事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法的規制等について

当社グループは、事業活動を行う上で、障害者総合支援法、児童福祉法等様々な法規制の適用を受けております。

当社グループでは、法令・諸規則遵守の強化を図るため、内部管理体制の整備・強化に努めておりますが、今後、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更等がなされた場合、また、何らかの事情により法律に抵触する事態が生じた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。今後の事業展開や業績への影響の程度を鑑みて、最重要のリスクと認識しております。

とりわけ当社グループの主な事業モデルは、国からの報酬を主な収益源としており、3年ごとに実施される報酬改定にて下方の改定や予期しない改定が行われた場合には業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

直近の報酬改定(2021年4月)においては、サービスの質を評価する報酬体系がいっそう強化されております。当社グループの主力サービスである就労移行支援事業所の報酬において、職場定着実績が重視される点は今後も継続するものと想定しており、各事業所において利用者の職場定着実績を着実に積み重ね、報酬改定のリスクに備えていきます。

また、各事業所は、都道府県知事、政令指定都市市長又は中核市市長から設置の指定(6年ごとの更新)を受けるものであり、指定には人員、設備及び運営に関する基準が規定されており、これらの規定に従って営業する必要があります。当社グループの提供する障害福祉サービス事業に必要な指定は、以下の通りです。

取得

所轄
官庁

許認可名称

許認可内容

有効
期限

主な許認可取消事由

当社グループ

各事
業所

都道
府県

指定障害福祉サービス

障害者総合支援法の就労移行支援

6年毎
の更新

障害者総合支援法第50条(指定の取消等)

障害者総合支援法の就労定着支援

障害者総合支援法第50条(指定の取消等)

障害者総合支援法の自立訓練(生活訓練)

障害者総合支援法第50条(指定の取消等)

障害者総合支援法の特定相談支援

障害者総合支援法第51条の29(指定の取消等)

児童福祉法の児童発達支援

児童福祉法第21条の5の24

児童福祉法の放課後等デイサービス

児童福祉法第21条の5の24

児童福祉法の保育所等訪問支援

児童福祉法第21条の5の24

児童福祉法の障害児相談支援

児童福祉法第24条の36

 

指定は事業所単位で取得しており、法人全体として組織的な不正が認められるといった場合を除き、指定の取消等についても事業所毎に検討されます。現時点において、当社グループの運営する事業所に指定取消や営業停止は発生しておりませんが、今後何らかの原因によりこれらの指定が取り消された場合や営業停止となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

特に、各事業所には指定を受ける際に利用定員が定められており、「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」では省令(注)1にて、「事業者は、利用定員を超えてサービスの提供を行ってはならないが、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない」ことが定められております。

また、厚生労働省の通知(注)2にて、報酬の減算対象は、単日で定員の150%、3ヶ月の平均が就労移行支援事業では定員の125%、療育事業では定員の130%をそれぞれ超過する場合と定められております。そして、各都道府県知事は減算の対象となる定員超過利用については指導すること、また、指導に従わず、減算対象となる定員超過利用を継続する場合には、指定の取消しを検討すると定められており、その運用は各自治体に委ねられております。さらに、厚生労働省の通知(注)3には、「原則として利用定員の超過は禁止だが、適正なサービスの提供が確保されること」が前提とされ、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、可能である旨が定められております。

 

当社グループでは、上記の省令や通知事項等を遵守し、細心の注意を払っておりますが、今後、各自治体の運用方針や通知事項が変更された場合には、これまで通りの運営が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注) 1.就労移行支援事業:

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」

療育事業    :

「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」

2.就労移行支援事業:

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」

療育事業    :

「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」

3.就労移行支援事業:

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業所等の人員、設備及び運営に関する基準について」

療育事業    :

「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」

 

 

(2) 人材の確保について

当社グループが展開する事業は、人材によるサービスの提供が主であり、今後の事業拡大に応じた継続的な人材の確保及び優秀な人材の育成が必要となります。

また、障害者総合支援法及び児童福祉法に基づく事業者として、有資格者の配置を含む一定の人員基準及び設備基準が定められております。

当社グループにおいては、長期的にサービスを提供する人材の確保・定着の推進を図るため、能力・資格・経験等に応じた処遇面の見直しや、福利厚生の充実等により社員定着率の向上に努めておりますが、今後の事業展開及び拡大に際して十分な人員確保が困難となった場合又は既存人員の流出等が生じた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 個人情報保護について

当社グループのサービスの特性上、利用者及び保護者の氏名、住所、職業等の個人情報保護法に定められた個人情報を保持しております。当社グループでは、これらの個人情報の保護を重大な経営課題と認識し、個人情報の適正な取得及び厳重な管理のために、全社員を対象に各種規程の周知徹底、並びに社内教育を実施し、個人情報漏洩の防止に取り組んでおります。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、何らかの原因によって個人情報が流出した場合、あるいは社会保障・税番号制度(いわゆるマイナンバー制度)の導入に対して適正な対応ができない場合は、当社グループへの社会的信用が失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 安全衛生管理について

当社グループの就労移行支援事業所においては、各事業所にオフィスを模した机やコピー機、書棚等の什器・備品があり、利用者がケーブル等により転倒する可能性もあり、不慮の事故によって利用者の生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。また、各事業の運営する施設内におきましては、サービス利用者に対して昼食を提供しており、食中毒や集団感染等が発生する可能性があります。

