業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、年明け以降のコロナ感染拡大に伴う「まん延防止措置」による消費活動の停滞、企業活動の一定の制約等の影響を受けました。また、昨年後半からのエネルギー関連の価格上昇および2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻に伴う、更なる原料価格の上昇やエネルギー関連の価格の押上など、足元の堅調な当社の業績に対して、今後の経済見通しや市況の「不確実性」が一層増しており、予断を許さない状況にあります。

このような状況の中、当社事業全体の売上高は前年同期比15.3%増の9,978,775千円となりました。損益面につきましては、営業利益は前年同期比167.7%増の972,169千円、経常利益は133.7%増の1,027,914千円、当期純利益は144.7%増の671,884千円と大幅な増収増益となりました。

結果、当社目標数値としているROE(自己資本当期純利益率)8%以上、EPS(1株当たり当期純利益)65円以上につきまして、当事業年度の実績はROE5.8%、EPS56円29銭となり、両目標数値を下回る結果となりました。

今後も資本の効率的な運用および利益率改善に取組み、引き続き目標数値を目指していくものであります。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

セラミックス事業

セラミックス事業につきましては、当社主要客先である電子部品業界の市況が好調に推移しました結果、売上高は前年同期比15.4%増の7,620,378千円となりました。セグメント利益は好調な受注により工場稼働率が向上した結果、前年同期比165.7%増の892,372千円となりました。

市場別構成比では、電子部品向けが53.2%と割合としては依然高く、化学・窯業・鉄鋼向け18.9%、環境・エネルギー向けが3.5%となりました。

エンジニアリング事業

エンジニアリング事業におきましても、セラミックス事業と同様に活発な市況に支えられ好調に推移した結果、売上高は前年同期比14.9%増の2,358,396千円となりました。セグメント利益は、増収効果が大きく、また、前事業年度に実施した組織改編等による固定費削減効果もあり、前年同期比193.3%増の79,796千円となりました。

市場別構成比は、一般電子部品26.1%、自動車・重機21.6%、環境・エネルギー19.5%と昨年度に引き続き一般電子部品向けがトップになりました。

 

財政状態の状況の概要は次の通りであります。

当事業年度末の財政状態につきましては、総資産が前期末比3.8%増の16,533,730千円となりました。内訳としては流動資産が前期末比14.0%増の9,606,685千円、固定資産が7.7%減の6,927,044千円となりました。流動資産の主な増加要因は増収による電子記録債権、売掛金、現金及び預金の増加によるものです。固定資産の主な減少要因は、有形固定資産の減価償却によるもの及び投資有価証券の株価下落によるものです。

一方負債は前期末比5.5%増の4,747,269千円となりました。内訳としては流動負債が前期末比18.0%増の3,668,272千円、固定負債が前期末比22.5%減の1,078,997千円となりました。流動負債の主な増加要因は仕入の増加に伴う買掛金の増加によるものです。固定負債の主な減少要因は長期借入金の返済によるものです。

最後に純資産は前期末比3.1%増の11,786,460千円となりました。内訳としては、利益剰余金が前期末比6.2%増の8,800,288千円、評価・換算差額等が前期末比23.3%減の527,657千円となりました。利益剰余金の増加要因は当事業年度の内部留保の蓄積による繰越利益剰余金の増加によるものです。評価・換算差額等の減少要因は株価下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少によるものです。


 

②キャッシュ・フローの状況

 

 

前事業年度
(千円)

当事業年度
(千円)

前年同期比増減額
(千円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,354,827

1,639,569

284,741

投資活動によるキャッシュ・フロー

△773,570

△561,298

212,272

財務活動によるキャッシュ・フロー

△315,381

△396,858

△81,476

現金及び現金同等物期末残高

2,676,471

3,357,885

681,413

借入金期末残高

1,652,912

1,413,020

△239,892

 

当事業年度末における現金及び現金同等物は前期末比681,413千円(25.5%)増加し3,357,885千円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルス感染拡大による影響により一部事業に制約は受けたものの電子部品業界が好調に推移したことにより税引前当期純利益が1,010,133千円と前年同期比573,130千円(131.2%)増加いたしました。一方で、役員退職慰労引当金の取崩しにより△82,597千円と前年同期比96,429千円(前年は13,832千円の収入)支出が増加いたしました。加えて、法人税等の支払額が△165,081千円と前年同期比79,954千円(93.9%)支出が増加いたしました。結果、営業活動によるキャッシュ・フローは1,639,569千円と前年同期比284,741千円(21.0%)収入が増加いたしました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、生産合理化に向けた投資は継続して実施しているものの設備の更新がひと段落した影響により有形固定資産の取得による支出が△530,071千円と前年同期比369,638千円(41.1%)支出が減少いたしました。一方で昨年度のような投資有価証券の償還はございませんでした。結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△561,298千円と前年同期比212,272千円(27.4%)支出が減少いたしました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の調達を実施しなかったことにより、△396,858千円と前年同期比81,476千円(25.8%)支出が増加いたしました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

セラミックス事業

7,179,578

21.5%

 

(注) 金額は売価換算値で示してあります。

 

b. 仕入実績

当事業年度における製品・商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

セラミックス事業

181,978

△66.4%

エンジニアリング事業

2,034,413

17.2%

合計

2,216,392

△2.7%

 

