課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は1948年の創業以来、インターホンを中心とした通信機器の専門メーカーとして事業を展開し今日に至っております。

基本方針は、経営理念「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」の下、自社ブランドを基本とし、開発から生産・販売・アフターサービスに至るまで一貫して行い、お客様に満足していただける商品づくりを進めております。

また、経営ビジョンである「コミュニケーションとセキュリティの技術で社会に貢献する」と「顧客感動品質を創造し、世界中の人々に安心・安全・快適を提供し続ける」の下、「新しい安心をかたちに」をスローガンとして掲げ、新しい安心を実感できる商品やサービスを提供し、社会に貢献していきたいと考えております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、国内だけでなく広く世界約70カ国に輸出をしております。当社グループの発展のためには、国内の既存事業基盤の強化のみならず、新規事業分野の創造を図るとともに、海外における販売体制の強化、グローバルな生産体制のより一層の推進など海外展開の強化を進め、収益構造やコスト構造の改善を進めることが重要であると認識しております。具体的な経営指標につきましては、引き続き経営基盤の強化を図るため連結売上高営業利益率を重要な指標としております。また、より一層資本効率の向上を目指した経営を進めてまいります。

 

(3)経営環境、中長期的な経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く市場環境といたしましては、世界各国における新型コロナウイルス感染症対策が進むことで、社会経済活動の正常化による景気回復が期待できるものの、依然として世界的な電子部品等の需給逼迫が継続していることに加え、ウクライナ情勢にも注視が必要な状況となっております。この世界的な電子部品等の需給逼迫は当社グループの生産活動に大きな影響を及ぼしており、部品調達コストの増加とともに、一部商品につきましては、減産せざるを得ないため業績への影響は避けられない状況となっております。当社グループといたしましては、部品調達先との調整を日々行うことにより、できる限りの商品供給に努め業績への影響を最小限に留めてまいります。

なお、中長期的な成長ドライバーとしては、国内の集合住宅市場を中心としたリニューアルと北米・欧州を中心とした海外市場であり、コロナ禍において高まりを見せた非対面ニーズや入退室管理の重要性の高まりについては、今後も需要の拡大が期待できると考えております。また、当社グループサステナビリティ基本方針に基づき、社会課題の解決に向けたサービスの販売についても積極的に取り組みを進め、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

<サステナビリティ基本方針>

アイホングループは、経営理念である「自分の仕事に責任を持て 他人に迷惑をかけるな」に基づき、全てのステークホルダーが安心・安全・快適を実感できる商品やサービスを提供することにより、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

詳細は当社WEBサイトをご参照ください。

https://www.aiphone.co.jp/sustainability/concept/

 

<国内市場>

住宅市場につきましては、今後、賃貸住宅の新設住宅着工戸数の伸張が一段落し、新築住宅での販売機会は縮小していくことが予測されますが、戸建住宅・集合住宅ともにリニューアルの需要は拡大が予測されます。また、病院市場の新設着工件数も増加することは期待できず、高齢者施設等においても高齢者の増加で需要自体は拡大するものの、介護従事者の人員不足等により市場環境といたしましては厳しい状況が予測されます。

 

・住宅市場

戸建住宅におきましては高い評価をいただいているワイヤレステレビドアホンに加え、付加価値の高い機能を搭載した新商品を積極的に投入することで販売を拡大してまいります。集合住宅におきましては、分譲物件では引き続き管理会社への営業活動を強化してまいります。賃貸物件におきましても、全国の管理会社との関係を強化し、引き続き小規模マンション・アパート向けシステムの販売を拡大してまいります。

 

・ケア市場

病院だけでなく、高齢化が進む社会のニーズへの対応を図るため高齢者施設や高齢者住宅等に対しまして、他のメーカーとのアライアンスによる商品開発と販売の拡大に努めてまいります。さらに、設備更新の需要は拡大が予測される中、介護施設等の現場での人手不足といった課題をIPネットワーク対応ナースコールシステムの提案で解決し、提供価値の拡大につなげてまいります。

 

<海外市場>

海外市場のセキュリティニーズはさらに高まるものと予測しております。主力販売地域の北米及び欧州を中心に販売を強化するとともに、オーストラリア、シンガポールでの販売拡大を目指して積極的な営業活動を進めてまいります。その他地域におきましても販路の開拓や販売体制の整備等を併せて推進し、海外市場売上の拡大を図ってまいります。

 

また、上記の各市場における活動とともに、現在の事業領域だけでなく、宅配事業者や居住者が抱える再配達問題の解決に向けた取り組みを進めるなど新たな分野での価値提供を目指し、積極的な挑戦と投資を行ってまいります。

 

