業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

  当社は、第116期に11月期決算から12月期決算へ変更したことに伴い、移行期である前連結会計年度は13ヶ月間の決算となっております。

 

  当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱問題、米中の関税・貿易摩擦、中南米での政治・社会情勢の流動化といったリスク要因を抱えつつも、米国を中心に景気の拡大基調が続きました。国内経済についても、建設投資等の設備投資の拡大、インバウンド消費の寄与等もあり、戦後最長が視野に入る息の長い緩やかな好況が続いております。

  このような経営環境の下、当社グループは「飛躍へのターンアラウンド」をスローガンにグループ一丸となって業績改善と財務体質強化に向けた活動に引き続き取り組みました。不採算拠点の構造改革を進め、欧州・中国・南米の各拠点における人員の適正化や固定費削減によるリストラを推進したことをはじめ、欧州の研究開発活動の効率化、米国工場の閉鎖・清算とメキシコ工場への取り込み等、将来における収益力向上につながるアクションを推進いたしました。

  さらに、当社はこのような経営努力に加え、自動車業界における急速な技術革新と競争環境の激化に対応し、新技術の開発・拡大を継続的に行い得る体制と財務基盤の強化を目的として、ミネベアミツミ株式会社(以下、「公開買付者」といいます。)と経営統合することを決定しました。公開買付者が当社の普通株式(以下、「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の法改正を含みます。)及び関係法令に基づくものをいい、以下、「本公開買付け」といいます。)の開始を2019年2月14日付で決定したとの連絡を公開買付者から受け、当社取締役会は、同日付で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへ応募を推奨する旨の決議をいたしました。なお、上記取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続により当社を公開買付者の完全子会社とすることを企図していること、並びに当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。本公開買付けは2019年2月15日より実施されております。

 

(財政状態の状況)

 当連結会計年度末の総資産は1,192億23百万円となり、前連結会計年度末に比べて183億68百万円減少しました。負債は920億20百万円となり、前連結会計年度末に比べて143億54百万円減少しました。純資産は272億3百万円となり、前連結会計年度末に比べて40億14百万円減少しました。

 

(経営成績の状況)

 当連結会計年度の経営成績は、 売上高1,485億66百万円(前期比11.9%減)、営業利益70億49百万円(前期比30.6%増)、経常利益58億99百万円(前期比57.1%増)親会社株主に帰属する当期純利益47百万円(前期比98.8%減)となりました。

 

 各セグメントの経営成績は、次のとおりです。

 自動車部門は、売上高 1,221億68 百万円(前期比 13.4%減 )、営業利益 61億77 百万円(前期比 45.2%増 )となりました。主力の広島工場の操業が平成30年7月豪雨により影響を受けたものの、第4四半期において挽回生産・出荷を行い、国内拠点は計画を上回りました。海外においては、東南アジアは堅調に推移しましたが、中国では日系顧客向けが好調を維持する一方で、欧米系顧客の中国市場での苦戦を反映して無錫工場が大きく計画を下回りました。欧州地域では、品質・コスト面の改善は見られましたが、売上・損益ともに計画を下回りました。中南米では、現地の政治・社会情勢の不安定化の影響を受けました。

 なお、以上のような状況を踏まえて欧州・ブラジル・中国(無錫)の各拠点において特別損失(事業構造改善損失、減損損失)を計上しております。

 産業機械部門は、売上高 240億90 百万円(前期比 3.4%減 )、営業利益 30億97 百万円(前期比 1.1%減 )となりました。国内農機向けにおいて、前期に発生した排気ガス規制強化前の駆け込み需要の反動がありましたが、海外向け農機・建機関係の好調により補い、計画を上回りました。

 住宅機器部門は、売上高 23億7 百万円(前期比 14.1%減 )、営業利益 61 百万円(前期比 53.5%減 )となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は217億円と前連結会計年度末に比べて28億57百万円減少しました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、71億99百万円となりました(前期は36億77百万円の収入)。営業活動に伴う経常的収入の増加によって、運転資金の増加分、利子や法人税の支払等を賄いました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、21億20百万円となりました(前期は8億10百万円の支出)。設備投資のための支出を行う一方、コーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式の見直しと、財務体質の強化及び資産効率の向上を図るため、投資有価証券の売却による収入(30億41百万円)、定期預金の満期払戻しによる収入等が発生しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、82億58百万円となりました(前期は107億77百万円の支出)。中期経営計画に沿った財務体質の強化を目的とした返済による有利子負債の減少が主な要因です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

前期比 (%)

自動車部門 (百万円)

140,028

産業機械部門 (百万円)

2,008

住宅機器部門 (百万円)

2,689

合計 (百万円)

144,726

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.前連結会計年度は、決算期の変更により2016年12月1日から2017年12月31日までの13ヶ月間となっております。このため、前期比については記載しておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

自動車部門

139,404

11,160

産業機械部門

24,924

2,740

住宅機器部門

2,685

287

合計

167,014

14,188

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.前連結会計年度は、決算期の変更により2016年12月1日から2017年12月31日までの13ヶ月間となっております。このため、前期比については記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

前期比 (%)

自動車部門 (百万円)

122,168

産業機械部門 (百万円)

24,090

住宅機器部門 (百万円)

2,307

合計 (百万円)

148,566

(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2016年12月1日

  至 2017年12月31日)

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

  至 2018年12月31日)

