業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、景気は厳しい状況が続きましたが、昨年10月には、緊急事態宣言が解除され経済活動の正常化が進んだことにより、持ち直しの動きも見られました。海外においても、新型コロナウィルスの世界的感染が進んだものの、先進国を中心としたワクチン普及により、経済活動が再開され、景気は回復基調が続いております。一方、世界的な半導体不足による調達環境の悪化、原材料の高騰に加え、ロシアによるウクライナ侵攻や中国におけるロックダウン、急激な円安の進行など、先行き不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社グループでは、お客様に信頼され選ばれるメーカーとして進化し続けるため、エンジニアリング事業の構造改革と収益力強化、立体駐車装置関連事業における市場シェアの拡大、メンテナンス事業における顧客サービスの拡充等の諸施策を引き続き推進してまいりました。

このような取組みの下、当社グループでは、コンベヤ大型設備の受注が来期以降となり、新設立体駐車装置、保全工事、部品等の受注がありましたが受注高は12,317,010千円(前年同期比27.5%減)となりました。売上高はコンベヤ新設設備の納入が順調に進み、再生エネルギー関連機器販売が増加しましたが、立体駐車装置保全工事の部材調達遅れによる納期遅延等により、13,413,265千円(前年同期比2.0%減)となりました。損益面につきましては、引き続きコスト削減、経費の圧縮などを推進しましたが、生産調整等を行った影響を受け、固定費の回収が進まなかったことにより営業利益は616,738千円(前年同期比24.8%減)となりました。受取配当金等の計上により経常利益は705,373千円(前年同期比19.8%減)、特別利益として投資有価証券売却益を計上しましたが、特別損失としてアドバイザリ-費用を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は414,791千円(前年同期比59.8%減)となりました。

 

 セグメント別の状況は以下のとおりであります。

なお、前連結会計年度において、情報サービス関連事業を構成しておりました、NCシステムソリューションズ株式会社の株式譲渡を行い、同事業から撤退しました。これに伴い、当連結会計年度より当該報告セグメントを廃止しております。

〔コンベヤ関連〕

コンベヤ関連では、原材料運搬設備の受注は低迷しましたが、今後需要が見込まれる仮設コンベヤを含む土木関連設備、部品等の受注があり受注高は、1,976,958千円(前年同期比71.5%減)にとどまりました。売上高は石炭火力発電所向設備、石灰石運搬設備、保守部品の納入等により5,035,851千円(前年同期比5.0%増)、セグメント利益はプラント設備のコスト低減により546,986千円(前年同期比22.8%増)となりました。

 

〔立体駐車装置関連〕

立体駐車装置関連では、新規案件の獲得に注力するとともに、提案型保全工事の業務を強化する施策を実施しました。また、メンテナンス事業の拡大のため、昨年3月に設立したジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社との合弁会社ジャパンパーキングサービス株式会社の業績は順調に推移しました。

受注高につきましては、新設立体駐車装置等の受注により6,686,999千円(前年同期比3.7%増)となりましたが、新設工事の減少、保全工事の先送り等により売上高は5,456,176千円(前年同期比7.2%減)、新設工事減少による操業差損の発生等によりセグメント利益は686,982千円(前年同期比33.7%減)となりました。

 

〔再生エネルギ-関連〕

再生エネルギー関連は、関西電機工業株式会社の業績が堅調に推移したことにより受注高は3,653,052千円(前年同期比10.4%増)、売上高は2,921,237千円(前年同期比6.5%増)となりましたが、ディベロップ案件の進捗遅れの影響を受け、セグメント利益は224,112千円(前年同期比12.8%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度において現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ389,136千円減少し、5,199,265千円となりました。
 
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果獲得した資金は、491,546千円(前年同期は464,883千円の獲得)となりました。これは主に、契約資産の増加、棚卸資産の増加による使用はあったものの、仕入債務の増加、契約負債の増加、税金等調整前当期純利益の計上等による獲得があったことによるものです。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果獲得した資金は、889,523千円(前年同期は282,274千円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出はあったものの、投資有価証券の売却による収入があったことによるものです。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は、1,770,377千円(前年同期は372,284千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済、自己株式の取得による支出によるものです。
 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

コンベヤ関連

5,054,234

+8.3

立体駐車装置関連

4,955,254

△8.0

再生エネルギ-関連

2,824,159

+13.6

合計

12,833,648

+2.4

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(b) 受注実績

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

コンベヤ関連

1,976,958

△71.5

7,530,750

△28.9

立体駐車装置関連

6,686,999

+3.7

7,301,637

+20.3

再生エネルギー関連

3,653,052

+10.4

1,306,969

+41.8

合計

12,317,010

△27.5

16,139,357

△8.2

 

 

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

コンベヤ関連

5,035,851

+5.0

立体駐車装置関連

5,456,176

△7.2

再生エネルギー関連

2,921,237

+6.5

合計

13,413,265

△2.0

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱ICHIKAWA

2,492,335

18.2

 

3.㈱ICHIKAWAの販売実績の総販売実績に対する割合が当連結会計年度においては10%未満となりましたので記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また決算期間における収益、費用に影響を与える見積りを行わなければならない場合は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。

新型コロナウイルスの感染拡大により財務諸表の作成に当たっては、仕入価格等の上昇の影響が今後発生すると考慮して見積り及び予測を行っていますが、全ての影響について合理的に見積り及び予測を行うことは困難であり収束時期等によっては変動する可能性があります。

