課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、社員と企業の「革新と成長」を通じ、人と社会と地球環境に貢献することを企業理念とし、電池で培った先進のエネルギー技術で世界のお客様へ快適さと安心をお届けしてまいります。以下の経営の基本方針に従って、経営目標を達成し、企業価値の最大化を目指してまいります。

 ・GS YUASAは、お客様を第一に考え、お客様から選ばれる会社になります。

 ・GS YUASAは、品質を重視し、環境と安全に配慮した製品とサービスを提供します。

 ・GS YUASAは、法令を遵守し、透明性の高い公正な経営を実現します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2019年5月に「第五次中期経営計画」を策定いたしました。

 新たな価値を創造し続けるエネルギー・デバイス・カンパニーを目指し、「モノ・コトづくり」をキーワードに新しい価値創造を通じて、鉛電池事業とリチウムイオン電池事業それぞれの持続的成長に繋がる戦略的な企業活動を行ってまいります。

 GSユアサでは企業理念である「革新と成長を通じ、人と社会と地球環境に貢献する」を実践することが事業の持続的な成長に結びつくものとしています。CSR課題を事業戦略に取り込んだビジネスプロセスを確立し、財務・非財務の両面で経営の質を向上させ、事業と社会のサステナブルグロース(持続可能な成長)を目指してまいります。

 第五次中期経営計画では、次の3つの重要戦略課題に取り組みます。

  ①ビジネスプロセスに特化したCSRの重要課題に対する取り組みの強化

   ②鉛電池事業の収益強化と海外事業拡大を通じた経営基盤の強化

   ③第六次中期経営計画以降にリチウムイオン電池事業の規模と収益を拡大させるための布石を打つこと

 なお、世界経済に重大な影響を及ぼす新型コロナウイルスの収束する兆しはなく、先行きが見通せない状況を受け、2020年5月に「第五次中期経営計画」の期間を変更し、最終年度を2023年3月期とする4年計画としております。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、「第五次中期経営計画」において、2023年3月期の連結での売上高4,600億円以上、営業利益280億円以上、ROE8%以上、総還元性向30%以上を目標数値としています。なお、各指標はのれん等償却前利益(営業利益・当期純利益)に対するものです。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社を取り巻く環境は、長引くコロナ禍の影響による、原材料価格高騰や半導体・部品の供給不安、コンテナ不足と国際物流の混乱などに加え、昨今のウクライナ問題により、先行き不透明な状況が継続しています。一方、2020年後半から急激に加速したカーボンニュートラルの動きは、2021年に全世界的な広がりを見せ、欧州・中国 そして日本の電動化の背中を押す形となっています。

 このような環境下、①環境問題に対する意識の変化、②デジタルシフトの加速、③集中型から分散化への加速に代表される大きな社会変革を中長期的成長の好機と捉えております。特に環境問題については、リチウムイオン電池及び鉛電池の両事業における自動車電動化への対応及び再生可能エネルギー分野向けの売上拡大を積極的に行ない、また同時にESG戦略の一環として長期環境目標を設定し、CO2排出量の削減を更に進めていく等、カーボンニュートラルに伴う環境・CSR課題に取り組んでまいります。また、脱炭素の動きに呼応して、環境対応コストが増大しつつありますが、カーボンニュートラルを目指す社会においてサステナブルな成長を実現するために、デジタル技術などの活用により全事業の収益力強化を図ってまいります。

 事業別では、自動車電池事業においては、継続的な利益貢献を自覚し、製造・販売両面から利益率の向上に取り組んでまいります。電動化の進捗を見極めつつ、各拠点のニーズや顧客要求に沿った商品戦略を迅速に立案し、グローバルでの最適生産体制の構築を進めることで、アイドリングストップ車など環境対応車向け電池をはじめとした高付加価値商品の安定供給・販売拡大を図ってまいります。