販売高 (百万円)

割合 (%)

販売高 (百万円)

割合 (%)

マツダ株式会社

25,845

15.3

24,729

16.6

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.前連結会計年度は、決算期の変更により2016年12月1日から2017年12月31日までの13ヶ月間となっております。このため、前期比については記載しておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり、製品補償引当金、貸倒引当金等の各種引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能額の算定、退職給付費用の計算基礎、繰延税金資産の回収可能性など、資産・負債及び収益・費用の計上金額に重要な影響を与える見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためそれらの見積りと相違する場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

(財政状態の分析)

 当連結会計年度末の総資産は1,192億23百万円となり、前連結会計年度末に比べて183億68百万円減少しました。流動資産において現預金や売掛金等の営業債権が減少したこと、及び固定資産において、有形固定資産が減損損失の計上等により減少し、投資有価証券が売却等により減少したことが、主な要因です。

 負債は920億20百万円と、前連結会計年度末に比べて143億54百万円減少しました。新株予約権付社債(CB)の満期償還等による有利子負債の減少、買掛金等営業債務の減少が、主な要因です。

 純資産は272億3百万円と、前連結会計年度末に比べて40億14百万円減少しました。CBの一部株式転換によって資本金及び資本剰余金が増加する一方で、株式市場及び為替市場の変動によってその他有価証券評価差額金が減少し、為替換算調整勘定の貸方残高が減少しました。

 

経営成績の分析)

 当連結会計年度の経営成績は、売上高1,485億66百万円(前期比11.9%減)、営業利益70億49百万円(前期比30.6%増)となりました。前期が決算期変更に伴う変則13ヶ月決算であったため売上高は減収となりましたが、国内の自動車部門や産業機械部門等が計画を上回る好調となったことが寄与しました。

 経常利益58億99百万円(前期比57.1%増)となりました。新株予約権付社債(CB)の満期償還によるCB利息(償却原価法による新株予約権付社債利息)の減少等により、営業外費用が減少しました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、47百万円(前期比98.8%減)となりました。特別損失として減損損失51億74百万円を計上しました。これは、欧州、南米及び中国の各地域におけるフランス、イタリア、ドイツ、スロバキア、ブラジル、無錫などの工場が計画未達等となったことを踏まえ、会計基準に基づき回収可能価額を見積った結果、減損損失を認識したものです。

 また、ブラジル・中国・欧州各拠点のリストラに関する費用・損失を計上し(事業構造改善損失)、当社が納入した自動車部品に関する顧客の不具合対応による費用発生に備えた引当額について、状況の変化に伴う見直しを行い(製品補償引当金繰入額)、平成30年7月豪雨に関連して生じた在庫廃棄損等を計上しました(災害による損失)。

 なお法人税等について、米国工場の清算決議に伴い繰延税金資産を一括計上した前期と比較し、当期は中国・無錫工場の持分取得に関する税金費用(5億40百万円)の発生もあり、税金費用が増加しております。

 

  当連結会計年度は中期経営計画の2年目となり、2021年度(5年目)の目標(売上高1,579億円、営業利益80億円、営業利益率5%以上)に向けて、連結全体としては順調な進捗を示しました。しかしながら重要課題であるUAM事業のターンアラウンドに関しては、同事業は依然として計画を下回ったことから、不採算拠点の構造改革に取り組み、欧州・中国・南米の各拠点の人員の適正化・固定費削減によるリストラの推進、欧州の研究開発活動の効率化、品質・生産性向上のための地道な改善活動等を行っております。

 さらに、ミネベアミツミ株式会社との経営統合が成立した場合は、同社の海外における製造業の知見や人的リソース等を活用し、収益改善を加速してまいります。

 

キャッシュ・フローの状況の分析)

 詳細については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 当連結会計年度において、当社グループが複数の金融機関と締結しているシンジケートローン契約等に付されている財務制限条項に抵触した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。当連結会計年度末における特別損失の計上や保有する投資有価証券の含み益減少に伴い、当社単体の貸借対照表における純資産維持に関する財務制限条項への抵触が2019年2月14日に判明して継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が発生したものの、関係金融機関等に対し期限の利益喪失に関わる条項を適用することなく契約を継続することを要請した結果、2019年2月22日をもってウエイブ手続が完了し、関連するローン契約等すべての継続が確定しました。従いまして継続企業の前提に関する重要な不確実性は現在認められません。

 なお、2019年12月期において重要な資本的支出の予定はありません。

 また、コーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式の見直しと、財務体質の強化及び資産効率の向上を図るため、投資有価証券の売却を進めております。(投資有価証券の売却による収入:前連結会計年度43億29百万円、当連結会計年度30億41百万円、投資有価証券売却益:前連結会計年度29億7百万円、当連結会計年度19億86百万円)

 さらに、中期経営計画に沿った財務体質の強化を目的とする有利子負債の圧縮も進めております。(有利子負債残高:前連結会計年度末514億91百万円、当連結会計年度末423億29百万円)

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループは、2017年12月期に策定した中長期計画における経営スローガンを「飛躍へのターンアラウンド」、経営指標を「連結営業利益率5%以上の達成」とし、達成に向けて6項目になる基本方針を掲げて活動しております。

 当連結会計年度における連結営業利益率は4.7%となりましたが、今後も計画の達成に向けて取り組んでまいります。

 

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