課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、2022年5月27日に「中期経営計画(2022~2024年度)」を策定・開示しており、以下の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、当該「中期経営計画(2022~2024年度)」に基づき記載しております。したがって、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在ではなく、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、理念体系にある経営理念、ビジョン、行動指針に基づき、新しい価値創造へのこだわりと挑戦を続けるとともに、お客様の期待に応える商品やサービスの提供をはじめとして、ステークホルダーとの約束を実現することを事業運営における基本方針としています。当社グループは、経営理念、ビジョン、行動指針の実践を通じて、社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出しグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。


 

(2) 経営環境

当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は、次のとおりであります。

 

(リテールソリューション事業)

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ネットショッピングや宅配が拡大し、食品購入機会も増加する一方、外食の自粛が広がるなど、消費者の購買行動が大きく変化しています。その影響から当社の顧客である流通小売業においては、ネットショッピングや決済手段の多様化への対応、プロモーション等の集客や店舗における生産性向上等、店舗経営の維持向上のためのソリューションニーズが高まるとともに、消費者と従業員の安全性を確保する手段へのニーズも高まっており、特にセルフチェックアウト関連及びソフトウェアやサービス関連の需要が増加しています。

当事業においては、国内外に幅広く顧客基盤及び販売網を有し事業を展開しておりますが、競合他社との競争激化が続く厳しい事業環境にあります。
 

(ワークプレイスソリューション事業)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務の広がり等の働き方の変化により、主力商品であるオフィス向け複合機の販売や保守サービスに影響がありましたが、ワクチン普及や経済対策等の効果により、販売は回復傾向にあります。

当事業においては、国内外に幅広く販売網を有しておりますが、需要の鈍化や競合他社との価格競争激化が続くなど厳しい事業環境にあります。

 

(3) 中長期的な経営戦略と目標

上記の経営環境下において、当社グループは、2022年5月27日に策定した「中期経営計画(2022~2024年度)」の基本方針、「社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出しグローバルトップのソリューションパートナーへ」の下で、以下の具体的施策に取り組んでまいります。

 

(リテールソリューション事業)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う大きな事業環境の変化は、タッチポイントの多様化やキャッシュレスの加速等、当社グループが社会に貢献できる大きな事業機会にも繋がっています。これらの事業機会に対して「戦略パートナシップの拡充と共創によるデータ&ソリューションビジネスの拡大」を進めることで、リテール業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、新たな価値創造に取り組み、流通業界でグローバルトップのソリューションパートナーを目指してまいります。

・グローバル共通リテールプラットフォーム「ELERA」によるソリューションビジネスの拡大

クラウド環境でのデータ一元化と制御が可能な「ELERA」の構築により、購買データの収集とそのデータを活用したマイクロサービスを展開し、パートナーとともにエコシステムを形成することで、店舗変革の加速を実現してまいります。

・顧客の課題を解決するソリューションパートナー

データを利活用してソリューションを提案する提案型ビジネスへの転換を図るとともに、当社グループが持つ強固な顧客基盤及び店舗を起点に、顧客の現場の課題を解決するソリューションパートナーを目指してまいります。特に、変化の激しい市場に対応すべく、パートナー企業との協業や実証実験を積極的に展開し、注力4領域(データサービス・次世代店舗・決済・SCM)及びBPO(Business Process Outsourcing)に注力してまいります。

・海外事業戦略

グローバル顧客基盤を活用した保守サービス事業の強化と、「ELERA」を軸としたソフトウェアビジネスの拡大により、海外事業の更なる強化を目指してまいります。

 

 

(ワークプレイスソリューション事業)

2020年に実施した構造改革により、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益性の改善に邁進しています。「中期経営計画(2022~2024年度)」の期間においては、更なる収益基盤強化に向け、「成長分野への人財シフト」、「ローカルソリューション対応力の強化」、「クラウド、データとつながるプラットフォームの構築」に取り組み、収益性の強化を目指してまいります。

更なる収益基盤強化

「ワールドワイドで生産拠点の最適化」、「開発製造一体による生産原価低減」、「業界他社との連携による収益体質強化」等の取り組みにより、更なる収益基盤強化を目指してまいります。

ワンストップ・ソリューションの提供

複合機のテクノロジー・リソース・インフラを最大限に活用することで、成長領域であるオートIDシステム事業の商品・ソリューション力の大幅強化を図るとともに複合機とバーコードプリンタとを組合せたユニークなソリューションを多様なワークプレイスにワンストップで提供することで、差異化と成長を実現してまいります。

