課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、2019年5月9日開催の取締役会において、第三者割当による優先株式発行及び資金の借入に関して決議し、三菱商事㈱及び㈱三菱UFJ銀行との間で、同日付で再生支援の枠組みについての基本合意書及び三菱商事㈱との間で株式引受契約書を締結し、財務及び事業基盤の強化を実現するとともに、新たな中期経営計画「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」を策定しました。その後の脱炭素化社会・水素社会への移行の加速、LNG(液化天然ガス)を含む低炭素エネルギー及び再生可能エネルギーの更なる普及といった当社を取り巻く事業環境の大きな変化や、そのような変化を捉えた重要顧客の戦略見直し及び当社にとっての新たな市場機会による成長を踏まえて、2021年5月7日開催の取締役会において当該計画をアップデートしました。複雑な制約・課題に対し最適なソリューションを提供する最適化力、設計を最適化し高い品質を保証するEPC(設計・調達・建設)遂行力、及び基礎研究力とEPC知見を融合する新技術の社会実装力という創業以来の実績に裏打ちされた当社が培ってきた強みを活かして、水素社会をはじめとする脱炭素社会への移行を加速し、2050年のカーボンニュートラル達成に貢献します。また、カーボンニュートラル貢献分野及びライフサイエンス分野の伸長や継続型事業の創出・強化の両面で事業ポートフォリオを革新し、既存事業と新規事業の利益比率を50:50とすること、並びにそれらの推進により、連結純利益300億円以上を稼ぐ収益構造に変革を遂げることを目指しています。

 

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 その長期目標に向けて、既存EPC事業の確実な遂行と収益の確保、新規EPC事業における優良案件の採り上げと収益の積み上げとともに、新規事業の着実な種まきとその成長を狙い、様々な取組みを進めています。また、財務基盤の健全化については、自己資本比率の改善、累積損失の解消、固定費の削減などにより進めています。

 当社グループが遂行中の大型案件については、納期を前倒ししてヨセミテ・エチレン案件を完工させました。また、タングーLNG案件及びゴールデンパスLNG案件では、それぞれ完工に向けて建設工事を鋭意遂行中であり、North Field East LNG輸出基地案件(NFEプロジェクト)及びインドネシア銅製錬所案件(MSPプロジェクト)では、EPC業務を順調に遂行しています。

 一方、地球環境事業では、ライフサイエンス、次世代電力及びカーボンニュートラル分野を成長の三本柱と位置付け、将来的な収益拡大に向けた種蒔きを進めていることに加えて、ライフサイエンス分野では社会的な意義の高い医薬品プラントの受注を重ねるとともに、シオノギファーマ㈱との間で、医薬品原薬・中間体の連続生産技術の開発、並びに同技術を用いた開発製造受託事業の事業化を目的とした合弁会社に参画することを決定しました。

 フロンティアビジネス本部では、「クリーンテックをコアとした炭素循環ビジネス」、「分散化・データ時代の

ユーティリティビジネス」そして「未解決の技術課題へのソリューションをコアとした医薬・ライフサイエンスビジネス」を事業の柱として掲げています。同本部では、主として当社独自技術に基づく水素チェーン事業の商業化、二酸化炭素を有価物資源として有効活用する当社及び他社技術の商業化、分散化した電源と多様化したエネルギー需要を当社知見とデジタル技術で結びつけて最適なエネルギーをサービスとして提供するシステムとビジネスモデルの構築、そして、再生医療発展の鍵となる細胞培養工程に関わる新技術の商業化等を進めています。

 また、自らAI技術・データ解析への造詣を深め、人財も育成しながら、もともと当社の持つプラントエンジニア

リングの技術・知見と融合させる形で、主に石油・ガス業界におけるプラント操業の最適化・自律化に貢献するデジタルプロダクトを創り出しています。その取り組みとして、プラント空間設計の業務効率化に向けて、当社が持つプラントエンジニアリングの経験、設計思想と、㈱Arentが持つCAD技術、最適化技術とを融合させ、世界中のプラントオーナーやEPCコントラクターなどに向けて新たなシステムを提案する新会社㈱PlantStreamを折半出資で設立し、共同で運営を進めています。

 

 人事・DX本部では、当社グループ自身のIT基盤を、時代に見合った速度で成長と進化をさせるため、IT大手のTIS㈱と共同で事業を進めています。また、CDO室において、全社DXの基盤となるデジタル人財の育成やDX推進に向けた意識・文化の醸成等を図っています。加えて、人財の高度化・拡充について、人財開発に係る統一的な指針としての人財開発基本方針を策定し、同方針を基に、業務遂行力と組織経営力を兼ね備えた人財集団を組成し、中長期視点から全体最適での人財開発を実現するための人事制度の改定を行い、全社への浸透を図っています。

 また、再生計画の実現に向け、社員一人ひとりの仕事への意識変革を目的に、責任感、社会価値、リスクマネジ

メントや人財の価値といった、日頃の個々人の行動指針となる新たな基本理念を定めるとともに、多面的なアプローチによりこれを浸透させ、企業文化を内側から変革し、自発的・自律的・永続的な成長の実現を目指しています。

 当社グループを取り巻く環境として、新型コロナウイルス感染症の拡大については、いまだ収束の目処が立っていませんが、当社グループ従業員及び関係先の健康と安全を最優先としつつ、顧客や業務委託先等との面談の制約、調達品の製作及び輸送の遅れ、工事監督者の派遣や現場作業者の動員への制限等、遂行中案件への影響を最小限に抑えるべく、顧客や業務委託先等と協議を行いながら対応を進めています。

 さらに、先進国を中心とした金融引き締めの影響や、ウクライナ危機に端を発した世界的なインフレ進行による資機材・労務価格の高騰やサプライチェーンの混乱に対しても、顧客・ベンダー・サブコントラクター等の事業パートナーやステークホルダーとの協議・交渉を通じて適切な対応を心がけています。

 

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