課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、『人類社会に役立つ存在感あふれる、開かれた、独自性ある、自己実現の場である企業を目指す』ことを経営理念とし取り組んでいます。「エレクトロニクス」「メカトロニクス」「ケミトロニクス」「コンポーネント」各分野に広がる独自技術を進化させ、さらには、新たな技術開発を通じてお客様の価値創造、豊かな社会に貢献します。

また、人が集まり情報が集まる企業、オンリーワン技術を磨く独自性ある企業、従業員が失敗を恐れず自己実現に向けて果敢に取り組む企業、お客様にとって掛け替えのない企業、となることを目指し、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えます。

当社グループは、経営の健全性、実効性及び透明性を確保し、企業価値の持続的な向上により社会から信頼・評価される企業として発展するべく、“コーポレート・ガバナンス基本方針”を定めています。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、2022年4月より新たな5ヶ年中期経営計画(Change & Growth 2026)をスタートさせています。その内容は以下の通りであります。

 

①基本的考え方

急激に変化する事業環境の中において、現事業の足許を固めつつも、新市場開拓や新規事業創出等による事業構造の転換に向けた取り組みが不可欠と認識します。

事業面だけでなく、人事制度、企業カルチャー等の定性的な項目を含めた『変革』に取り組み、新たな『成長』のエンジンを創出し、中長期的な企業価値向上を図ります。中期的な視点で『変革』を推進し、『成長』の果実を収穫していくため、計画期間を5ヵ年としました。

 

②中計ビジョン

『ニッチ・トップ』を目指して

ニッチ・トップとは小さくても成長が期待できる市場において、技術の優位性により圧倒的な市場シェアを誇ることを示します。変化する市場ニーズを先取りして各事業分野のコア・テクノロジーを進化させ、お客様にとっての戦略的なパートナーとなることを目指します。

 

③中計テーマ

『変革』と『成長』

事業面・体制面において6つの変革に取り組んでまいります。

Ⅰ.事業を変える

・新市場開拓、新規事業創出等、成長戦略への重点的取り組み

・資本コストを意識した経営の徹底により戦略分野への資源集中

Ⅱ.技術を変える

・スタートアップ連携などオープン・イノベーションの加速

・カーボンニュートラルに向けた技術開発の強化

Ⅲ.営業を変える

・新市場開拓に向けた営業体制の整備等

Ⅳ.カルチャーを変える

・成長戦略を支える人事制度改革、運用の高度化

・従業員意識調査に基づいた施策展開

Ⅴ.コスト構造を変える

・DX推進等によるコスト構造の改革、戦略的IT投資

・成長分野への積極投資

Ⅵ.コミュニケーションを変える

・情報開示の充実、株主との積極対話

・役職員間等社内コミュニケーションの強化

 

④サステナビリティ経営への取り組み

当社グループは、さまざまな社会環境の動きを捉えながら、経営理念、サステナビリティ方針のもと、当社グループの強みである技術を核とした経営資源を活用し、『Change & Growth 2026』の推進によって、持続可能な社会の実現に貢献し、中長期的な企業価値向上・持続的成長を図ることが重要と認識しております。

 

a.サステナビリティ方針の策定等

当社グループは、経営理念、当社グループ行動憲章を基本的な考え方として、製品・サービスの提供を通じて社会的課題を解決することで、持続的な社会づくりに貢献し、企業価値向上に努め、「気候変動など地球環境問題への配慮」、「人権の尊重、従業員の健康・働く環境への配慮や公正・適切な処遇」、「お取引先との公正・適正な取引」、に取り組むことを謳ったサステナビリティ方針を策定しております。

さらに、代表取締役社長を最高推進責任者とし、取締役及び事業部門の責任者である執行役員等によって構成されるサステナビリティ委員会で、「社会課題の解決と当社グループの持続的成長(新技術、新事業へのチャレンジによる価値創造)」、「ガバナンス強化(リスクマネジメント、コンプライアンス)」、「人権啓発の推進と人材育成」、「製品の安全と品質」、「環境保全(気候変動問題への対処、CO2排出量削減)」の5つのマテリアリティを特定し、取り組みを推進することとしております。

