業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a. 財政状態

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて24,126百万円(14.2%)増加し、194,020百万円となりました。これは、売掛金が12,046百万円、電子記録債権が3,166百万円、商品及び製品が16,227百万円、原材料及び貯蔵品が5,311百万円、流動資産その他が3,095百万円増加し、現金及び預金が15,621百万円減少したこと等によります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて7,795百万円(6.9%)増加し、120,183百万円となりました。これは、建物及び構築物が2,285百万円、機械装置及び運搬具が2,706百万円、土地が913百万円、無形固定資産その他が674百万円、投資有価証券が494百万円、退職給付に係る資産が1,632百万円増加し、建設仮勘定が1,401百万円減少したこと等によります。

 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて31,921百万円(11.3%)増加し、314,203百万円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて12,171百万円(15.1%)増加し、92,793百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が3,729百万円、短期借入金が9,749百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が883百万円、未払法人税等が1,216百万円減少したこと等によります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて8,644百万円(23.3%)増加し、45,721百万円となりました。これは、社債が10,000百万円、繰延税金負債が1,330百万円増加し、長期借入金が2,702百万円減少したこと等によります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて20,816百万円(17.7%)増加し、138,515百万円となりました。なお、グループ全体の当連結会計年度末の借入金は、前期末から6,163百万円増加して84,492百万円、社債は、前期末から10,000百万円増加して10,000百万円となり、純有利子負債自己資本比率(ネットDEレシオ)は0.27となっております。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べて11,106百万円(6.7%)増加し、175,689百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を6,322百万円計上し、為替換算調整勘定が3,547百万円、退職給付に係る調整累計額が1,296百万円、非支配株主持分が2,580百万円増加した一方で、利益剰余金の配当により2,608百万円減少したこと等によります。

 この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べて196円18銭増加し、3,749円63銭となりました。また、自己資本比率は、前連結会計年度末の54.7%から51.9%となりました。

b. 経営成績

連結売上高は前期対比66,348百万円(29.3%)増収の292,719百万円となりました。連結営業利益は同3,838百万円(30.3%)減益の8,819百万円、連結経常利益は同2,386百万円(18.4%)減益の10,549百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2,466百万円(28.1%)減益の6,322百万円となりました。

 

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

 国内鉄鋼事業

当事業部門については、製品出荷量は輸出込みで前期対比0.8万トン増の158.1万トンとなりました。鉄スクラップ価格は前期対比23.0千円(77.2%)上昇しましたが、製品価格の値上げが前期対比18.2千円(28.3%)に留まったため、売買価格差は4.8千円(13.7%)縮小しました。

以上の結果、売上高は前期対比17,820百万円(16.0%)増収の128,957百万円、営業利益は同10,390百万円(79.9%)減益の2,622百万円となりました。

 

 海外鉄鋼事業

当事業部門については、ベトナム及び北米(米国・カナダ)にて鉄鋼事業を展開しており、いずれも決算期は12月です。

ベトナムにおいては、上期は製品価格急騰に伴う売買価格差の拡大で好業績を上げた一方で、下期はコロナ禍により苦しい事業運営を強いられましたが、通期ではベトナム拠点全体で過去最高益となりました。北米においては、年間を通じて条鋼・鉱山向け製品ともに旺盛な需要環境が続き、また、生産設備の改修などによって製品出荷量が増加し、大幅に業績が改善しました。

以上の結果、売上高は前期対比47,023百万円(44.8%)増収の152,008百万円、営業利益は同5,661百万円増益(前期は428百万円の営業損失)の5,233百万円となりました。

 

 環境リサイクル事業

当事業部門については、難処理廃棄物案件の受注が着実に増加していることに加え、新型コロナウイルス感染症関連の医療廃棄物処理案件の獲得等もあり、業績は好調に推移しました。以上の結果、売上高は前期対比584百万円(8.7%)増収の7,288百万円、営業利益は同688百万円(50.8%)増益の2,044百万円となりました。

