業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が継続し、国内外の経済活動は部分的に再開されたものの、企業業績が感染症前の水準までには回復しない中、新たにロシアによるウクライナ侵攻が起こり、不安定な経済環境に陥りました。そのような環境下、原材料価格等の上昇、円安の進行、半導体等の供給不足、サプライチェーンの混乱により経済活動は未だ収束に向けた道筋が見えない不透明な状況にあります。

このような事業環境のもと、当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、2021年度の新設住宅着工戸数が86.6万戸(前年度81.2万戸、6.6%増)と、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ前年度の反動により、増加となりました。特に利用関係区分での持家・貸家(賃貸住宅)は、コロナ禍による外出自粛、テレワークへの対応等の影響で需要が増加しました。

一方、電気・輸送機器向は、自動車メーカーの堅調な生産活動により好調に推移しましたが、下期からは半導体や自動車部品の入手が困難になった影響をうけて、ねじの需要も減少に転じました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、5,084百万円(前年度4,401百万円、15.5%増)となりました。増減内訳は、建設・梱包向は433百万円増(12.8%増)、電気・輸送機器向は250百万円増(25.0%増)であります。売上総利益は、売上高の増収により40百万円増の800百万円となりましたが、鋼材や副資材価格の高騰や輸入商品価格の値上がり等によりコストが増加し、売上総利益率は15.7%と、前連結会計年度と比べ1.5%悪化しました。営業利益は、販売費及び一般管理費の低減に努めたものの、販売量の増加に伴う運賃の増加等により、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ53百万円(7.3%)増加したため、17百万円(前年度30百万円、41.7%減)となり、経常利益は、6百万円(前年度17百万円、61.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益13百万円を特別利益として計上し、税金費用として、法人税、住民税及び事業税が27百万円、法人税等調整額が△10百万円であったことにより、2百万円(前年度4百万円、45.2%減)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメント別業績は次のとおりであります。

(建設・梱包向)

建設・梱包向セグメントは、釘を多く使用する2×4等の木造住宅着工が堅調に推移し、新型コロナウイルス感染症が完全に収束しない中、売上高は前年度と比べ433百万円の増収となりました。営業利益は、販売価格の改定による採算の改善に努めましたが、材料価格や輸入商品仕入価格の上昇が先行し、適正な利益率での販売が難しく、販売量の増加に見合う利益を確保できずに、減益となりました。この結果、当セグメントの売上高は、3,832百万円(前年度3,399百万円、12.8%増)となりましたが、セグメント利益は前年度に比べ28百万円減少し、139百万円(前年度168百万円、17.2%減)となりました。

(電気・輸送機器向)

電気・輸送機器向セグメントは、新型コロナウイルス感染症の断続的な影響により、自動車業界を中心とし主力の取引先において生産調整が発生したものの、概ね順調な受注及び生産水準で推移しました。主要な自動車分野にてCASE関連需要となるバッテリー関連・モーター関連・自動運転部品等及びアミューズメント関連の需要増への対応を行い、中でもライセンス製品の需要増加で売上が安定しました。この結果、当セグメントの売上高は、1,252百万円(前年度1,002百万円、25.0%増)となりました。セグメント利益は64百万円(前年度38百万円、68.0%増)、26百万円の増加となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当社グループは、適切な流動性の維持、設備投資を含む事業活動のための資金の確保、総資産及び有利子負債 の圧縮を前提とした健全なバランスシートの維持、また自己資本比率を高めていくことを財務方針としていま す。

当連結会計年度末の総資産は5,231百万円(前年度末比74百万円減)となりました。負債は4,047百万円(前年度末比52百万円減)となり、純資産は1,183百万円(前年度末比22百万円減)となりました。

(資産)