また、サプライチェーン全体でのサステナビリティ推進に向け、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の「責任ある企業行動ガイドライン」を使用し、サステナビリティ経営への取り組みの働きかけを行っていくこととしております。

 

b.気候変動などの地球環境問題への配慮

当社グループは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、2015年を基準として、2030年に自社分のCO2排出量を50%削減するCO2排出量中期削減目標を掲げ、削減に向け取り組むこととしております。また、当社グループのサプライチェーンのCO2排出量の見える化・削減に取り組むため、Scope3のCO2排出量算定に着手しております。また、Scope3のCO2排出量の削減のため、製品の使用、加工段階でのCO2排出量の少ない製品開発に注力するとともに、取引先へのCO2排出量削減への協力要請などを行っていくこととしております。

 

c.人的資本への投資等

当社グループは新中期経営計画において、ビジョンである『ニッチ・トップ』を目指していくこととしておりますが、厳しい経営環境が続くと想定される中で、人事制度、企業カルチャー等の岩盤となる定性的な項目を含めた抜本的な「変革」を行い、新たな「成長」によって中長期的な企業価値向上を図って行くことが課題と認識しております。

テーマである「変革」において6つの変革を設定しておりますが、人的資本への投資については、「カルチャーを変える」において、「成長戦略を支える人事制度運用の高度化、改革の実施」、「従業員意識調査等を通じた施策展開による社内活力向上」に取り組んでいくこととしております。

 

d.知的財産への投資等

知的財産への投資について当社は、事業に用いるまたはその可能性がある技術について戦略的に特許等の権利化を行い、競合他社との差異化を図っております。特許保有数は、幅広い事業領域にわたり、国内外をあわせ約500件となっています。第三者の権利を侵害しないよう調査を行い、権利化阻止対応、実施許諾を得る等のリスクの解消を行うこととしています。また、幹部会議において、定期的に権利化状況、権利化に掛かる投資状況等を報告し、適宜、取締役が助言を行っております。

事業の成長の源泉である研究開発活動への投資については、5「研究開発活動」に記載の通りであります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2021年3月期につきましては、コロナ禍での売上減少が響き、連結売上高259億2千6百万円(前期比20.2%減)、連結営業損失9億4百万円(前期は9億4百万円の営業利益)となりました。2022年3月期においては、コロナ禍に加えて半導体不足等の厳しい経営環境が続きましたが、営業面での改善に加えて、為替動向やコスト構造改革の実施によって、連結売上高323億4千7百万円(前期比24.8%増)、連結営業利益21億2千8百万円(前期は9億4百万円の営業損失)と大幅に改善しました。

 

中期経営計画(Change & Growth 2026)において、最終2026年度に目指すKPIは以下の通りです。

連結営業利益 25億円以上(2021年度実績21億円)

連結ROE 7%以上(2019-2021年度実績平均値 1.8%)

 

新市場開拓、新規事業創出等、成長戦略への重点的取り組みによって、新たな成長エンジンの創出を図り、中長期的な企業価値向上を目指します。

 

(4)経営環境

今後の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外の経済活動の抑制が続くと考えられ、また、世界的な半導体不足や樹脂材料等の不足・値上がりなどによる景気への影響も懸念されており先行き厳しい状態が続くものと思われます。

新型コロナウイルス感染症の影響として、部品調達の遅れ、顧客の製造拠点の稼働低下に伴う受注減少及び納入地の渡航禁止等による立会作業の遅延による売上減少等が引き続き想定されます。

事業セグメント毎の経営環境は以下のとおりです。

[エレクトロニクス事業]

 コロナ禍後の需要先取り、カーボンニュートラル推進による電動化シフトなどにより、半導体製造装置用電源の需要拡大が期待される反面、電子部品需要増・環境問題・ロックダウン・地政学的リスクなどで、部品、原材料の供給不足や入手遅れなど、製品の安定供給に対してのリスクが高まっております。

[メカトロニクス事業]

 車載・産業用DB(Display Bonder)分野は自動車及び各産業機器でのディスプレイ搭載拡大により、当該生産設備の伸長が予想されます。大きな市場規模と成長が予想されるメタバース市場関連におけるOLB(Optical Lens Bonder)分野はAR(Augmented Reality:拡張現実)・VR(Virtual Reality:仮想現実)表示器市場において、現行のIT機器を代替するモバイル端末として本格立ち上がりの期待とともに関連設備投資が進むと思われます。接合関連における光半導体(CSW)分野は5G通信システムへの関連設備投資が見込まれ、真空ソルダリング(VSM)分野はEV(Electric Vehicle:電気自動車)化へのパワーデバイス向けで需要が見込まれるものの、いずれも価格競争の激化が懸念されます。

