研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループは「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を経営理念に、めまぐるしく変わる国内外の市場環境や消費者志向に対応すべく、常に「お客様目線」に立ってニーズを発掘する姿勢、提供のタイミングを逃さない開発スピードを念頭におき、クオリティの高い安全な高付加価値製品を創造しております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は3,172百万円でありました。

報告セグメント別の研究開発活動は以下のとおりであります。

 

(1) 家庭用品事業

①  基本方針

当事業では、お客様の生活空間の質向上を目的に、基礎的な研究を充実させ、お客様目線を第一に、独創的で高品質な製品を他社に先駆けて、提供することを目指しております。

この方針のもと、お客様や小売店様からの要望、国内外の市場動向、技術動向などに関する情報の入手・調査・分析を行い、スピーディに、新製品開発および既存製品の改良に取り組んでおります。

 

②  虫ケア用品にかかる研究

ハエ・蚊・ゴキブリ・ダニ・ノミ・マダニ・シラミなど健康被害を及ぼす衛生害虫や、アリ・ハチ・ムカデなどの不快害虫の駆除あるいは忌避を目的とした虫ケア用品の研究開発を行っております。近年の傾向として、特定害虫専用の駆除剤、忌避・予防製品、殺虫成分を含まない製品、さらには使用時の不快感を取り除くため、香りを重視した製品の需要が高まっており、これら特定製品のニーズの高まりにも応えるべく取り組んでおります

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

ゴキブリ用虫ケア用品として、『おすだけアースレッド無煙プッシュ』を発売いたしました。隙間にプッシュするだけでそこに潜むゴキブリを退治することができ、さらに、1ヵ月のバリア効果があります。新型コロナウイルスの感染拡大により増加した「おうち時間」を快適に過ごせるような製品をお客様に提供しております

また、人体用虫よけの『サラテクトシリーズ』では、パナソニック㈱との共同研究により、人間工学に基づいた、持ちやすい「感動ボトル」の『サラテクトミスト』を発売いたしました。さらに本品は、アース独自の技術により、有効成分量はそのままに、虫よけ効果の長時間持続を実現し、効果面でも優れた製品となっております

そして、従来のピレスロイド製剤では駆除できなかった薬剤抵抗性アタマジラミに対して、12年の開発期間を経て、日本初の有効成分を採用した新しいシラミ駆除剤『アースシラミとりローション』を発売いたしました。シラミの卵にも効果があるため、再発生の予防も出来る製品となっております。

 

③  日用品にかかる研究

お客様の健康や、居間・浴室・トイレ・キッチンなどの居住空間の質向上に役立つ製品の提供を目指し、口腔衛生用品、入浴剤、消臭芳香剤、防虫剤、住居関連用品、ネズミ用駆除剤、脱臭・消臭剤、育毛剤などの研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

入浴剤関連では、炭酸入浴料の『温泡Kids』を新たに発売いたしました。2種の香りの入浴料を混ぜることで別の香りになる新感覚の入浴料で、親子で一緒に楽しいバスタイムが過ごせる製品となっております

また、口腔衛生用品においては、より大容量の製品が求められるようになってきています。そこで、『モンダミン ペパーミント パウチ 1700mL』と『モンダミン プレミアムケア パウチ 1700mL』を新たに追加しました。これは、プラスチックゴミの削減にも貢献できる、環境負荷低減の観点でも価値のある製品です

さらに、大容量は重くかさばるため店から持ち帰りにくい、という不満を持つお客様に対して、『モンダミン ペパーミント 濃縮タイプ』『モンダミン メディカル 濃縮タイプ』を発売いたしました。これらは、コンパクト・軽量でありながら、特大ボトル約2本分として使用することができます

㈱バスクリンからは、『プラス・ド』を発売いたしました。女性の冷えに着目し、ショウガ末(有効成分)とショウガエキス(保湿成分)の2種類の生姜成分に加えて、発酵うるおい成分(納豆エキス)を配合しており、生姜のチカラで温浴効果を高めて代謝を促進し、冷えを緩和する製品となっております

