事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社グループにおいて、リスクとは、経営の目的の達成を阻害する潜在的な要因であると定義しております。

 また、リスクを適切に管理することは、経営上極めて重要な課題であるとの認識のもと、当社グループはリスクマネジメント委員会を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。具体的な本委員会の構成としては、グループCEOを委員長、当社取締役、執行役員および主要事業会社の社長を委員としております。グループCEO統括のもと、本委員会にて、リスクの評価およびリスクマネジメント計画、対応策、年間を通したマネジメントサイクルの結果を、適時に取締役会へ報告しております。また、リスク統括部署として経営管理統括部内にリスクマネジメント室を設置し、規則、ガイドラインの制定、教育研修およびモニタリングの実施等、事業の継続発展のために不可欠な全社的リスクマネジメント体制の強化を図っております。

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  リスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主要リスクについては、本委員会にてリスクを識別、分析、評価をして判断しております。具体的には、グループ各社から挙げられたリスクを数値化する等して定量的に分析を行い、その上で当社グループとして重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを主要リスクとして特定しております。また、本社で認識したリスクについても追加の上、全社的に主要リスクへの対策を行っております。主要リスクとしては、以下のようなものがあります。

 

 2021年度主要リスク

リスク項目

認識しているリスク内容

主要な取り組み

残存するリスク

自然災害等

〇以下の自然災害等による製造拠点の操業停止や物流機能の麻痺等

・大規模な地震・台風・洪水等の自然災害

・火災等の事故

・事前に想定されるリスクに対して円滑な初期対応を講じるために、BCP(事業継続計画)を策定

・製造拠点ではインフラ設備の強靭化投資を計画的に実施

・火災保険等の付保

・電力不足・物流の停滞等により社会インフラ機能そのものの低下が長期化する等、計画的な生産活動に大幅な制限が生じた場合の業績等への重要な影響

原材料価格変動

〇主要原料の銅の価格変動

〇ポリエチレン等の石油化学製品の価格変動

・グループ調達本部による管理強化

・計画的な安定調達実施による在庫削減

・製品価格へのスライド転嫁

・先物取引等を活用した銅価格変動リスクヘッジ

・製品価格への転嫁が困難な場合や相場が大きく下落する局面で、損失が生じた場合の業績等への重要な影響

 

パンデミック

〇新型コロナウイルス感染症による影響

・新型コロナウイルス緊急対策本部による対応(従業員の安全確保、社内外の感染抑止等)

・オンラインツール等を活用したビジネス継続体制の構築

・感染症の継続による市場縮小、事業活動の制限による財政状態および経営成績への重要な影響

サプライチェーン寸断・喪失

〇サプライチェーンの寸断・喪失による原材料供給の停止、遅延

・調達先の多様化、複数購買の推進によるリスク低減

・調達先の個別管理徹底(廃業、事業撤退リスク管理)

・原材料調達の停止、遅延による事業活動や業績への影響

・調達難に起因する調達コストの増大

 

 

品質問題

〇品質問題の発生(欠陥、不良品)

〇各種規格、法令、お客様との取り決め等に違反する製品の製造・販売

・品質・環境管理統括室によるモニタリング、監査統括部による監査

・品質保証業務のデジタル化推進による品質管理徹底、不正防止

・全社的教育プログラムの展開

・賠償保険の付保

・品質問題に起因する損失補償や製造物責任訴訟等

・品質問題による信頼失墜、レピュテーションの毀損

 

コンプライアンス

〇各種法令・税制に関する規制に違反するリスク

〇取引先等との契約上・取引上の義務に違反するリスク

〇社会通念上受け入れられない役職員の言動による信頼失墜

・全社的コンプライアンス意識の醸成と法務室によるチェック体制強化

・コンプライアンスに関する研修・勉強会の実施

・内部通報制度の活用による不正等の検知

・各規制当局からの処分・制裁等

・取引先等の関係者から損害賠償や取引の停止を求められる可能性

・コンプライアンスに対する意識が希薄であると判断され、信頼やレピュテーションが毀損

環境・気候変動

〇環境・気候変動への対応遅延等によるビジネス影響

〇CO₂排出削減コストの増大

〇エネルギー関連調達コストの増大

・環境・気候変動への対応強化と積極的開示

・全社的環境プロジェクトの展開

・環境対応を考慮した設備投資基準の検討

・環境・気候変動への対応遅れによる信頼失墜、採用や業績への悪影響

・中長期的な製造コストの増大による収益性の低下

 