流動資産は、売上高の増加により受取手形及び売掛金が96百万円、電子記録債権が37百万円増加しましたが、現金及び預金が67百万円、商品及び製品が37百万円、その他が30百万円減少したこと等により、前年度末に比べ13百万円減の3,188百万円となりました。固定資産は、有形・無形固定資産の設備投資額が119百万円に対して減価償却費が165百万円であり48百万円減少、繰延税金資産が14百万円増加したこと等により、前年度末に比べ61百万円減の2,042百万円となりました。

(負債)

流動負債は、支払手形及び買掛金が167百万円、電子記録債務が45百万円、未払法人税等が19百万円、未払消費税等が62百万円増加し、短期借入金が116百万円減少したこと等により、前年度末に比べ193百万円増加し、2,873百万円となりました。固定負債は、長期借入金が207百万円、役員退職慰労引当金が23百万円減少したこと等により、前年度末に比べ246百万円減少し、1,173百万円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、主に連結子会社株式会社ナテックの株式を追加取得し、完全子会社化したこと等により、資本剰余金が36百万円増加、非支配株主持分が47百万円減少し、その他有価証券評価差額金が14百万円減少したこと等により、前年度末に比べ22百万円減少し、1,183百万円となりました。この結果、自己資本比率は前年度末の21.8%から22.6%となり、1株当たり純資産は98.42円から99.85円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により367百万円の収入があり、投資活動により83百万円の支出、財務活動により351百万円の支出により、資金は前連結会計年度末に比べ67百万円減少し、569百万円となりました。

・営業活動によるキャッシュ・フロー

売上債権が133百万円増加し、仕入債務が212百万円増加しました。また、税金等調整前当期純利益が23百万円、減価償却費が165百万円であった等のため、営業活動で得られた資金は、367百万円となりました(前連結会計年度は175百万円の収入)。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

有形固定資産の取得による支出が113百万円、投資有価証券の売却による収入が30百万円等であったため、投資活動に使用した資金は83百万円となりました(前連結会計年度は223百万円の支出)。

・財務活動によるキャッシュ・フロー

長期借入金を460百万円借入れ、返済による支出が683百万円であり、短期借入金の返済による支出が借入による収入を100百万円上回り、また子会社株式の取得による支出が21百万円等であったため、財務活動で使用した資金は351百万円となりました(前連結会計年度は68百万円の収入)。

 

資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、多額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やRОEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しています。

 

(5) 経営指標に対する経営者視点による分析・検討

(経営成績)

売上高に対する指標は、全セグメントとも鋼材価格の値上がりや為替変動に即応した販売価格の是正に努め、建設・梱包向は、既存事業とのシナジー効果の見込める分野への参入、電気・輸送機器向は、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向のライセンス製品の販売拡大により、売上高の増大を図ってまいります。営業利益に対する指標は、売上高の拡大、高付加価値品への特化及び生産の自動化による効率化等による製造コストの圧縮や運賃をはじめとする販売費及び一般管理費の低減により達成してまいります。  

(財政状態)

ROE7%を基本に、総資産及び有利子負債の圧縮を前提とした健全なバランスシートを維持するなかで、安定的利益を確保することにより達成してまいります。

(資本の財源と資金の流動性)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資によるものであります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については金融機関からの長期借入を基本としています。前述の経営指標に向け、省人化の設備投資を優先的に実施してまいります。

 

 (6) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績及び仕入実績

当連結会計年度における生産高及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高及び仕入実績(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

3,207,014

+8.5

電気・輸送機器向

1,044,528

+28.0

合計

4,251,542

+12.8

 

(注) 金額は、生産高は製造原価、仕入実績は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 ② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

3,873,206

+14.9

330,362

+14.1

電気・輸送機器向

1,224,975

+19.7

113,673

△19.5

合計

5,098,181

+16.0

444,035

+3.1

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 ③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

建設・梱包向

3,832,498

+12.8

電気・輸送機器向

1,252,444

+25.0

合計

5,084,943

+15.5

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

大東スチール株式会社

821,275

18.7

979,400

19.3

 

 

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