業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、経済社会活動の段階的再開や景気対策の効果等により、一時的に持ち直しの動きが見られたものの、変異株の流行により感染者数が急増したことから、断続的に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出され、景気の先行きは不透明な状況で推移しました。また、国際情勢の影響による原油価格・原材料価格の高騰等もあり、予断を許さない状況が続いております。

当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の基本的感染対策を徹底するとともに、各事業において「新しい生活様式」及び業種別ガイドラインに則った施行・接客により、お客様と従業員の安全確保に努めました。

このような環境下、事業環境の変化に迅速に対応するため、2021年4月に代表取締役の異動を実施し、経営体制の若返りを図りました。また、中期経営計画の最終年度として、重点施策である「未来へのトランスフォーメーション」・「生産性追求」・「人財開発と働く環境の整備」に引き続き取り組みました。具体的には、組織の効率化及び事業ポートフォリオの再構築を図るため、連結子会社であるこころガーデン株式会社とこころeパワー株式会社を当社へ吸収合併しました。また、選択と集中及び経営資源の適正配分を図るため、婚礼会場2施設の閉館を進めるとともに、葬祭会館2施設をオープンしました。次に、業務を抜本的に見直すBPRの拡大・加速、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた基盤づくり等を推進しました。更に、社員の健康増進に取り組む健康経営や変化に対応するためのリーダー人財の育成等を継続しました。

当連結会計年度の当社グループの経営成績は、主に葬祭・石材・婚礼・生花事業における増収により、売上高は8,675百万円(前年同期比8.6%増)となりました。加えて、固定費や販売費及び一般管理費の圧縮に努めたこと等により、営業利益は297百万円(同242.6%増)、経常利益は341百万円(同121.6%増)となりました。また、ベトナムにおける協業先からの債権回収による貸倒引当金戻入額を特別利益に計上した一方、収益性が低下した婚礼会場における減損損失並びに2022年3月に発生した福島県沖地震に起因する災害による損失を特別損失に計上したことに加え、法人税等調整額が増加したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は131百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失864百万円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高または振替高を除き記載しております。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。経営成績における前年同期比較については、前年同期間の数値を変更後の報告セグメント利益又は損失の算定方法により組み替えた数値で比較しております。報告セグメントの算定方法の変更の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)の「2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。

 

(葬祭事業)

葬祭事業につきましては、営業エリアの死亡者数は増加傾向で推移しました。一方で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出等により、参列の自粛や会食利用等の回復が停滞し、葬儀の小規模化及び低価格化が継続しました。

このような状況の下、祭壇生花やオプション品等の高付加価値商品や会食に代わる葬儀付帯商材の販売促進等に注力し、葬儀施行単価の低下抑制に努めました。また、法事や仏壇仏具の販売及び葬儀施行後の会員募集等のアフターフォロー営業を強化しました。更に、2021年10月に「とわノイエ 会津」(福島県会津若松市)、2022年3月に「とわノイエ 越戸」(栃木県宇都宮市)をオープンし、小規模葬儀ニーズへの対応を充実させました。その結果、葬儀施行件数が前年同期より増加した一方、売上原価が上昇したこと等により、売上高は5,033百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は484百万円(同1.3%減)となりました。

 

(石材事業)

石材事業につきましては、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行に加えて、資源価格の高騰や中国の電力供給問題等により、海外における原石の在庫不足、仕入原価の上昇及び墓石・石材加工商品の入荷遅延等が続きました。また、ベトナムにおける墓石販売については、ホーチミン市の社会隔離措置で営業活動が一時的に停滞する等の影響が生じました。一方で、2021年2月及び2022年3月に発生した福島県沖地震の影響により、墓石のリフォーム・メンテナンスの需要が高まりました。

このような状況の下、石材卸売において新規取引先の開拓に注力するとともに、石材小売において来店客誘致と店舗営業の強化等を推進し、販売数量の増加を図りました。その結果、石材卸売数量、墓石の新規建立件数及びリフォーム・メンテナンスの受注等が前年同期よりも増加し、売上高は2,255百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は67百万円(同137.0%増)となりました。

