課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、顧客満足度(Customer Satisfaction)・株主満足度(Investor Satisfaction)・社員満足度(Employee Satisfaction)を最大限に実現し、永続的に向上させていくことで新たな価値を創造し、社会に貢献できる企業を目指しています。
 この経営理念のもと、当社グループは、「他社ではできない製品と他社の追随を許さない高い技術力」を追求するオンリーワン企業を目指すとともに、従業員の自己実現達成と社会ニーズに適合した健全な成長を持続できる3E(エクセレント・エキサイティング・エクスパンド)カンパニーの実現に向け、ネットシェイプ事業、アッセンブリ事業及びフィルタ事業を展開しています。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、上記の経営基本方針のもと、売上高営業利益率10%の達成を目指していきたいと考えています。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 世界各地で流行した新型コロナウイルス感染症については、新たな変異株が発生するなど、問題は長期化しており、収束の時期は未だ見通せない状況にあります。また、ウクライナ問題等国際情勢の不安定化により、世界経済は先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況のなか、当社の主要顧客業界である自動車産業では、販売台数の減少等の量的な影響が出るとともに、従来から進展している脱炭素化に向けた、電動化等の次世代自動車に向けた技術開発トレンドが加速しております。このような技術変化は、産業構造の変革を引き起こす可能性があり、当社を取り巻く経営環境も劇的に変化することが予想されます。

 以上の状況を踏まえ、当社グループでは「全社戦略の再構築」「中期経営戦略の刷新」の課題に対処してまいります。

 
 1.全社戦略の再構築

 当社グループは、創業事業であるネットシェイプ事業金型部門のコア技術を磨き続けることにより、他社と差別化を図り、領域を拡大する成長戦略を進めてまいりました。金型の開発、生産、販売にとどまらず、技術力を武器に差別化できる分野では精密鍛造品の提供も行い、より川下へ進めることを志向してきた歴史を持っております。

 アッセンブリ事業におけるターボチャージャー部品の組立に関しても、構成部品の内製化や技術提案強化等、精密鍛造技術を駆使することにより、垂直的なシナジー効果の発揮をベースにした、全社戦略を推進してまいりました。

 一方、近年の新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車産業の変調や、脱炭素化に伴う技術転換が内燃機関に関わる自動車部品の需要に影響を及ぼしております。特に、ターボチャージャーの主要市場である欧州地域では、自動車の電動化への転換を意図した政策が強力に推し進められており、その影響が鮮明になっております。

 アッセンブリ事業のターボチャージャー部品に関しては、これまでのような高い成長は望めないものの、自動車生産回復時を見越し新たな機種の生産要求が出ていることから、顧客のニーズを確実にとらえ、受注を確実に確保することが喫緊の課題となっております。こうした状況を鑑み、短期的、中長期的にステージを区分し、次の施策を推進してまいります。

 短期的には、これまでアッセンブリ事業で培ってきた技術、生産ノウハウを活用するとともに、グローバル調達を進めることにより、新たな需要を確実に獲得する対応を進めてまいります。具体的には、熱処理技術を活用した提案力強化などを進めてまいります。

 また、今般変更した中期経営戦略は、既存事業の強化は当然のこと、中長期的には新分野創出の必要性を強調したものになっております。ネットシェイプ事業とフィルタ事業における技術力と、アッセンブリ事業で培ってきた量産事業に関わるノウハウを組み合わせることで、新たなシナジー効果を生み出し、新分野探索に向けた挑戦を進めてまいります。

 以上のように、この課題については、事業間にまたがる案件であるため、全社的な対応を進め、解決に向けた活動を進めてまいります。

 また、これまで多様な産業分野で領域を広げてきたフィルタ事業に関しては、新製品、新用途、新規顧客の開拓を進め、自動車産業以外の分野の拡大を進めてまいります。

 

 2.中期経営戦略の刷新

 当社グループでは、以上のような経営環境の変化及び全社戦略の再構築を考慮し、従来掲げていた中期経営戦略を刷新いたします。今回のリニューアルは、企業戦略、事業戦略双方の変化に関わるものであることから、中期経営戦略「CHANGE ~ニチノベーション2026~」を掲げ進めてまいります。

 このスローガンは、当社グループを取り巻く経営環境の変化が大きなものであること、それを乗り越えるためのキーワードがイノベーションであることを示しております。ニチノベーションとは、当社の社名であるニチダイとイノベーションを掛け合わせた造語であり、当社グループにおけるイノベーションを追求する意味が込められております。このスローガンのもと、2026年まで、新たな中期経営戦略を進めてまいります。

 今回の中期経営戦略には、成長戦略、新事業開発、海外戦略等多様なテーマが含まれております。まずは、当社グループのコア技術である精密鍛造技術及び積層焼結技術の応用及び進化により提案力を強化し、確実な成長と利益体質の強化を優先してまいります。

 さらに、近年、顧客、株主、社員だけでなく、地球環境、地域社会など多様なステークホルダーへ配慮することや、情報技術の発展や社会意識の変化も考慮する必要が生じてきております。そのため、新たな働き方や持続可能な社会への貢献を意識した内容になっております。

 こうした状況を踏まえ、次の3つをポイントとし、中期経営戦略を進めてまいります。

 

 ① VSOP※1精神での顧客価値創造

  イ.事業の成長と収益力強化

    ・コア技術の応用と進化による提案力強化

    ・顧客視点でのQDC※2最大化

  ロ.新事業の創出とグローバル企業への進化

   ・シナジーを活用した新分野への探索と挑戦

   ・グローバル戦略強化

※1 VSOP:Vitality(活気・生命力)、Specialty(専門性・技術)、Originality(独創性・創意)、Passion(情熱)の頭文字。当社の創業から受け継げられている精神。当社の経営ビジョンに含まれている。

※2 Quality:(品質)、Delivery(納期)、Cost(コスト)の頭文字。当社は差別化戦略をとっていることから、QDCの順に表記している。

 

 ② 社員が輝き続ける会社づくり

  イ. 社員の成長、会社の成長を喜ぶ相互関係の構築

   ・挑戦を歓迎する仕組みづくり

   ・組織風土改革

  ロ.社員が誇れる企業への成長

   ・ダイバーシティの推進

   ・健康経営の実現

 

 ③ 持続可能な社会への貢献

  イ.社会から必要とされ、選ばれる企業へ

   ・技術による社会課題の解決

   ・ESG※3経営の推進  

  ロ.次世代社会への貢献

   ・環境に配慮したものづくり改革

   ・サステナブル社会への取組み

※3 ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字

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