 その他、当社グループが認識している業績等に重要な影響を及ぼす可能性がある経営上のリスクは以下のとおりであります。

 

①情報セキュリティに係るリスク

 当社グループは、事業活動の過程で、取引先等の個人情報や当社グループおよび取引先の技術、製造、販売、研究開発等に関する機密情報を保有しております。これらの情報に対する不正アクセス、不適切な取扱いによる情報流出等を防ぐと共に、サイバー攻撃による事業活動の混乱を防止するため、セキュリティシステムに関する技術的な強化や情報管理に関する社内規程の整備、従業員への教育に努めるだけではなく、ネットワークのセキュリティ強化に対して継続した投資を行っております。しかし、情報流出等のリスクや事業活動への影響は完全には回避できないため、その場合には、金銭的補償や信頼回復に向けた対応に多額の費用を要する等、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

②金利に係るリスク

 当社グループでは、銅等の原材料調達のための運転資金や設備投資のための長期安定的資金を必要としており、当事業年度末現在の有利子負債は391億円であり、総資産に占める割合は26.6%であります。

 これに対して、棚卸資産の圧縮による運転資金の削減や保有資産の売却による資金調達、グループファイナンスによる資金運用の効率化を実施することで有利子負債の削減に取り組んでおります。また、金利が大幅に上昇した場合には金融費用の負担が増加するおそれがあることから、金利スワップ等のヘッジ取引により、リスクを低減する対応を実施しております。

③為替に係るリスク

  当社グループでは、海外売上高比率が9.2%であることもあり、国内での円貨建取引が中心でありますが、一部の海外での取引の決済は米ドルその他の外国通貨建で行われております。

 また、海外子会社等については、現地通貨で財務諸表を作成したものを連結財務諸表作成時に円換算するため、その間の為替レートの変動により影響を受けることがあります。加えて、外貨建債権債務を保有している子会社等では、期末における評価替、同負債に係る返済、利払い等において、為替レートの変動による差損益が生じることがあります。

 当社グループでは、為替レートの変動に対するリスクを債権・債務の均衡化、為替予約等のヘッジ取引により一定限度まで低減しておりますが、過度な変動があった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

④設備投資に係るリスク

 当社グループでは、電線・ケーブル等をはじめとする社会インフラ整備に必要不可欠な製品を製造しており、その品質の安定と生産性の向上のために、将来の受注動向や減価償却費の推移等を勘案しながら、計画的に新規製造設備の導入や既存設備の改良・更新を進めております。

 しかしながら、経営環境や受注動向に著しい変動が生じた場合や、自然災害等における被害が生じた場合、既存設備の老朽化が想定を超えて進展した場合には、当初の設備投資計画の見直しを迫られるおそれがあります。

⑤海外事業展開に係るリスク

  当社グループの海外における事業展開やその拠点は、主に中国に集中しており、同国における法制度や行政上の取扱い等の変更によっては、当社グループの同国内での事業活動に支障をきたすおそれがあり、また、人民元のレートの大幅な調整や、中国経済の失速は、当社グループの業績に直接的な影響を及ぼしかねません。

 このようなリスクに対しては、当社グループは、パートナー企業との連携をさらに強化するとともに、ベトナムをはじめとする中国以外の海外事業展開を推進する等により、リスクの低減に努めております。

⑥人材の確保および育成に関わるリスク

  当社グループでは、長年培ってきた技術・技能を有する人材の高齢化や流動化が進む中、今後の事業運営を確実に推進していくために、優秀な人材や事業運営上必要となる資格者の確保と育成に努めるとともに、IoT (Internet of Things)やRPA(Robotic Process Automation)の活用による省人化や業務の効率化にも注力しております。

 しかしながら、これらの人材の確保等が十分に行えない場合には、組織編制上の制約や事業上の機会の逸失に繋がるおそれもあり、その場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦知的財産権に係るリスク

 当社グループは、技術とノウハウに関する権利保護に注力しており、技術系社員全員に対して特許教育を継続的に行うだけでなく、製品開発や発売の際には特許調査等を徹底して実施しております。しかし、事業展開する上で第三者から知的財産権を侵害されるおそれがあり、また、当社グループの製品または技術に対して、第三者から権利侵害を主張されるおそれもあります。自らの知的財産権を保護するためには訴訟等を通じた対応も必要となり、その場合には、多額の費用と経営資源が費やされるおそれがあり、さらに第三者の権利侵害の申し立てが認められた場合には、重要な技術が利用できなくなる等の可能性があります。

 

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