課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断した内容であります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「我々は、もの創りを通して、自然と社会と人間に必要とされる企業を目指します。」という企業方針に則って経営しております。たゆまぬ技術革新の努力により創り出す製品を通じ、地球環境、地域社会等に貢献し、あらゆるステークホルダーに必要とされる企業へと成長することが当社グループの存在意義であると考えております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2023年8月期の売上高9,034百万円、営業利益342百万円、親会社株主に帰属する当期純利益283百万円を達成することを目標としております。

 

(3) 主要製品・サービスの内容と対象となる顧客

①装置関連事業

装置関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽電池製造装置及びFA装置であります。

太陽電池製造装置は主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するためのハイエンドな装置を提供しております。また、電子部品業界、自動車業界、ディスプレイ業界等の様々な業界に対して、自動化・省力化のための各種FA装置を提供しております。

②環境関連事業

環境関連事業で当社が取り扱う主な製品・サービスは、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルのリユース・リサイクル、パネル解体装置、植物工場ビジネスであります。

太陽光発電所の検査サービスは、太陽光発電事業者やEPC業者等に向けてサービスを展開しています。また、太陽光発電所から排出されたパネルを回収し、再利用可能なパネルを国内外の太陽光発電事業者や企業の自家発電向けにリユース販売しています。再利用ができないパネルは、自社の解体装置で中間処理を行い回収した金属やガラス等の有価物をリサイクル業者に販売するか、産業廃棄物処理業者に適正な廃棄処理を委託します。また、パネル解体装置は国内外の産業廃棄物処理業者等に販売しています。植物工場ビジネスでは、LEDを使用して栽培した野菜(フリルレタス、グリーンリーフ、サニーレタス)を主にスーパーや食品加工場等に販売しております。

 

(4) 経営環境及び事業を行う市場の状況

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動制限の段階的緩和により、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかし、記録的な円安や、物価・エネルギー価格の上昇が経済全体に影響を及ぼしています。世界経済においては、半導体関連製品を発端とした様々な製品の不足や長納期化、原材料費の上昇が続いており、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げなど、先行きが不透明な状況となっています。

①装置関連事業

太陽電池製造装置が関連する米国太陽電池市場は、世界的に気候変動への危機感が高まっていることを背景に、州や企業が積極的に再生可能エネルギーを導入してきたことに加え、太陽光発電の更なる普及と関連サプライチェーンの自立化を目的とする国内製造支援施策を盛り込んだインフレ抑制法が成立したことにより、これまでの予想を大きく上回る長期的な市場の成長が予測されています。また、太陽電池製造装置以外のFA装置の市場に関しては、電子部品業界など、好調な業界では設備投資の継続が見込まれています。

②環境関連事業

国内の太陽光発電業界におきましては、当社検査サービスの対象となる固定価格買取制度(FIT)の認定済み太陽光発電所が順次設置されているほか、企業や自治体でも電力購入契約(PPA)等のスキームを利用した自家消費用の太陽光発電の導入が進んでいます。また、東京都などの自治体が太陽光パネルの設置を新築建物に義務付ける方針を打ち出し、設置量の増加に伴って排出される太陽光パネルの増加も予想されることから、リユースやリサイクルのしくみの整備が各地で検討されています。欧米、豪州等でも太陽光パネルのリサイクル事業に参入する事業者が増加しており、パネルリユース・リサイクルやパネル解体装置の需要は増加していくと見込んでいます。その他、気候変動が野菜の収穫に影響を及ぼしているため、安全な食物の安定供給に対する需要が今後高まっていくと予想しています。

 

(5) 競合他社との競争優位性

①装置関連事業

当社は太陽電池製造装置で25年以上の実績や経験があることから、高性能かつ高効率なパネルを製造するためのハイエンドな装置を提供することができます。そのため、当社はそのようなパネルを製造している米国の太陽電池メーカーをターゲットとしており、競合先は米国及び東南アジアの自動機メーカー、一部の中国企業等限定的な状況です。なお、大部分の中国の太陽電池製造装置メーカーは自国の太陽電池メーカーに汎用的な装置を提供しており、当社とはターゲットが異なるため、実質的に競合はしておりません。