 

 その他

当事業部門については、ベトナムでの港湾事業や国内及びベトナムでの鋳物事業などを行っております。売上高は前期対比922百万円(26.0%)増収の4,465百万円となり、営業利益は同107百万円増益(前期は57百万円の営業損失)の50百万円となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1,858百万円増加し、27,210百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、13,697百万円の支出となりました。収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益10,081百万円、減価償却費8,840百万円、利息及び配当金の受取額1,036百万円、当連結会計年度末において売上債権及び棚卸資産が増加したこと等による運転資金負担増28,306百万円、利息の支払額1,197百万円、法人税等の支払額3,686百万円等によります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、6,933百万円の収入となりました。収支の主な内訳は、定期預金の預入による支出54,262百万円、定期預金の払戻による収入72,000百万円、既存鉄鋼製造設備の維持更新や合理化投資、北米の生産拠点の維持更新や合理化投資のための有形固定資産の取得による支出10,883百万円等によります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、7,339百万円の収入となりました。収支の主な内訳は、短期借入金の純増額4,463百万円、長期借入れによる収入1,451百万円、長期借入金の返済による支出5,869百万円、社債の発行による収入9,947百万円、配当金の支払額2,603百万円等によります。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

前年同期比(%)

 国内鉄鋼事業(百万円)

114,048

131.6

海外鉄鋼事業(百万円)

134,220

163.6

環境リサイクル事業(百万円)

6,465

121.8

その他(百万円)

3,879

137.1

合計(百万円)

258,612

146.2

   (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2 金額は、製造原価によっております。

 

b.受注状況

 当社グループの販売実績のうち、見込生産形態によるものが大半を占めるため記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

 

前年同期比(%)

国内鉄鋼事業(百万円)

128,957

116.0

海外鉄鋼事業(百万円)

152,008

144.8

環境リサイクル事業(百万円)

7,288

108.7

その他(百万円)

4,465

126.0

合計(百万円)

292,719

129.3

   (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

            2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、当連結会計年度より、2023年度を最終年度とする中期経営計画「NeXuS 2023」に基づき、最終年度である2023年度の売上高2,900億円、経常利益180億円、売上高経常利益率(ROS)6%以上、純資産利益率(ROE)7%以上などを目標として掲げ、その達成に向けてグループ一丸となって取り組んでいます。その初年度となる当連結会計年度においては、連結売上高2,600億円、連結経常利益100億円、製品出荷量360万トン(国内163万トン、海外198万トン)、ROS3.8%、ROE4.0%を目標として設定し、様々な施策を進めました。その結果、売上高、経常利益についてはそれぞれ292,719百万円、10,549百万円と計画を達成しましたが、製品出荷量は332万トン、ROSは3.6%と未達となりました。なお、ROEは、計画の4.0%に達しました。

 

 

2021年度

 

2023年度

中期経営計画

実績

中期経営計画

売上高

2,600億円

2,927億円

2,900億円

経常利益

100億円

105億円

180億円

製品出荷量

360万トン

332万トン

400万トン

(国内)

163万トン

158万トン

170万トン

(海外)

198万トン

174万トン

230万トン

ROS

3.8%

3.6%

6%以上

ROE

4.0%

4.0%

7%以上

配当性向

29.0%

27.5%

30%程度

 

国内鉄鋼事業については、新型コロナウイルスの影響等により建設需要が停滞する中、異形棒鋼をはじめとする当社グループの製品出荷量は微増となりました。一方、鉄スクラップ価格は、世界的な鉄不足やカーボンニュートラルの影響を受け、ほぼ年間を通じて上昇基調で推移しました。これを受けて、当社グループでは製品価格の引き上げに努めましたが、期中において鉄スクラップ価格上昇分を吸収できず、利益の源泉となる売買価格差(製品価格と原材料価格の差異)は前期対比大幅に縮小し、収益目標を大きく下回ることとなりました。

