課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営理念に「時代のニーズを先取りし、失敗を恐れぬチャレンジ精神の溢れた前向きの企業たることを期す」ことを掲げ、同じく「優れた製品を社会に提供し、社会に貢献する」ことを実現すべく、長年培ってきた電気通信技術・高周波応用技術に関する豊富な知識と経験に基づき、毎年策定される経営重点方針のもと、たゆまぬ技術開発の推進と品質性能の向上を目標とした各施策を行うことにより、企業価値を高め、株主の皆様や顧客各位のご期待に応えることを経営上の最大基本方針と位置づけております。

また、当社グループは、2021年11月に、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するための方針、社会及びステークホルダーに対する責任を「サステナビリティ基本方針」として策定し、本方針に基づいた企業活動(サステナビリティ経営)に取り組んでおります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、経営基盤の安定的拡大に重点を置いて効率的な経営及び事業の拡大を図ってまいりたいと考え、2025年3月期に自己資本当期純利益率(ROE)5%を達成することを目標とし、その先はさらなる向上を目指して取り組んでまいります。

また、中長期的な観点から、当社グループのサステナビリティ経営に関するマテリアリティ(重要課題)に「職場風土・働き方改革」「コーポレートガバナンスの強化」「社会インフラ整備への貢献」「環境経営の推進」「新規事業の創出」の5つを掲げており、その取り組みについて成果を評価する指標(KPI)を下記のとおり設定し確実に推進を図っていくことで、持続的な社会の成長への貢献と企業価値の維持・向上を目指しております。なお、重点取り組みやKPIについては、サステナビリティ委員会、経営会議、取締役会において協議の上、定期的に見直しを行ってまいります。

 

KPI/中長期目標のグループ分けについては、下記のとおりの意味合いとなっております。

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職場風土・働き方改革

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コーポレートガバナンスの強化

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社会インフラ整備への貢献

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環境経営の推進

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※ フォロー項目においては、効果検証及び基礎データの整備を進めています。現在は効果を検証する期間とし、定量目標は設けていません

今後、効果検証が完了しましたら、目標を設定する方針です

 

新規事業の創出

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(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、経営環境の変化に迅速に対応し、事業の継続性と安定した収益の確保を目指すとともに、継続的なコーポレートガバナンスの強化に向けた取り組みを進めることで、企業価値の増大を図ることを基本としています。

当社の中長期的な経営戦略としては、2021年3月に開示いたしました「中長期経営戦略」に記載しておりますとおり、「社会貢献への積極的関与」と「企業価値の向上・成長の実現」により、当社グループのありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現を目標としており、そのための成長戦略としては、「新規事業の創出」、「既存事業の更なる拡大」、「経営基盤の強化」の3つの戦略を掲げ、取り組んでおります。

「新規事業の創出」においては、ビジネススタイルの変革や顧客層の拡大・差別化の追求により、これまでの事業とは異なる新たな収益の源泉を創出してまいります。新規事業としては、当社無線技術を活用した新たな市場開拓としてローカル5Gを基軸としつつ、それ以外の無線技術の採用を含めて、当社の強みである無線通信技術を活用した新たな事業領域の開拓を進めてまいります。ローカル5Gは、これまでとは違うお客様を我々が自ら開拓することができる可能性を秘めており、当社のこれまでの技術に基づいた強みを活かして市場を開拓することができる有力な市場と捉えています。また、高周波関連事業においては、新たな需要獲得に向けた自動車関連以外の分野への取り組みも積極的に進めてまいります。高周波誘導加熱技術の応用により、産業廃棄物処理業界を始めとした新たな市場開拓を図り、環境経営の推進にも貢献してまいります。

「既存事業の更なる拡大」においては、社会インフラに関わる既存事業の拡大についても重要なテーマであり、柱としております移動通信関連、固定無線関連、放送関連、高周波関連を中心にその周辺分野への事業拡大を視野に入れ、新規技術を有した製品を投入し、安定的な収益基盤の拡大を図ってまいります。適宜設備投資を行うことを図りながら、経営資源を投入し、社会貢献と企業価値の増大に寄与することに努めております。

