業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、各種政策を通じて経済活動の再開を進めましたが、断続的な感染拡大と制限措置により、景気の先行きは不透明な状況が続きました。

当社グループに関係するPCや家電、スマートデバイス等のデジタル機器の国内市場では、個人によるテレワーク設備の導入やゲーム等の巣籠もり需要、教育環境のICT化関連需要は期を通じて堅調に推移しました。企業系の需要は前期のPC更新需要の反動や活動制限等の影響から低調が続きましたが、年度末には持ち直しの兆しが見られました。また、生産面においては、半導体や液晶パネル等の不足が深刻化し、供給の乱れや原価の動向に注意を要する状況が続きました。

こうした中、当社グループは、堅調な個人や教育市場向けを中心に商品の拡充・拡販に励むと共に、戦略的な在庫の積み増しにより主力商品の安定供給に努めました。

その結果、周辺機器部門や液晶モニター、商品部門は需要を捉え増収となりましたが、PC更新需要の反動や競争激化によるメモリ・ストレージ等の減収により、当連結会計年度の売上高は566億33百万円(前期比0.8%増)となりました。利益面につきましては、事業活動の制限等から販売費及び一般管理費は抑えられたものの、部品価格の値上がりによる影響に加え、不本意ながら戦略在庫の確保が当社会計上において在庫月数に応じ算定することとしている在庫評価損の増加を招き、営業利益は13億38百万円(前期比37.1%減)となりました。営業外収益に為替差益4億38百万円を計上したことにより、経常利益は18億50百万円(前期比27.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億80百万円(前期比26.4%減)となりました。

 

 

[メモリ]

当部門の売上高は28億44百万円(前期比23.0%減)となりました。

ゲーム機増設用SSDの競争激化による価格とシェアの低下、増設メモリのPC更新需要の反動減、SDカードの販売不振が響きました。

 

[ストレージ]

当部門の売上高は99億88百万円(前期比4.6%減)となりました。

巣籠もりによるTV視聴時間の増加等から、主力のハードディスクの販売は概ね堅調に推移していましたが、最終四半期に入り鈍化しました。光ディスクドライブは期を通じて伸び悩みました。

 

[液晶]

当部門の売上高は184億19百万円(前期比4.4%増)となりました。

テレワークや巣籠り需要等から個人向けモデルやeスポーツモデルの販売が堅調を保ち、学校等への大型モニター導入も進みました。当期においては、手軽に運搬・収納可能なモバイルディスプレイが新たな生活様式に受け入れられた他、新たに65インチ電子黒板「らくらくボード」をリリースしました。

 

[周辺機器]

当部門の売上高は83億48百万円(前期比7.4%増)となりました。

Web会議や動画配信ニーズの高まりを受けて、USBカメラやスピーカーフォン、ビデオキャプチャー等の映像分野が増収となりました。NASや無線LAN等のネットワーク分野の売上は僅かに前期実績に及びませんでした。

2021年3月のシステム本稼働は10月に見送られましたが、健康保険証の資格確認手続きオンライン化に対応する専用端末「APX-MEDICAL/QC」を開発し、新たに医療事務市場への参入を進めました。

 

[特注製品]

上述の品目のカスタマイズやOEM販売を主とする当部門は他分野への営業シフトを進めた結果、売上高は5億44百万円(前期比40.0%減)となりました

 

[商品およびその他]

自社のラインナップを補完する他社ブランド商品の販売を主とする当部門では、主に前期後半より扱い始めた映像クリエーター向けブランド「SanDisk Professional」のハードディスクドライブの販売増加により、売上高は164億87百万円(前期比4.9%増)となりました

 

(財政状態)

総資産は、前連結会計年度末に比べて13億88百万円増加し、427億89百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べて6億28百万円増加し、137億35百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べて7億60百万円増加し、290億53百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて31億72百万円減少し、61億81百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は16億89百万円(前連結会計年度は44億25百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益18億51百万円の計上、仕入債務の増加14億86百万円による資金増加と、たな卸資産の増加50億77百万円による資金減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2億43百万円(前連結会計年度は9億11百万円の使用)となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出2億34百万円等によるものであります

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は12億83百万円(前連結会計年度は16億99百万円の使用)となりました。これは、長期借入金の返済による支出3億75百万円、配当金の支払による支出3億70百万円、自己株式の取得による支出5億48百万円等によるものであります

 

 

 (2)生産、受注及び販売の状況

当社グループの事業はデジタル家電周辺機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
 以下は、品目別の状況を記載しております。

 

①生産実績

当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目

当連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

メモリ

2,523

△21.7

ストレージ

9,209

5.2

液晶

17,240

21.0

周辺機器

7,861

71.2

特注製品

465

△35.4

その他

577

63.7

合計

37,878

18.8

 

(注) 上記の金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

②受注実績

当社グループ製品の大部分は見込み生産による量産製品でありますが、ユーザーの仕様に基づいた受注生産による特注製品の開発も一部行っておりますので、以下に特注製品の受注状況を記載しております。

