業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により感染拡大地域においては緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返しされるなど、社会経済活動が大きく制限されました。一方、新型コロナワクチンの接種や感染対策が段階的に進み、新規感染者数の減少傾向が続いたことから、社会経済活動は徐々に持ち直しの動きがみられました。しかし、2022年1月以降は新たな変異株の出現による感染再拡大の懸念などもあり、先行き不透明な状況は依然として継続しております。

 当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2022年1月1日現在、65歳以上人口が3,622万人、総人口の28.9%(総務省統計局人口推計-2022年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。

 こうした環境の中、当社グループは、介護医療関連事業の主力サービスである「CS(ケア・サポート)セット」をより普及・拡大させるために、当連結会計年度に営業を開始した千葉支店(千葉県千葉市)を含めた全国24ヶ所の本支店から、営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開してまいりました。

 これにより、当社グループにおける当連結会計年度の新規契約の施設数は264施設、契約終了施設数は64施設となり、当連結会計年度末のCSセット導入数は、前連結会計年度末より200施設増加し1,814施設となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は31,635,891千円(前期比21.4%増)、営業利益は2,798,670千円(同35.3%増)、経常利益は2,818,548千円(同31.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,905,925千円(同31.8%増)となりました。

 なお、当社は、2021年1月1日を効力発生日として、当社普通株式を1株につき2株の割合をもって分割いたしました。これは、投資単位当たりの金額を引き下げ、株式数の増加により株式の流動性を高めることで、投資家の皆様により投資しやすい環境を整えるとともに、投資家層の更なる拡大を図ることを目的として実施したものであります。

b. 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、13,947,800千円となり、前連結会計年度末と比べて2,258,725千円増加しました。

 このうち、流動資産は12,129,983千円となり、前連結会計年度末と比べて1,949,859千円増加しました。これは主に、貸倒引当金が45,843千円増加(引当金のため流動資産の残高は減少)したものの、現金及び預金が1,134,373千円増加、売掛金が611,790千円増加、未収入金が191,918千円増加、商品が86,285千円増加したためであります。

 一方、固定資産は、1,817,816千円となり、前連結会計年度末と比べて308,866千円増加しました。これは無形固定資産が56,870千円減少したものの、有形固定資産が24,309千円、投資その他の資産が341,427千円増加したためであります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、6,464,077千円となり、前連結会計年度末と比べて959,205千円増加しました。このうち、流動負債は6,417,063千円と前連結会計年度末と比べて915,232千円の増加となりました。これは主に、買掛金が710,546千円、未払金が43,363千円、未払法人税等が52,650千円、未払消費税等が81,932千円増加したためであります。

 固定負債は、47,013千円と前連結会計年度末と比べて43,973千円の増加となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、7,483,722千円となり、前連結会計年度末に比べて1,299,519千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて0.8%上昇し、53.7%となりました。

 純資産合計の増加は、主に利益剰余金の増加によるものであり、株主に対する配当金の支払い424,193千円が生じたものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上1,905,925千円により利益剰余金が1,481,732千円増加したためであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,134,371千円増加し、5,607,760千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は2,106,198千円(前期比158,440千円の収入増加)となりました。法人税等の支払いで916,265千円の資金が減少したものの、年間を通じた営業活動により3,022,409千円の資金が増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は357,677千円(前期比290,651千円の支出減少)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出267,891千円、有形固定資産の取得による支出56,644千円、無形固定資産の取得による支出21,344千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は614,149千円(前期比340,324千円の支出増加)となりました。これは主に株主への配当金の支払415,976千円、自己株式の取得による支出196,869千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業セグメントは、介護医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1)生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

介護医療関連事業

31,635,891

121.4

合計

31,635,891

121.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a. 財政状態

(資産・負債)

 当社の資産、負債の大部分を占める現金及び預金、売掛金、未収入金、貸倒引当金、買掛金の年度別残高推移は以下のとおりとなっております。

(単位:千円)

回次

第24期

第25期

第26期

第27期

第28期

決算年月

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

売掛金

2,114,530

2,477,293

2,779,071

3,279,413

3,891,204

未収入金

1,294,357

1,180,556

1,697,463

1,765,497

1,957,416

貸倒引当金

△271,153

△357,801

△431,490

△441,059

△486,903

小計

3,137,734

3,300,049

4,045,043

4,603,851

5,361,717

買掛金

2,340,491

2,745,825

3,340,056

4,157,946

4,868,493

差引

797,243

554,223

704,987

445,904

493,223

現金及び預金

2,146,632

3,057,392

3,472,071

4,497,677

5,632,051

合計

2,943,876

3,611,616

4,177,058

4,943,582

6,125,275

 当社の主力サービスであるCSセットを導入する施設が順調に増加するとともに、利用者数が増加していることを背景に、売掛金、未収入金、買掛金の各期末残高も増加傾向となっております。また、売掛金が増加傾向にあることから、貸倒引当金の金額も増加傾向にあります。