また、これら事業における成長戦略の達成に向け、「経営基盤の強化」を図ってまいります。当社が属する電気通信をはじめとする情報通信関連業界及び自動車関連を中心とした高周波応用機器業界は技術革新による大きな変革の時期が訪れております。先の時代を見据えた研究開発を強化することにより、また、当社が有する資本を最大限活用するための資本政策・財務戦略を実施していくなど経営資源を的確に投入してまいります。

「経営基盤の強化」としては、企業統治の観点も不可欠であり、経営の透明性と健全性を確保することにより、企業の社会的信用性を高めながら企業価値の増大を図ることを、コーポレートガバナンスの基本的な考え方としております。取締役会の健全性、実効性及び透明性の確保に向けた取り組みや、コンプライアンス経営に向けたコンプライアンス・プログラムの推進、政策保有株式の縮減などの各種取り組みをコーポレートガバナンスの強化として継続して実施してまいります。なお、これら施策の当連結会計年度の取り組みについては、2022年5月に「コーポレートガバナンスレポート」として当社HPに公表しております。

また、上記「中長期経営戦略」のビジョン達成に向けて、2023年3月期からの3ヵ年における目標及び注力、推進することを明確化するために2022年5月に中期経営計画(DKK-Plan2025)を策定いたしました。DKK-Plan2025では「サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上」を基本方針に据え、重点施策に「経営基盤の強化」「事業ポートフォリオの最適化」「新規事業創出の早期実現」を掲げております。当社グループの「ありたい姿(未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future))」である社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現するため2025年3月期までの3ヵ年は「成長に向けた土台作り」と位置付けて取り組み、DKK-Plan2025を通じて、当社グループが永続的に発展・成長するための強固な経営基盤の構築に向け進めてまいります。詳細については当社HPをご参照ください。

 

(4)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きを見せており、企業収益は国内外の経済活動の持ち直しを受けて回復しております。また、企業収益の回復を受け、設備投資や雇用環境においても持ち直しの動きを見せており、消費に関しても回復傾向にあります。一方、原油高や原材料費の高騰による企業収益への影響が表面化しており、わが国経済の先行きは依然として予断を許さない状況にあります。

当社グループの関係しております電気通信関連業界におきましては、移動通信関連分野では、5G向けのアンテナ需要に本格化の様相が見られております。一方、固定無線関連分野においては防災行政無線の需要が急速に減少しており、放送関連分野においても放送事業者による設備更新・メンテナンス需要が減少しております。また、高周波応用機器業界におきましては、自動車関連分野における設備投資需要に一定の回復の兆しが見られておりますが、回復の基調は緩やかなものとなっております。

上記のとおり、当社グループを取り巻く経営環境は、スピーディに変化する事業環境や価格競争の激化、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況に加え、半導体不足の長期化や円安・原材料費の高騰の影響もあり、先行きについても予断を許さない状況にあります。

 

(5)会社の対処すべき課題

当社グループは、顧客の設備投資動向の影響を受ける事業形態であること、また、ローカル5Gの普及が遅れていることによる新規事業の立ち上がりの遅延、原材料価格の高騰や為替相場の大幅な変動をはじめとした事業環境への対応等が課題として挙げられます。当社グループとしては、新しい事業への取り組みの早期実現、販売価格の適正化、原価低減、製造体制の再構築等を進めてまいります。

このような環境の中、事業ポートフォリオの最適化による企業価値の最大化を図ってまいるとともに、既存事業に加え、新たな成長分野として「ソリューション事業」と「高周波新領域」のセグメントを定め、将来の主力事業への成長を図ってまいります。

