業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナワクチン接種の進捗などに伴い、政府による感染対策と経済活動の両立が図られ、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が緩和され持ち直しの動きがみられてきております。感染対策に万全を期し、政府による様々な対策の効果や実経済の改善もあり、景気の持ち直しが期待されております。

 当社グループの主力品種である18L缶は、昨年のコロナ禍による大きな落ち込みからの復調傾向がみられ、塗料・食糧等を中心に出荷数の増加と昨年から続いている材料等の値上げの転嫁により、前年対比で売上高3.2%増加しております。

 一方、美術缶につきましても、食糧向け出荷量の増加により前年対比で売上高3.1%増となりました。

 このような中、当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の売上高は、10,472百万円(前年比4.7%減)、営業利益は162百万円(前年比22.7%減)、経常利益は220百万円(前年比14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は236百万円(前年比20.4%減)となりました。

 セグメントの概況は次のとおりです。

 

a.金属缶製造販売事業

 当社グループの販売実績は、18L缶につきましては、主な需要分野である塗料向けに復調傾向が見られ前年対比で僅かではありますが、数量増となりました。化学向け、食糧向けにつきましては、堅調に推移しており、全体では、対前年比で売上高3.2%増となりました。美術缶につきましては、食糧向け出荷量の増加により前年対比で売上高3.1%増となりました。

 製品別売上高                                 (単位:千円、%)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

構成比

金額

構成比

18L缶

6,583,505

60.8

6,791,188

65.9

美術缶

2,723,582

25.2

2,808,764

27.2

その他

1,511,311

14.0

706,705

6.9

10,818,399

100.0

10,306,658

100.0

(注)前期製品別売上高「その他」には、付帯事業である外部の金属缶製造工場への製造設備機器売上高943百万円が含まれております。

 金属缶製造販売事業の売上高は10,306百万円(前年比4.7%減)、営業利益は73百万円(前期比41.1%減)となりました。

b.不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業の売上高は165百万円(前年比0.6%増)、営業利益は88百万円(前年比4.1%増)となりました。

 

(資産の部)

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて942百万円減少し13,619百万円となりました。

 流動資産におきましては、前連結会計年度末に比べて164百万円減少し6,060百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が446百万円減少し、電子記録債権が199百万円、原材料及び貯蔵品が80百万円増加したことによるものであります。

 固定資産におきましては、前連結会計年度末に比べて777百万円減少し7,558百万円となりました。これは主に有形固定資産が145百万円、無形固定資産が28百万円増加し、投資その他の資産が951百万円減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて484百万円減少し7,873百万円となりました。

 流動負債におきましては、前連結会計年度末に比べて365百万円減少し4,736百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が63百万円、設備関係支払手形が53百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が112百万円、その他(主に未払金)が276百万円減少したことによるものであります。

 固定負債におきましては、前連結会計年度末に比べて118百万円減少し3,137百万円となりました。これは主に長期借入金が155百万円、退職給付に係る負債が27百万円増加し、繰延税金負債が301百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて457百万円減少し5,745百万円となりました。

 これは主に利益剰余金が167百万円増加し、その他有価証券評価差額金が641百万円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は35.8%(前連結会計年度末は36.8%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2百万円増加し、当連結会計年度末には721百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は412百万円(前年比25.2%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益351百万円、減価償却費472百万円、投資有価証券売却益△135百万円、売上債権の減少220百万円、棚卸資産の増加△90百万円、その他△334百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は366百万円(前期は得られた資金2百万円)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出△523百万円、投資有価証券の売却による収入164百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は43百万円(前年比89.9%減)となりました。これは主に長短有利子負債の増加37百万円、配当金の支払△67百万円、自己株式の取得による支出△14百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を金属缶製造販売事業内の製品別に示すと次のとおりであります。

金属缶製造販売事業内製品区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

    至 2022年3月31日)

前年比(%)

18L缶 (千円)

6,076,912

104.5

美術缶 (千円)

2,377,123

97.2

その他 (千円)

555,721

145.9

計  (千円)

9,009,757

104.3

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注状況を金属缶製造販売事業内の製品別に示すと次のとおりであります。

金属缶製造販売事業内

製品区分

受注高(千円)

前年比(%)

受注残高(千円)

前年比(%)

18L缶

6,801,210

103.1

185,865

105.4

美術缶

2,738,236

94.8

155,232

68.8

その他

594,723

120.5

21,509

71.2

10,134,170

101.6

362,607

83.9

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を金属缶製造販売事業内の製品別に示すと次のとおりであります。

