業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、ミッションである「人に人らしい仕事を。」の実現を目指し、日本、北米、東アジア、及び東南アジアを中心に、グローバルに事業を展開しております。

 当連結会計年度においては、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中で、ロシア・ウクライナ情勢、米国の景気後退懸念と歴史的なドル高の進行など、非常に先行き不透明な状況が継続しております。

 このようなマクロ環境のもと、当連結会計年度における当社の経営成績は以下のような内容となりました。

 まず、国内広告・マーケティング事業においては、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」が順調に推移いたしました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢を受けて、一部産業領域のクライアントに広告出稿の抑制の動きがあり、当社の業績にも一部影響を与えております。

 次に、海外広告・マーケティング事業においては、米国の景気後退懸念による広告市場の縮小の動きはありましたが、直近の為替変動(円安)のポジティブな影響を受けて、当連結会計年度は米国法人Playwire,LLCがさらに成長し業績を強く牽引いたしました。また、中国、インドネシア、台湾、マレーシアを中心とする海外事業拠点につきましても、大幅な増収、増益を実現しております。

 最後に、持分法適用会社では、タクシー内のデジタルサイネージを提供するIRIS社が大きく成長し、順調に利益貢献いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高28,965百万円、営業利益1,330百万円(前年同期比31.8%増)、経常利益2,709百万円(前年同期比143.6%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法による投資利益+株式報酬費用)2,407百万円(前年同期比81.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,364百万円(前年同期比135.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(広告・マーケティング事業)

 広告・マーケティング事業では、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」(DSP)、プレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」、ネイティブアドプラットフォームなどの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組みました。

 当連結会計年度においては、プレミアム媒体支援事業が順調に成長し、株式会社フリークアウトの主力プロダクトであるモバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及び「Scarlet」についても順調に推移しております。

 また、海外子会社の事業は、円安によるポジティブな影響を含めて、引き続きPlaywire,LLCが強力に業績を牽引したほか、自社で設立した海外事業拠点が黒字で着地するなどにより、海外事業全体として強く収益を牽引いたしました。

 この結果、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は28,876百万円、セグメント利益は2,261百万円(前年同期比59.6%増)、EBITDAは3,307百万円(前年同期比78.9%増)となりました。

 

(投資事業)

 投資事業では、グローバル展開のポテンシャルを有する製品/ソリューションを開発するITベンチャー企業を主たる投資対象として、投資リターンによる企業価値の向上を図るための事業を行っております。

 当連結会計年度においては、一部保有する有価証券の減損を実施いたしました。

 この結果、投資事業の外部顧客への売上高は1百万円、セグメント損失は325百万円(前年同期はセグメント利益147百万円)、EBITDAは△350百万円(前年同期は124百万円)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能等の提供をしております。

 当連結会計年度においては、M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 この結果、その他事業の外部顧客への売上高は87百万円、セグメント利益は313百万円(前年同期比17.5%増)、EBITDAは222百万円(前年同期比29.3%増)となりました。

 

 財政状態は次のとおりであります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は24,734百万円となり、前連結会計年度末と比べ4,199百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,291百万円、売掛金が1,557百万円、投資有価証券が391百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は14,691百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,013百万円増加しました。これは主に、買掛金が1,136百万円、短期借入金が1,051百万円、社債が1,360百万円増加した一方で、転換社債型新株予約権付社債が1,500百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は10,042百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,186百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が1,351百万円、為替換算調整勘定が301百万円増加したことによるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より1,291百万円増加し、7,287百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動においては、877百万円の資金流入(前年同期は1,902百万円の資金流入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上2,403百万円による流入があったものの、為替差損益1,044百万円による流出があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動においては、572百万円の資金流出(前年同期は1,344百万円の資金流出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出309百万円と投資有価証券の取得による支出223百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動においては、325百万円の資金流入(前年同期は4,632百万円の資金流出)となりました。これは主に、社債の償還による支出1,634百万円と長期借入金の返済1,353百万円による資金流出があったものの、社債の発行による収入1,758百万円、短期借入金の純増減1,207百万円、長期借入れによる収入644百万円による資金流入があったためであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

広告・マーケティング事業

28,876

-

投資事業

1

-

その他事業

87

-

合計

28,965

-

(注)1.セグメント間の取引は相殺消去しております。

2.当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、前連結会計年度比(%)の記載は省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
 この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積りは合理的な基準に基づいて行っておりますが、実際の結果は不確実性を伴うため、見積りと異なる場合があります。
 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりです。
 イ 営業投資有価証券(流動資産「その他」)、投資有価証券の評価