また、既存事業についてはシェアの拡大・収益性の向上を図り、社会貢献と企業価値の向上を目指してまいります。移動通信関連分野においては、5G向けのアンテナ需要が継続される見通しであることに加え、新たに開発した無線装置と併せ需要の取り込み、さらには移動通信鉄塔のメンテナンス需要の獲得にも取り組んでまいります。固定無線関連分野については、新型コロナウイルス感染症の影響による防災行政無線の需要の先延ばしが継続されることが想定されますが、中期的には需要の回復も見込まれており、引き続き需要獲得に注力いたします。放送関連分野についても固定無線関連分野と同様に客先の設備投資意欲は前連結会計年度以前の水準まで回復するのは厳しい状況ではありますが、放送設備の更新・メンテナンス需要の取り込みを着実に進めてまいります。また、高周波関連事業においては、事業環境を注視した上で、海外拠点との連携強化を図り、日系自動車関連メーカーを始めとした設備投資需要の取り込みを強化するとともに、新たな需要獲得に向けた自動車関連以外の分野への取り組みも積極的に進めてまいります。両事業分野ともグループを挙げて市場のニーズを的確に把握し、次世代を見据えた新たな需要の開拓による事業領域の拡大に取り組んでまいります。

また、当社グループはサステナビリティ経営を推進することに向け「サステナビリティ基本方針」を定め、5つのマテリアリティ(「職場風土・働き方改革」「コーポレートガバナンスの強化」「社会インフラ整備への貢献」「環境経営の推進」「新規事業の創出」)を掲げましたが、サステナビリティを意識した経営の推進を図るべく、次期においては「職場風土改革の実現による企業力の向上」、「グループ全体で強い意志を持った利益の最大化」、「従来手法にとらわれない業務改革の推進」、「コンプライアンスとリスクマネジメントの徹底」及び「積極的な環境経営の実践による社会貢献と発展成長の実現」の5方針からなる経営重点方針を策定し、DKK-Plan2025の基本方針である「サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上」に向けて事業活動を展開いたします。

 

(経営理念)

・優れた製品を社会に提供し、社会に貢献する。

・時代のニーズを先取りし、失敗を恐れぬチャレンジ精神の溢れた前向きの企業たることを期す。

・絶えず生産性の向上に務め、常に適正な利益を確保する。

・一社一家、グループ一家の和の精神をもって発展成長し、社員の生活向上に務める。

 

(サステナビリティ経営に向けたマテリアリティ(重要課題))

マテリアリティ:「職場風土・働き方改革」「コーポレートガバナンスの強化」「社会インフラ整備への貢献」「環境経営の推進」「新規事業の創出」

 

(中長期経営戦略のビジョンと戦略)

ビジョン:ありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現

戦略:「新規事業の創出」、「既存事業の更なる拡大」、「経営基盤の強化」

 

(中期経営計画の基本方針と重点施策)

基本方針:「サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上」

重点施策:「経営基盤の強化」「事業ポートフォリオの最適化」「新規事業創出の早期実現」

 

(次期(2023年3月期)の経営重点方針)

全体目標:「サステナビリティ経営の推進による企業価値の向上」

取組方針:「職場風土改革の実現による企業力の向上」、「グループ全体で強い意志を持った利益の最大化」、「従来手法にとらわれない業務改革の推進」、「コンプライアンスとリスクマネジメントの徹底」、「積極的な環境経営の実践による社会貢献と発展成長の実現」

 

また、当事業年度において、内部通報に基づく社内調査が実施されました。当該内部通報の概要及び調査結果につきましては、当社ウェブサイト(https://www.denkikogyo.co.jp/)において公表しております。調査の結果、内部統制システムの運用の一部に不備事項が発見されました。

当社取締役会は、上記の事態を重く受け止め、ガバナンス体制及び監視機能の強化を中心とした下記の再発防止策を決定し、その取り組みを進めてまいりました。

①コンプライアンス・プログラムの策定・実施

②指名委員会の設置

③経営会議の発足

④秘書部門機能の強化

⑤管理統括部組織の見直し

⑥役員等に対するコンプライアンス教育

当社は、コーポレートガバナンスの改善強化に向けて引き続き鋭意取り組み、全社一丸となって信頼の回復に努めてまいります。

 

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