 一方で、請求回収業務の運用改善を継続することで、売掛金、未収入金の回収サイトの短縮化が図られ、現金及び預金は増加傾向にあります。このことから、当社グループのキャッシュ・フロー獲得能力は年々、向上しているものと考えております。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、7,483,722千円となり、前連結会計年度末に比べて1,299,519千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて0.8%上昇し、53.7%となりました。

 また、自己資本利益率は、新型コロナウイルス感染症の影響で営業活動が依然として制約を受けていますが、CSセットの利用率が上昇し、利用者が増加したことや販管費及び一般管理費の削減効果により、前連結会計年度に比べ、2.1%上昇し、27.9%となりました。このことから、当社グループの収益性及び資本効率は向上しているものと考えております。

 なお、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、活動費用の抑制により利益率が上昇した側面があることから、中長期的に継続して利益率を高められる事業運営を実行してまいります。

 

b. 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ21.4%増の31,635,891千円となりました。これは、当連結会計年度に営業を開始した当社千葉支店(千葉県千葉市)を含めた全国24ヶ所の全支店から、当社グループの主力サービスであるCSセットを全国に普及・拡大させるために営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開した結果、本サービスを導入する施設が1,614施設から1,814施設と順調に増加したことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ21.9%増の23,758,949千円となりました。これは主に、売上高拡大に伴い商品仕入が増加したことによるものです。

 新型コロナウイルス感染症の拡大や原油価格の上昇等の影響から、仕入価格が上昇し、当連結会計年度における売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.3%低下し、24.9%となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は前連結会計年度に比べ20.0%増の7,876,942千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ13.0%増の5,078,271千円となりました。従業員数の増加による給与手当の増加及び法定福利費の増加、請求件数等の増加に伴う通信費、支払手数料、外注費の増加などの増加要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響及び社内におけるコスト削減の取り組みにより、販管費率は前連結会計年度に比べ1.2%低下し、16.1%となりました。

 この結果、当連結会計年度における営業利益率は前連結会計年度に比べ0.9%上昇し、8.8%となり、当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ35.3%増の2,798,670千円となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益25,851千円、営業外費用5,974千円となりました。

 この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ31.2%増の2,818,548千円となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度は、特別損益が発生しませんでした。

 当連結会計年度の法人税等合計は、912,622千円となりました。

 この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ31.8%増の1,905,925千円となりました。

 

c. 経営戦略の現状と見通し

 当社は、2014年11月の東京証券取引所マザーズ市場への上場以来、前連結会計年度(2020年12月期)までの間、全国展開を図るための営業網の強化拡大に加え、社内管理体制の強化に注力するとともに、新事業開発に向けた取り組みを行ってまいりました。これにより、全国展開のための営業網の整備や社内管理体制の強化について、一定の成果を得るとともに、新規事業の検討に向けての基礎を築くことができました。

 そして、当連結会計年度(2021年12月期)は「全国展開、グループ力強化、新事業開発」を経営戦略に掲げ、さらなる成長に向けた新たな取り組みを着実に実行してまいりました。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、営業活動に制約が出たこともあり、当連結会計年度は、当初計画した新規契約施設数を達成できなかったものの、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、当初目標を達成しました。当連結会計年度の活動状況及び経営成績等を振り返ると、当社グループとして改善すべき課題が未だ残されてはいるものの、前連結会計年度に認識した当社グループの経営課題に対し、真摯に取り組んだ結果として一定の成果を出すことができたものと評価しております。

 今後は、当社グループのさらなる事業拡大に向けて、中期的にはCSセットの付加価値向上を図ることでCSセットの差別化を図るとともに、新たな収益の柱として、ヘルスケア領域の新規事業を複数展開すること及び海外事業展開を中期成長戦略に掲げて活動してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の源泉及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要としては、人材投資、システム投資及び新規事業投資が挙げられます。

 人材投資については、今後の契約施設数の増加を見据えて、引き続き、従業員の採用を計画しており、これによる人件費の増加を見込んでおります。システム投資については、規模の拡大に伴い、効率的な事業運営へ変化させるためのシステム化の推進に取り組んでまいります。また、新規事業投資については、新たな収益の柱を構築するため、新規事業の検討を積極的に進めてまいります。

 上記の各資金需要に係る財源は、当面、営業キャッシュ・フローを基礎とした自己資金を考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は、本書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、あわせてご参照ください。

 当社グループの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債、収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。その見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく合理的と考えられる様々な要因を考慮して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、固定資産の減損損失の判定、繰延税金資産の回収可能性の判定における今後の経営成績及び将来キャッシュ・フローの見積りでは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は今後、当連結会計年度と同程度の影響が継続するとの前提に基づいて会計上の見積りを行っております。

 

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