 当社グループは、非上場企業に対して投資先企業の将来成長による超過収益力を見込んで、1株当たりの純資産額を基礎とした金額に比べ相当程度高い価額で投資を行っております。当該非上場株式は、取得原価をもって貸借対照表価額としていますが、超過収益力を見込めなくなり、これらを反映した実質価額が取得原価に比べて著しく低下した場合は、減損処理を行います。

 超過収益力が毀損した場合、実質価額が減額されるため、非上場株式等の評価に当たっては、投資時の事業計画の達成状況の分析、KPIの推移の確認、第三者が行ったファイナンスの状況の確認等を総合的に勘案することにより、超過収益力の毀損の有無を評価しています。

 実質価額が取得原価に比べて著しく低下した場合には、減損処理の実施により、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
 ロ のれんの評価
 当社グループは、のれんの減損の兆候がある資産または資産グループにつき、将来の収益性が著しく低下した場合には、のれんの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
 のれんにおける回収可能価額の評価の前提条件は、決算日時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

② 当連結会計年度の財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高及び売上原価については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 売上高は、28,965百万円、売上原価は、21,122百万円となりました。前連結会計年度からの変動の主な要因は、前連結会計年度より引き続きPlaywire,LLCの業績の北米を中心とする成長と国内の広告・マーケティング事業が堅調に推移したことによるものであり、売上増加に伴い媒体社への支払費用も増加しております。販売費及び一般管理費は、6,511百万円(前年同期比10.9%増)となりました。増加の主な要因は、海外の広告・マーケティング事業が好調なことから人件費等が増加しているなどによるものであります。この結果、営業利益は1,330百万円(前年同期比31.8%増)となりました。

 営業外収益は1,619百万円(前年同期比382.2%増)、営業外費用は239百万円(前年同期比3.1%増)となりました。営業外収益の主な内容は、為替差益が発生したことによるものであります。また、営業外費用の主な内容は、資金調達費用、社債発行費及び支払利息によるものであります。この結果、経常利益は2,709百万円(前年同期比143.6%増)となりました。

 EBITDAは2,407百万円(前年同期比81.9%増)となりました。主な要因は、Playwire,LLCの成長や国内の広告・マーケティング事業の成長による営業利益の増加によるものであります。

 特別利益は57百万円(前年同期比95.6%減)、特別損失は364百万円(前年同期比63.9%減)となりました。特別利益の主な内容は、関係会社株式売却益及び持分変動利益の計上によるものであります。特別損失の主な内容は、投資有価証券評価損及び貸倒引当金繰入額の計上によるものであります。

 税金等調整前当期純利益は2,403百万円(前年同期比70.6%増)となりました。法人税等は、579百万円(前年同期比22.3%増)となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は458百万円(前年同期比29.6%増)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,364百万円(前年同期比135.1%増)となりました。

 なお、セグメント別には、広告・マーケティング事業の外部顧客への売上高は28,876百万円、EBITDAは3,307百万円(前年同期比78.9%増)、投資事業の外部顧客への売上高は1百万円、EBITDAは△350百万円(前年同期は124百万円)、その他事業の外部顧客への売上高は87百万円、EBITDAは222百万円(前年同期比29.3%増)となりました。

 この要因については以下のとおりです。まず広告・マーケティング事業において、マクロ環境では新型コロナウイルス感染症の影響がまだ残る中で、ロシア・ウクライナ情勢などの影響が生じた一方で、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業が順調に収益貢献し、モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」及びプレミアム媒体を対象とした広告プラットフォーム「Scarlet」は順調に推移いたしました。また、海外子会社の事業も米国の景気後退懸念と歴史的なドル高の進行など不安定な状況でしたが、Playwire,LLCを中心に堅調に推移したことによるものであります。また、その他事業においてはM&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施いたしました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2.事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源に関する情報

 キャッシュ・フローの分析については、「第2.事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業利益水準が当連結会計年度からより成長する見込みであることから、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と比較して増加する見込みであります。一方で、投資活動により得られるキャッシュ・フローについては、特段の有価証券の取得等を予定していないことから、横ばいとなる見込みであります。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、金融機関からの借入による資金調達を行い、借入金の返済に充当する等を見込んでおります。

 以上の結果として、翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、当連結会計年度末と比較して増加する見込みです。

 

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