(婚礼事業)

婚礼事業につきましては、緊急事態宣言の発出に伴い臨時休業期間を設けた前年同期に比べ、婚礼・宴会の延期や中止は減少したものの、まん延防止等重点措置の発出等により、婚礼の需要減少並びに小規模化が継続しました。

このような状況の下、事業環境の変化等を踏まえ、2021年10月に小規模婚礼会場「Primari」(福島県福島市)を閉館するとともに、2022年6月にゲストハウス「アニエス郡山」(福島県郡山市)を閉館することを決議しました。また、フォトプランや家族中心の小規模プラン等の新しい生活様式に沿った婚礼の提案、動画コンテンツやSNSによる情報発信の充実、料理のテイクアウトや宅配商品の拡大、婚礼・宴会のオプション販売等に注力しました。その結果、婚礼施行件数等が前年同期よりも増加しましたが、売上高は624百万円(前年同期比68.5%増)、営業損失は382百万円(前年同期は営業損失560百万円)となりました。

 

(生花事業)

生花事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う葬儀の小規模化は継続しているものの、生花需要は前年同期よりも回復が見られました。

このような状況の下、葬儀社向けの祭壇生花等の提案、生花店や葬儀社等へのオンラインショップの訴求及び架電・SNSによる情報発信等を強化し、新規取引先の開拓と既存取引先への深耕に注力しました。その結果、生花及び生花商品の卸売数量が増加し、売上高は589百万円(前年同期比11.7%増)、営業利益は139百万円(同9.3%増)となりました。

 

(互助会事業)

互助会事業につきましては、広告宣伝及びWebを活用した営業活動、感染症対策を講じたセミナー・イベントの開催等に注力し、互助会の新規加入促進等に努めました。その結果、売上高は6百万円(前年同期比88.9%増)、営業利益は45百万円(同74.2%増)となりました。

 

(その他)

その他の装販部門につきましては、既存取引先を中心にオリジナル紙棺「悠舟」の販売数量が好調に推移した一方で、海外からの運賃の高騰により仕入原価が上昇しました。また、その他の介護部門を2021年1月に事業譲渡したことに伴い売上高が減少しました。その結果、売上高は158百万円(前年同期比27.0%減)、営業利益は5百万円(同45.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ415百万円増加し、3,424百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は870百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益300百万円、減価償却費366百万円、減損損失101百万円、貸倒引当金の減少額93百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は22百万円となりました。これは主に定期預金の払戻による収入200百万円、有形固定資産の取得による支出271百万円、敷金及び保証金の回収による収入131百万円及び供託金の預入による支出129百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は433百万円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出230百万円、自己株式の取得による支出84百万円、配当金の支払額115百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 石材事業にて一部建築受注請負がありますが、金額が少額なため記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における各セグメントの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

葬祭事業

5,033,507

102.6

石材事業

2,255,985

115.4

婚礼事業

624,024

168.5

生花事業

589,310

111.7

互助会事業

6,574

188.9

報告セグメント計

8,509,404

109.6

その他

158,269

73.0

全社

7,630

99.5

合計

8,675,303

108.6

(注)1 セグメント間の内部売上高を除いております。

2 最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

㈱JAライフクリエイト福島

931,873

8.9

1,032,138

11.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の認識及び分析

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は18,534百万円(前連結会計年度末比0.9%減)となりました。

 流動資産は4,616百万円(同0.9%増)となりました。これは主に未収還付法人税等が66百万円減少した一方で、現金及び預金が240百万円増加したことによるものです。

 固定資産は13,918百万円(同1.5%減)となりました。これは主に供託金が129百万円増加した一方で、建物及び構築物が194百万円、その他(敷金及び保証金)が114百万円減少したことによるものです。

 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は10,502百万円(前連結会計年度末比1.2%減)となりました。

 流動負債は1,237百万円(同2.9%減)となりました。これは主に賞与引当金が38百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が114百万円減少したことによるものです。