 

(工事契約による収益認識)

工事契約については履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しており、その完成工事高は工事収益総額、工事原価総額及び決算期における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて計上しております。なお、決算期における工事進捗度の見積りは主として発生原価にもとづくインプット法によっており、決算日までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって見積もっております。

工事原価総額は、工事契約の履行に必要となるすべての作業内容に関する見積原価を含め、工事契約の履行に必要となるすべての作業内容に関する見積原価を含めて作成しております。また、当事者間の新たな合意による工事契約の変更、作業方法の見直し等、工事着手後の状況の変化による作業内容の変更について、適時・適切に見積りを行い、工事原価総額に反映しております。

なお、当該見積りについては、不確実性を伴うものであり、見積りとの乖離が生じた場合には、翌連結会計年度の見積に影響を与える可能性があります。

 

②経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は13,413,265千円(前年同期比2.0%減)となりました。損益面につきましても、コスト削減、経費の圧縮などを推進しましたが、固定費の回収が進まなかったこと等により営業利益は616,738千円(前年同期比24.8%減)、経常利益は受取配当金の計上等により705,373千円(前年同期比19.8%減)となりました。投資有価証券売却益の計上はありましたが、アドバイザリ-費用の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は414,791千円(前年同期比59.8%減)となりました。

 

③財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して792,483千円減少の14,613,741千円となりました。主な内訳は、機械装置及び運搬具が183,687千円増加しましたが、現金及び預金が368,324千円、投資有価証券が1,125,588千円減少したことによるものです。負債は、前連結会計年度と比較して1,188,137千円増加の7,370,959千円となりました。主な内訳は、長期借入金が199,992千円減少しましたが、電子記録債務が572,154千円、短期借入金が500,000千円、契約負債が607,404千円増加したことによるものです。純資産は、前連結会計年度と比較して1,980,620千円減少の7,242,782千円となりました。主な内訳は、自己株式の取得及び消却等により資本剰余金が1,214,959千円減少、自己株式が332,818千円増加、その他有価証券評価差額金が433,432千円減少したことによるものです。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

当連結会計年度は、設備投資や建設需要が底堅さを維持したものの、新型コロナウイルス感染拡大により先行き不透明な状況が続きました。コンベヤ関連事業、立体駐車装置関連事業においては設計・製作・調達・工事でのコスト低減、経費の圧縮などを行いましたが、受注採算は悪化しました。しかしながら、再生エネルギ-関連事業において前連結会計年度に比べ大幅に営業利益を増加することができました。
 コンベヤ事業、立体駐車装置事業ともに、海外調達の推進等により、更なるコストダウンに努め、鋼材等の原材料価格の変動の影響を吸収し、収益体制を確保する事業展開を今後も推進します。 

 

⑤戦略的現状と見通し

コンベヤ事業においては、運搬機メーカーとして培った技術を活かしながら、顧客第一主義のもと提案営業力の強化を図り、そのニーズに即した新機種投入、付加価値の高い商品提供や新サービスの開発、販売展開を推進してまいります。安定的な事業としての部品販売を維持、強化させながら、新商品開発、新販売ルートの構築により事業を発展させてまいります。引き続きコスト削減努力により価格競争力を強化させます。

都市部における地下トンネルにおいて掘削土砂を地上に垂直搬送する「スネークベルコン」、トンネル工事の掘削ずり出し設備としての需要増が見込まれる「延伸コンベヤ」、「仮設コンベヤ」を開発、販売し、今後予想される大規模案件に積極的に提案していく方針です。

従来から販売している、プラント設備向けコンベヤについては部品販売にも注力してまいります。

立体駐車装置事業においては、商品レパートリーと販売ルート増加による受注拡大に注力しております。また、新機種の開発、調達コスト削減と工場操業度改善と固定費負担軽減によるコスト競争力強化、メンテナンス網の強化とリフレッシュ工事等のソリューション営業展開によるメンテナンス事業の充実、発展を図っております。会社の機能を充実させ、期待通りの成果が出せるよう注力し、立駐業界でのリーディングカンパニーを目指します。  

再生エネルギ-関連事業においては、日本コンベヤ株式会社と関西電機工業株式会社と連携し機器の販売、太陽光発電所ディベロップ事業からの転換を図ってまいります。

積極的に行動し、最大限の能力発揮できる企業風土構築と人材能力向上・育成により、当社グループの持続的な成長を果たせるよう経営基盤の強化に努めます。

 

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

  また、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。

 

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%) 

46.5

47.7

48.8

59.9

49.6

時価ベースの自己資本比率(%)

31.9

20.1

23.7

29.3

58.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

38.8

230.6

306.3

337.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

171.2

110.2

66.0

51.4

 

 自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

 (注2)株式時価総額は自己株式を除く発行株式数をベースに計算しています。

 (注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

 (注4)有利子負債は連結貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、より強力に経営構造の改革を推進するため、毎期経営方針を策定しております。当社グループの事業領域におきましては原材料価格の動向や設備投資の調整、為替の変動等により、楽観を許さない状況が続くと想定せざるを得ません。そうした中にあっても、安定的な収益体制を確立し、持続的な成長を果たすことを目指します。売上確保とともに利益を重視することを基本方針とし、選択と集中で事業規模に合わせた体質改善により経営基盤の強化に努めてまいります。

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