海外鉄鋼事業については、全体として過去最高益を計上しました。ベトナム拠点においては、上期は旧正月明けの需要回復や中国の旺盛な鉄鋼需要を背景とした良好な需要環境の下で業績は好調でした。下期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンなどの影響で苦しい事業運営を強いられましたが、通期ではベトナム拠点全体として、過去最高益をあげることができました。北米拠点においては、アメリカ、カナダともに旺盛な鉄鋼需要の下、出荷量は大幅に増加しました。鉄スクラップ価格の上昇はあったものの、製品価格への転嫁も順調に進み、売買価格差が拡大したことから、ベトナム同様、通期では北米拠点全体で過去最高益となりました。

環境リサイクル事業については、処理単価の高い難処理廃棄物案件が着実に増えていることに加え、新型コロナウイルス関連案件の受注もあり、増収増益となりました。2016年に設置した本社環境リサイクル部が、本事業のコントロールセンターとして機能したことで営業力、収益力の底上げができたことが大きな成果です。

 

国内鉄鋼事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により減少した鉄鋼需要は、徐々に回復に向かっていますが、人口減少下の日本においては、中長期的に減少するものと認識しています。一方で、カーボンニュートラルへの流れから、これに関連した資源の価格が高騰する、いわゆるグリーンフレーションの下、鉄スクラップの価格が大きく上昇しており、この状況は今後も継続していくことが予想されます。さらに昨今の原油や液化天然ガス(LNG)の高騰により、電力費などの諸コストも上昇しています。厳しい事業環境ではありますが、電力や各種原材料の使用原単位削減を中心としたさらなるコスト削減、社会情勢や需要動向を見極めた機動的な営業活動などにより、他社に対して比較優位となるよう努めます。

海外鉄鋼事業については、当連結会計年度においては国内鉄鋼事業の苦戦を補完する収益をあげることができましたが、収益力のさらなる強化と安定化が重要と認識しています。ベトナムにおいては、競合環境は引き続き厳しいものの、需要は旺盛と予想しており、いずれの拠点も生産・販売ともに増加を見込んでいます。また、北米においても、引き続き堅調な需要環境の中、出荷量の増加と原材料価格上昇分の製品価格への転嫁を進め、鉄筋をはじめとする建設用鋼材の生産・販売を強化していきます。

環境リサイクル事業については、引き続き難処理廃棄物の取扱量増加による収益力強化に取り組みます。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

 なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 自己資本比率

59.8%

54.8%

54.9%

54.7%

51.9%

 時価ベースの自己資本比率

34.0%

26.2%

20.1%

25.6%

18.5%

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率

1,585.8%

217.8%

521.8%

 インタレスト・カバレッジ・レシオ

2.5倍

17.3倍

11.2倍

(注)1.各指標の算出は以下の算式を使用しております。

- 自己資本比率:自己資本/総資産

- 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

- キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

- インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

4.2018年3月期及び2022年3月期については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは原材料である鉄スクラップ、合金鉄等の副資材の購入費用、その他製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

投資を目的とした資金需要は製造設備の更新等の設備投資、M&Aによる株式取得等によるものであります。

当社グループは、原材料価格と製品販売価格の市況変動に対応可能な事業資金を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の投資資金は金融機関からの長期借入および社債の発行を基本としております。

また、経営基盤である財務の健全性や経営の透明性を高めるとともに、資金調達の多様化や安定化を図り、経営環境の変化に対応した機動的な資金調達を可能にするため、当社は株式会社日本格付研究所から格付けを取得しており、本報告書提出時点において、格付は「A-(見通し:安定的)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

当社グループは、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

a. 固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

当社グループは繰延税金資産について、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断される金額を計上しております。繰延税金資産の評価は、将来の課税所得の見積りと、税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。

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