 固定負債は9,264百万円(同1.0%減)となりました。これは主に長期借入金が116百万円減少したことによるものです。

 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は8,032百万円(前連結会計年度末比0.5%減)となりました。これは主に、利益剰余金が15百万円増加した一方で、自己株式立会外買付取引により自己株式を84百万円取得したことによるものです。

 

b.経営成績の認識及び分析

(売上高)

 新型コロナウイルス感染症の流行による影響が継続しているものの、葬祭・婚礼事業における施行件数の増加、石材事業における石材卸売数量並びに石材小売数量の増加、生花事業における生花及び生花商品の卸売数量の増加等により、葬祭・石材・婚礼・生花事業が増収となり、売上高は8,675百万円(前連結会計年度比8.6%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上高の増加並びに国際情勢の影響により仕入高等が増加したことに加え、葬祭会館2施設の新規出店に伴う経費や修繕維持費が増加したこと等より、売上原価は5,946百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。その結果、売上総利益は2,728百万円(同9.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 各セグメントにおいて、経費圧縮に努めたこと等により、販売費及び一般管理費は前年同期よりも微増に止まり、2,430百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。その結果、営業利益は297百万円(同242.6%増)となりました。

 

(営業外収益及び営業外費用、経常利益)

 為替差益やその他の雑収入が減少したこと等により、営業外収益は123百万円(前連結会計年度比13.9%減)となりました。一方で、持分法による投資損失の計上や前受金復活損失引当金繰入額が増加したこと等により、営業外費用は80百万円(同5.0%増)となりました。その結果、経常利益は341百万円(同121.6%増)となりました。

 

(特別利益及び特別損失)

 ベトナムにおける協業先からの債権回収による貸倒引当金戻入額を特別利益に計上したこと等により、特別利益は144百万円(前連結会計年度比78.5%増)となりました。一方で、収益性が低下した婚礼会場における減損損失及び2022年3月に発生した福島県沖地震に起因する災害による損失を計上したこと等により、特別損失は184百万円(同85.5%減)となりました。この結果、特別損益は40百万円の損失(純額)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等合計は150百万円(前連結会計年度は法人税等合計△150百万円)となりました。以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は131百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失864百万円)となりました。

 

c.財政状態及び経営成績等の状況に関する検討内容

 当社グループは「第2.事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおり、第4次中期経営計画において、2025年3月期には、連結売上高経常利益率10%以上、連結自己資本当期純利益率(RОE)6.5%以上を達成することを目標としております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2.事業の状況」の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 当該要因への対応として、当連結会計年度におきましては、下記を実施しました。

・代表取締役の異動による経営体制の若返り

・事業ポートフォリオの再構築(こころガーデン株式会社とこころeパワー株式会社の当社への吸収合併等)

・スクラップ&ビルドの実行(婚礼会場の閉館、葬祭会館のオープン等)

・生産性追求(業務を抜本的に見直すBPRの拡大・加速、DXに向けた基盤づくり等)

・人財開発と働く環境の整備(社員の健康増進に取り組む健康経営、リーダー人財の育成等)

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 なお、当連結会計年度の連結売上高経常利益率は3.9%(前期比2.0ポイント増)、連結自己資本当期純利益率(ROE)は1.6%(前期は△10.1%)となりました。

 今後の方針としては、当社グループでは第4次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を策定し、「成長をスパイラルアップするフレームづくり」を基本方針として掲げました。この基本方針に基づき、マーケティングの高度化を図るとともに、生産性向上を加速させ、価値創造のフレームづくりを推し進める所存です。また、戦略的アセットマネジメントや事業開発による業容拡大等、経営資源の集中と深化を進めてまいります。更に、人事戦略のブラッシュアップやコーポレートガバナンスの充実等、経営基盤の強化に努めます。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの分析」に記載のとおりです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入れ(当座借越)を基本としており、設備資金やその他投資案件等に係る資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入れを基本としております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響で、当社グループのキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性はありますが、現金及び現金同等物の高い水準の残高や当座借越契約の締結により、十分な手許現預金の水準を確保できる状況にあります。

 また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、グループ内の資金調達・資金管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。当社グループは、健全な財政体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する手許流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能と考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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