(注)  金額は仕入価格で示してあります。

 

c. 受注状況

当事業年度における受注状況をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

セラミックス事業

7,863,738

19.4%

2,293,348

11.9%

エンジニアリング事業

2,602,975

22.5%

771,256

46.4%

合計

10,466,713

20.2%

3,064,604

18.9%

 

 

d.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

セラミックス事業

7,620,378

15.4%

エンジニアリング事業

2,358,396

14.9%

合計

9,978,775

15.3%

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

売上高は下記の如く、9,978,775千円となりました。

 

2022年3月

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

構成比
(%)

前期比(%)

セラミックス事業

 

 

 

 機能性セラミックス

469,883

4.7

8.9

 耐摩耗セラミックス

5,147,153

51.6

16.8

 耐熱セラミックス

1,807,543

18.1

15.5

 理化学用陶磁器その他

195,797

2.0

△0.4

小計

7,620,378

76.4

15.4

エンジニアリング事業

 

 

 

 加熱装置

648,554

6.5

16.1

 計測機器その他

1,709,841

17.1

14.4

小計

2,358,396

23.6

14.9

合計

9,978,775

100.0

15.3

 

 

b.売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価率が前年同期より4.5ポイント減少し76.6%となりました。これは、主力のセラミックス事業で売上高が前年同期比15.4%増加したことで工場稼働率が向上したことにより、売上原価率が前年同期比5.7ポイント減少。またエンジニアリング事業も同じく売上高が前年同期比14.9%増加し、利益率の高い加熱装置の売上が前年同期比16.1%と売上を伸ばしたことで、売上原価率が0.6ポイント減少したことによります。

販売費及び一般管理費は、売上増加により販売管理費や人件費が増加しました結果、前年同期比7.2%増加し1,361,778千円となりました。また、売上高販売管理費率は販売管理費は増加したものの売上高が増加したことにより、前年同期比1.1ポイント減少の13.6%となりました。

 

c.営業外収益、営業外費用

営業外収益は、71,657千円となりました。
 営業外収益は、前年同期比35.9%減少しました。主な内容としては受取配当金51,396千円、受取賃貸料7,082千円であります。

営業外費用は、15,911千円となりました。

営業外費用は、前年同期比54.8%減少しました。主な内容としては支払利息9,379千円、コミットメントフィー5,795千円であります。

 

d.特別利益、特別損失

特別利益の発生はございません。

特別損失は、17,780千円となりました。
 特別損失は、前年同期比535.9%増加しました。主な内容としては固定資産売却損16,772千円、固定資産廃棄損1,008千円であります。

 

 

e.資産

資産は、前期末比3.8%増の16,533,730千円となりました。内訳としては流動資産が前期末比14.0%増の9,606,685千円、固定資産が7.7%減の6,927,044千円となりました。流動資産の主な増加要因は増収による電子記録債権、売掛金、現金及び預金の増加によるものです。固定資産の主な減少要因は、有形固定資産の減価償却によるもの及び投資有価証券の株価下落によるものです。

 

f.負債

負債は前期末比5.5%増の4,747,269千円となりました。内訳としては流動負債が前期末比18.0%増の3,668,272千円、固定負債が前期末比22.5%減の1,078,997千円となりました。流動負債の主な増加要因は仕入の増加に伴う買掛金の増加によるものです。固定負債の主な減少要因は長期借入金の返済によるものです。

 

g.純資産

純資産は前期末比3.1%増の11,786,460千円となりました。内訳としては、利益剰余金が前期末比6.2%増の8,800,288千円、評価・換算差額等が前期末比23.3%減の527,657千円となりました。利益剰余金の増加要因は当事業年度の内部留保の蓄積による繰越利益剰余金の増加によるものです。評価・換算差額等の減少要因は株価下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少によるものです

 

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

資本の財源及び資金の流動性については、当社の主要な資金需要は、主に製品製造のための原材料並びに生産設備の新設・改修等生産体制の構築及び新製品の開発などへの投資であり、これらの資金は営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性確保及び財務の健全性・安定性を維持するため金融機関からの借り入れによる資金調達にて対応していくこととしております。なお、運転資金の効率的な調達のため取引金融機関との間に1,000,000千円のコミットメント契約(実行残高400,000千円)を締結しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

④経営者の問題認識と今後の方針について

当事業年度は、新型コロナ感染症拡大による企業活動の一定の制約を受ける中ではありましたが、当社の主要客先である電子部品業界を中心に堅調な受注環境にあり、前年同期比増収増益となりました。一方、昨年後半からの原材料価格の高騰やエネルギー関連の価格上昇および2022年2月以降のウクライナ情勢の問題から一層エネルギー関連の価格や原材料の価格を押し上げる要因となり、当社主力客先の電子部品業界にも業績への一定の影響を受けることが想定され、当社の受注環境にも影響が見込まれ、昨年2021年11月「CONNECT25」の新中期経営計画における、2022年度の業績見込みを下方修正せざるを得ないと判断いたしました。その内容は、上記の各種価格の上昇を踏まえ、売上高は据え置きますが、利益面の下方修正を実施しました。

このような状況下ではありますが、引続き生産効率の改善や今後の環境問題を見据えた、原材料の使用料等を削減すべく「リサイクル・リユース」を現在推し進めております。これによりコスト削減や将来の脱炭素社会に貢献すべく、企業価値向上および持続的成長に努めます。

 

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