金属缶製造販売事業内製品区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

前年比(%)

18L缶  (千円)

6,791,188

103.2

美術缶  (千円)

2,808,764

103.1

その他  (千円)

706,705

46.8

計       (千円)

10,306,658

95.3

 

 

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社明治

2,026,053

18.4

2,011,466

19.2

西部容器株式会社

1,363,355

12.4

1,477,984

14.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として次のものがあります。

a.鋼材価格、印刷費、輸送費、ガス電力費の急激な価格上昇

 当社の業績は、鋼材価格、印刷費、ガス・電力費の急激、且つ大幅な上昇を完全に吸収できるよう如何に速やかに製品価格に転嫁できるかにかかっており、今後も全力を挙げてこれに対処してまいります。

b.需要動向

 半導体不足によるすそ野の広い自動車減産の回復の遅れは残るものの新型コロナワクチン接種効果などによる個人消費及び設備投資の回復による需要回復は期待されます。しかしながら、ウクライナ情勢等による不透明感が見られるなか、原材料価格やエネルギーコストの高騰が需要を減退させることが懸念されております。

 その中で、他社と差別化を図り、売上の維持・拡大に全力を挙げてまいります。

c.金融情勢の動向

 負債資本倍率は0.6でありますが、当社グループの有利子負債については、今後の金融情勢により、収益の圧迫要因となる可能性があります。

d.販売実績

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、10,472百万円となりました。

 金属缶製造販売事業においては、主力製品である18L缶の売上高は、昨年から続いている鋼材等の値上げの転嫁により6,791百万円となりました。

 美術缶につきましては、食糧向け出荷量の増加により売上高は、2,808百万円となりました。

 不動産賃貸事業においては、自社保有の建物等の不動産賃貸を行っており、前年同期並みの165百万円となりました。

 

 経営成績の分析

a.売上高

 売上高は前連結会計年度に比べ510百万円減少し10,472百万円(前年比4.7%減)となりました。金属缶製造販売事業セグメント内の18L缶においては、主な需要分野である塗料向けに復調傾向が見られ前年対比で僅かではありますが、数量増となりました。化学・食糧向けは堅調に推移しており、昨年から続いている値上げの転嫁もあり、全体では前連結会計年度末に比べ207百万円増加し6,791百万円(前年比3.2%増)となりました。美術缶においては、食糧向け出荷量の増加により、前連結会計年度末に比べ85百万円増加し2,808百万円(前年比3.1%増)となりました。また、その他においては、前期において製造設備機器販売があったことにより、前連結会計年度末に比べ804百万円減少し706百万円(前年比53.2%減)となりました。

b.営業利益

 営業利益は前連結会計年度末に比べ47百万円減少し162百万円(前年比22.7%減)となりました。これは主に人件費及び輸送費用の増加によるものであります。

c.経常利益

 経常利益は前連結会計年度末に比べ37百万円減少し220百万円(前年比14.4%減)となりました。これは主に人件費及び輸送費用の増加によるものであります。

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度末に比べ60百万円減少し236百万円(前年比20.4%減)となりました。これは人件費及び輸送費用の増加に加え、投資有価証券売却益及び法人税、住民税及び事業税の減少によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は721百万円となり、前連結会計年度末に比べ2百万円増加いたしました。これは営業活動の結果得られた資金が412百万円、投資活動の結果使用した資金が366百万円、財務活動の結果使用した資金43百万円によるものであります。

 また、有利子負債残高は2,886百万円となりました。

 上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.契約債務

 2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

2,871,950

907,108

1,151,185

561,767

251,890

リース債務

14,660

4,754

9,509

396

 上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めており、リース債務は流動負債と固定負債のリース債務の合計です。

c.財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金等につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入につきましては、長期借入金で調達することを基本としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(3)経営方針と経営上の目標達成状況

 当社グループの経営方針、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、連結売上高、株主資本利益率、負債資本倍率(デット・エクイティ・レシオ)を重要な経営指標と位置づけております。

 当連結会計年度は、連結売上目標10,000百万円に対し、10,472百万円(+4.7%)となりました。

 株主資本利益率は7.4%となり目標の5.0%の維持に対し、大きく上回りました。負債資本倍率(デット・エクイティ・レシオ)は0.6となり、目標の1.0倍未満を達成いたしました。引き続き当該指標の改善に向けて取り組んでまいります。

 

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