課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 中長期計画「VISION2025」と各事業セグメントの事業展開

当社グループは、100年を超える歴史の中で培われた「事業の精神」に基づき、ステークホルダーとの確かな信頼関係構築を「行動の原点」として、多元的な価値軸を持って企業活動を推進し、「社会と産業の基盤を支える企業活動を通じて、環境と調和し活力ある社会の実現に貢献する」というSDGs(持続可能な開発目標)にも通じる企業理念の実現を目指しております。

2021年4月にスタートした中長期計画「VISION2025」では、「多様な価値観が尊重され、チャレンジ意欲を持った活動ができる環境のもと、一人ひとりが社会に貢献していることを実感でき、確かな技術力で持続する未来を創造する企業グループ」に更に生まれ変わることを目指して、「日新一新」の合言葉のもと、全員参加でひと・組織・事業の変革に取り組んでおります。

脱炭素社会の到来や再生可能エネルギーを中心としたエネルギーの分散電源化、国内の少子高齢化や新型コロナウイルス感染症による働き方の多様化など、様々な社会変化をビジネスチャンスと捉え、SDGsを中核に据えた下記の成長戦略とそれを支える事業基盤強化に取り組み、2026年度以降の成長に向けた先行投資も積極的に行い、持続可能な地球環境とあらゆる人々が活躍する社会の実現に貢献してまいります。

 

〔成長戦略〕

①環境配慮製品の拡大

②分散型エネルギー対応

③再生可能エネルギー対応

④DX(デジタルトランスフォーメーション)の製品・事業への適用

⑤新興国環境対応需要の捕捉

⑥EV(電気自動車)拡大に伴う事業拡大

 

2025年度の財務目標である売上高1,600億円、営業利益200億円、ROA(総資産営業利益率)・ROE(自己資本利益率)いずれも10%超の達成に向け、各事業セグメントにおいて次の施策に取り組んでおります。

 

「電力・環境システム事業」

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、環境重視の経済政策により加速しようとしている電力エネルギー関連市場の大きな変化に対応するため、当社の強みである電力系統連系技術や特別高圧分野の技術を活用し、AI・IoTの機能を付加した環境配慮型エネルギーソリューションであるSPSS®(スマート電力供給システム)の更なる拡大を図ります。

・省エネ・省スペースの環境配慮型受変電システム、次世代電力ネットワーク向け電力系統安定化システム、エネルギーの地産地消のための分散型電源制御システム、再生可能エネルギーシステムなどを電力会社・民間工場・水処理場・高速道路などの顧客用途に対して積極的に提案してまいります。

・大規模プロジェクトが計画されている風力発電については、世界トップクラスの送電ケーブル技術を保有する親会社の住友電気工業株式会社と一体となり、定評ある当社の系統解析技術により電力品質安定化に貢献するSPSS風力発電パッケージシステムを拡販していきます。

・DXを活用したリカーリング(循環)モデルの構築を図り、堅調な既設電力設備の更新需要の取り込みに努めてまいります。

 

 

 

「ビーム・プラズマ事業」

当社グループの強みであるビーム・プラズマ技術の特徴を活かし、事業を推進します。

・FPD製造用イオン注入装置については、パネルメーカーのニーズに対応し大型イオン注入装置の開発を進めます。半導体製造用イオン注入装置については、半導体不足解消に向けた旺盛な設備投資への対応や急速なEV化の進展などに伴い需要が本格化しつつあるSiCパワー半導体向け装置を中心に拡販に取り組みます。

・電子線照射装置については、顧客のニーズにマッチした新装置を拡販し、また、環境に配慮した装置の開発や環境改善につながるプロセスを提供してまいります。

・ファインコーティング事業については、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングのEV用部品や風力発電用部品などへの用途開発を進め、DXを用いた事業運営により売上拡大を図ってまいります。

 

「装置部品ソリューション事業」

電力機器製造で培ってきた金属加工技術を活かし、タイ・ベトナムを主力拠点として成長してきた装置・部品の製造受託事業を、国内外4拠点のものづくり力の特徴とこれまでに蓄積した経験・ノウハウを活かし、グローバルな顧客のニーズにマッチした装置・部品製造に関するソリューション事業として成長させます。

 

(2) 企業理念の実現によるSDGs、気候変動抑制への取り組み

当社グループは企業理念の実現により、すべての事業活動を通してSDGsの17の目標達成に貢献してまいります。また、気候変動への対応を経営の最重要課題の一つと位置づけ、当社グループの事業プロセスが環境に与える影響を常に評価し、継続的な改善に努めております。長期的目標として2030年度での温室効果ガス排出量をScope1+2で35%削減、Scope3で30%削減(2018年度比)と設定し、国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の認証を2021年6月10日に取得しました。

 Scope1 : 自社の事業活動で直接排出する温室効果ガス(燃料の燃焼、生産プロセス)

 Scope2 : 供給されたエネルギーの使用に伴い間接排出する温室効果ガス(電気、熱・蒸気)

 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出する温室効果ガス(原料調達、製品使用等)

また、人的資本・知的財産への投資を積極的に進めると共に、人権を尊重し、多様性を重視した安全で働きやすい職場への変革に取り組んでおり、国籍やジェンダーの相違、障がいの有無を問わず一人ひとりの可能性や成長を後押しし、誰もが活躍できる風土を構築します。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響

2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う業績への影響は比較的軽微でありました。現時点では2022年度は、新型コロナウイルス感染症(変異株)の出現による感染再拡大や中国のゼロコロナ政策などの影響が懸念され、半導体不足を始めとした部材の長納期化や素材価格の高騰に更に拍車をかける恐れがあります。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を注視しながら様々な対策を柔軟に実施し、従業員の健康・安全の確保と事業活動の維持の両立を図ります。また、この機会に事業体質の一層の強化を図るため、生産性の向上、デジタル化推進、社員の再教育などの体質改善活動を推進してまいります。

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