太陽電池業界以外のFA装置では数多くの競合が存在しますが、当社には大型ラインを製造できる松山工場の生産能力や、太陽電池製造プロセスで培った様々な技術、開発から製造までの一貫体制、豊富な海外実績、オーダーメイド装置の実績と経験といった強みがあり、大手企業を中心に大型のラインや各種FA装置を受注しています。また、当社は米国に技術者の常駐する拠点を有しており、現地での技術対応が可能です。

②環境関連事業

太陽光発電所の検査サービスでは、法定検査(目視検査、抵抗検査等)を含めた検査サービス(ドローンIR、洗浄、除草作業等)を提供する企業は多数存在しています。しかしながら、当社は独自技術を用いたI-V検査やEL検査により太陽光パネルの品質そのものを検査した上で解析レポートを作成しており、同様のサービスを提供できる競合先は存在していません。

パネルのリユース・リサイクルにおいては、国内に数社競合先はいますが、当社には太陽光発電所の検査サービスで構築したネットワークがあり、排出されたパネルの回収と販売において大きな優位点となっております。パネルの解体装置では、当社とは異なる技術による解体装置の提供を行っている企業が存在しますが、当社の特許技術を活かした「ホットナイフ分離法」は、太陽光パネルのガラスと金属を分離できる点でリサイクル性が高く、処理能力も高いため、他社技術と比較しても技術的な優位性は高いものと考えております。

 

(6) 経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、環境及び持続可能な社会の実現を意識しながら、既存の事業を強化・拡大すると同時に、新たな事業の柱を増やすことによって、安定した業績を維持し、成長することができる企業を目指しております。この方針の下、それぞれの事業において以下のとおり対処すべき課題を定めております。

①装置関連事業

太陽電池製造装置については、米国の太陽電池メーカーである主要顧客が計画している米国及びインドの新工場に対して、顧客の要望に応じた装置とサービスを提供し、更なる工場拡大に伴う受注につなげてまいります。また、同社の各工場へ既に納入した装置も含めて、納入後のサポートや改造に対応し、継続的なビジネスを積み上げてまいります。このほか、衛星用パネルなどの次世代型太陽電池を製造する太陽電池メーカーへ、当社が得意とするハイエンド装置の提供を行なってまいります。

太陽電池以外の業界へのFA装置については、国内電子部品業界を中心に継続的に装置を提供し、他業界も含めて安定顧客の獲得を強化してまいります。

生産面においては、装置需要の増加に対応するため、松山工場の生産体制の強化を図ってまいります。

②環境関連事業

検査サービスについては、パートナー企業のネットワークを更に増やし、市場のニーズに合った検査を提案してまいります。

太陽光パネルのリユース・リサイクルについては、日本では、使用済みパネルの大量排出が2030年頃から見込まれる中で、関連企業との連携により排出パネルの回収率を向上させ、パネルが確実にリユース・リサイクルされるよう取り組んでまいります。また、回収した資源の用途開発を図り、リサイクル性を向上させることで、パネルリサイクルの促進に努めてまいります。

パネル解体装置については、特にパネルの設置が早くから進んでいる米国や欧州においてパネルの排出量が既に増えており、リサイクル装置への関心が高まっております。日本国内でも新規事業としてパネルリサイクルを検討する企業が増えており、これらの国内外の企業に向けてパネル解体装置を提供してまいります。

植物工場ビジネスについては、付加価値の高い品種への移行やコストダウンを図ってサステナブルなビジネスとして継続してまいります。
 このほか、産業廃棄物処理業者向けのFA装置や鶏糞による肥料化ビジネスなど、新しい製品やサービスを投入し、新たな事業を育成してまいります。

 

 

 

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