 

また、当社グループは、店舗・オフィス・物流・製造各領域の課題解決に貢献するグローバルトップのソリューションパートナーを目指して、お客様とともに、SDGs(Sustainable Development Goals)達成に向けた取り組みを推進し、持続可能な社会への貢献を実現してまいります。

 

当社グループは、「中期経営計画(2022~2024年度)」において、当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、営業利益率(ROS)、親会社株主に帰属する当期純利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投下資本利益率(ROIC)を掲げており、最終年度である2024年度に、売上高は5,000億円、営業利益は310億円、営業利益率(ROS)は6.2%、親会社株主に帰属する当期純利益は150億円、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス380億円、投下資本利益率(ROIC)は13.5%を達成することを目標として定めております。なお、当該目標値は、当社が有価証券報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記の経営方針及び経営戦略を実行するに当たっては、各事業におけるバランスある利益の実現と長期的収益体制の構築が必要であり、その実現のために当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次の重要施策の実行を加速することであると認識しております。

パートナーとの共創によるソリューション力の強化

全社のDX戦略を推進するDX戦略部、事業部門が中期経営計画で掲げる注力領域を中心に事業部門と連携し新規事業獲得を推進する新規事業戦略部、事業間をスルーしたデータビジネスの融合促進、ソリューション開発を支えるプラットフォーム「ELERA」のアーキテクチャの開発を担うCDO室等の組織を立ち上げ、パートナーとの共創によるソリューション力の強化を図ります。

・高付加価値ビジネスへの移行

リテールソリューション事業において、より付加価値の高いソリューションサービスへのシフトを進めることにより、収益性の拡大を目指します。

・海外リテールソリューション事業の競争力強化

保守サービスの拡大、リテールプラットフォーム「ELERA」を軸としたソリューションビジネスの拡大を通して、既存顧客の維持及び新規顧客の獲得を推進いたします。

・ワークプレイスソリューション事業の収益性回復

強靭でスリムなグローバルオペレーション体制の構築により体質強化を図り、収益性の回復を目指します。

 

また、上記の重要施策に加え、新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響を低減するため、これまで実施した構造改革の効果を継続的に維持することに加え、更なる業務の効率化や間接経費のコントロール、製造原価改善等のコスト削減施策とともに、市場動向を踏まえた売上拡大施策を実施いたします。

 

 

(5) 次期の見通し

今後の世界経済は、新型コロナウイルスワクチン及び経口治療薬の開発・普及や各国における経済対策等の効果により回復基調を維持するものの、新型コロナウイルス感染拡大、供給制約、ロシア・ウクライナ問題等の収束は見通せず、景気は先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

このような状況下におきまして、当社グループは、社会課題の解決に貢献する新たな価値を共創によって生み出し、グローバルトップのソリューションパートナーへ」の基本方針の下で、社業の発展に向けた各種施策の実行に、グループ一丸となって取り組む所存でございます。

 

2022年度(第98期)における各報告セグメントの主要施策は、以下のとおりでございます。

 

(リテールソリューション事業)

主力商品である国内及び海外市場向けPOSシステム、国内市場向けオートIDシステム、並びにそれらの関連商品の拡販と、DXの推進によるトータルソリューションの提供に向けて、当社グループにおけるグローバルリソースの連携強化を加速してまいります。具体的には、新たな価値創造のためのマーケットニーズにマッチした新商品・ソリューション開発の加速、地域に即した営業・マーケティングの展開、サービス事業・サプライ事業の強化、販売サービス網の最適化等、パートナーとともに社会課題の解決を目指す「グローバルトップのソリューションパートナー」として、それぞれの施策におけるグローバル連携を強化し、収益力の向上、新規事業領域の拡大及び新規顧客の獲得を図ってまいります。

 

(ワークプレイスソリューション事業)

主力商品である国内及び海外市場向け複合機、海外市場向けオートIDシステム、国内及び海外市場向けインクジェットヘッド、並びにそれらの関連商品の拡販と、幅広い商品群を活かしたトータルソリューションの提供を行ってまいります。また、戦略的新商品の開発・投入、地域に即した営業・マーケティングの展開、販売サービス網の最適化、新興国事業の強化を行います。それらにより、強靭でスリムなグローバル・オペレーション体制を構築し、収益体質の強化に努めてまいります。

 

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