売却益841百万円、売上債権の減少額161百万円、仕入債務の減少額60百万円、その他の流動負債の増加額73百万円等を加減した結果によります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、741百万円のキャッシュを獲得しました(前連結会計年度は106百万円の使用)。これはソリューション事業における連結子会社の譲渡による収入およびエンターテインメント事業における「OSK Revue Café in Brooklyn Parlor OSAKA」に係る投資などであり、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入864百万円、投資有価証券の取得による支出111百万円、定期預金の払戻による収入110百万円、有形固定資産の取得による支出55百万円、無形固定資産の取得による支出35百万円等によります。

財務活動によるキャッシュ・フローでは184百万円のキャッシュを使用しました(前連結会計年度は48百万円の獲得)。これは資金返済であり、短期借入金の減少額150百万円、長期借入金の返済による支出34百万円によります。

これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度に比べ870百万円増加し、1,075百万円となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループの主な資金需要は、ソリューション事業やエンターテインメント事業に係る労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、設備投資及び事業投資であります。

これらの資金需要は、自己資金のほか、金融機関からの借入により調達しております。「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)」に記載のとおり、運転資金の効率的な調達を行うため、主要金融機関と貸出コミットメントライン契約を締結しております。

手許の運転資金につきましては、グループ各社の余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,075百万円であります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(a) 減損会計における将来キャッシュ・フロー

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(b) 投資有価証券の評価

当社グループは、その他投資有価証券のうち市場価格のない株式等について、発行会社の財政状態及び将来の事業計画等期末時点で入手可能な情報を元に慎重に減損の要否を判断しております。事業計画入手後の状況の変化により、実績が事業計画を下回る場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(c) 新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の影響により、ソリューション事業においては案件の規模縮小や納期先送りが、エンターテインメント事業においては公演の中止や延期が生じ、当社グループの財政状態や経営成績等に大きな影響を与える可能性があります。当社グループは、当該影響が2023年3月頃まで続くとの仮定のもと、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。

 

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