 

項目

当連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

受注高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比
(%)

特注製品

828

△0.8

352

412.9

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目

当連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

メモリ

2,844

△23.0

ストレージ

9,988

△4.6

液晶

18,419

4.4

周辺機器

8,348

7.4

特注製品

544

△40.0

商品およびその他

16,487

4.9

合計

56,633

0.8

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム㈱

18,402

32.7

18,645

32.9

㈱ヤマダデンキ

5,013

8.9

4,887

8.6

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、文中における将来に関する事項は、当社経営陣が当連結会計年度末現在で、合理的であると判断する一定の前提に基づいておりますが、不確実な要素も含んでおり、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

(たな卸資産の評価損)

当社グループは、たな卸資産の将来の販売見込み及び正味売却価額を合理的に見積り、必要な評価減を計上しております。将来における需要及び市場価格等の市場環境が見積りより悪化した場合は、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、事業計画に基づいた将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

②財政状態の分析

資産・負債及び純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて13億88百万円増加し、427億89百万円となりました。これは、現金及び預金が31億72百万円減少したものの、たな卸資産が50億77百万円増加したこと等によるものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べて6億28百万円増加し、137億35百万円となりました。これは、長期借入金が3億75百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が15億42百万円増加したこと等によるものであります。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて7億60百万円増加し、290億53百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益13億80百万円の計上と、剰余金の配当により利益剰余金が3億70百万円減少し、自己株式の取得等により自己株式が4億52百万円増加したこと等によるものであります。

 

 

③経営成績の分析

(売上高)

前連結会計年度の売上高562億4百万円に対し、当連結会計年度は売上高566億33百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。
 品目別の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上総利益)

前連結会計年度の売上総利益108億98百万円に対し、当連結会計年度は売上総利益98億52百万円(前連結会計年度比9.6%減)となりました。主な要因は、液晶モニター等は増収となったものの、部品価格の値上がりに加え、戦略在庫の確保が在庫評価損の増加を招いたことによるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

前連結会計年度の販売費及び一般管理費87億71百万円に対し、当連結会計年度は85億14百万円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。主な要因は、事業活動の制限による旅費交通費や研究開発費の減少によるものであります。

 

(営業利益)

前連結会計年度の営業利益21億27百万円に対し、当連結会計年度は営業利益13億38百万円(前連結会計年度比37.1%減)となりました。主な要因は、部品価格の値上がりに加え、戦略在庫の確保が在庫評価損の増加を招いたことによるものです。

 

(経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の要因に加え、営業外収益に為替差益4億38百万円を計上したことにより、当連結会計年度の経常利益は18億50百万円(前連結会計年度比27.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億80百万円(前連結会計年度比26.4%減)となりました。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす要因は、当社グループを取り巻くデジタル機器の技術革新を背景にした商品の陳腐化の速さと業界の価格競争により売上総利益率は低水準になる傾向にあります。

それ以外の考えられる要因については「事業等のリスク」に表記しております。

 

⑤キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析に関する情報については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャ
ッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり
です。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、生産性の向上や研究開発への投資、また、安定供給に応えるための在庫確保等への資金需要があります。
 当社グループはこれら資金を営業活動で生み出した自己資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期によっては金融機関からの借入等の自己資金以外の資金調達方法を検討する場合もあります。

 

 

⑦経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について

当社グループは、付加価値の高い商品・サービス開発を通じて、着実な売上高経常利益率の改善と利益成長を経営上の重要な目標としております。技術革新やデジタル化社会の進展により、本体機器の普及は一巡し関連市場のコモディティ化が進む中、かつてのような市場の成長を前提にした規模を追う経営から、質・利益を重視する方針としております。

この方針の下、当社グループでは、収益基盤となる旧来の周辺機器分野の競争力強化に努めるとともに、上位・高級市場への進出、単品販売からシステム・サービス化を目指した商品の高度化に取り組み、目標とする売上高経常利益率の改善と利益成長に対する近年の進捗には概ね手応えを感じております。しかしながら当連結会計年度は、世界的な半導体や液晶パネルの不足による部品価格の高騰、また、電子部品の調達難に備えた戦略在庫の積み増しが当社会計上において在庫月数に応じ算定する在庫評価損の増加を招いたこと等が響き、経常利益は18億50百万円(前期比27.2%減)、売上高経常利益率は3.3%(前期比1.2ポイント減)となりました。

今後も市場の動向や経営判断により多少の変動は生じる可能性はありますが、当社グループは、上記の方針・取り組みを通じて、中長期的に着実な指標改善を目指してまいります。

 

回次

第42期

第43期

第44期

第45期

第46期

決算年月

2017年6月

2018年6月

2019年6月

2020年6月

2021年6月

経常利益    (百万円)

2,361

3,011

2,172

2,542

1,850

売上高経常利益率 (%)

4.9

5.4

3.7

4.5

3.3

 

 

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