[ケミトロニクス事業]

 新型コロナウイルス感染症や異常気象等によるサプライチェーンの混乱の影響を大きく受けました。販売面では主力市場の自動車の販売低迷による生産減少が、調達面では原材料価格の高騰と調達難原材料対策による利益率への悪影響がありました。一方、カーボンニュートラルやCASEに貢献できる製品の充実による業容拡大の機会が期待できます。

[コンポーネント事業]

 世界的に車の電動化が急速に進むなか、ドア開閉部の電動化が推し進められ省エネや安全機構に関わる製品の需要が増加、高精度化やバリエーション拡充により深耕を図ります。また半導体の世界的な需要増により同設備向け製品の受注が増加、社内生産増強と共に協力会社の供給増強を行い顧客要求に対処いたします。

[その他]

 世界的な半導体不足により製造装置需要の増加、化石エネルギーから再生可能エネルギーへの変革が加速する中、半導体需要は高まる一方であり、さらには新型コロナウイルス感染拡大により医療関係設備への需要も上昇しています。それらに伴い組立工程の増強と設備修繕により安定生産の推進に努めてまいります。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外の経済活動の抑制が続くと考えられ、また、世界的な半導体不足や樹脂材料等の不足・値上がりなどによる景気への影響も懸念されており先行き厳しい状態が続くものと思われます。

新型コロナウイルス感染症の影響として、部品調達の遅れ、顧客の製造拠点の稼働低下に伴う受注減少及び納入地の渡航禁止等による立会作業の遅延による売上減少等が引き続き想定されます。

このような状況の中で新規市場の開拓・構築を進めることで安定した売上確保を図ると共にグループ全体で更なる成長に努めてまいります。

事業セグメント毎の具体的な施策は以下のとおりです。

[エレクトロニクス事業]

需要拡大に伴う部材調達の長期化・不透明化で、部材調達にかかる費用が上昇し原価増となる状況への対応が生じ、また、納期に合わせた製品供給が出来ない状況も発生しております。製品の安定供給のためのリスクの低減を図ります。

厳しい事業環境の中ですが、医療用電源や半導体製造装置用電源、エネスト市場への新製品上市を目指し開発を進めて行きます。

[メカトロニクス事業]

車載・産業用DB(Display Bonder)は多様化するディスプレイパネル需要に応じた製品対応に努め、欧州拡販への取組みとともに、ディスプレイ市場への販売を推し進めてまいります。光学レンズ貼合装置(OLB:Optical Lens Bonder)はメタバース関連市場と動向の把握に努め、顧客の製品化要求に応えてまいります。光半導体用溶接機(CSW)、真空ソルダリングシステム(VSM)は海外生産推進による価格競争力向上を図り、関連市場での拡販を進めてまいります。

これら製品の更なるグローバル化を進め、各分野の売上拡大による収益の安定化を目指します。

 

[ケミトロニクス事業]

サプライチェーンの混乱による影響や市場環境の変化に対応し、調達面では自動車増産に備えた調達難原材料の確保を、利益面では外注依存度削減のための生産効率向上と販売価格の見直しを、製品面では硬化エネルギー削減や植物由来原料によるカーボンニュートラル貢献製品とCASEに貢献できる機能性塗料の充実による成長を目指します。

[コンポーネント事業]

コロナ禍でも好調な自動車市場への参入を図るべく新製品を開発、積極的な拡販活動が功を奏し国内メーカーへの新規参入を果たしてまいりました。

新たな規格を取得しグローバル展開による売上拡大を図ります。

また、産業機器市場の活況に伴い前期後半からのベアリングの需要増が継続、生産設備増強、生産効率を向上させ供給対応、今後も更なる設備投資を検討いたします。

[その他]

半導体製造装置関係、工作機械関係を中心にした活況継続による生産体制の強化と、医療関係向け生産設備の改修の強化を図ります。

 

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