<生産活動>

ITやロボット活用による合理化やグループ全体最適の観点による生産体制の構築を進めるとともに、世界的な電子部品の需給逼迫に伴う部品供給不足に対しては、部品メーカー等の取引先との継続した納期調整を行うことにより、タイムリーで安定した商品供給と効率化を実現し、利益の創出につなげてまいります。

 

<商品開発>

国内外の市場ニーズに応じた魅力的な商品を創造するため、IoTやAIといった新技術に対応し、多様化するお客様ニーズに応えることができるよう、より積極的な開発への取組みを進めてまいります。

 

<新型コロナウイルス>

当社グループを取り巻く市場環境といたしましては、各国におけるワクチン接種が進み、経済の回復が見られているものの、新型コロナウイルスの感染の再拡大により、想定以上に厳しい経済活動の制約等が発生した場合は、業績に影響を与える可能性があります。

 

<気候変動/TCFD提言への対応>

当社グループでは、社会的な重要課題である脱炭素社会の実現、循環型社会の形成、生物多様性の保全をはじめとする環境課題解決への貢献を目指す中で、地球温暖化をはじめとする気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識し、TCFD提言を踏まえたリスクと機会の特定、シナリオ分析による戦略のレジリエンスの検証に努めてまいります。今後TCFDのフレームワークに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」を含む項目について情報開示を進めるとともに、シナリオ分析を通じて経営の強靭化を図り、事業活動を通じた持続可能な社会の実現への貢献と新しい価値の提供を引き続き進めてまいります。

 

(ガバナンス)

当社グループは社長をトップに置く環境マネジメント推進体制において、環境マネジメントシステム(EMS)を構築し、環境活動の内容について、環境経営の基本理念及び環境方針に基づいたレビューを年1回実施することで、EMSの継続的改善・向上を図っております。また、環境方針に則った取り組みを推進するにあたり、気候変動をはじめとする環境問題に関する取り組みを検討する環境管理委員会下にCO2削減部会を設置し、地球温暖化につながる二酸化炭素の排出を削減するための活動を推進しております。これらの取り組み内容は経営会議を経て取締役会に対して定期的に報告され、取締役会による意思決定及び全社的な環境経営の円滑かつ迅速な推進を図るための体系を整えております。

 

ガバナンスの体系図については、下記のとおりであります。

 

0102010_001.jpg

 

(戦略)

当社グループでは、調達から生産、供給に至るまでのバリューチェーン全体を対象として、気候変動によるリスクと機会を洗い出し、事業への影響度と対応策について考察・分析を実施しております。設定シナリオとして、IPCCやIEAが公表するシナリオを参考に、産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする4℃シナリオと、脱炭素化社会への移行に伴い1.5℃~2℃未満に気温上昇が抑制される2℃未満シナリオの2つのシナリオを想定し、それぞれの世界観における2030年時点での当社グループへの影響について考察を実施しております。

4℃シナリオにおいては異常気象の激甚化に伴う洪水・高潮被害をはじめとする物理的リスクが拡大し、特にタイ・ベトナムにおける直接的な被害が特に顕著な影響として想定されます。一方で、2℃未満シナリオでは4℃シナリオと比較してその被害規模は縮小するものの、各国における炭素税の導入や電力価格の高騰により、若干の操業コストの増加を試算しております。また、その他IPCCの将来予測シナリオに基づいた複数のパラメータから、製品の環境性能向上による事業機会獲得の可能性を確認しております。

これらの分析結果は、具体的な対応策の検討・立案をはじめ、当社グループの環境課題に対するレジリエンスの検証に活用し、不確実な将来世界のあらゆる可能性に備えるとともに、今後も環境関連の社会動向を踏まえた分析を定期的に実施、評価の見直しと情報開示の充実化に努めてまいります。

 

0102010_002.jpg

 

(リスク管理)

気候変動に関するリスクについては、環境管理委員会のCO2削減部会にてそのリスクの識別・評価を実施しております。特定されたリスクはリスク管理委員会と連携し、全社的なリスク管理体制に統合され、重要なリスクに対する取組みの管理及びリスク管理の推進、内部統制システムの運用等について審議を行い、必要に応じてその内容を経営会議及び取締役会に報告しております。

 

(指標と目標)

当社グループは、「ゼロエミッション」「温暖化防止」「省資源」を重要な環境課題として認識し、それぞれ評価指標を設定し、毎年その実績についてモニタリングしております。また、2022年度よりGHGプロトコルに基づいた温室効果ガス排出量の集計を実施し、バリューチェーン全体での排出量のモニタリングと削減に向け、中長期的な削減目標の設定を検討してまいります。

 

なお、温室効果ガス排出量の実績を含むサステナビリティを巡る課題への取り組み等につきましては、当社ウェブサイトを参照ください。(https://www.aiphone.co.jp/sustainability/)

 

0102010_003.jpg

 

 

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得