 産業電池電源事業においては、カーボンニュートラルを背景にした環境・エネルギー分野での蓄電システムの売上拡大を図るとともに、デジタル技術を活用した「モノ・コトづくり」の実践や2021年度より連結化した㈱GSユアサ インフラシステムズとのシナジー創出などによる収益性向上に取り組みます。また、海外市場における販売基盤の構築を進めるとともにグローバルな視点での商品戦略を推進してまいります。

 リチウムイオン電池事業においては、ハイブリッド車用電池の生産能力を最大限に生かし新規及び既存顧客の受注拡大を図るとともに、将来的に需要拡大が見込まれる12Vリチウムイオン電池については量産及び拡販体制の構築に向けた取組みを進めてまいります。さらに、電気自動車用リチウムイオン電池については2030年以降の需要拡大に対応するため、研究開発を加速させ、本格参入を狙います。

 当社といたしましては、品質重視の基本姿勢に基づいた事業運営によりお客様に安心と信頼を提供するとともに、「革新と成長」の企業理念のもと、企業価値の向上と将来の持続的成長に向けた事業基盤の構築に努めてまいります。

 

(5)気候変動への対応

 当社グループは、気候関連課題が重要な経営課題の1つであると認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を2019年12月に表明し、TCFDフレームワークに基づき「ガバナンス・戦略・リスクマネジメント・指標と目標」の情報開示に取り組んでいます。

(詳細は、当社HPをご確認ください。https://www.gs-yuasa.com/jp/ir/tcfd.php)

・ガバナンス

 当社グループでは、中核事業会社である㈱GSユアサにおいて、気候変動への対応策を立案・実施しており、当社(㈱ジーエス・ユアサ コーポレーション)は取締役会において、㈱GSユアサから定期的にこれらの進捗の報告を受け、必要に応じて指導するなどし、グループ全体を統括しております。

 ㈱GSユアサでは、環境関連の方針/目標や重要項目は、CSR委員会で立案/協議され、取締役社長が責任者を務める経営ヒアリング・経営会議へ報告されます。このようなガバナンスの下、これまでに、「TCFD提言」への賛同や、「GY環境長期目標2030」を公表し、気候関連課題への取組みを進めてきました。

・戦略

 当社グループでは、2021年度より㈱GSユアサの各事業部及び本社部門によるプロジェクトチームを発足し、全社横断的にシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析では、1.5℃及び3℃の気温上昇を想定し、IPCCやIEA等の国際機関のシナリオを参照しています。また、シナリオ分析の終了年は、短期(2025年)、中期(2030年)、長期(2050年)と設定しました。

 シナリオ分析実施の結果、例えば、1.5℃シナリオにおける重要な移行リスク・機会として、「炭素税の上昇、再エネ導入対応に伴うコスト増」、「自動車市場の変化(ガソリン車市場の縮小、電動車市場の拡大)」を特定しています。また、3℃シナリオにおける重要な物理的リスク・機会として、「風水害による施設損害、事業停止による利益損害の増加」、「激甚災害対策のための非常用電源の需要拡大」を特定しています。また、特定した重要なリスク・機会に対して、対応策を検討し取組を進めています。

 気候変動によるリスクを完全に予測することは困難ではありますが、1.5℃、3℃それぞれのケースにおけるリスク・機会を認識し、適切に対応することで、事業のレジリエンスを高めてまいります。

・リスクマネジメント

 当社グループでは上記ガバナンス体制の下、以下の通り、気候関連のリスク・機会の特定及び評価を実施しています。

 

0102010_001.jpg

 

 また、シナリオ分析の実施により特定した重要なリスクと機会は、上記のガバナンス体制の下で管理しています。

・指標と目標

 当社グループでは、2021年5月にGY環境長期目標2030(2030年度CO2排出量を2018年度比30%以上削減)を公表し、CO2の削減を推進しています。

 また、2022年3月にはインターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入を公表しています。価格設定は8,600円/t-CO2として、CO2排出量に影響を及ぼす設備投資へ活用し、事業活動におけるCO2削減を推進します。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得