当社グループにおきましては、事故防止対策等について徹底した社員教育を行うとともに、安全・衛生管理等について一層の強化に努めておりますが、万が一、サービス提供時に事故等が発生し、又は食中毒や感染症等が拡大し、当社グループの責任が問われた場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 訴訟等について

当社グループではサービスを提供する全社員に対して教育研修を実施し、多様な状況に対応できるように取り組んでおります。しかしながら、利用者の症状の悪化等による訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 風評等の影響について

当社グループの事業は、利用者やその家族に加え、就労先の企業や、行政、教育機関、医療機関等の関係機関、又は地域社会との連携により成り立っております。当社グループの社員には、企業理念を浸透させ、コンプライアンスを遵守する意識を高く保つように社員教育を徹底しております。しかしながら、社員の不祥事等何らかの事象の発生や、当社グループに対して不利益な情報や風評が流れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 競合について

当社グループが属する障害福祉サービス業界は、提供するサービス内容が人材の質に左右される傾向の強い業種であるため、当社グループの持つ採用力や人材育成のノウハウは短期間で構築することは難しいと考えております。しかしながら、当連結会計年度末現在において、首都圏における競争環境は激化する兆しもあり、更なる競合他社の事業の拡大や新規参入等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 特定事業への依存について

当社グループの主力事業は就労移行支援事業であり、その売上高の構成比は2022年3月期で65.6%となっており、そのうち、障害者総合支援法に規定する事業所からの報酬が大半を占めます。

今後は療育事業に係る売上高の増加や、高度化・複雑化するニーズに応えるためにも新規サービスの開発を図り、障害者総合支援法に規定する就労移行支援事業に係る売上高の構成比率の低下を図っていきますが、想定どおりに減少することは保証できず、障害者総合支援法に規定する就労移行支援事業への依存が継続する可能性があります。

このため障害者総合支援法の改廃等が行われ当社グループの事業活動が制約された場合や、当社グループの運営する就労移行支援事業所に指定取消や営業停止が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然災害について

当社グループは、本部機能のある首都圏を中心に、また直近では全国規模で事業所を開設し事業を展開しておりますが、当該地域において大規模な地震や台風等による自然災害が発生した場合には、正常な事業活動が困難となる恐れがあり、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症について、検温やアルコール消毒の徹底やオンライン支援の導入といった感染症対策を実施した上でサービス提供を継続しておりますが、営業先や利用者の間で感染が拡大した場合、新規利用者の獲得が困難になることや既存利用者の来所自粛等によって利用者数が減り、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 特定経営者への依存について

当社創業者であり代表取締役社長である大田誠は、当社グループの経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

当社グループは、取締役会や経営会議等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進める等、組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由で同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 社歴が浅いことについて

当社グループは、2011年12月に設立、2022年4月に設立12期目を迎えましたが、社歴の浅い会社であります。そのため、財政状態及び経営成績を比較するための継続的な情報提供が困難な状況となっております。当社グループは、今後もIR活動などを通じて当社グループの経営状態を積極的に開示してまいりますが、経営成績などの比較には時間の経過が不可欠であり、現時点において今後、当社グループが成長を続けることができるかなどを予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは不十分な面があると考えられます。

 

(13) 固定資産の減損について

当社グループは、新規出店の加速により固定資産残高が増加しており、業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループとしては、減損処理が発生しないよう、各拠点の収益管理を徹底し、採算性の悪い拠点に対しては積極的に対策を講じておりますが、万が一、不採算拠点の増加や閉設が集中すると、多額の減損損失が発生する可能性があります。

 

(14) M&Aについて

当社グループは、M&Aによる事業拡大も成長戦略の一つとして進めております。また、買収にあたっては、各種デューディリジェンスを実施し、十分にリスクを検討した上で判断しております。しかしながら、期待した収益や効果が得られないことにより、のれんの減損処理を行う必要が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 有利子負債について

当社グループは、運転資金及び新規出店の設備投資資金を借入金や社債で調達しており、2022年3月末時点の有利子負債依存度は38.9%となっております。そのため現行の金利水準が変動した場合や計画通りの資金調達ができなかった場合には、当社の事業成長のスピードが減速するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 新株予約権行使の影響について

当社グループは当社役員及び従業員並びに関係者に対し経営へのさらなるコミットメントを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は52,000株であり、発行済株式総数28,788,000株の0.18%に相当しております。

 

(17) 在庫リスクについて

当社グループは、商品販売事業を拡大したことにより、在庫が増加しております。価格下落等により、棚卸資産の正味売却価額が帳簿価額を下回った場合には、収益性が低下していると考え、期末時点の帳簿価額を正味売却価額まで切り下げることとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、棚卸資産等の評価は、一定期間内での商品販売計画及び消費スケジュールに基づいており、当該商品販売計画及び消費スケジュールは、消費者の嗜好、経済環境及びサプリメント業界の環境等に影響を受けます。見積りにおいて用いた仮定が、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降において、棚卸資産の評価損が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります

 

(18) 貸倒リスクについて

当社グループの取引先に対し、定期的な信用調査を行っておりますが、予期せぬ貸倒リスクが顕在化した場合、売上債権・貸付金等に追加的な損失や引当金の計上が必要となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 投資有価証券について

当社グループは、事業の展開上、当社グループの事業と相乗効果が見込まれる企業への投資を行っております。投資先企業の事業環境の悪化等により、期待される成果が得られないと判断された場合、投資有価証券評価損が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

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