白元アース㈱からは、アイスノンブランドに『アイスノンマスク ひんやりスプレー』を追加いたしました。ひんやりとした冷感だけでなく、消臭・除菌・抗菌、ウイルス除去など快適にマスクが使用できるようになっております

アース・ペット㈱からはペットのフン尿臭を良い香りに変える『パックリン ノーマットタイプ』を発売し、ペットとの快適な空間を実現しております。

 

④  園芸用品にかかる研究

虫ケア用品で培ってきた技術やノウハウを活かし、“安全”、“優れた効果”、“使いやすい”、“わかりやすい”を基本理念に、園芸愛好家の方から初心者の方まで幅広くご使用いただける園芸用品の研究開発を行っております。

当連結会計年度の主な研究成果は以下のとおりであります。

家庭園芸の作業中や、お部屋でくつろいでいるときにムカデに咬まれる、あるいは咬まれそうになったというお客様の声が多かったことから、ムカデ対策製品の拡充を行いました。ムカデの動きを瞬時に止めて退治することができ、処理しておくと侵入阻止効果が3ヵ月続く『ムカデ撃滅エアゾール』、置いておくだけで侵入阻止効果3ヵ月、植物由来成分を有効成分とした『ムカデよけ撃滅 置くタイプ』、化学殺虫成分不使用でムカデが入りやすい形状を徹底追求した新しいムカデ駆除剤『ムカデ取り撃滅 捕獲器』を発売いたしました

 

当連結会計年度における家庭用品事業の研究開発費は2,970百万円となりました。

 

(2) 総合環境衛生事業

①  検査・検定にかかる研究

当事業では、契約先からの各種検査・分析や異物検定要請に正確かつ迅速に対処するために、彩都総合研究所内の分析センター西日本ラボ(大阪府茨木市)と分析センター東日本ラボ(千葉県鎌ヶ谷市)、および晴海分室を設置しております。

それぞれの分析センターでは、契約先の製造環境(施設・設備、機械・器具、空調、使用水、作業員)や原料・製品などの微生物検査、混入異物(動・植物性異物、有機化合物、無機化合物)の目視検定、機器(FT-IR、蛍光X線分析装置)による化学的分析、比較検査を併用した同定、遺伝子を用いた昆虫・微生物の同定、昆虫の加熱履歴判別を行う凍結切片法(カタラーゼ代替)へのAI技術の導入、微生物検査報告をスピードアップするための迅速検査法の本格導入を行っております。また、契約先の品質管理担当者や検査員を対象とした教育訓練、お客様ごとにオリジナルプロトコールを作成した上での異物混入・微生物汚染に関する受託試験も行っております

 

②  調査・施工等にかかる研究

調査技術・調査機器・施工技術などの研究開発は、研究開発センター、分析センター(彩都総合研究所)、学術部、技術部が相互に連携を取りながら行っております。捕虫、殺虫、調査装置についての新技術の開発、ホルマリン代替法としての各種殺菌・消毒に関する技術構築、MA-Tを活用した除菌システムの確立に取り組んでおります。

また、社内のみならず、公的機関及び大学、民間企業など社外との共同研究開発にも積極的に取り組んでおります。

 

③  今後の方針

各企業では衛生管理への積極的な取り組みが行われているものの、依然として製品への異物混入や微生物による汚染は起こっており、検査や同定の依頼や対策のニーズは増しております。契約先の顧客満足度を向上させるためには、検査精度の充実及び危害物質による汚染や異物混入を防止するための技術開発が重要と考え、ISO17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項を規定した国際標準規格)の維持と更なる精度管理の強化、産官学との連携の強化及び分析機器や社内システムのレベルアップについて更なる推進を図ってまいります。

また、彩都総合研究所では既存技術の改良やニュービジネス及び新技術の確立、科学的根拠に繋がる基礎データの蓄積と解析評価の実現に加え、時代に合わせた教育支援のニーズにも応えられるよう、独自性の高い研修サービスを拡充してまいります

 

当連結会計年度における総合環境衛生事業の研究開発費は201百万円となりました。

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